届いたメール
お嬢様の健康が回復されなによりです。お嬢様が帰られた当日に94歳になる小生の母が転倒し、頭部に4針縫う怪我をして 救急車で病院に運ばれる騒ぎがありました。その後始末になにやかやと忙しくお見舞いのメールも送れませんでした。(すい ません)
家族の皆様が健康でいられることはなにより大切な事 ですね。暑さが増しますので、ご健康に一層留意され活躍され んことを祈っております。
さて、話しは本題に入りますが、昨日の「日本の文民統制を考 える」に関し、別の視点から論じてみたいと思いますが、その 前に小生の軍隊に対する考えを明確にしておきます。
現在の様に国民国家が競い合う国際情勢の中で、武力装置である軍隊は必要であり、わが国の憲法も武力による自衛権を認めていると 考えています。従って自衛の為の集団的自衛権も当然認められ るべきと思います。また国民が必要と認めるなら国際貢献のため武力装置である自衛隊を派遣することにも特に異議はありま せん。
わが国は約60年前に大きな大戦を戦い、敗戦というわが国の歴史上かってない屈辱と悲劇を味わいました。このような事態 を我々の時代にも、また我々の子々孫々の時代にも再び経験することのないように願っております。
それ故に、この悲劇から我々はどのような教訓を見つけ、その教訓をいかに活かして行 くかが大変重要な事柄に思います。
その教訓は次の4つのカテ ゴリーに分かれると考えますが、
①政治体制と政治家の資質の問題
②主権者としての国民の資質の問題
③マスコミのレベルとその資質の問題
④軍事組織とその資質の問題
このコーナーは軍事を論じる場でありますので、②③は省き① ④だけ考えます。②③について敢えて一言申し述べれば、軍事通信員のスパイク氏が「自分の手で民主主義を打ちたてる経験なしに、日本人が民主主義者になることはないかも知れません ね。」と嘆いていた様に、その教訓の理解と活かし方に心もと なさを感じてしまいます。
敗戦の原因(教訓)について「帝国陸軍の最後」を書かれた伊藤正徳氏は次のように纏めています。
第一は、日本の太平洋戦争発起が大義名分に欠けていた事 。
第二は、日本が軍国主義の下にあったこと。武力は道具である 。
人がそれを使うのでなければならぬ。それを、道具が人を使 った所に百弊の源があったことだ。政治家が軍を使うのが常道であるのに、逆に軍人が政治を支配したため戦争が起こった。 ・・・・それを昭和の軍人が干犯して亡国の端を開いたのだ。 また次のように述べています。西洋では大戦略(Grand Strategy) は政治家が管掌するのを原則とする。・・・戦争を指導することは原則的最善なるものとして、政治家が偉くなければならな い。
日本の敗因の大なる一つは、戦争指導の機構と、その人物 (政治家の質が悪いと言うこと)とに存したことにある。 第七として政治家、国民、軍を含め皆驕慢であったことをあげています。
また、山本七平さんの書かれた「日本はなぜ敗れるのか」(敗 因の二十一カ条)には軍自身の問題として、
①精兵主義の軍隊に 精兵がいなかったこと、
②不合理性、
③精神的に弱かった事、
④克己心の欠如、
⑤反省力のなき事、
⑥個人として修養をして いないこと、
⑦人命を粗末にした事、などなどをあげています 。
具体的な例を上げますと、ガダルカナルの戦いの様に、同じ作戦を何度も繰り返して失敗したこと。インパール作戦の様に輜重もなしに突撃させた事。敗戦間際の満州や沖縄の戦の様に、 住民を犠牲にした作戦をおこなったこと。玉砕や特攻など無謀 な作戦をおこなったこと。合理的な精神を失い竹槍で戦おうと するような精神主義に陥った事などなどです。(上記の本は日 本軍の弱点がどこにあったかをリアリステックに教えてくれる 善い本です。軍事に関心のある方なら是非読んでいただきたい と思います。)
前置きが長くなりましたが、戦後、政治家や自衛隊がこのような教訓をどの様に学び、どう教育してきたがまさに問われることになります。残念ながら小生は政治家についてはほぼ落第瀬戸際だと思っております。自衛隊の実態は勿論、軍国主義時代の軍とは全く別物とは思いますが、旧軍が持つ官僚的な体質は一掃されたのかどうかよくわかりません。
具体的に言いますと 、自衛隊の中で憲法や基本的人権がどう教えられているのか? シビリアンコントロールがどう教えられているのか。ジュネ ーブ条約などがどう教えられているのか?またそれらが自衛官 一人一人の自覚の中にどう生かされているのかについて良く承知しておりません。(この点は誠に不勉強で申し訳ありません )
現在の自衛隊が本当に民主国家の武装集団として自覚を持ち 、機能するのであれば「参事官制度」を廃止しても良いと考えます。しかし、自衛隊がいかに真摯であろうとも、政務官や防衛庁長官が本当に軍事を理解し(政治家の質が低いので理解で きるかどうか)、どのようなことがあっても党派的にこれを使用しないという担保をどう制度的に保障するかが問題として残 るでしょう。
残念ながら日本は英米に比較してシビリアンコン トロールの経験も浅く、国民の理解も深くないと思われますので、この制度保障は重要だと考えます。
長々と書きましたが結論を言いますと、国民と政治家の質が高 ければ、如何なる憲法下でも軍隊を掌握するのに問題がないのですが、残念ながら現下の日本ではその肝心な点に疑問がある ので、武装組織である自衛隊を雁字搦めにしておきたいと言う ことではないでしょうか。
神浦さん、政治学を講ずる大学に軍事学の講座が一つもないような国で本当にシビリアンコントロールなど可能と思われます か? |
所長コメント
いま ちょうど文民統制の原稿を書き始めました。今日の午後3時までの締め切りなので、そちらを先に済ませます。すいません。しかし詳細に読みました。いろいろ考えています。貴重なご意見をありがとうございました。 |
私も参議院選挙に行きます。(7月6日) | 届いたメール
こんにちは。神浦さんもおっしゃるように、誰も信用できませんよね。
でも、国連難民高等弁務官だった、緒方貞子さんが言っていたのですが、 国連行政の現実でも、 「誰のほうが、『悪くない』かで、手を結ぶ相手を選ぶときもある」 とのことだそうです。 7月11日は、なんとか究極の選択をしてきます。はい。 |
所長コメント
納得です。そうですね。そんな選択方法もありましたね。今回はそれで選びます。最高ではなく、あの人よりはマシという人です。それにしても自民党は嫌らしいですね。曽我さんの再会を選挙前の9日に設定するなんて、これは露骨な政治利用ではありませんか。
ついに小泉さんは選挙対策で金正日と手を組んだように見えます。ますます選挙が大切に思うようになりました。 |
21世紀、日本の文民統制を考える。(7月5日) | 届いたメール
早くも七月となりましたが、いかがお過ごしでしょうか。 休載期間中、ご家族とゆっくりされたのなら幸甚です。
さて、こんなニュースが出ています。 文民統制見直し、参事官廃止を「最優先」 海幕長提案 http://www.asahi.com/politics/update/0704/002.html 出るべくして出た提案ですが、結局上層部が変わっても 制服組の上のほうが 現在の背広組のようになっておしまいのような… つまり戦前同様の展開(笑)になってしまう気もします。
民主主義国家において、軍隊に対する効果的な「コントロール」 とはどのように行われるべきかという問題、 という感じでしょうか。 階級的・官僚的な組織である軍隊において、 上の人間が総合戦略と同時に現場を知ることは可能 なのでしょうか。 もっとも史上の優れた将帥はみなそれを「可能」にしてきた わけですが・・・ このニュース、神浦さんはどう読み解かれますか。 ご教示いただければ有り難いです。 |
所長コメント
実は明日が締め切りで、この件に関するコラムを書くように依頼されています。すなわち現行の文民統制(制服組の上に背広組の防衛庁があり、防衛庁長官に制服組の意見は防衛庁を通じて行われる)がいいか、海幕長の提案(防衛庁の背広組と制服組が並列の関係で防衛庁長官を補佐する関係)がいいかという文民統制の問題です。結論を言えば、アメリカ型である海幕長の提案が常識的です。今の防衛庁(内局)の立場は制服から見れば異常です。内局であっても軍事には素人同然の人がいるし、軍事(安全保障)外交では外務省に主導権を握られているいます。対テロといっても国内では防衛庁が警察に口出しをすることはできません。ですから防衛庁は財務、外務、経産などから3流官庁と呼ばれているゆえんです。防衛官僚が軍事を知らないからです。しかし軍事の専門家である自衛官が口を出せば、外務省や警察が反発して黙っていません。ですから防衛庁はあえて無能扱いされています。
すると防衛庁のコンプレックスは制服組に向かいます。内局は1佐以上の人事権を握り、予算も防衛庁が握っています。自衛隊の現場を見ると将や将補といった階級の人が、防衛庁から出張で来る若いキャリア官僚を若殿のように扱っています。自分の子供のような世代のキャリア官僚にペコペコしている将官の姿を見ると、本当に情けなることがあります。
しかしそのような現実も、第2次大戦で日本を破滅の淵に追いやった軍部の責任を考えると当然のような気がしますが、今の若い将官クラスはそのような負の意識が薄れてきたと思います。そこで制服の立場を正常な形に戻すために海幕長がそのような提案をしたのでしょう。
今の古庄海幕長は海幕の事故関連で、序列14位を飛び越えて海幕長になったという経緯があります。すなわち通常では海幕長の椅子はなかった人です。そのことは本人も十分に認識していて、今回の提案はあえて「捨て石」になる覚悟で行ったと思います。すなわち自分が捨て石になることで改革案を提示し、自分を海幕長にしてくれた自衛隊に恩を返したのです。今までの各幕僚長なら防衛庁に反乱するようなことは出来ませんでした。
さてこのことがどのように波及するかですが、防衛庁は必死になって改革案を潰しにかかると思います。これからの将官昇任には、この改革案否定を踏み絵にする可能性すらあります。しかし改革案支持は制服組に広がっていくと思います。ある意味でこれは防衛庁が国防省になるよりも重要な意味があります。逆にこの問題が解決されないのに、防衛庁が国防省になってもしかたないという意味です。将来、民主党がこの改革案を支持すれば、自衛隊員(OB,家族を含む)の票は自民党から離れ、民主党に流れるでしょう。防衛官僚も触れて欲しくない問題が出てきたという感想だと思います。
私は制服(自衛隊)、背広(防衛庁)が並列関係で、防衛庁長官を補佐する方式に賛成です。 |
主権国家と傀儡国家の意味を考える。(7月1日) | 届いたメール
以前よりイラクの主権委譲が喧しく論じられ、先日大大的にそ の委譲が済んだと報じられました。そこで小生は大手の朝日、 読売、毎日の各新聞社に電話をし、その主権の意味を尋ねてみ たのですが、各社ともにまともな回答が得られませんでした。 新聞社にしてこのていたらくですから、恐らく皆様も余り承知 していないのではないかと思い投稿いたしました。
物事を考えるとき、言葉の正確な意味を捉えることは、小泉首相がいつも発言するような嘘やいい加減なもの言いをを見抜く 重要な手段です。 そこで主権について調べてみました。
主権の概念は理解するのに大変難しいものがあり、その概念は大変歴史が古く、時代により変化をしてきておりまして、現在でも学者によりその見解 が異なります。小生がいろいろ調べて見て、これが良いのでは と思った定義を以下に載せます。(学者により意見が異なりま すので、この定義を選択したことに小生の偏見が入っていると 言はれれば否定は出来ませんが、そお思われる方はいろいろな 書物に当たって是非勉強してください)
出典は百科辞典のウィキペディアの主権の項目です。
この定義に至るまで、前文で統一的な定義の難しさや、歴史的 な経緯が述べられています。 基本的意義 対外主権(最高独立性) まず、「国家が外に対して独立している」ということが、「主権」の内容として語られることがある。国家は互いに平等であ り、その上に存在する権威はないため、「最高独立性」といわ れることもある。
近代国家である以上、対外的に独立していな ければならず、逆に、対外的に独立していない場合は、それは国家ではない(国際法上の国家の要件が欠缺している)という ことになる。
対内主権(統治権)
次に、「国家が内に対して最高至上である」ということが、「 主権」の内容として語られることがある。近代国家においては 、国家は、自らの領土において、いかなる反対の意思を表示する個人・団体に対しても、最終的には、物理的暴力(physische Gewalt )を用いて、自己の意思を貫徹することができる。この意味で 、国家は対内的に至高の存在であり、これを「主権的」と表現するのである。この意味で用いる場合には、「主権」という語 は、領土に対する統治権という意味とほぼ同じ意味内容を持つ 。
最高決定力(最高決定権)
第三に、「ある国家のうちで、実際に至高の存在は誰なのか? 即ち、実際に最終的に決定する力を持っているのは誰なのか ?」というの問題も、「主権」の問題として語られることがあ る。この問題について、日本では、ドイツ流の議論とフランス 流の議論の両方が混在している。 もっと詳しく知りたい方は次のアドレスを見てください。http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%BB%E6%A8%A9
上記の様に対外主権、対内主権、最高決定力を欠くものは主権 国家とは呼びません。ここにブッシュ政権と小泉首相が説明する主権の委譲という言葉に嘘があることがわかります。それでは主権はないがあたかも主権を持っているいる国家はなんと呼ぶのでしょう。それは傀儡国家もしくは傀儡政権と言います。 同じ出典で傀儡政権の項目を見てみましょう。
傀儡政権(かいらいせいけん; puppet government)とは、あ る領域を支配する政権が、理念としては自立した政権ではあるものの、その実態においてはその地域に実質的な支配力を及ばせる外部の国家、政権、勢力のコントロールされたり、その強 い援助のもとに置かれている状態にあるものを指す呼称である 。元からある独立国家に立てられたり、名目上であっても主権 国家の形をとって独立させ、領域支配を行っている傀儡政権の 国家のことを指して、特に傀儡国家(かいらいこっか; puppet state )と呼ばれることもある。 なお、傀儡政権・傀儡国家と歴史的に称された政権の例が次の アドレスに出ております。参考にしてください。http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%82%80%E5%84%A1%E6%94%BF%E6%A8%A9
最近の小泉首相の影響を受けたせいか、乱暴な意見(特にこのコーナーをことを言ってる訳でなく、世の中一般ということで す)が多く見受けられるようになりました。軍事を考えるときばかりでなく、いろいろな政策を論じるときも、きっちりと言葉の意味を理解し、発言することが非常に大切なことと思いま すが、いかがでしょうか。 |
所長コメント
イラクの暫定政権が主権を持つ政府なのか、あるいは来年1月の選挙後に発足する政府が主権国家の政府なのか。アメリカは13万人の武装米兵を駐留させ、2000人以上という世界最大規模の米国大使館でイラク政府と交渉する。イラク政府は本当は傀儡政権ではないかとイラクの反米勢力は考えると思います。いや反米勢力だけでなく、多くのイスラム教徒がそのように実感するのではないでしょうか。
イラク国民やイスラム教徒ばかりでなく、国連は、日本は、イラクの政府を正当な自治政府と認めていいのでしょうか。この問題はまだまだゴタゴタが続くと思います。 |
米軍誤射説と照らし合わせる。(7月1日) | 届いたメール
神浦さんはじめまして。 私は貴サイトを毎日読ませていただいております静岡県のサラリーマンです。
昨日ある席で0000参議院議員とお話しする機会があり、席上で貴HPを紹介 させていただきました。 ご存知の通り00議員は日本大使館員殺害事件について米軍誤射(?)説を唱えられており、 一度神浦さんの分析と照らし合わせてみてはどうかとご提案いたしました。
もしかしたら議員のほうよりなんらかのアクションがあるかも知れませんが、 その節はよろしくお願いいたします。
以上よろしくお願いいたします。 |
所長コメント
わかりました。日本大使館員の米軍誤射説の件ですね。ご本人からこちらに連絡があれば説明します。最近、ある国会議員の方と話をしたら、その方もこのホームページを読でいるそうです。でも読んでいることを誰にも話さないそうです。でも勉強になるとも感謝されました。
このホームページも少しは役に立っているようです。 |
小泉首相が集団的自衛権を認めると発言したことが許せない。(6月30日) | 届いたメール
自分が、集団的自衛権について思っている事を聞いてください。
自衛権は個別も集団も国連憲章でも認められているので、保持も行使もするのが当然です。日本有事の際、自衛隊と米軍が共同作戦をとるのは集団的自衛権の行使ではな いんでしょうか。これが集団的自衛権を認めないというならば、日米同盟なんてないのと同様で意味のない同盟のために、日本は米軍基地を数十年間も置いていることに ならないですか?
