2011.04.30
「朝まで生テレビ!」で、日本原子力技術協会最高顧問、石川迪夫(いしかわみちお)が、 プルトニウムは重いので敷地内にしか落ちていない、 と断言した・・・・そうです。 |
石川迪夫[イシカワミチオ]のプロフィール 香川県高松市生まれ。東京大学工学部機械工学科卒。1957年日本原子力研究所入所。1963年に日本で初めての発電に成功した動力試験炉「JPDR」の建設、運転に従事し、米国SPERT計画に参加後、反応度事故に関する実験計画「NSRR」を立案、実施した。同東海研究所副所長を経て、1991年4月、北海道大学工学部教授に。退任後、原子力安全基盤機構技術顧問などを務め、2005年4月、日本原子力技術協会理事長に就任。1973年~2004年まで、科学技術庁(現文部科学省)の原子力安全顧問や経済産業省原子力安全・保安院の原子力発電安全顧問のほか、IAEA(国際原子力機関)の各種委員会日本代表委員などを歴任。主な著書に「原子炉解体」(講談社)、「原子炉の暴走」(日刊工業新聞社)などがある。 |
とんでもないタワごとです。 はっきりと、「バカ」と言うしかありません。 テレビでこんなウソを言えば、世に識者は山ほどいるのですから、すぐにウソだとばれてしまいます。なぜ、そんなに簡単にばれるウソをつくのか。 それはこの者が本当に、「プルトニウムは重いから飛ばない」と思いこんでいるからです。 なんともおそろしいことです。 こんな人間が40年も原子力を推進してきたのですから、今回の事態は当然の結果です。 現実のデータとして、カリフォルニアでプルトニウムが検出されています。 下図は過去20年のプルトニウムの観測結果で、2011年の3月24日に、突然高濃度のプルトニウムが検出されています。福島3号炉の爆発(3月14日)で飛散したプルトニウムが風で運ばれて10日後にカリフォルニアの大気中で検出されたのです。 |
このようにれっきとした証拠があるのですが、プルトニウムは重いから飛ばないと思いこんでいる者にはデータを正しく認識することができません。「いや、あれは昔の原爆実験の名残だ」などと言っているそうです。 簡単な理屈を図で明らかにしておきましょう。 下図は、炭素(比較例)の原子核とプルトニウムの原子核です。 |
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炭素 6C12 | プルトニウム 94Pu239 |
左が炭素の原子核です。 陽子(オレンジ色)が6個と中性子(緑色)が6個で、陽子と中性子の合計は12個です。 これが炭素(カーボン)12という原子の原子核です。 炭素原子はこの原子核の周囲に6個の電子が回っています(電子は原子核よりずっと小さい) 右側はプルトニウムの原子核です。 陽子が94個、中性子が145個でプルトニウム239という原子の原子核になります。 プルトニウムの原子はこの周囲に94個の電子が回っています。 このように、なるほどプルトニウムの原子核は、炭素とか窒素(陽子7個)とか酸素(陽子8個)とかの原子核に比べて、大きくて重いものです。 この者はこのことをもって、プルトニウムは重いと言い、だから飛ばないと言っているわけです。 (テレビの解説では、ほかの御用学者もさかんに同じ事を言っていました) しかしたとえば、中国から黄砂が飛んできます。 細かい粒が風で舞い上がって、空を黄色く染めて西日本にやってきます。 その黄砂の粒はどのくらいの大きさでしょうか。 正確な大きさはともかく、概念を下に図示します。 |
C | Pu | 黄砂の粒 |
左端が前述の炭素の原子核で、その右となりがプルトニウムの原子核です。 右側が黄砂の砂粒です。 原子核に比べれば黄砂の一粒一粒は圧倒的に大きな粒です。 この絵は原子核を誇張して描いています。本当は原子核は小さすぎて目に見えません。 この黄色い粒、原子核より圧倒的に大きな粒が、空を飛んで中国からやって来るのです。 下図は3号炉の爆発の瞬間です。 大量の細かい粒子が黒雲となって舞い上がりました。 そのひとつひとつの粒にプルトニウムやウランが付着しています。 |
3号炉の爆発 2011.03.14 |
プルトニウムが付着した煙の粒がふわふわと漂い続ける |
放射性物質が付着した黒い粒は風に乗り、いつまでも空中に漂って世界を何周もします。 落ちるのは雨粒に遭遇したときだけです。そのときは黒い雨となって降ります。 「プルトニウムは重いから飛ばない」、「福島の敷地内に落ちた」 などという話がどれほどバカげているか分かりますね。 こんな連中が、プルトニウムはすぐに落ちる、大きな地震は来ない、大きな津波は来ない、電源は落ちない、と言って原子力を推進してきました。 そして驚いたことに、まだやるぞ、と言っています。 バカです。 |
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