2011年10月10日月曜日

わが国には原子力災害における被曝に対しての なんらの救済法は存在しないのです。 だから国による放射能除染など考えられもしない、 それが真実です。

農と島のありんくりんさんのブログより

日本政府はチェルノブイリの8倍もの線量を汚染地域の下限とした

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諸外国の認識では、日本政府の原発事故対応は「チェルノブイリ以下」だとされています。 
その大きな理由は、放射能汚染を「汚染」として法的に認めなかったということから始まっていることは昨日お話したとおりです。 
「法的に無規定だから、除染してはならない」というサボタージュがまかり通っていました。 
これは単なる「たら・れば」論ではなく、この責任は原発を国策としておきながら、その事故処理を何も考えてこなかった歴代政府と現在の政府にあります。 
さて、サェルノブイリの事故対応には学ぶべきものが多々あります。そのひとつが私が3つの考え方の一番目に述べた「何が、どこにどれだけ降ったのか」、という被害の範囲の確定です。 
旧ソ連政府が、大規模避難の後の事故処理にあたって真っ先にやったことは、この被害範囲の確定でした。 
それは「汚染地域」と「非汚染地域」を区分し、それぞれに対して除染方法を定めていく方法でした。 
このラインを旧ソ連政府は、土壌放射線量が1平方メートル当たりセシウム137の線量で3万7000ベクレル(bq)と定めました。
3万700bq/㎡とは、日本で使用されているキログラム単位で言えば1850bq/㎏に相当します。 
チェルノブイリにおいては、実に日本の国土の4割にあたる面積である15万ヘクタールが汚染区域に指定されました。 
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上図で薄いグレイ部分が日本流にいえば1850bq/㎏の汚染地帯に相当します。
ここから旧ソ連政府は1986年4月26日の事故後のほぼ1か月後の6月上旬には、既にこの図の原型を作り上げて公表していました。
そして3か月後の8月から9月にかけては、汚染区域に指定されたコルホーズやソルホーズに対して個別汚染状況のマップを渡し、更に小規模個人農家に対しても集落ごとの汚染マップを手渡しています。
同時に並行して、線量低下の目標を設定して、積極的な除染活動に国家規模で乗りだしています。
では、続いてわが国の汚染マップを見ます。
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 *以上ふたつの図版は「農業経営者」7月号より参考のために転載いたしました。ありがとうございます。
この図は4月29日の測定値を基に作られた最初のマップです。単位は国際単位の平方メートルに直してあります。
この図で右脇の切れてしまいましたが、汚染段階は上から300万~2000万bq/㎡、100万~300万、60万~100万、30万~60万、30万以下、そして斜線が測定していない地域です。
何か気がつきませんか?そうなんと最小単位が30万bq/㎡です!旧ソ連では3万7000bqでしたね。実に8倍もの高い数値が最小区分なのです。
日本政府は、当時既に事実上の国際的な基準となっていたチェルノブイリの汚染地域区分の3万7000bqを国民の目から隠すために、㎡単位ではなく、キロ単位にわざわざ書き換えた上で、その上限を30万bqという途方もなく高い数値に置いて公表したのです。
したがって、国際的には、「汚染区域」は更に多いだろうという認識を諸外国に与えてしまったわけです。これが「フクシマはチェルノブイリ以上の人類史上最悪の災厄だ」という誤った国際認識に繋がりました。
あげくに国民を被曝の危険にさらし、暫定規制値を5000bq/㎏、すなわち国際的には10万bq/㎡という「汚染区域」に設定したあげくは、二本松市での汚染米が出る原因を作り出したのです。
昨日、二本松市の市長が、農水省に対してサンプリングではなく全量調査するように申し入れしたのは、遅まきとはいえ、まったく正しい要請です。
そもそも5000bqという暫定規制値の設定自体が問題視されるべきであり、規制値以下なら4600bqでも耕作を許可したこと自体が深刻な失敗なのです。愚かというよりも、むしろこれは犯罪的と言っていいでしょう。
さて、下図が7か月たった今頃になって文科省が出した汚染マップです。
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*「朝日新聞」より参考のために転載いたしました。ありがとうございます。
この図は文科省の航空機モニタリングマップですが、ほぼ国際標準で書かれています。最小単位も平方メートル単位で、下限が3万bq/㎡となっています。
この日本の汚染マップを、チェルノブイリに置き換えるとこうなります。
・薄い黄色3万~6万bq/㎡・・・・・汚染区域
・オレンジ色6万~60万・・・・・・・・汚染区域から永久管理区域
・赤色60万以上・・・・・・・・・・・・・・永久管理区域から立入禁止区域
ちなみに私の農場は、ギリギリで汚染区域より数キロ南にあります。
チェルノブイリが5段階に分かれていたのに対して、3段階だけというラフなものですが、ないよりましです。
ようやく初歩的な調査に7か月たって着手したのは、前進と評価すべきでしょうね、やっぱり。
この文科省の測定箇所は非農地が管轄です。ここでも農地の測定のみする農水省とおかしな縄張り争いがあるようですが、困ったことに測定方法が異なっています。
文科省は表土から5㎝下で測定し、農水省はその3倍の15㎝で測定しています。
いうまでもなく、文科省の測定方法のほうが正しいわけで、農水省はセシウムが表土下5㎝に集中してあることを知りながら、すっとぼけて15㎝下で計っています。ズルい上にボケています。ズルボケです。
農水省は測定をしていた夏には大部分の「汚染区域」の農地が耕耘されていたことを知っており、結果としてセシウムが希釈されていたことを知って、こういう計測をしたとしか思えません。
文科省のほうも、農地は計れずに農地は雑草などでお茶を濁しているようですし、千葉県では15㎝で計ったかと思えば、茨城県では3㎝になるなど一定していません。
海洋は海水部分が農水省で、海底の泥は文科省です。もうこうなるとお笑いですね。
そしてこの農水省よりなんぼかましな文科省汚染マップすらも、実測ではなく航空機モニタリングだということに留意ください。
あくまで飛行機でブーンと飛んで計ったもので、大枠は掴めますが、細かいン地形の褶曲が多い東日本ではラフなのものでしかないのです。
放射能測定は
歩いて測るのが原則です。それが無理なら文科省のモニタリング・カーで土埃を採集するほうがより正確な汚染マップが出来るでしょう。
この汚染マップがあって初めて、除染計画が成立するのです。
■写真 台風が去って。ようやく秋が来ました。稲借りも完全に終わりました。最後は台風との競争でした。