問題は、この権利を行使するかしないかを決める人達が問題であって、集団的自衛権が問題なのではないと思います。 小泉総理がアメリカ追従するために、集団的自衛権を認めるといわれても、小泉総理は独裁者ではないので野党が突っ込めばいい事じゃないいでしょうか?
この前、TVのニュース番組で野党の党首が、集団的自衛権の事を質問されて、 「集団的自衛権は国連が認めているが、アメリカは国連を守らないので、日本は認めないほうがよい」 このような事を言われておりました。
アメリカは今回は国連を無視したかもしれないですが、次の戦争では守るかもしれな いし、その次は又無視するかもしれないですし、結局アメリカが国連を守るか守らな いかなんて、分らないのでその時々に日本が判断すればいいことじゃないんでしょう か ?
憲法があるからには、当然守ってもらわないといけないですが、野党は憲法を武器に しすぎなんじゃないかと思います。日本は自民党と憲法の2大政党なんかなと。 今、日本に必要なのは、国家目標、理念だと自分は思います。すべてはそこからだと いう気がしています。
思っている事をツラツラと書いてみました、神浦さんはどうお思いですか? 文章が苦手で、内容もグダグダですいません。 |
所長コメント
下段の方にも書きましたが、今は集団的自衛権をめぐる環境が激変しています。野党もそのことに気が付いていないで、憲法とか国連との関連で反対をしていると思います。おそらく小泉さんも知らないで集団的自衛権のことを口にしたのではないでしょうか。アメリカがイラク戦争を始めてパンドラの箱を開けたように、日本も集団的自衛権を認めればパンドラの箱を開けることと同じになると思います。それくらい集団的自衛権の問題は大きいのです。私は憲法を改正して集団的自衛権の行使を国民が認めるならそれはそれでいいと思います。しかし現行の憲法を変えないで、現行法の解釈変更や解釈拡大で集団的自衛権を認めるのは反対です。日本という国を危険にさせます。
今の日本には2つの選択肢があると思います。それはイギリスのようにアメリカとの軍事同盟を重視し、アメリカと運命共同体として生きる道です。そしてもうひとつはドイツのように自国の安全保障政策を柱に、アメリカには出来ることと出来ないことをはっきりさせて付き合う方法です。フランスのようにアメリカと対等の立場で、言いたいことだけをすべていうという道はないと思います。
ただ今の小泉さんにはブレア首相のようにアメリカから信頼を得るような対米外交はできません。何でもアメリカのいいなりになる奴です。 |
小泉首相が集団的自衛権を認めると発言したことが許せない。(6月30日) | 届いたメール
ご無沙汰しております。神戸の00です。 小泉首相が集団的自衛権を容認したことについて、「メールにお 返事」で話題に上っておりましたけれども、 これは、http://www.asahi.com/politics/update/0627/004.html こちらの記事で書かれたことについてのメールなのでしょうか。
私は、この記事の元になった番組を見ておりませんのですけれど、 小泉首相は本当に「日本が攻撃された場合には米軍と一緒に行動できるよう」にするために集団的自衛権を容認しようと仰有ったのでしょうか。これはそう読めますが。 この記事が正確だといたしますと、首相のお考えでは、日本が攻撃されても自衛隊は米軍と一緒に行動出来ないということになり ますよねえ…?
当然、逆も…自衛隊が出ても米軍は出ないという …また真なりということになりませんでしょうか? そんな馬鹿なことがあるはずはないと思うんですが…。
先日の有事法制でも協力に関する項目はあったはずですし、だいたい、も しも日本が攻撃されたとき、日米安保条約があるにも拘わらず 米軍が「集団的自衛権は日本国憲法で認められていないから、 自衛隊と一緒には戦えない」というのなら…、彼らいったい私たち の国で何してるんだとそういう話になりはしませんでしょうか。
私…、無茶ですけれど、一瞬、「だったら出ていけよ」と思ってしまいました。 首相は本当は何が仰有りたかったのでしょう?とりあえず、この 記事の通りだといたしますと、根本的に何か間違っているような気 がするのですが…。
話は変わりますが、 イスラム教とキリスト教の対立の件ですが、あまりそれにとらわれ すぎてもどうかという気もしております。文化という面では確かに 対立も起きましょうけれど、文明と文化は違います。 アフガニスタンのタリバンの兵士たちが持っていた武器は、ロシア 製だったり、場合によってはアメリカ製だったりしたように記憶して おりますし、イランにしたところで、今話題になっております遠心分離器ですか、あれを、全く異教徒の技術を用いずに作っているわ けではありますまい。
二つの宗教の対立という具合に単純化して問題を見ることのでき る時代はもう終わってしまったのではないかと私自身は思っており ます。ローマ・カトリックの総本山であるバチカンは、異宗教間の対話ということを暫く前からずっと言っておりますし。
個人的には、イラク問題については神浦さんのお考えに近いもの を感じております。お宗旨がどうであれ治安の悪い方を望む人間は稀だと思いますし、それが占領軍であれテロリストであれ、外国人の言うままにではなく自分たちの手で国を動かしたいというのも当たり前だと思います。占領軍にせよテロリストにせよ、そういつ までもイラクを好き勝手に出来ると思わない方がいいのではと私 は思うのですが…。
今後の御活躍を心からお祈りしております。 天候不順な折から、くれぐれもご自愛くださいませ。 |
所長コメント
日米安保の前提条件が同時多発テロを機会に急激に変化しています。冷戦時や同時多発テロまでは、旧ソ連や北朝鮮の脅威を前提にして、東アジアで米軍が軍事行動することを想定し、その後方支援を自衛隊が行うとなっていました。それで集団的自衛権の行使に制限がかかっても運用することが可能と考えられていました。あくまで日本は自衛戦争という原則が守られるからです。
しかし同時多発テロ以後の集団的自衛権の考えは、中東のような日本から遠く離れた地域で、米軍の指揮の下に共同して軍事行動ができる前提に変わっています。日本有事や日本周辺での有事ではありません。この変化に気が付かないと、昔の概念で新しい動きを考えることになります。小泉首相はイラクで自衛隊の多国籍軍参加で、今までの多国籍軍の論議では整合性がないので、このような新しい概念を広げてきたと思います。
これが国会などで議論をされて、新しい日本の進路として決まれば文句はありません。しかし訪米する際のブッシュ大統領のお土産として多国籍軍参加を決め、その経緯から集団的な自衛権行使を容認するでは危険です。
それから今のアメリカに日本が集団的自衛権を認め、イラクの戦争に自衛隊が全面的に参加することは最高の政治プレゼントになります。しかしアメリカは外交手段に軍事力の行使を正当化している国です。日本は外交手段に戦争を禁止した国です。そのことをよく考える必要があると思います。 |
小泉首相が集団的自衛権を認めると発言したことが許せない。(6月30日) | 届いたメール
昨年の冬となってしまいますが韓国が原潜を作るというニュースが流れました、
すぐに原潜を作るというのは軍が否定しました、韓国が原潜を作り始めると対抗して日本も作ることとなってしまいます、韓国にとっては日本を刺激するのは得策ではないのでしょうか。韓国側としては何らかの意思を持ってやったとしか思えません、どのような目的で情報をリークしたのでしょうか。
暑い日が続きますのでお体にご自愛ください |
所長コメント
あなたがご指摘のように、韓国が原潜を造れば日本を強く刺激します。それに韓国の原潜はアメリカ沿岸まで行動できるし、核兵器(戦術核兵器)と組み合わすと米国を核攻撃できる能力があります。それは絶対にアメリカが許しません。今の韓国も、統一された朝鮮半島国家も、核武装や原潜は造れないのです。中国も韓国の原潜建造に猛反対すると思います。
これは情報のリークというより、核戦略システムや原潜のことを知らない記者が噂(あるいは想像)で書いた記事だと思います。日本でも海自が初めて艦の先端が丸い潜水艦(涙滴型潜水艦)を建造したとき、潜水艦作戦や原潜のことを知らない軍事専門家が、これは日本が原潜を造るための準備段階と騒いだことがあります。
それから原潜を建造する技術的な問題ですが、これは核兵器を造るよりも難しい技術です。韓国が独自で開発するのは無理でしょう。この情報はガセネタと思っていいです。 |
小泉首相が集団的自衛権を認めると発言したことが許せない。(6月29日) | 届いたメール
今日は、本当に憂鬱な一日でした。以前からいつかは言うのだろうと思っていましたが、とうとう小泉首相が集団的自衛権を認めるべきだという発言をしました。これは、おそらくずっと前から彼が温めていた「本音」でしょう。ほんとに憂鬱です。もう、日本はブレーキの壊れた列車が坂道を駆け抜けて行くように暴走して行くままなのでしょうか?
私は、日本には軍事の力で国際貢献をしようなどという国にはなってほしくありませんし、それは日本のためにもならず、そういう流れは世界のためにもなりません。それは、神浦さんがおっしゃっているように、テロリズムは軍事力では押さえつけられないからです。しかし、このまま行くと日本はいつでも自衛隊派遣ができて、いつでも戦争に参加ができてしまう国になってしまいます。
ここで今一度考える必要があるのは、これは国民の総意なのかという事です。私だけでなく、いくらかの方々は今日本が向かっている方向に反対だと思います。しかし、かつて自衛隊が海外に派遣されようとしていたころからの、国民の「緩やかな無関心」は一体なんだったのでしょうか? 今の人達は、自衛隊が海外に派遣されることや、日米同盟の名のものに集団的自衛権の行使を認めているのでしょうか?
仮に、大統領選挙で誰が大統領になろうとも、アメリカが戦争好きの国であることに変わりはあません。好きでなくとも、自国の平和(?)と経済の安定のために、これからも戦争をし続けると思います。その中で、果たして日本は一緒に戦争をしに 行くのですか?「平和のために」といって、アラブ人を殺しに行くのですか?
今の私は、あまり冷静でないかもしれませんし、このようなことを神浦さんにぶつけても失礼なだけかもしれません。あれだけ無能無知な人たちの言動にいちいち反応していたら、身体がいくつあっても足りないのも分かっています。しかし、さすがに今回は勘弁なりません。
残念ながら、今の私にはお金も学もありませんのでこんなことはいえないのですが、消極的に「もう日本はだめだ。」といって海外に逃亡するくらいなら、以前神浦さんがおっしゃっていたように、自分が立候補して日本を変えてやるくらいの気持ちはあります。それは、私が日本が好きだからです。「愛国心」なんて言葉には散々泥が塗りたくられて、もう使いたくも聴きたくもない言葉なのですが、この国が好きだからこそ、何とかしたいのです。
もう、論点がめちゃくちゃになっているのも分かったいるのですが、とにかく、小泉首相の発言は絶対に間違っているといいたいです。
面白くない文章ですが、本当にごめんなさい。これからも応援させていただきます。 |
所長コメント
小泉首相が「集団的自衛権を認めるべき」というのは、世界各地で米軍といっしょに日本が戦争できる国に変えるべきという発言です。今まで集団的自衛権の禁止があるので、日本は米軍と一緒の戦争は出来ませんでした。そこで日本周辺に限って自衛隊が米軍を支援できる周辺事態法を作りました。またテロ特措法やイラク特措法など臨時の法律を作って対応してきました。しかしイラクで自衛隊が多国籍軍に参加するようになると、もう法の解釈変更や拡大解釈では現実に対応できなくなりました。そこで集団的自衛権を認めるべきという発言に繋がったのです。これは憲法を改正するという意味より、アメリカに媚びを売るための発言のような気がします。
今回の参議院選挙で小泉さんは相当の危機感があるのではないでしょうか。年金問題で国民の不評を買って、いままでのようにムードに乗った勝利は望めなくなったからでしょう。そこで集団的自衛権を認めるという発言になったと考えています。
もし集団的自衛権が認められたら、自衛隊が米軍を指揮することはありません。軍事力の規模、情報能力、兵器の質や量を考えても、絶対に自衛隊を指揮するのは米軍です。すなわち自衛隊は米軍の指揮の下に働く部隊になるのです。これで喜ぶのは米国です。小泉首相は米国の喜ぶ顔が見たかったのでしょう。 |
自衛隊が日本を支配するシナリオはあるのか。(6月29日) | 届いたメール
昨日のwhat'new を読ませていただき、海上自衛対の動きが良く理解できました。軍隊は官僚組織の最たるものだと言うこと ですね。
このコメントを読みながら次のようなことを考えてしまいまし た。このことは自衛隊を貶めようとか、誹謗中傷しようとか思 って書いた訳ではありませんので、誤解なきようお願いします 。ただ、武装集団である陸上自衛隊も官僚組織でありますから 、常に官僚の論理で行動するということです。これを論理的に 突き詰めていくと、一つのシナリオが考えられるということです。
イラクに派遣された陸上自衛隊の隊員から万が一戦死者が出た場合、官僚組織である自衛隊はその死亡した自衛官(英霊)のために国葬もしくは国葬に準じる栄誉を持って迎えることを官邸に要求するでしょう。また国家の命令で危険な地におもむき 、亡くなられた自衛官に最高の栄誉をもって迎えるのは当然の ことと小生も考えます。
国葬には当然、三軍の長である総理大 臣、衆参両議院の議長、最高裁判所の長官、天皇・皇后の両陛 下、各政党の長(共産党は出席しないかも知れませんが)、衆 参両院の国会議員、自衛隊幹部、経済団体や民間の各種団体等 がこぞって参列し厳かにおこなわれることになるのでしょう。 (このことは関係者の間では常識になっており、既に国葬対応 マニュアルが存在し根回しが済んでいるかもしれませんね)
先の日本人人質事件や北朝鮮拉致被害者家族への国民の対応より推測しますと、この国葬に参列を拒否したり、批判した政党 や個人は死者に対する礼儀をわきまえない組織や個人として国 民から強い指弾をうけることでしょう。また、亡くなられた方 は当然英霊として靖国神社に祭られることになります。 国葬が終了した後の官僚組織の狙いは、当然防衛庁から国防省 への格上げ謀ることです。これにともない制服組みと背広組み の権限争いが熾烈となりますが、命を賭けている制服組みに理解を示し国民の支持も制服組みに向かうと思われます。
防衛庁 が国防省になれば、これもまた必然的に憲法を改定せねばなり ません。命を賭けて任務を遂行する自衛隊を日陰の組織にして おくわけにはいきませんからね。本当の意味で日本の国防のあ り方について十分な論議をせぬままに憲法が改定されてしまう 恐れがあります。
ここまでくれば、戦える軍隊として必要な、軍事法廷やスパイ 罪などの関連法規の整備が進んでいきます。この時になって始 めて、先の大戦の反省を踏まえ本当の意味で自衛隊が民主国家 の軍隊になっているのかどうかが問われることになるのでしょ う。
上記は勿論、仮想の話しですが、軍事組織であろうが、なかろ うが官僚組織はそれ自身肥大化する傾向にあります。それを止 めるのが政治家の仕事ですが、ほとんど機能を果たしていない のが現実です。 これからの日本をどのような国にしていくかは我々の使命にか かっています。漫然と流されていけば、予測しない事態に追い こまれます。上記のシナリオが夢物語であれば良いと思ってお りますのであえて書かせていただきました。 |
所長コメント
ちょっと飛びすぎているようです。イラクで自衛隊員が殺されても国葬にはなりません。カンボジアで死亡した高田警部補や、イラクで銃撃されて死亡した奥参事官や井ノ上事務官の例を参考に葬儀が行われると思います。天皇陛下の参列などとても無理です。また亡くなった自衛官が靖国神社に祭られることもありません。
また防衛庁が国防省になっても、制服組と背広組が争い、制服組が国防組織を握ることはないでしょう。なぜなら制服組が国防を動かすと、自らが戦争を呼び込んだり、自ら戦争に近づいていくからです。軍人特有の「脅威の排除」や「予防戦争」などという論理が強くなるからです。
実は今までの日本でもっとも大きな反戦団体は自衛隊だったのです。先日、市ヶ谷の防衛庁に行ったとき、入り口の守衛所に自衛官募集のパンフレットが置いてありました。その表紙に「自衛隊は平和を守る」と書かれていました。実は多くの自衛官が本当にそう信じています。そのように考えて行動しています。
そのような自衛官の気持ちを小泉首相は知りません。米軍と一緒に戦争できる軍隊を目指すでは自衛隊員の支持は得られません。おそらく今度の選挙でそのことを知ると思います。 |
映画「華氏911」の関連情報が見られます。(6月28日) | 届いたメール
いつも拝読しています、00です。
「華氏911」については、 http://d.hatena.ne.jp/TomoMachi/20040625 「町山智浩アメリカ日記」の6/25が詳しいと思います。
ムーア氏へのインタビューに ついてはhttp://www.eiga.com/special/bowlingfor/02.shtml 「ボウリング・フォー・コロンバイン」のですが)があります。 |
所長コメント
ムーア氏へのインタビューはリンクが飛びません。もし間違っていたら訂正メールをください。アメリカで「華氏911」の評判はなかなかのように報じられていますが、本当はどうなのでしょうか。大統領選に影響を与えるのでしょうか。
先のレーガン大統領の国葬は、ブッシュ陣営に有利に働いたとLAの友人が話していました。選挙は世論調査だけでは予測した結果になりませんからね。
私は7月11日の参議院選挙にはどんなことをしても投票に行く覚悟を決めています。でもだれに投票するかまだ決めていません。これからよく考えて決めます。でも米大統領選挙ならケリー候補(民主党)を支持します。ブッシュ不支持というよりもチェイニー副大統領のようなネオコンが嫌いなのです。もっとも大統領選挙は選挙権がありませんが・・・。 |
スパイク通信員の発言について疑問を感じる。(6月28日) | 届いたメール
スパイクさんは次のように言っています。
>人質事件を振り返ってみて、「政府をはじめ、日本人が馬脚を現した事件だった (中略) 日本は民主主義の国だと思っているけど、 実は全体主義者だった
まず、民主主義とは何か?という点をスパイク氏が理解されているのでしょうか。 全体主義とはおっしゃられますが、民主主義とは「人民が権力を所有し行使するという政治原理。権力が社会全体権力が社会全体の構成員に合法的に与えられている政治形態 (中略) 現代では、人間の自由や平等を尊重する立場をも示す。」という点に かなっていると思います。
人質事件発生当初(2日目ぐらい)から、世論調査で「要求に応じるべきではない」 が過半数を超えているTV局もあったと記憶しています(ソースは勘弁下さい)。 僕自身は、「要求に応じるべきではない」と思っていましたし、思っていましたが、もしそれが間違っていたとしましょう。日本人の反応はどうでしたか?自民党は 大敗しました?首相は退陣しました?してないでしょう?
もし正義に適っていなくとも、日本人の過半数が支持したということは民主主義に適っているんですよ。「民衆が常に正しいとは限らない」としたレーニンという男が いましたが、彼の作ったソビエトは、もう存在していません。「民主主義」なんて言えば、みんなが支持する時代が終わったということの認識 が、スパイク氏にはないんです。
>沢山の人から手紙が届いたのですが、そのほとんどが新聞の社説の書き直しとしか 思 えない意見ばかりだったそうです。「郡山総一郎のバカ」としか書いていない、 レベルの低い手紙もあったそうです
これは本当に信じてよい情報なのでしょうか?別に郡山さんがウソをついていると言いたいわけではないのですが、人質家族の中で事件発生中、明らかなウソを言った人がいました。事件による混乱で別に悪気があったわけではないとは思われますが、 常に人の言うことが正しいとは限らないことを示していると思います。
また、確かに郡山さんを非難するのは間違っていると思います。ですが、報道の自由のために行った郡山さんと他2人を同列にするのは間違っているでしょう。 郡山さんの姿勢がどうであれ、真実を報道することによって日本人に“事実”を伝 えるのは必要なことです。ですが、残りの2人は何をしに行ったのでしょうか。
「困っている人を助けたかった」。それなら日本中で困っている人がたくさんいます。それを助けてから、お節介をやくべきでしょう。日本で困っている人を放置し て、海外に行って“目立とう”とするのはエゴだとは思いませんか?
>派遣隊は給水活動をほとんど行えず、学校の修理は現地人に任せ、自衛隊が来ても、十分間しか現場にいないという報道がありました。
これは事実ではないと、現地から帰還した一次隊の幹部が言っていました。それからのちは、大手新聞社などの報道でその話は出て来なくなりました。どういうことで しょうかねぇ。 日本が誤った民主主義制だというのは認めます。民主制とは、「自分の家族、家、 土地、ひいては国家を自分達で守ることだ」からです。別に徴兵制復活を主張してい るのではありません。心構えの重要性を指摘しているだけです。他の“民主主義国 家”と呼ばれる国家は、常に武力を用いて、“民主主義”を保持してきたわけですか ら。 |
所長コメント
私は海外で困っている人を助けることが「エゴ」だとは思いません。また目立ちたがり屋とも思いません。海外にはわたしたち日本人の助けが必要な人がいっぱいいます。日本にも困っている人が多くいますが、海外では日本と違ってその問題を解決するインフラができていないのです。
子供が学校で学びたくとも、学校に必要な校舎や先生がいない。また本もなければ、ノートや鉛筆さえない国が多くあります。病気になれば医者や薬もありません。100円の薬で直る病気でも薬がなくて死ぬ人が多くいます。貧困や混乱から子供が捨てられ、犯罪や暴力のために養われることもあります。
とにかく日本人が観光で海外旅行するのとは全く違う世界があるのです。日本人でしか助けられないこともあるのです。私は高遠さんがイラクで行っていた活動を素晴らしいと思っています。日本人が世界に誇ってよいボランティア活動だと思います。 |
今後の中東情勢について。NATO軍はイラク軍養成に参加しない理由。(6月27日) | 届いたメール
神浦 元彰さん。 6月24日付けwhat's newで神浦さんは次のように書かれてい ます。
「私は今回のNATO首脳会談に注目している。NATO軍が 正式にイラク軍部隊を養成することを決めるかどうか。それに よって今後のイラクの情勢が大きく変化する。アメリカのイラ ク戦争に反対したフランスやドイツが、新設イラク人部隊の養成に参加すれば、数年でイラク情勢が劇的に改善する可能性が ある。しかしNATO軍が新生イラク人治安部隊の養成に参加 しなければ、イラクで米英軍の泥沼はまだまだ続く。」
小生はこの見解といささか異なる見方をしておりますので、少 し述べさせていただきたます。
それはイラク軍部隊の養成にNATO軍が参加しようが、しまいがこの泥沼状態は続くという ことです。恐らくそのことをフランスやドイツは理解をしてい るのでNAT0軍が現地(イラク)での大規模なイラク軍の養成に参加することはないと考えています。
その根拠は幾つかありますが主要なものは次の2点です。
①NATO軍も基本的にはキリスト教をメインとする国家により構成されていることです。 ここでキリスト教とイスラム教の大きな差異について説明しますと、キリスト教が心の内面で神を信じることを要求しますが 、イスラム教は世界で最も厳しい啓典宗教であり、コーランに 書かれた儀礼的規範、徳目礼儀、作法、婚姻、相続、売買、刑 罰などの法的規範が神の言葉としてイスラム教徒の全生活、全行動を規制しています。この事は心の内面より、外見的な日常の行動がコーランの教えに反していればイスラム教徒とは認め られないと言うほど厳しいものです。従ってこれを推し進めて いけば現在のイランのように祭政一致の国家にならざるをえません。
この教義に苦しんだのはケマルパシャがおこなったトルコの近代化あり、またイランやアルジェリアいまだにこの世俗化に苦しんでいるというのが現状でしょう。 同じイスラム教徒のスンニ派とシーア派の間でさえ争いが絶え ないような所に、かって十時軍として争いをした過去を持つキ リスト教徒であるNATOが指導者面をして行っても中東の民 衆からは決して受け入れられるはずがないと思うからです。 (中東の人々はイスラム文化に強烈なプライドを持っておりま す。このことを忘れるべきではないでしょう。)
②占領軍にたいする民族の反発意識は我々日本人が想像するするよりも何十倍、何百倍も強く、恐らく日本人(当然アメリカ 人にも)には理解ができないほど強いものです。 アメリカ軍のイラク占領は、かっての日本軍による中国やフィ リッピンの占領と同じように見えるからです。中国でもフィリ ッピンでも売国奴はいるものですから傀儡政権は力さえあれば擁立出来ますが、決して民衆に支持されるものではありません 。両国とも日本軍に対し武器を取って戦ったのは全人口の一割 もいなかったのではないでしょうか。抵抗運動と言うのはそう いうものです。多くの民衆は自分で武器を取ることは怖いことですから、安全と平和を望むものですが、心の中では決して占領軍を許しません。おりを見てこの感情が表面に出るものです が、普通の状態では心の中にしまい、鬱屈した感情となって沈潜しているので、表面的に見ると安定している様に見えます。
この為、多くの人が判断を間違えるだけでなく、自分の都合の 良いように解釈をしてしまい、うまくいったと宣伝するものです。 中・長期で見れば占領政策がうまく行った例はほとんどないと 言って良いでしょう。占領政策が成功する例外的事例は、激し い戦いにより敗戦し、民族のプライド(戦に負けたプライドよ り文化的な劣位を感じる事)が失われたときのみです。これは 第二次世界大戦後のドイツや日本に見られる稀有な例です。歴史上の国家は臥薪嘗胆により復讐戦を誓ったものですが、いま や日本はその力もありません。この為イラクの人々の強烈な反英米の民族感情が理解できないのでしょう。
以上の結果から更に敷衍をしていけば、アルカイダなる組織がいようが、いまいが、中東の泥沼化は激しくなる一方です。小生は、イラクのフセインを倒したことは、パンドラの箱を塞いでいた重しを取り除いてしまったので、思わず箱が開いてしま ったと理解しております。パンドラの箱は不可逆性なので、元に戻す事は出来ません。これからの争い(勿論長期的な見通し ですが)はチェンチェンやパキスタンなどのイスラム周辺国家 に広がるばかりでなく、イスラムの中心国家である、サウジア ラビヤやエジプト、シリアに拡大して行くものと予測しています。
戦闘ですからイスラムパワーが一時的に押さえ込まれるよ うな現象も当然あるでしょう。しかし、20世紀初頭以来の矛盾に満ちたイスラムパワーは巨大な力を秘めています。決して 侮ってはいけません。これはイスラム教が近代化する陣痛かも しれませんが、それに伴う発熱も相当に大きいものと予測しております。
余り長く書けないのでかなりはしょってしまいました。良くご 理解いただけたか不安ですが・・・・。 |
所長コメント
文章の内容にすごい迫力を感じました。まさに現代の宗教、戦争の実態が示されているいると思います。しかしそれでは中東が大混乱し、収拾のつかない戦乱に陥ります。そのような絶望的な世界観から誰もが逃れたいと願うと信じています。そこでイラクで破壊や殺戮の恐怖から国民を救う自治政府が誕生すると信じたいのです。
アメリカの国民はイラクに米軍を派遣し駐留することは間違いと考える人が多くなりました。私はいろいろな機会に、もはやアメリカがイラクで成功するものは何もないと話しています。すなわちアメリカはイラクでは勝てないのです。そういうことが明確にわかれば、アメリカ軍はイラクからさっさと撤退していくでしょう。ベトナム戦争の時がそうでした。アメリカはベトナムに次いでイラクで勝てない戦争を戦っています。イラクでアメリカが戦争に勝てない。朝鮮半島に統一国家が誕生する。そのようなダイナミックな時代が今だと思います。 |
「亡国のイージス」の間違い探しをしませんか。(6月26日) | 届いたメール
こんにちは。0000と申します。いつも勉強させていただいております。
ところで「亡国のイージス」についての評価が活発ですが、私はこれはあくまでエン ターテイメントとして、割り切って楽しんだほうが良いと思います。 作者は護衛艦や艦の風習などは、かなり良く調べているようで努力のあとが感じられ ます。ただ「軍事」という視点ではなく、兵器の「ハードウェア」という点でです。 その意味では「兵器マニア」「軍艦マニア」向けといえます。
作者は参考文献を挙げているので、これらと比較してみるのもいいかも知れません。 私は、間違い捜しや「いそかぜ」の構造を図にしてみるなど、暇があったらやってみたいと思っています。 一例として、フェイズドアレイレーダーが作動しているのに、平気で暴露部に出ています。将来は電波の影響で確実に病気になりますが、事件が解決しないうちに倒れたりしないだろうか?・・・などなど。
雑談的メールで失礼しました。神浦さんにおかれては、ますますのご活躍を期待して おります。 |
所長コメント
ここで間違い探しはやめましょう。そのことに興味があれば、別のWebでやっていると思います。軍事関連の映画や小説(劇画を含む)の矛盾や間違いなどを指摘すれば、それはそれで面白いことになりそうですが、それは軍事のプロがやることではありません。それに私はホームページで個人攻撃をしないことにしています。それは私が予測するより遙かに痛烈な批判になるからです。
しかし小泉首相やブッシュ大統領などの政治家は違います。問題を感じればガンガンと批判します。公人となれば名前をあげて批判します。
先週、韓国の戦争関連の映画を見ましたが、戦術面でいくつかの間違いに気がつきました。韓国のように徴兵制がある国で、国民も軍事に関する知識も高いはずなのに、やはり間違うのだと驚きました。もしかしたら間違いというより、映像的に迫力を出す演出なのかも知れません。 |
千歳基地の夜間訓練を見たいのですが・・・・(6月25日) | 届いたメール
いつも、ホームページを楽しく拝見させていただいております。 お尋ねしたいことがあるのですが、 千歳基地でのF-15の夜間訓練を見たいとおもっていますが。
札幌住民の私としては、高速道路を使用したとしても お金はかかるし、時間もかかる・・・ それでもって、行ったはいいけど訓練なんてしてなかった となるとショックだなと思いまして なんとか、訓練の予定だとかそういった情報が 入手できないのかなと思いメールしました。
千歳基地での写真撮影ポイントにいつもいる60歳くらいの方々が 「今日は、なんたらの訓練だよ」とか話してるのを 小耳にはさみ、どうやって情報を得ているのか 疑問でなりません。 その人達に尋ねてみるのが良いのかもしれませんがなにせ小心者で・・・ なにかいい情報がありましたら、ご伝授ください。 |
所長コメント
横田基地で写真を撮っている人が、「今日は珍しい飛行機が飛んで来る」と話しているのを聞いたことがあります。その人が航空無線を聞いていたので、そのことでわかるのかと思いましたが、飛来は数時間後のことなので無線交信ではわからないと考えました。不思議ですね。これはやはりカメラマンに聞くしかないと思います。航空専門雑誌の「JWings誌」にそのようなコーナーがあります。そこの編集部にはプロの航空カメラマンがいますので、そこに問い合わせのメールを出してみたらどうですか。JWings誌にはこのホームページを読んでいる人がいます。好意的に対応してくれると思います。また北海道の方でそのような情報に詳しい方は教えてください。メールをくだされば掲載します。 |
やはりリマ症候群が正しいようです。(6月25日) | 届いたメール
度々メールさせていただいております。最近のニュースは憂鬱な内容が多いので、テレビを見るのが億劫になってきました・・・
本題ですが、「犯人が人質に情が移る」のはリマ症候群の方のようです。ペルーで起きた日本大使館の人質事件のときがそうです。下記リンクに詳しく出ています。
http://www.angelfire.com/in/ptsdinfo/crime/crm3gperu.html
自分は、今では実家に戻って生活しているので、ジェネジャンは見られそうにもありません。東京にいた時には見たことがあって、なかなか面白い番組だと思っていたので、神浦さんが出演するなら是非見たいのですが、残念です。
これからも、お体に気をつけて、ご活躍ください。微力ながら、応援させていただきます。 |
所長コメント
なるほど、納得しました。リマ症候群とストックホルム症候群は逆の意味だったのですね。人質が影響を受けるのがストックホルム症候群で、犯人側が影響を受けるのがリマ症候群ですね。貴重なご指摘をありがとうございました。意外と多くの人が混同しているのでは・・・。
明日の夜(12時すぎ)に放送するジェネジャン(日テレ)は、いろいろな世代の人が「戦争」をテーマに議論する2時間番組です。これは面白いと思いますが、残念ながら全国では放送しないようです。一部の地方で放送するところもあります。実は先日What New に書いた「日本人拉致を若い人と話す機会があった」というのはこの番組のことです。若い人が本気で議論できるこんな番組が増えるといいのですが。 |
韓国人人質殺害事件で、再度、日本人が人質になった場合のガイドラインが必要。(6月24日) | 届いたメール
お久しぶりにメールします。大阪の00です。 6月23日にwhat's newに書かれていたストックホルム症候群を回避するために 24時間という専門的な時間設定という部分についていささか気になる情報がありました。
韓国人人質事件、同時に欧米人も拉致? 会社社長明かすhttp://www2.asahi.com/special/iraqrecovery/TKY200406210271.html
殺害の韓国民間人、先月30日に拉致?