除染は違法だからしてはいけない

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放射性物質は安全である、これが政府の公式な立場です。
だから、いくら放出されようと
永久に犯人は捕まることがありません。
捕まえる法律がないからです。
ですから、放出された放射性物質は出し放題です。
出しても罰せられないのですから、当然です。
原子力賠償法によって賠償が行われている?
何に対してですか?
それはあくまで、
原子力特別措置法第20条による
「出荷の停止・制限・自粛」
に対して行われているのであって、
被曝した農地、農民、農産物に対して
なされているものではありません。
なぜなら政府見解では、
放射能は
いかなる法律にも制約されない物質だからです。
ここにすべての問題の根っこがあります。
除染がされないのも、その根拠法がないからです。
そもそも法で制約されない物質を
どうして排除するのでしょうか。
汚染物質でないものをどうして清浄化するのでしょうか?
汚染物質を規定する法律はあることはあります。
「大気汚染防止法」、
「海洋汚染等防止法」、
「土壌汚染対策法」、
「水質汚濁防止法」などがあります。
しかし、
いずれの法律においても
放射性物質は
「適用除外」になっています。
たとえば「土壌汚染防止法」にはこういう一項があります。
「特定有害物質とは、鉛、砒素、トリニクロエチレン、
その他の物質(放射性物質を除く)」
と記されています。
環境法令の基本となる
環境基本法にもなんの記載もありません。
では原子力基本法はというと、
グダグダと長い条文には
いかなる環境汚染に対しての規定がありません。
驚くべきことに、
わが国には原子力災害における被曝に対しての
なんらの救済法は存在しないのです。
だから国による放射能除染など考えられもしない、
それが真実です。
「農地や住宅地が放射能汚染されたが、
なぜ取り締まらないのか」
という質問に対する各省の見解をあげます。
環境省の見解。
「違法性はないと認識しています。
千年に一度の災害ですから」。
農水省の見解。
「環境省の規制値があれば動けますが、
ないから動けません」。
経済産業省の見解。
「原子力対策本部に問い合わせて下さい。」
では、放出の当事者である
東電の見解。
「法律にあるとおりの認識です」
なぜ除染が行われないかが分かりましたか。
そうです。
除染しては「いけない」のです。
放射性物質にはいかなる規制法も存在せず、
いかなる被害救済法も存在しません。
除染するために
わざわざ新法をつくらねばならなかった理由はそれです。
したがって、
放出された放射性物質は東京電力の私有財産です。
私有財産である以上、
放射性物質を勝手に第三者が移動したり、
棄てたりすることは「違法」です。
もし、
放射性物質の遺棄が発見されれば、
最寄りの交番に持って行って下さい。
一定期間が過ぎれば、
東電のお礼状と共に一割戻ってくるでしょう。
まったく私たちはいい国に生まれたものです。
国家公務員住宅に105億円だそうという国が、
福島の除染にたった5億弱しかださない
という素晴らしい国です。
チェルノブイリがうらやましい。皮肉ではなくそう思います。

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