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20040623id03.htm
要求を通すのではなく、人質を殺害する事自体それが目的であるならば24時間以内に 時間設定をするというのは大いにうなずけますが、 上記の記事によると17日や先月30日など拉致した時間がどうももう少し前の段階という可能性が高いような気がします。 人質の処置に困り、たらい回しになったあげく、アルカイダ系に渡り、そのため殺害されるまで アルカイダ系が確保した時間は24時間だったという事も考えられます。
ただ、あくまで推測ですが・・。 もし、そういう場合では、 今回の事件については拉致自体が24時間以上前であってあまり重要な事ではないかもしれませんが。
企業が秘密裏に交渉を行うなど、政府が知ったのが3日前だったにせよ、 このように統一した行動が取れないと生還する可能性も低くなるような気がします。 派兵が反対、賛成という議論と同時に、テロリストによる誘拐に遭遇した場合の企業や国民へのガイドラインが必要なのではないでしょうか。
それではご自愛しつつがんばってください。 では。 |
届いたメール
神浦さん、こんばんは。 000と申します。 いつも興味をもって拝見しております。
さて、6月23日記事中の「ストックホルム症候群」ですが、「リマ症候群」の方ではないかと。
多分、他の方からもメールが行くとは思いますが、神浦さんあてにメールを書くきっかけがなかなかなかったもので、ちょっと書かせていただきました。
ファンメールのつもりで出しております。 あまり、ファンメールになってないかもしれませんが・・・
益々のご活躍をお祈りいたします。 |
所長コメント
「現代用語の基礎知識」で調べてみましたが、この場合はストックホルム症候群という言葉でいいようです。また同じ意味でリマ症候群という言葉もありました。お恥ずかし話ですが私はリマ症候群という言葉を知りませんでした。参考になりました。ありがとうございます。
それから大阪の00さん。ご無沙汰です。ご指摘の件ですが、本日の新聞を読むと金さんは5月末に誘拐されていたようです。私の勘違いです。ちょっと調べが甘かったようです。
しかし人質事件のガイドラインは必要ですね。おそらく政府は奥参事官の銃撃事件、日本人の拉致事件を受けて、密かにこの種のガイドラインを作成していると思います。イラクで日本人(自衛隊員を含む)が誘拐され、人質が残忍な方法で殺された場合の対処方法です。まさにこれは政府の危機管理の範囲に入ります。その時、官房長官は何を発言するか。首相はどのような言葉を使い、どのように行動するかです。マスコミへの情報の提供方法や、その情報提供の範囲などを決めていると思います。また政府は遺族の方にどのように対応するか。また国際社会に向けたメッセージなども準備しているでしょう。
首相や官房長官が、「だから外務省が危険だと警告しているのに、イラクに行くからそんなことになるんだ」なって絶対に言えませんからね。
またイラクに行く日本人(民間人)も、人質になった場合に備えて自分なりにガイドラインを作っておく必要がありそうです。韓国は復興支援の事業を獲得するために、ちょっと無鉄砲なような行動が気になります。今のイラクで「やればできる」の精神論は通用しません。 |
軍事がもつリアリズムが理解できない日本人が増えている。(6月23日) | 届いたメール
6月22日付けのWhat's Newで次のように書かれておりました 。
「このようなことは日本人なら誰でも知っていると思っていたが、意外と正確な知識を持っているのは少ないようだ」と。小 生も最近、同じような感慨を深くしております。 太平洋やアジアにおける戦いに、わが国が敗北してから、60 年の月日が経とうとしており、我々が常識であったこの悲惨な 戦いの詳細も知らない人が多数となってしまいました。
戦後、 この惨めな敗北を故意に忘れようとしてかどうかは定かではあ りませんが、戦争について研究がとだえ、観念論的な平和論が 国内を覆ってしまいました。その結果、軍事を論ずる有識者の間にも平和論者と同じように観念的な議論が氾濫しております (先の大戦の軍事面での総括が国民的になされていないのも、 観念的な議論が氾濫する理由の一つかとも思いますが)。
イラ クの多国籍軍に参加する自衛隊の指揮権を巡って、政府の中で観念的な議論によるまことしやかな説明がなされているのもそ の良い例です。この件については既に神浦さんが6月18日付 けWhat's Newで次のように書かれております。「軍隊における 指揮権は極めて重要である。その指揮官の命令で兵士が死ぬこ とがあるからだ」と。これが戦場におけるREALISMです。
戦場では集団対集団があらゆる武器と知恵を使って殺傷しあう というのが現実です(戦場で武器が十分に使用できないのであれば、兵士に死にに行けということと同じことです)。どのよ うな甘い言葉やオブラートに包んでもこの現実は変わりません 。国策によって兵士が命を賭けて使命を果す為には、兵士一人 一人が身体で納得できる国家の崇高な目標と名誉を必要としま す。それでもなお、相手を殺傷するには強い精神力と狂気が必要なのでしょう。
実戦経験のない軍隊はいくら訓練を重ねても 、実戦豊富な軍隊に及ばないのはこのことを証明している様に 思います。「良き兵士は人間性を喪失し、戦うマシンとなった ものだ」といわれる所以でしょう。 戦場で自衛官に死傷者が出れば、この負担は国家にとっても、 国民にとっても非常に重いものになります。国益のために戦う 軍隊になることは、命を賭けて戦う軍隊の発言力が強くなるこ とは利の当然だからです。特に、わが国のようにシビリアンコ ントロールの思想が国民の間で良く理解されていない所では、 このことは重要な意味を持ちます。
また、今回のイラク派遣の ように、国民の意見が分裂し、あたかも自民党と公明党の私兵 がごとき形で派遣がなされる時の危険性は、国民がこぞって支持されて派遣される場合と較べて何倍も危険であることを良く 理解すべきでしょう。(日清、日露の戦争で、軍隊に強烈な指 導力を発揮できたのは、軍事のREALISMを良く理解していた明 治維新の元勲が指導したからに過ぎません。彼等が没してから は歴史が示す通りです) 自民党の若い人も民主党の若い人も、軍事のREALISMを理解せ ずに、国家の最終的な意志力である武装集団としての自衛隊を 安易に使用出来るかのごとく考えるのは、国家の長期的なあり 方にとって極めて危険であると小生は考えます。
上記で述べた様に、国内ではこの軍事のREALISMがほとんど理 解されていないのではないでしょうか。このREALISMを良く理 解されている神浦さんの経験と知識を今こそ活躍させる時はあ りません。本来なら大学などに軍事学の講座があってしかるべ きだと思うのですが、そんなことは待っておられません。この ホームページを使って、神浦さんが教授となり軍事学のイロハ から情報発信されることを強くお願いいたします。 |
所長コメント
多少はその覚悟でがんばっています。先日は自衛隊(市ヶ谷)で講演しました。本日は銀座のランチョンスピーチ(昼食会での講演)で財界の人に「北朝鮮情勢」の講演をします。少しづつですが、私が主張している軍事の重要性に気がついてきた人が増えています。
今まで軍事問題といえば、いい加減な政治論や、詳しすぎる兵器解説が多すぎたと思います。今、朝鮮半島や中東で何が起きて、どのように変化するかといった軍事分析が少なすぎます。まさにリアリズムなのです。とにかく頑張ります。 |
スパイク氏の「亡国のイージス」批判に反論します。(6月23日) | 届いたメール
スパイク氏は、あの本を批判されていますが、僕はそうは思いません。
日本の国防の問題点も明確に指摘していますし(憲法等の法制の問題について、情 報の問題について)、別に青臭いとも感じません。
防諜や徒手格闘が間違いといいますが、別にスパイク氏が専門の訓練を受けたわけ ではありますまい。徒手格闘の件では、「北朝鮮のスパイは超人」という視点でも書 かれていると思われます。防諜について“真実”を書けば社会問題になるかもしれま せんし。
確かに、人間(艦長達)の犯行への動機付けが甘い、という友人などもいますが、僕はそうも思いません。普通、自分の家族が殺されたら、冷静な判断を下すことは出来 なくなるでしょう。(犯罪を奨励しているわけではありませんが) あの話で面白いところは、どの登場人物も「絶対悪」ではなく、「絶対正義」でも ない、という点だと思います。そういう文学的視点さえも考慮しない姿勢に、スパイ ク氏の問題が多々あると見受けられます。
娯楽後進国にしては、みんな人生を楽しんでますし。 |
届いたメール
000です。じつは文学好きです。
『亡国のイージス』ですが、小説としての出来はさておき、若手小説家が政治的事件を テーマに書いたということ自体が、賞を選考する世代に受けたという要素は否定できません。
『テロリストのパラソル』『ららら科學の子』のような、中年ノスタルジーのかたまりのような作品が絶賛される世界ですから。他には、女性作家で元防衛庁職員であるという五條瑛の評価が高いということについても、こうした背景を否定できません( 彼女の作品も軍事知識の間違いは多い)。
『亡国のイージス』を書いた福井晴敏さんは、アニメ『機動戦士ガンダム』の熱心なフ ァンとして知られており、この作品にもガンダムシリーズへのオマージュという部分が あります。その意味から「漫画みたいです」というスパイク通信員の指摘は真実を突いています。 『ガンダム』を描いた安彦良和(遠軽出身のアニメ作家・漫画家。学生運動経験者)と いう人などは「『ガンダム』を見て戦争を考えるなんて……(愚かだ)」と嘆いてもい るのですが、現実にはすでにアニメ・ゲームこそが若い世代にとっての「戦争」である わけで、であるからこそアニメやゲームの作家には、もう少し歴史や政治、戦争を勉強 してもらいたいと思ってしまいます(もちろん、中にはちゃんとした人もいるのですが )。 |
所長コメント
私は「亡国のイージス」を読んでいないのでなんとも言えませんが、軍事常識と映画や小説のストーリーは明らかに異質です。よい例が劇画の「沈黙の艦隊」です。現実は潜水艦はどこに潜んでいるかわからないから脅威なのです。この海面の下に潜水艦がいるとわかれば即撃沈です。そのあたりを考えておかないと、ねじれた批判をする危険があります。
かつてTV番組で劇画の「沈黙の艦隊」を現実的な視点で考えるという企画がありました。私にも出演交渉がありましたが、「桃が川上から流れてきて、家で桃を割ったら元気な男の子が生まれた」というお伽話を、産婦人科の医者に聞くようなものと断りました。 |
北朝鮮が日本人を拉致した理由がよくわからない。(6月22日) | 届いたメール
神浦さん、連日のご活躍に敬意を表します。
ところで、今日のニュース解説で、北朝 鮮がなぜ多くの日本人を拉致したのかについて、説明しておられましたが、私にはよ くわかりませんでした。朝鮮半島の統一のため、対韓国工作のため、在日朝鮮人とと もに拉致日本人が必要だったとのことですが、具体的にはどういうことなのでしょう か。
日本語や日本文化に精通した人たちは1960年代に帰国した在日朝鮮人や日本人妻 にも多くの人材がいたはずです。いわゆる「日本人化」のための教師や教材には事欠 かなかったはずです。時代が移ってより現代的な教材や教師が必要になったとして も、無理な拉致などせずに思想的に共鳴する人、あるいは一定の報酬で引き受ける人 などを友好的に雇えばすむことで、強引な拉致など必要ではなかったのではないで しょうか。
拉致の対象にされた人々が、特別な人材だったようには思えません。横田めぐみさん のような中学生までさらっています。拉致した人の「戸籍」を利用したかったのだと か言う人もいますが、ごく一部にそういうことがあったとしても全部を説明できるよ うには思えません。
金日成,金正日政権が、なぜ多くの日本人を拉致したのかの真相は、まだまだ隠され ているように思います。この真相を突き止めることが拉致問題の真の解決に役立つの ではないかと思えるのですが、いかがでしょうか。 |
所長コメント
ここからは私の想像ですが、日本人妻は秘密作戦を行うには危険なような気がします。もし日本人妻に亡命や裏切りが起これば、人間関係が深い分、組織は壊滅的な打撃を受けます。顔を隠した生徒(工作員)の日本語教師に使えても、工作員の顔を見るような生活指導には向きません。やはり使える日本人は秘密裏に拉致し、厳重な監視下に置いて管理する方法しかないと思います。
横田めぐみさんの場合は、党幹部の指導と現場工作員の意識が違っていた可能性があります。工作員は日本人ならだれでもいいと思ったのではないでしょうか。また拉致した理由に、自分の存在を見られて連れ去ったという場合や、若い人は環境の変化に適応しやすく、洗脳も効きやすいという理由があったかもしれません。
さらに戸籍を利用するために日本から連れ去った人もいるようです。
参考までに米軍は第2次大戦で日系米人を集めて、対日情報部隊を作りますが、北朝鮮にはそのような発想はなかったようです。 |
日本大使館員への米軍誤射説は消えましたか。(6月18日) | 届いたメール
お久しぶりです。毎日読んでおります。 ひとつ気になったことがありましたので。
先日の奥さん井ノ上さん襲撃のランクルについて書いてくださっている部分で「左の畑にそれた」は「右の畑」ではないでしょうか。3月に私は現地に行きましたが撃たれた場所から200メートルほど走って右の畑に突っ込んでいました。 まだわだちのあとも残っていました。
これで民主党が主張する米軍誤射説はほぼ消えたと考えていいですよね? いくらなんでもこういう虐殺的な「誤射」はないでしょうから。 私は朝ナマでも民主党の連中にいいましたが、だれ一人現地に行かないで無責任なことは言うなといいたいです。 |
所長コメント 確か右と書いたつもりでしたが、読んでみると左になっていました。さっそく直しておきました。米軍誤射説ですが、これは最初からないと思っていました。仮に米軍なら現状から見ると7,62mミリ弾は機関銃となります。その機関銃は装甲車の上部などに搭載されています。そこから銃撃すれば、弾はドアの上部から入って反対側のドアの下部に抜けます。しかし弾は左のドアから右のドアに向かって上方に抜けています。ただし前部から撃たれた弾は上部から下部に向かって貫通しています。そこで銃撃は2方向からあったと分析したわけです。
民主党議員が国会で米軍誤射説を主張したと聞いたことがありますが、どのような根拠かよくわかりません。ただ銃撃事件があった直後、米軍の車列が現場を通過したことはあったようです。しかし米軍も不審な車が畑の中で停まっていても、待ち伏せや地雷の脅威で簡単に近づけないでしょう。襲撃を確認しても、現場に留まることはことは危険です。ともあれ今回は米軍誤射説が出て、鑑定のため被害車両が日本に送られてきました。カンボジアで高田警部補が撃たれた被害車両は、オランダ軍の駐車場に長い間放置されていました。私が訪れたときは小雨が降っていました。
私は奥参事官や井ノ上書記官は小泉首相が殺したと思っています。小泉首相がイラクは戦場ではないし危険ではないと言ったために、日本大使館員がイラクで武装警備員を付けることが難しくなりました。もし日本大使館員が武装警備員をつけてイラク国内を移動していれば、日本の写真週刊誌がだまっていないでしょうね。だから奥参事官たちは警備なしで行くしかなかったのです。
本来の正しい警備方法とは、別の車に武装した警備員を配置します。そして背後から追い越しをかける車を威嚇して阻止します。もし威嚇した警備車両が銃撃を受ければ、大使館員の乗った車は猛烈に加速して現場から非難します。
そのあたりの事情を考えると、奥参事官と井ノ上書記官は小泉首相が殺したと言っても過言ではないと思います。戦場の指揮官はそのくらい重要な判断を要求されます。誤った判断は部下の死に直結します。同じことが今のサマワの自衛隊にも言えるのではないでしょうか。 |
フセイン大統領をアメリカが育てたというのは本当ですか。(6月18日) | 届いたメール
神浦さん、いつも読んでいます。貴重な情報をありがとうございます。初めてメールします。私は長野県に住む大学生で00と申します。将来は教職を目指して勉強をしています。
ところで質問があります。よくフセイン元大統領はアメリカが作った独裁者という話を聞きます。しかしどうしてアメリカが作ったフセイン大統領とアメリカが戦争をしたのか不思議です。フセイン大統領をアメリカが作ったのであれば、アメリカが都合のいいように使えばいいと思います。フセイン大統領がアメリカを攻撃したわけでもないし、昨日はアルカイダとの関係もなかったと報告書がでました。
アメリカがフセイン大統領を作ったという意味をわかりやすく説明して頂けませんか。なにか喉にささった魚の骨のように気になってしかたありません。本当にアメリカとフセイン元大統領は、昔は仲が良かったのですか。 |
所長コメント 実は本当です。アルカイダのビンラデイン氏もアメリカが作った怪物という話も聞いたことがあると思います。旧ソ連軍がアフガンに侵攻したとき、アメリカはアフガンのイスラム義勇兵を助けて武器や資金を提供していました。そのイスラム戦士の中にビンラデイン氏はいたわけです。ところがビンラデイン氏はイスラムの聖地であるサウジに、異教徒の米軍が駐留することで反米に転じてしまいました。
フセイン大統領は80年にイラン・イラク戦争を開始します。これはイランで79年に親米的なパーレビ王制が倒され、ホメイニ師のイスラム革命が起こりました。イランのホメイニ革命はイスラム色が濃く、極めて反米的(反欧的)な新政権でした。テヘランでは米大使館占領事件も起きました。米大使館で大量の極秘文章がイランの革命防衛隊に流れました。アメリカやサウジはイラク政府に強い恐怖を感じます。中東全体に反米的なイランの宗教革命が拡大することを恐れたからです。
そこでアメリカはイランの隣国のイラクに目を付けます。イラクのフセイン大統領に武器や資金を援助して、イランと戦争をするように仕掛けたのです。フセイン大統領もイランからチグリス・ユーフラテス川沿いの領土を獲得することを目論んでイランに攻め込みます。当時は中東でイランの勢力拡大を恐れて、日本や欧米やソ連もイラクを支援します。そのことがフセイン大統領をアメリカが作ったという理由になっていると思います。
戦争は88年まで続きます。イラン・イラク戦争の戦火はアラビア湾まで拡大して、日本の大型石油タンカーが、イランの武装パトロール艇からロケット弾で攻撃される事態も起きました。
その間に、フセイン大統領は国内のライバルを次々と粛正して独裁を強化します。またイラクでは多数派のシーア派や北部のクルド人に対しても、弾圧を強めて反乱を防ぎます。そのようなことをアメリカや西欧は見て見ぬふりをしていました。
イラン・イラク戦争は国連が調停して88年に終了しますが、いつの間にかイラクが中東の軍事超大国になっていました。反イランということで、サウジやソ連やアメリカから大量の兵器と軍事費がイラクに援助されたからです。そこでイラクは長い戦争で疲弊した国内経済を立て直すため、90年の8月に隣国のクウェートに軍事侵攻します。これが91年の湾岸戦争になったわけです。
一説ではイラクの米国大使(女性)が、フセイン大統領のクウェート侵攻にお墨付きを与えたというエピソードもあります。アメリカはイラクとクウェートの国境問題に関与しないと発言したからです。いわゆるアメリカの謀略説です。アメリカはこれを機会にフセインの軍事力を破壊しておきたいと考えたというのがその根拠です。
湾岸戦争でアメリカはフセインの軍事力に大打撃を与えますが、その後、イラク国内のシーア派決起はフセイン治安部隊の弾圧で潰されます。国連は湾岸戦争でイラク軍をクウェートから追い出すことを決議しましたが、多国籍軍がバグダッドまで進攻してフセイン政権を倒すことは許しませんでした。この大弾圧でシーア派は無視したアメリカに強い不信感を持ったといわれています。
そして昨年のイラク戦争に繋がっていったのです。そのような経緯で、アメリカがフセイン大統領を育てたという言い方もできますが、フセイン大統領がアメリカやソ連を利用したという言い方もできます。しかし昨年のイラク戦争はアメリカのネオコン一派が、イラクの石油目当てに占領統治を狙って攻めたという言い方が正しいとなってきました。 |
誤字脱字がありました。(6月17日) | 届いたメール
000と申します。 何回かメールをしたことがある者です。
サイト内の誤字と思われる箇所に気づきました。 場所は6/17付のwhat's newの所長コメント 特にフランスはNATO軍を中東に派遣させようとするブッシュ大統領の要望を、 「時期早々」と断ったのである。 とあります。 「時期尚早」というほうが適切ではないかと思います。
失礼でなければ、今後も 気づいた範囲でこのような(些末な)ことを お伝えしてもよろしいでしょうか。 簡単な自己紹介をすると 39歳、男。 都内の定時制高校の教員(理科)です。 午前中は洗濯などの家事もしており、 主夫仲間としても共感することが多いです。 世の中での神浦さんのサイトの重みが増してきたように 感じます。
細かいようですが、誤字などで印象を下げて欲しくなくて メールしました。 余計なお世話でしたらすいません。 では。これから洗濯をします。 |
所長コメント
誤字脱字などの指摘をお願いします。普通は書き込みをすると2度か3度は読み直します。しかし時には時間がなくて読み直すことなく更新することがあります。そのような場合、いつも2~3カ所は誤字脱字やテニオハを間違えています。これは私から誰かに頼めるようなことではないので、後からでも気がつけば直すようにしています。今日は朝10時から歯医者さんに行くことが決まっていました。それでバタバタと更新したのが間違いの原因と思います。さっそく直しておきました。
よくメールを頂いているのも覚えています。甘えるようで申し訳ありませんが、もし間違いがありましたら指摘してください。なにぶん一人でやっているので恥ずかしさを越えて、大丈夫だろうかと心配になることもあります。
それから私も定時制高校の出身です。自衛隊(少工校)をやめて定時制の3年生に編入し、2年して卒業しました。昔の定時制と違って今の定時制高校は雰囲気が違うと聞いたことがあります。でも勉強をしたいという気持ちは同じと思います。生徒をかわいがってください。生意気なことを言っても、気持ちはいいやつと思います。いつも学校から帰るのは10時を過ぎていて、時間ギリギリの銭湯に駆けていったことを覚えています。夕食は学校の給食でした。自衛隊の食事と比べて、粗食だった思い出があります。でも食べられるだけで幸せと思っていました。
よろしくお願いします。私はこれから夕食の買い物に、木場(江東区)のスーパーにバイクで行きます。おかずはその時に決めます。 |
将来、自衛隊員の数を半分に削減できるか。(6月13日) | 届いたメール
以前、このコーナーでアメリカの徴兵制に関して話題になって おりましたが、この徴兵制復活に関する記事が最近「American Free Press. net 」に出ていましたのでお知らせ致します。
この記事によるとブッシュが大統領選挙に再選されたなら、2 005年6月15日に徴兵制が復活するとのことです。既にブ ッシュ政権は28百万ドルの予算をSelective Service System を立ち上げる為に確保しているようです。 徴兵制復活の理由として、イラク戦争の他、軍の再編成(トラ ンスフォーメーション)をおこなうと要員が不足する為だそう です。詳細は次のアドレスをご覧ください。 Actions Indicate Administration Has Plan To Reinstate Military Draft If Bush Re-Electedhttp://www.americanfreepress.net/html/u_s__draft.html (なお、小生はAmerican Free Pressがどの程度信頼性のあ るメディアか残念ながら承知しておりませんので、一言付け加 えさせていただきます)
日本の自衛隊について2、3質問がございます。 その前に、先日午後10時からのTBSラジオ 電話でバトルを 拝聴致しました。全体的に判り易い解説で大変良かったと思い ます。北朝鮮の軍事力に関する評価は明快で、政府の情報操作にいかに多くの人が踊らされているか、知れば知るほど腹立た しさがまします。
さて、質問ですが、最近の軍事革命(RMA)により、自衛隊員の数を現状の半分にしても日本の防衛は問題無いとのご発言がありま したが、その通りでしょうか。 軍事の革命により、兵器がハ イテク化されると、自衛隊員に要求される能力は非常に高くな るのでしょう。 現在の様に少子化が進んで行く中で、能力の 高い人材を民間企業も自衛隊も望むとなると人材の奪い合いが起こるのではないでしょうか。その一方、自衛官の任務はイラ クなど危険な戦地に送られる可能性がますます高まってきてお ります。イラクなどで万が一、負傷者や戦死者が出るような状 況になると、今後自衛隊が優秀な人材を確保するのに支障をき たし、結果的に日本の防衛に大きな不安が出てくるように思い ますが、神浦さんはどうお考えでしょうか。 |
所長コメント
私は将来の自衛隊任務が大きく変わると思っています。アメリカと一緒に戦争をするのではなく、現地から要請されて平和維持活動や復興支援に働くと考えています。そして自衛隊は海外で民間団体(NGOや企業)などと共同して活動すると想定しています。
問題は日本の防衛をどのようにするかという点ですが、RMAによって兵器や防衛システムがハイテク化すれば、自衛隊の人員は数万人で可能と思います。兵員や兵器の数や量で戦力を比較するクラウゼビッツ的な軍事力は否定されるからです。日本がRMAで高い城壁を作れば、日本を軍事侵略する国はないと思います。なにしろRMAならボタン一つで相手国の政治や軍の中枢を攻撃できるのです。またその逆もあります。これで核兵器でなくとも大規模戦争は大きく抑制されると考えています。
RMA兵器の保守やシステムの運用は高い政治性が求められます。これからはバランス感覚のある優秀な自衛隊員が必要になります。
今のようなアメリカの好戦的な外交は、歴史的な失敗例としてこれから語り継がれるでしょう。世界も変わりますが、日本も大きく変わります。その出発点がイラクだと考えています。 |
地雷廃絶写真展を見に行きました。(6月13日) | 届いたメール
本日(土曜日)写真展を見に来た00です。おかげさまで地雷除去の困難さや人道支援の難しさ、いろいろなエピソードなど貴重な話が聞けて大変満足しております。
カンボジアなど植民地支配を受けた国を建てなおし自立させる大変さも考えさせられ ました。 掲載できる範囲でいいですからぜひホームページに載せてほしいです。
それから金曜日のTBSラジオ「アクセス」を聴いていたのですが、北朝鮮の脅威やアメリカへの軍事協力などの意見が多かったですね。いいかげんなマスコミ報道や専門家の発言など影響力の大きさを感じました。 |
所長コメント
久しぶりにアクセスに出ました。長時間番組なので話しがいがありました。数年前までは私の話など誰にも聞いてもらえず、マスコミの無責任でデタラメな軍事解説に歯ぎしりしていた頃が夢のようです。北朝鮮の軍事力は壊滅的だということさえも、数年前には馬鹿にされる対象でした。しかし今では多くの人が理解してくれるようになりました。
でもこれからが大変なのです。やっと現状が正しく認識できるようになったら、次に行うのは将来への建設です。これは大変です。日本の政治の流れを変えるぐらいの覚悟が必要です。
写真展はこのホームページの読者が10人ぐらいおみえになりました。やはり直接顔を見せて話すのは楽しいですね。その話の中で、「オフ会を開きましょう」というのがありました。そういえば昨年の6月に「不審船見学」でオフ会を開いて以来、東京ではやっていません。また東京でオフ会をやりますか。夏休みに入ると参加者が少なくなるので、やるとすれば秋ですね。
秋にはホームページのアクセス数が300万件を突破しそうなので、それを記念して感謝のオフ会っていうのもあります。まさかこれほどまでも皆さんに見て頂けるとは予想外でした。ありがとうございます。がんばってやります。 |
このワクの消し方がわからない。 |
経済でもアメリカと日本の一体化(占有)が進められているようです。(6月11日) | 届いたメール
連日のご活躍、大変うれしく思っております。
6月7、8日付けのWhat's new?で在韓米軍の削減や沖縄に 駐留する第3海兵師団の移動など、全世界的な米軍の再編(ト ランスフォーメーション)について解説がなされておりました 。その中で日本全土を防波堤とする軍事分野におけるアメリカ の対中国戦略が鋭く指摘されており、まさに炯眼と感心しております。
一方、経済分野におけるアメリカの対中国戦略を、高名な政治 評論家である森田実氏が6.9付けの「森田実 時代を斬る」 (小泉人気の裏側で進行する”日本解体”)とい一文を、警告 を込めて書いておられますので、ここで要約し紹介させていた だきます。
要約開始 森田実氏が得た三つの情報を伝えています。
①米国ファンドと竹中金融庁が本年9月にUFJを破綻させ、米 国のハゲタカファンドに経営権を移す。米国のファンドは米国 の巨大自動車会社と組んでトヨタ自動車を支える部品メーカー を安く買い取る。
②竹中金融庁はUFJの次の攻撃目標をみずほ銀行においている 。一部上場企業の約7割がみずほ銀行の影響下におかれている 。みずほ銀行を米国ファンドが握ったとき、日本の産業のほと んどが米国の支配下に入る。みずほ銀行の解体の究極の目標は 日本の電力会社の支配である。
③米国のブッシュ政権が倒れれば小泉政権の存続は危うくなる 。竹中金融担当相という米国政府にとっての貴重な味方もその 地位を去るかもしれない。竹中金融担当相がその地位にいる間 に、日本を解体して米国ファンドのものにしてしまおうという 動きがある。
これらの情報が示しているものは、小泉政権や米国で教育を受 けたエリート官僚や学者が推し進め様としている経済政策の実態である。それはトヨタ自動車と電力企業など(森田実氏の別 の資料では民営化された郵貯や簡易保険も含まれている)という日本経済の屋台骨となっている産業、企業を米国の支配下に おくことである。
米国はこれにより来るべき中国との大競争時 代を勝ち抜こうとしている。日本は米国の対中国経済大戦争の 最前線となる。 米国は中国に勝つために日本を最大限利用しようとしている。 (何故に小泉政権はこのような行動を取っているのかは森田氏 の別の資料に記載されているが、簡単に言えば自己の政権を維 持するためです。北朝鮮訪問と同じ次元の話しです。)
( )内は上記の一文には無いが、森田氏の他の資料を読んで 小生が書き加えたものです。
以上要約終わり。
(詳細は下記のホームページで) http://www.pluto.dti.ne.jp/~mor97512/ 軍事における米国の対中国戦略が「日本をまるごと防波堤」に することであり、経済における対中国戦略が「日本の主用産業 を金融面で手中にし、製造業で徹底的に戦うこと」です。まさ に日本を国家ぐるみに犠牲にし、アングローアメリカンが中国 に勝利しようとする図式です。軍事における対中国戦略と経済 における対中国戦略がぴったり一致します。 森田実氏の説を補強する材料として、6月5日に経済同友会の 北城代表幹事が「国民の将来不安に正面から取り組む政治・行 政への転換を」を発表する中で、小泉政権を厳しく批判し始め ました。(詳細は下記のホームページで)これは経済界も小泉 政権の危険性を感じ始めた証拠ではないでしょうか。
http://blog.melma.com/00112192/20040514214154 いずれにしろ、米国の政権は田中角栄政権をロッキードスキャ ンダルで倒すなど、日本が独自の国益を追求し始めた瞬間から 、あらゆる方策で潰しにかかり、また現に潰してきた歴史を持 っております。今、その国を完全な従属国家として、対中国戦 線の最前線にたたせようとしています。我々も、小泉政権の催眠術(人気取りで電撃サマワに行くとの噂もあります。また彼の詭弁は、昔ああ言えばジョウユウと一時話題になった人物と 同じ程度に品が無く、国民を嘲笑したものです。)から一刻も 早く目覚め、日本国民として自国の行く末を真剣に考える時が 来たのではないでしょうか。 |
所長コメント
まだ企画段階で決定ではありませんが、本日の夜10時からTBSラジオのアクセス(全国放送)で、「自衛隊と米軍の一体化」をテーマにした番組を放送するようです。私にも出演依頼が来ています。2時間、生番組ですからエキサイトします。皆さんも一緒にガンガンと議論しましょう。
そして明日は写真展(地雷廃絶)の当番なので朝早くから動きます。そこで今日のお昼は2時間ぐらいお昼寝をして今夜、明日に備えるつもりです。
アメリカは本気で日本再占領を考えています。そのことを昨日、アメリカの新聞にコラムを書いて送りました。今度のEnglish コラム掲載します。 |
リニューアル計画はどうなっていますか。(6月11日) | 届いたメール
神浦さん、どうも初めまして。約二年半ぐらい前からよく神浦さんのホームペー ジを拝見させてもらっている者です。
それでいきなり質問で恐縮なのですが、トップページに「 2月24日より全面的にホームページを改装工事(工事完了予定は3月末)しています」と神浦さんは述べていますが、その後の更新作業の進み具合はどの程度進んでいらっしゃるのですか?もちろん、イラク情勢の混迷等でお仕事が忙しいかと思いますが、どうかせめて、現在のホームページをリニューアルするのかどうかだけでもいいので教えてください。宜しくお願い致します。
最後に、乱文で申し訳ありませんでした。 |
所長コメント
実はすでにリニューアル版ができています。ちょっと遅れましたが、5月末頃には出来ていました。あとは一日掛けて新しいのと入れ替えを行うだけです。それはそれで素晴らしいのですが、コンピューターの知識の少ない私が、もしうまく運用できなければどうしょうと心配しています。そこで大事をとって1週間ぐらい更新が止まってもいい時期を見計らっています。
でも間もなく入れ替えの作業します。今度のは情報の質を落とさないで、より広い範囲をカバーするつもりです。また私の更新作業時間も短縮できるように考えています。
「メールにお返事」と「軍事通信員」のコーナーを合併して、読者投稿欄を作るつもりです。新聞や雑誌にある投稿欄です。最初に職業 名前、(住まい、年齢)を入れます。名前はハンドルネームでもかまいません。また匿名希望でも結構です。 例えば、「大学生 日本太郎 埼玉県 21」というようにです。そのかわり字数を制限します。新聞の投書欄程度の字数です。写真でもOKです。ただしすべては掲載しません。掲載するのは私が選びます。
また「軍事常識のABC]は何としても復活させたいですね。これは毎週1本の掲載として、30本ぐらいまとまれば本にして出版できるように考えています。これを私がすべて書くか、別の人に頼んで30本を書いてもらって本にするか考えています。
とにかくもうすぐ立ち上げます。楽しみに待っていてください。 |
本当にロケット弾と判断できるのか。(6月11日) | 届いたメール
神浦さん。 神浦さんの軍事情報を毎日、興味深く拝読しております。
ただ、失礼を省みず、一点だけ指摘させて下さいませ。 自衛隊サマーワキャンプ近くに撃ち込まれた爆発物を神浦さんは、 英語ではモーターだから、自推式(?)爆弾(すなわちロケット弾)だろう とお書きになってらっしゃいましたが、辞書で確認したところ、 日本語で発音すれば共にモーターですが
Mortor (原動機)
Mortar (臼砲、迫撃砲)
と二つの綴りがあります。 当該爆発物は、rocket mortor にて飛翔するものではなく、 やはり、Mortar(迫撃砲弾)なのでは? |
所長コメント
最近はサマワでの迫撃砲が使われているようです。しかし最初にサマワ市の中心部が砲が砲撃されたとき、日本のマスコミはこれを迫撃弾による攻撃と報じましたが、TVニュースの画像でロケット弾の推進部が地面に転がっているのを目撃しました。そこでこのホームページで指摘したことがあります。次に自衛隊宿営地への最初の攻撃ですが、確か日本の新聞が現地の目撃情報として「夜空(23時15分頃)に火を噴きながら、流れ星のように飛んでいった砲弾を見た」という警備員んお話を掲載していました。迫撃弾なら火を噴きませんから明らかにロケット弾です。
そのような情報や状況で私はロケット弾と判断しました。しかし最近は迫撃弾も撃たれている様です。ロケット弾は精度は悪くとも簡単な仕掛けで、一定地域に大量に撃ち込むことが可能です。また迫撃砲は特定の建物を狙うような精密な砲撃ができます。 |
本当に戦車は日本に必要なのか。(6月10日) | 届いたメール
はじめまして、いつもホームページを拝見させてもらっている00 というものです。
最近思ったことなのですが、戦車の意義が失われているような気がするのですが。 歩兵の戦闘能力が上がり対戦車ミサイルを装備していれば、遠距離射撃により戦車を撃破することが容易になり、戦車をそろえるよりも、 ヘリや、戦闘機を配備したり、歩兵戦闘車の装備、装甲を充実 させたほうがいいのでは? と、思うようになりました。
もともと、戦車は塹壕を突破するためのものですし、制空権を握っていなければ、戦車部隊なんて標的にしかならなくなり、意義が失われているような気がするのですが、どうなのでしょうか?
うまく、まとめられなくてすいません。 質問にお答えいただければ幸いです。 |
所長コメント
いわゆる戦車無用論というものです。私の若い頃にも、この戦車無用論で自衛隊の戦車乗りと何度も議論したことがあります。当時は対戦車ミサイルの性能が向上して、戦車対戦車の戦闘が想定できなくなったこと。それに戦車に対して圧倒的に有利な攻撃ヘリが登場してきたという背景がありました。
しかし最近の戦車無用論は、米ソ冷戦が終了して大規模戦闘が考えられないことや、地域紛争ではより小回りのきく戦闘装甲車のほうが使い勝手がよいという理由があるようです。極論では、輸送機やヘリで空輸できない兵器は無用という考えもあります。米軍の戦車M1A1では重量が60トンにもなります。自衛隊の90式戦車でも50トンです。あまりにも重すぎます。迅速な展開能力や柔軟な運用という点でも戦車無用論が議論されています。
その一方でイスラエルでは戦車が治安作戦に投入されています。狙撃銃やRPG-7のような対戦車ロケット弾をもったような民兵には、メルカバ戦車が有効な威圧手段になっているようです。
でも米軍のように、空から攻撃できる精密誘導兵器や対車両クラスター爆弾などを持っている部隊には、戦車部隊は確かに標的にすぎません。91年の湾岸戦争でイラクのT-72戦車部隊は米軍の空地共同作戦で壊滅させられました。空からアパッチ攻撃ヘリとA-10攻撃機、それに地上のM1戦車と戦闘装甲車で全滅ですね。
そこで最後に言えるのは、日本がどこの国とどこで戦争をするかという問題です。日本という国土で、外国の侵略軍が襲ってくれば、防御力、火力、機動力の高い戦車の役割は大いにあると思います。もちろんAH-1などの対戦車ヘリと組み合わせるとさらに高い防御能力があります。でも今はそのような国は周辺国を見渡してもいません。そこで自衛隊では戦車などの予算を削って、MD(ミサイルデフェンス)に回すようになってきました。 |
日本が多国籍軍に自衛隊を参加させる理由が知りたい。(6月8日) | 届いたメール
毎日、ここのホームページを見ています。同時多発テロのときに初めて訪れて、見るのがすでに日課のようになりました。毎日の更新お疲れ様です。
ところでいつの間にか、イラクの自衛隊を多国籍軍に参加させるそうですが、確か日本は自衛隊を多国籍軍に参加させないことが国是のようになっていたと思いました。多国籍軍は武力行使をともなう任務というのが、自衛隊を参加させない理由だったような気がします。しかし最近、どこでどうなったのか、政府はイラクの自衛隊を多国籍軍に参加すると言い出しました。
今までとどのような違いがあるのかよくわかりません。また年金問題と同じように国民に説明責任を果たしていないと思います。また野党がなぜ黙っているのかも気になります。問題はないのでしょうか。
イラクの自衛隊を多国籍軍に参加させることについて、政府が説明をしないのはなぜですか。神浦さんの考えを聞かせてください。 |
所長コメント
政府がきちんと説明しないことを、今日の毎日新聞の社説「多国籍軍参加 どさくさ紛れは許されない」(6/8日付け)で書いています。政府が国民に説明しないのは、きちんと説明すると政府が嘘つきとバレるからではないでしょうか。それだけで来月の参議院選挙に影響します。
確かに日本は今まで多国籍軍には参加していません。多国籍軍は武力行使を含む任務で、それは戦争を禁じた日本国憲法に反するからという法解釈でした。ところが今回は、多国籍軍にも非戦闘任務の役割があるという解釈で切り抜けようとしています。これは明らかに無理な解釈です。イラク特措法で曲げた解釈を、さらに無理矢理曲げてしまうようなものです。これならもうどんな戦争でもOKで、後方支援といえばOK,何でもOKということになります。例え自衛隊の輸送部隊が襲撃されようが、野戦病院が砲撃されようが、そこは後方支援だからOKという考えです。さらに困ったことに政府は、自衛隊員は戦場ではないから銃を使ってはいけませんという考え方を押しつけてくることです。これは自衛隊員の命をもて遊んでいるとしか言いようがありません。
しかし忘れないでください。政府は現地の自衛隊員に大量の犠牲者が出れば、これ幸いと法律を改正して、戦車や攻撃ヘリを投入できて、自衛のために戦争ができる戦闘部隊を派遣する気でいます。むしろ自衛隊員の犠牲を待っていると言ってよいと思います。
野党もこの問題の大きさがわかっていないのではありませんか。首相が記者会見で「多国籍軍に参加する」と言うだけで済む問題ではありません。日本が恐ろしく無責任な政治状況の中で、日本の年金問題や国防政策がめちゃくちゃにされている気がします。小泉さんは自分の保身のために日本を滅亡させる気でしょうか。 |
イラク戦争で犠牲になった人の写真です。(6月5日) | 届いたメール
神浦 元彰 さん、 何時も鋭い切れ味の解説楽しみにしております。
戦争における激しい軍事行動も現実であれば、それに伴う悲劇 もまた現実です。
イラク戦争におけるその悲劇を示す写真がインターネットで公開されております。興味本位でなく、軍事を語る者はその恐ろ しい悲劇(現実)についても知らねばなりません。貴神浦さんがこの サイトをご覧になって、その必要がありと判断されましたら、 「メールのお返事」に取り上げてください。
Pictures of Destruction and Civilians of the Anglo-American Aggression in Iraq.
http://www.robert-fisk.com/iraqwarvictims_page1.htm |
所長コメント
これはうわさ話として聞いてください。私が自衛隊(少工校)にいる頃ですが、警務隊主催で「防犯(事故防止?)写真展」が隊内でありました。生徒全員が強制的に見学しました。その写真は隊内の殺人事件や自殺など、隊員の死体が写されたリアルなものでした。その写真展の表向きな理由は、そのような残忍な写真を見ることによって、同様な犯罪発生を防止することでした。しかし生徒の間で広まった噂では、土砂災害や雪崩などの災害派遣されたときに、悲惨な死体を見ても怖がらないように慣れさせるためと話していました。防犯写真展は内蔵が飛び出た死体、首が転がったものなど、夜が来るのが怖いほどの迫力でした。
しかし災害派遣の現場では、雪崩などで岩のために体がバラバラの死体が多くあります。土砂崩れの死体も掘り起こすと絶句するものが多いようです。しかし遺体の捜索は自衛隊・災害派遣の重要な任務です。怖がって逃げるわけにはいきません。
私も戦場では破損した遺体だけでなく、足首を地雷で飛ばされた人など、激しい痛みに苦しむ人も目撃しました。そんなとき生徒の時に見た防犯写真展のおかげでうろたえなくて済みました。
でもやはりこの写真は残忍ですから、小、中学生には見せない方がいいでしょうね。私のホームページは高校生の人も見ているようですが、中学生以下の方は見ていないと思います。高校生以上であれば見て欲しい写真です。 |
子供の殺人に関する文献情報です。(6月5日) | 届いたメール
こんにちは神浦さん ときどきメール差し上げる茨城在住の00と申します。
以下が今回の内容です。 ----------------
「メールにお返事」の"近年の少年犯罪の急増を否定するHP"のお話しに関連する情報 です。 もしかすると、くだんのページのネタ本かもしれませんが、3年ほど前に下記の論文を 読ん だ記憶があり、そこで既に若年の殺人が増加しているかのような報道についての問題が指摘 されています。いわゆるメディアリテラシーの問題とも関連して、大小の報道機関を問 わず、いかに報道された内容を自分の頭で咀嚼するかを考える良い例と思っています。
なお、 下記 文献は岩波でバックナンバーとして注文可能です。 「科学」2000年7月号(2000 VOL.70 NO.7) 岩波出版 ■戦前・戦後日本社会はヒトに何をもたらしたか(後編) 戦後日本の殺人の動向 長谷川寿一・長谷川眞理子 560
―とくに,嬰児殺しと男性による殺人について なお、上記の論文には、日本の社会で親の子殺しが顕著であることも併せて指摘されていた 記憶があります。 #軍事とはちょっとずれますがご参考までに |
所長コメント 子供の凶悪犯罪は現実と架空の区別があいまいで、区別がつかないという意識があると思います。自分をスーパーマンのように想像して、空を自由に飛べると思い込む子供もいます。私の例でいうと、傘をさして高い崖から飛び降りようとしたことがあります。(小学3年生)。いじめられていたので、ランドセルにモデルガンを入れて学校に行ったことがあります。(小学5年生)。そのような延長線に人を斬るという行為があるような気がします。
これは倫理の問題かも知れません。人の命の重さを教えることの欠如です。逆にTVや映画では殺人が日常的に行われます。ドラマとして強い刺激を求めるために殺人が活用されます。
しかしこれを規制することは表現の自由を規制することになります。表現の自由を規制しないで、倫理の問題として子供に正しく認識できる能力を当てる。これは親や学校でできます。
とにかく我が家では、「死ね」、「殺すぞ」、「死んでしまえ」、「死ねばいいんだろう」など、生死を軽く扱わないように努力しています。 |
本当に少年の凶悪犯罪は増加しているのか?(6月4日) | 届いたメール
近年、少年(少女)犯罪の急増、それも凶悪犯罪を子供達が起こすことに、子を持つ親としてショックを感じます。ひょっとして、自分の子供が突然「キレテ」 犯罪を犯すのではないかと不安感もあります。
ところが、近年の少年犯罪の急増を否定するHPを知人より紹介されました。http://mazzan.at.infoseek.co.jp/lesson2.html
少年犯罪が近年急増したように思うのは、マスコミがセンセーショナルに取り上げるからであって、昔よりは確実に減っており(ここ何年から増加していますが。)、 社会の成熟性からインパクトを強めているからなようです。
平成になってからの少年の凶悪犯罪(殺人・強盗・強姦・放火)は、警察庁発行の「警察白書」によると平成元年が約1500件、平成10年が約2500件と確かに増加しています。 しかし、それ以前の統計を見ると、強盗が昭和25年の戦後の混乱時期に4000件、 いったん減少したが昭和30年から1500件から増加し、「もう、戦後では無い。」 と言われ始めた昭和35年には2700件を頂点として、再び減少に至り、平成から増 加傾向にあります。強姦は、昭和35年~45年までに極端な増加で4000件以上を頂 点として減少しています。殺人も昭和25年に450件をピークにいったん減少し35年に再び約450件に達し、その後昭和50年から多少の増減はありますが、ほぼ100 件程度で横ばい状態のようです。
上記HPには、凶悪犯罪だけを抽出したグラフがあって、戦後は昭和25年に約5000 件の最初のピークがあって、昭和35年~40年までがもっとも多く約8000件以上あ ったことになっています。その後、ズーと平成2年まで減少し、もっとも少なか った平成2年ともっとも多かった昭和35年では、件数の差は6.9培になります。
従って、戦後もっとも犯罪を犯した世代は、昭和10年の後半に生まれた方で、 現在60歳前後の人達であるようです。 最後に、現在は子供の数が減っているからとの理由も成り立ちません。15~19 歳の人口は、ほぼ同じぐらいで、昭和35年の方が平成2年よりも少年の人口が少 なかったようです。
ネットで悪口を書かれて、安易に殺意を抱く・・・確かにショックな話しですが、それが目立つ程に子供の凶悪事件が減っているから、ショッキングに感じる のかもしれません。 |
所長コメント
そうですか。貴重な情報をありがとうございました。私は400世帯が住むマンションに住んでいますが、周りを見てもよい子ばかりで、どうしてこんなよい子が・・・・と考えることがあります。やはり子供は間違いなく国の宝です。日本の将来です。大事に育ててやりたいですね。 |
佐世保の小学生刺殺事件に驚く。(6月4日) | 届いたメール
こんばんは。00です(元佐世保っ子)。
知り合いの佐世保署の刑事さんが、「今回は参りました。事件を捜査しながら事件自体が信じらないんですから。」と語っていました。 山に囲まれた狭い佐世保の空を6機のヘリコプターが舞っていました。9/11直後の不穏な空気が思い起こされました。その小学校そばに住む同僚の家には、マスコミ四社が取材と称して次から次へ訪ねてきたとか。
警察も原則を曲げ、同級生への事情聴取は保護者抜きの5時間。 地域の子供達も親たちも、脅え、ショックを受けています。 神浦さんは、PTA役員をなさってますね。私もある小学校でPTAの会長をしています。来月の駿ちゃん事件一周年に向け、命を考えるための企画を準備中(全県下で同時進行中)に、この事件が起こり、考え込んでいます。
超大国の大人達も、テロリストの大人達も、ホロコーストを生き抜いた国の大人達も、人を人として扱わず、ゴミのように扱うニュースが地球を駆け巡る。命の重みより札束の重み。対するこの国の首相の言葉の軽さ。子供達に見せられるものではありません。 子供達に、この国の大人として何が語れるのか。私は今、我が子等を抱き締めるばかりです。 |
所長コメント
小学6年生の女子が行ったということで、私も非常なショックを受けました。私の娘も中2でほぼ同世代です。パソコンもやるし、携帯のメールもやっています。それに何より驚いたのは、映画「バトルロワイヤル」が大好きという共通点でした。
実は私は昔のヤクザ映画が大嫌いでした。人を斬ったり、撃ったりすることが残忍に思えてしかたありませんでした。5年くらい前に電気街の秋葉原に行ったとき、リアルな銃撃ゲームを見たことがあります。そのときも非常に驚きました。画面の人に向かって銃を撃つと、画面の人間が体から血を吹き出しながらバラバラになったからです。すごくリアルでした。
娘がバトルロワイヤルの映画(DVD)を何度も見て、いろいろな写真集を買って来るのが信じられませんでした。私は今回の事件はテレビや映画で、子供たちに残忍なシーンを見せることが原因にあるような気がします。しかしテレビの場合は、高視聴率を稼ぐタケシの批判は難しそうです。
被害生徒を椅子に座らせ、背後から左手で目隠しをし、右手で深さ10㌢の喉を切り裂く方法は、子供の想像力で絶対にできることではありません。
この事件をきっかけに、どうしてこの子が残忍なことをしたのか、それを娘と話し合うようにしています。今朝のTVニュースを見て、動機は「交換日記やネットで悪口を言ったから殺そうと思った」という報道を聞き、「そんなことで切れるなよ」と娘が話していました。親の言うことを良く聞き、お勉強のできるよい子より、叩かれ強く忍耐と意志の強い子供を育てる時代のようです。 |
カメラマンの宮嶋さんは今クウェートです。(6月4日) | 届いたメール
昨日の「Re:メールにお返事」で宮嶋茂樹さんのことが少々触れられていました が、彼は今クウェートです。橋本カメラマンの家族に“最後の写真”を手渡すためだ そうです。また、サマワに戻るかどうかは記事には触れられていませんでした。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040603-00000065-kyodo-int
ところで、古い話を持ち出して申し訳ないですが、「裸の自衛隊」(古い方)に掲載 されている「現役セーラーマンの爆笑放談」のP112で「非常用ハッチにダクトが通っ ている」という記述があります。
あれは、事実なのでしょうか?僕自身、色々、海上自衛官の方々のお話を伺いまし たが、「さすがに、それはない」とおっしゃっていました。 今週の日曜日、呉地方隊の展示訓練にも行きますので、その際にも質問しますが、 出来たらその艦名を教えていただけると光栄です。
今(高校生です)、自衛隊問題についてのレポートを書いているので、可能でしたら 出来るだけ詳細に教えて下さい。 よろしくお願いします。 |
所長コメント あの本が出版されたとき、防衛庁や自衛隊は大騒ぎになりました。あまりにも自衛隊内のことを赤裸に書いたからです。これでは自衛隊が大きなダメージを受けると心配したようです。とろこが売り出すと、まず自衛隊の駐屯地のある書店から本が消えていきました。まるで意図的に本を葬り去るために買い占めをしているのではないかと疑うほどでした。書店に配本しても、配本しても本が売り切れたからです。ところがそんな疑いを一気に晴らすことが起きました。それは編集部に届いた大量の読書感想のハガキでした。買うときに本に挟んでいて、読書後のアンケートを取るハガキが編集部に殺到しました。そしてハガキに書いてある職業欄の大部分が現役の自衛官でした。感想も抗議どころか、本の内容を絶賛するハガキばかりでした。
ほとんどが実名で、「うちにはこんなバカがいるから取材に来てくれ」とか、「うちの部隊ではこんな間が抜けたことをやっている」と、爆笑することが書かれていました。すなわち現職の自衛官たちが支持してくれたのです。当然、それは自衛隊の新隊員応募にも影響しました。当時の自衛隊は募集難で、人集めに四苦八苦していました。そこにあの本を読んだ人たちが、「ちょっと自衛隊は面白そうだ」と応募が殺到したのです。それで防衛庁幹部の態度が変わりました。「自衛隊内部の何でも、そのままをお見せすることが自衛隊の理解(募集拡大)に繋がる」という認識です。それから自衛隊をめぐる広報体制が大きく変わりました。規制が緩やかになりました。
ダクトの艦ですが、それは当時のエピソードして語られています。実際は修理されて実害はなかったと思います。あの本が出たとき、防衛庁は出版社に抗議するために、内容の一字一句を点検したそうです。しかし虚偽の事実を書いた部分はないと判断しました。本が出版された直後、私から防衛庁に出向いて、「事実でない部分があれば訂正するし、謝罪もする。しかしそれ以外のことで謝罪することはしない」と話した記憶があります。対応した広報担当者が、「内容に間違った部分はありません」と答えました。というような事実を話して、ダクトの艦の名前は勘弁してください。
最近、自衛隊関連の本を読んでいると、「裸の自衛隊」を真似たものが目につきますが、編集企画や取材に骨を感じることができません。自衛隊広報が都合良く骨を抜いているのか、ジャーナリストに骨がないかのどちらでしょう。自分が正論と思うなら、もう少し喧嘩ができる度胸と知識がほしいですね。 |
橋田さんは私の地元出身でした。(6月3日) | 届いたメール
神浦 元彰さん お疲れ様です。 000と申します。
イラクで戦死した橋田信介氏は私の地元出身で、ウベニチ(現在は合併して宇部日報)に「ババボボ日記」を連載していました。恐ろしげな内容をさりげなく記述しており、目線の低さと事実に対する探求心を感じました。
皮肉な事ですが、今回の戦死報道で、地元出身者にもこんな人間がいた、ということに気がつき、私のよく通っている宇部図書館で講演会も開いていたことも知りました。おしい人を亡くしたと私は 思っています。ご参考までにお知らせいたします。
橋田信介おもしろエッセイ集
http://www.ubenippo.co.jp/skiji/hashida/hashida_index.htm
参考 ババボボとはアホとか馬鹿という意味です。http://www.ubenippo.co.jp/skiji/hashida/bababobo2003/2003_2.htm より引用 |
所長コメント
橋田さんは宇部市(山口県)に近い防府出身と聞いていました。法政大学の2部に学び、日本電波ニュースを経てジャーナリストになった方です。本当に飾らない性格で、大メディアの特派員とは異質な人でした。
ちょっと気になるのは、サマワで取材している宮嶋カメラマンです。彼は突撃派の戦場カメラマンをキャラにしています。友人の橋田さんが銃撃されたからと、簡単にサマワを撤退できない事情があるようです。私はそんな宮嶋さんのことを気にしています。最後までサマワに残って自衛隊の取材を行って、それなりの成果を上げたいという気持ちと、殺されるかもしれないという不安な気持ちがあると思います。
サマワの危険度は宮嶋さんが十分に理解していると思います。これが自己責任で生死をかけて取材するという意味です。宮嶋さんは今そんな気持ちと思います。しかし私は宮嶋さんがサマワでスクープを撮っても、またサマワから脱出しても批判(評価)はしません。戦場でスクープを撮るか撮らないかが価値のあることではないからです。自分の人生、そして自分の生命、それを何に掛けるかが大事なのです。 |
イラクでの橋田さん、小川さん襲撃事件で考えたこと。(6月2日) | 届いたメール
神浦さん こんにちは。
先月27日に、戦場カメラマンの橋田信介さんと小川功太郎さんがゲリラに襲撃され、戦死されたというニュースをTVで見たときは、起こってはならない事が起こってしまっ た、しかし、いずれはこういった悲劇は避けられないと自分的にも思っていました。
東西冷戦下、資本主義国も社会主義国も相手方の陣営の大衆に訴えるため、報道人など最低限狙ってはならない対象は見据え、それに従って報道人も行動できました。
しかしイデオロギーの時代が終わって、宗教戦争の時代になったらそんなことは関係なく欧米的な職業、欧米と関係のあるものは皆標的です。まさに攘夷論なのです。
今回の事件で一番注目すべきことは、当然ながら橋田さん本人にも家族にも全く非 難が及ばなかったことです。比較すること自体忌むべきことですが、少し前に国論を揺るがした人質事件と状況に多少共通点はあるのに、報道の扱いにあまりにも差があり過ぎるのです。
人質事件の3人は「迷惑」「馬鹿」「自己責任を取れ」と、完膚なき までに罵倒され、批判の矛先は3人の育った環境、家族の支持政党にまで及びました。 しかし橋田さんはキャリア30年のベテラン戦場カメラマンという事実もありましたが、報道側の姿勢はキオスクに下げられた見出しだけでも「戦場報道に捧げた半生」 「歴戦の戦場カメラマン戦死」。かなり皮肉の効いたものとしては「自己責任はジャ ーナリストの誇り」という表現までありました。
危険地帯で活動しゲリラから襲撃を受けたという部分では同じですが、何が両者を「英霊」と「道化」に分けたのか、その点を考えると日本人の国民性が見えてきます。「死者に鞭打つな」「死んだ者 勝ち」風な文化があるのです。
よく日本の伝統文化の9割は仏教文化だといいます。 天台宗僧侶で作家でもある瀬戸内寂聴さんの法話で、「あなたを散々いびっていたお 姑さんが亡くなった?それは良かったじゃない。でも亡くなったら皆仏様なんだから悪口を言っちゃ駄目よ」という、一種冗談のような結論のものがありました。橋田さんは危険地帯で一種覚悟を決めつつも、最大限安全を確保できるよう工夫をこらし 、それでも襲撃され戦死されました。橋田さんは今頃「俺を英霊扱いするな馬鹿が 」と怒っていると思います。
事件後、被害者の家族が記者会見で「お騒がせして申し 訳ありません」と謝罪しているのを見て、人質事件で今井さんら3人をバッシングした人たちは心の中で「ああ、あなた方は謝罪しなくたっていいんだよ、ちょっと!」 と焦ったのではないでしょうか。
日本のジャーナリズムはあまりにも惜しい人材を 失ったと感じております。橋田さんが生前仰っていた「戦場カメラマンは戦況は伝えられても戦争は伝えられない」という言葉は、センセーショナリズムやイデオロギ ーで彩られやすい軍事戦争報道に一つの警鐘を鳴らしていたと私は考えます。 |
届いたメール
神浦さん こんにちは。いつもホームページ拝見しております。
先日イラクで襲撃されてなくなったジャーナリストの方が、ファルージャで傷ついた少年を日本に連れて来て治療をするということをやろうとされていたと聞きました。
戦争では病院も破壊され、設備も医療品も不足して、助かる命まで救えない状況なの だとおもいます。いつもニュースをみながらもどかしく悔しい思いでいました。すぐにでも行って何かしたいと思っても、わたしには技術も手立てもなく、でもどうに かして少しでも命を救えないかと考えていました。
ご相談なんですけど、私たちにも怪我した人を日本で治療を受けれるようにするこ とは可能ですか? たとえば、病院や医師に受け入れてもらわないといけないですよね。あと費用を集めたり。情けない事に我が家で全部まかなえるお金は持っていないのです。食費や生活費を精一杯きりつめて、できるだけ多くのお金をそちらに使いたいと思っています。
サマワで自衛隊も復興支援をやっていますが、多額のお金がかかる割に、手が届く支 援とはなっていないようです。自衛隊員の命も危ないですし。 アメリカに協力してしまった国の国民として、なんとかできる限りの事したいのです。 亡くなられたジャーナリストの方のメッセージも私なりに受け止めています。感動話 にしてしまうのではなく、普通のわたしたちがそういう事をはじめる時じゃないかと 感じています。 もしよろしければ、知恵とアドバイスをお伺いしたく思います。図々しいお願い、申し訳ありません。 (神浦・・・・・京都在住の方です) |
所長コメント 戦争で被害を受けた方を支援することは、普通のボランティア支援と比べて難しいと思います。まず援助を受ける側に受け入れシステムがない場合が多くあります。特にそこで戦争をやっていると勝つことが重視され、弱者の援助に労力や資金がまわらないかです。例えば戦闘で負傷しても、子供より兵士の治療が優先されます。失った戦闘力を回復させるためです。そのような環境での援助を想定しなければいけません。援助を行う個人の力量が大きく作用します。
また戦闘では瞬時に非常に多くの被害者が発生します。そこで短期間に膨大な援助を投入する必要があります。そのように考えると、やはり戦争での被害者救援には、国際機関が関与していくことが大切と思います。
バグダッドでは昨年、国際赤十字事務所が自爆テロに会っています。しかしここで怯んではテロリストの思うつぼです。テロを無力化するために、バグダッドに大きな国際赤十字病院を建設するぐらいの行動を起こすべきです。そこで日本政府に働きかけて、バグダッドに国際赤十字病院を建設する運動を起こしたらどうですか。中東で最も最先端の医療施設が整い、最も規模の大きな総合病院を日本が建てるのです。
その一方で、草の根的な支援活動も大切です。私の知人に発展途上国にタクシー無線(中古)を設置する人たちがいます。日本で使わなくなった中古のタクシー無線機やアマチュア無線機を集め、それを持って開発が遅れている地域や国に行きます。そして現地でアンテナを建て、発電機を設置し、学校や病院や警察などを無線網で結ぶのです。その人たちはアマチュア無線家のボランティア集団ですが、NGO団体として政府から草の根ボランティアとして援助も出ているようです。
とにかくいろいろな方法や考え方があります。どのようなやり方が適当か、地域や周囲の人と話し合ってみてください。一滴のしずくも大河の始まりです。 |
まず軍にいくのが国連援助物資です。(6月1日) | 届いたメール
こんばんは、ご無沙汰してます、静岡県の00です。
北朝鮮からの脱北者が、国連の援助物資が軍にゆくと言うTV番組をみて思い出した事があります。
私は10年以上前に、北朝鮮の友好国である開発途上の某国におりました。 大統領官邸の近くの国営宿舎にすんでました。
この国の中に隣国の反政府軍組織のキャンプがあり、そのキャンプの兵士が隣国の軍組織 (傭兵らしいと噂されていた)の国連の援助物資を略奪して、その援助物資を大統領官邸にぶちまけて機関銃を乱射した事件がありました。
やはり何時の時代も何処でも、まず軍に援助物資が流れるのは同じなんですね。たしか、この援助物資は医薬品だったと思います。今回も北朝鮮に医薬品や食料援助が行きますが、これは軍に流れないと言われてます。しかし北朝鮮は昨年もかなり困窮してる様ですから、医薬品や食糧もまず軍に行く事はないのでしょうか?
それにしても援助の配給まで芝居をするとは困ったものです。せっかく税金を使って援助をだすのですから、本当に困ってる人に届くようにはならないのでしょうか。では |
所長コメント
日本から届いた北朝鮮への援助物資が、特権階級が占める平壌市民や軍隊よりも先に、飢餓や病気で苦しんでいる人々に行くことはないと思います。いくら国際援助機関が監視しても、政権がその裏の裏を動かして国際援助を裕福な人たちが独占します。これは北朝鮮だけの特徴ではなく、北朝鮮が特にひどいというだけの理由です。例えばアフリカに行けば、多くの国が国際援助を受けていますが、その政権はその国際援助を食い物にしている政府がたくさんあります。国民の教育や社会インフラが整っていないので、そのようなことが悪だと思っていないのです。
飢餓で苦しんでいたフィリピンのネグロス島に行ったことがあります。市の中心部で売られていた大量の古着は、日本の慈善団体から送られたものでした。衣類の入った箱には日本語で慈善団体の名前が書いてありました。しかし島民は援助の古着もお金を払わなければもらえないのです。またその古着の中に、寒い地方で着る防寒衣類もありました。それを見て、日本もあまり文句は言えないと考えたことがあります。このように民主的な社会基盤がない国に、援助をすることは非常に難しいことなのです。
ですから民主的な政権を選択した国に、国際援助を優先的に行うなどのやり方が必要で、そのようなノウハウを作る必要があると考えています。 |
小泉首相が訪朝した裏事情を勘ぐる。(6月1日) | 届いたメール
神浦さん、 はじめまして、沖縄在住の00と申します。
毎日、神浦さんのホームページを閲覧させていただいており、 世界は軍事を知ることで真実の姿が見えてくる、という ことを教えていただき、一日も早く、神浦さんのような 軍事専門家が閣僚入りする日が来ることを祈念している 一人でございます。
さて、本題ですが、先の小泉さん訪朝の結果については、 私も失望しておるものですが(勢いで小泉メルマガも解除 してしまいました)、冷静になって考えてみると、余りにも 馬鹿げた内容でありすぎるため、逆に何か裏があるような 気がしてきました。
例えば、何らかの北の不穏な動きを察知したため、首相が訪朝することでそれを牽制した、という見方はできないでしょうか? 素人が思いついた荒唐無稽なヨタ話ですので、メールごと 破棄していただいても構いませんが、何かご助言いただけ ましたら幸甚でございます。
では、毎日の更新、大変だとは思いますが、情報過多で 道を見失いがちになる我々にとって、神浦さんのサイトは 一つの確固たる道標になっておりますので、今後とも ご継続くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。 |
所長コメント
今回はそのような裏事情はなかったと思います。しかし4月の金正日の訪中はそのような理由があると考えた者は少なくないと思います。いよいよ窮地に陥った金正日体制が、嫌々ながら中国に援助を求めて懇願しに行ったという分析です。そして金正日は中国から多大の援助を得ることに成功したというシナリオです。しかしこのシナリオも中国が作って、金正日に演じさせただけという見方が主流です。中国には今、北朝鮮が崩壊して欲しくない理由があるからでしょう。韓国にも今、北朝鮮に崩壊して欲しくないから援助しています。共に崩壊した北朝鮮が重荷になるからです。
イラク問題で苦しむアメリカも同様という考えもありますが、むしろ北朝鮮問題を早く片づけて、イラク問題に専念したいと考えているという考えもあります。
とにかく北朝鮮問題の主導権を握っているのは中国です。中国がどのように動くか、日本もアメリカも韓国も注視しています。別な言い方をすれば、北朝鮮の連帯保証人は中国ですから、中国に下駄を預けたとも言えます。日本独自の対北朝鮮政策は拉致問題だけです。核やミサイルで日本の言うことを聞くような金正日ではありません。 |
イラクに国連軍としてイスラム国の派兵はあるか。(5月31日) | 届いたメール
今晩は、以前にもメールした沖縄在住の00です。
イラクでの刑務所での拷問・虐待事件で、私のあまい見通しも吹っ飛びました。実は6月末の暫定政権成立後、混乱はあるものの半年後には落ちつくのでは思っていたものですから。
それにしてもハイテクを駆使した電撃戦は、すごいなと思わせたものの、その後アメリカのやり方には信じられないお粗末さを感じます。戦後状況の予測は、むちゃくちゃに甘かったみたいですね。(軍ではなくペンタゴンですが・・)
ところでアメリカは、イラク統治に関して国連を参加させようとしていますが、現況でフランス、ドイツなどのEU諸国が参加してもイラク及びアラブ諸国では、十字軍のイメージでとらえられ、上手くいかないのではと危惧します。やはり同じアラブのエジプトとかシリア、あるいはイスラム圏としてパキスタンからの軍の派遣が効果があるのではとも思うんですが、国連を参加させてもアメリカが実権を手放さないならば、それら諸国は参加に二の足を踏むのは目に見えています。(それぞれの国の国内情勢が悪化しますから。また、トルコ軍とインド軍の参加は混乱を大きくするからダメでしょうね。
神浦氏、エジプト、シリア、パキスタンの軍の参加の見通しと国情はどうなんでしょうか。 |
所長コメント 今回、サウジで起きたアルカイダ襲撃事件である程度は予測できると思います。昨年、アメリカはサウジからテロを招くと駐留米軍を撤退させました。しかしアルカイダはサウジ政府がアメリカに依存しているとしてサウジの外国人を襲撃をしました。すなわちイスラムの石油をアメリカ(その一派)が盗んでいるという論理です。ですから今後、中東全体でアメリカの権益を狙ったテロは激化すると予測されます。
イラクにイスラム諸国から国連軍として治安回復に派遣する案ですが、ますます難しくなってきそうです。アメリカはパキスタンにイラク派遣に強い圧力を掛けているようですが、実際に派遣するのはかなり難しいでしょうね。大統領自身が暗殺の危機に怯えています。隣国のトルコも渦中の栗を拾う気はなさそうです。シリアは反米で建国してきた国です。たまたまアメリカを支持しても、いっしょに軍事行動をとれる国ではありません。そのように考えると、たとえ国連軍が編成されても、米軍との関係が明解でない以上はイスラム国の派兵はできないと予測しています。
これもブッシュ政権の大きな誤算のひとつです。イラクはイスラム教徒と異教徒の戦いにはならないと予測していました。しかしイラクでは駐留米軍を侵略軍とする考えが定着してきました。
私の最近の最大の関心事は、イラク人に政権委譲後に派遣される国連軍の位置づけです。暫定政権との関係は?。駐留米軍との関係は? そしてどこの国が参加するかです。ここにイラクの将来がかかっているように考えています。
もうブッシュ政権の再選はないと思いますが、それにしてもケリー候補(民主党)が攻め悩んでいるのが気になります。 |
今日のWhat New !はしびれました。(5月28日) | 届いたメール
神浦さん、こんにちわ。北海道の00です。
今日(神浦・・・昨日)のWhat's New ! かっこよかったです! しびれます!
>日本の公安もヒム容疑者とアルカイダと関係が薄いとわかって公表したと思う。
>だからこの事件でマスコミが怯えすぎると、政府の別の世論操作に利用されるだけである。
この冷静さが情報を知る者のもつ資質なのでしょうね。そういえば、週刊Spa!のコメントもカッコよかったですよ。
ちなみにイラク情勢に関して、懺悔の意味も込めてログに書きました。勝手ながら神浦さんの該当文章にもリンク張らせていただきました。事後承諾で申し訳ありません。
これからも切れ味のいい分析とコメント期待しています! |
所長コメント
こんなメールは久しぶりなので、つい昨日のWhat Newを読み返しました。すると誤字・脱字がありました。すぐに直しましたが、ちょっと恥ずかしかった。でも同じ内容のコメントを、昨日のテレビ朝日のワイドスクランブル(11時32分頃)で話しました。すでにデユモン容疑者の関係者として逮捕されたヒム容疑者(バングラデシュ人)は、横須賀の米軍基地の前に店を構えるなど不審な行動を見せたが、監視した結果、テロなどを起こす兆候がなかったので、日本の公安筋はこの事件を公表したという分析です。
これからアルカイダの日本テロネットワークが摘発されると考えていた人は、ちょっとがっかりしたのではありませんか。私は日本の公安警察の凄いのは監視能力と思っています。これと標的を決めたら、尾行や盗聴(電話だけではない)など徹底的に標的を監視し続けます。やはりソ連や北朝鮮の工作員と対峙してきた経験があるからでしょう。 |
小泉訪朝は民主国家の弱点につけ込まれた。(5月27日) | 届いたメール 私は今回の訪朝は世間で評価されているほどには評価しておりません。 その理由はこのサイトで他の方々が既に指摘されていますので改めてここに繰り返すようなことはしませんが、何か、民主国家の限界、弱みに付け込まれたよう なそんな印象を受けたからです。
民主国家はその代表を国民が自ら選ぶ制度ですから、民主国家において優秀な政治家というのは、たとえ国民の反対に遭おうとも大局を見渡して政策を決定断行する人物ではなく、国民の意思を実行する代弁者であることが望まれます。
従って民主国家における政治の程度はその国民の水準以下に下がるものでもなけ れば、それ以上のものにもなりえません。というよりもそれこそが民主国家の本 質であり存在意義なのですから。選挙対策として今回の訪朝がなされ、その結果 支持率が上昇したのであれば、それは民主国家においては評価されることなのでしょう。
権力を維持しつづけることの困難さが民主国家の安全弁であると同時に、限界でもあるということがこのように露骨に表れると、現代政治の在り方について自信を失いそうになります。政治の世界は奇麗事だけではやっていけないと言われますが、たとえ汚い事をやってもその志操は高く持ち続けて欲しいものです。私は、その意味で、もし今年の参議院選挙で小泉首相が再任を果たしたなら、その後の政策に注目したいと考えております。
次に、拉致被害者の方々(当事者)が今回の訪朝の結果を評価していなという、 そのことを他の人々が非難するのは間違っているように思われます。一番辛い立場にある方が、また、家族との再会を果たした方が評価していないのですからそこには余程の事情があるのでしょう。それを推し量ることなしに、良かっただろ う、感謝しろというのは、どうも私には良く思われません。イラクにおける邦人人質事件に関する非難(自衛隊撤退を被害者家族が要求し、拒絶した政府を非難 したことに対する世論の沸騰)は多少理解できるところもありました。(感情的 になりすぎているという感はありましたが)然し、今回は少し程度が低すぎるよ うな気がします。
先に述べましたように、民主国家の本質は国民水準に見合った 政策を実行する点にありますから、外交は単に相手国の外交担当者の人物力量だけではなく、その国の国民水準をも考慮して展開されます。ですから、如何に優秀な外務大臣であろうと民主国家である場合、そのバックを支える権力基盤としての国民の支持が無ければ、相手国に嘗められ、思うように外交を切り回せません。
従って自身の政治基盤を固めるために外交を行うようなことがあると、どこ までも自国に不利な結果しか期待できません。その不利益を承知で今回の訪朝を行うというのはまともな政治感覚では理解に苦しむところですが、おそらく国民には評価されると踏んだのでしょう。
その点、日本国民は自分たちの代弁者からも嘗められているということになりますし、事実今のところ嘗められるだけの水準にあるようです。
最後に、そこまでして権力を維持する必要性を認めたのなら、それだけの結果を次期に示して欲しいものです。私は今回の件は評価しませんし、その先に首相が みているものも知りません。然し、ころころ国の頭がすげ変わるようですと、北朝鮮のような独裁国家にとってこれほど都合の良い交渉相手は居ませんし(常に 相手の支持率を交渉カードとして握っているようなものですから)、また、中国なども日本をまともな話し相手として認めなくなるでしょう。(政治家はすぐに入れ替わるし、官僚は読み易く御し易い。)
ですから、私は次期の参議院選挙では自民党ならびに小泉氏を支持しますが、もし再任を果たして後も今回のようなケー スが続くようであれば、彼らの政治家としての志しを疑います。 長々と纏まりの無い文章で失礼しました。自分の鬱懐をぶつけたようで申し訳あ りませんが、ただ、誰かに言わずには居られなかった、その気持ちをお察し下さ い。それではお体に気をつけて頑張って下さい。これにて失礼します。 |
所長コメント
ジャーナリストにも同じようなことが言えます。ウソでもただ人を喜ばしたり、面白くさせるために取材や報道を行う人もいます。ノンフィクションなのに話を作りあげる方法です。そのようなジャーナリストは世の中の流行をよく読みます。そして真実ではなく都合のいい話を作り上げていきます。そのようなジャーナリストに引っかからないためには、そのジャーナリストが社会から大きなバッシングを受けても、自分が見つけた事実を最後まで主張できるかにかかっています。そのような意気込みがあるかないかの違いです。
いつもコロコロと主張を変えたり、相手によって言うことが違うようでは本物のジャーナリストと言えません。そのようなジャーナリストは一時期は注目されますが、すぐに飽きられたり、正体を見破られると思います。今の拉致事件やイラク情勢で政治家の言うことがコロコロと変わると、そのようないい加減なジャーナリストのことを思い出します。 |