被ばくすると,人体に何が起きるのか?

鈴木みそさんのブログから






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必要な前提知識

報道を見ていても,「マイクロシーベルト」「10万カウント」「ヨウ素131」などの専門用語が飛び交い,何を話しているのかまったく分からないと思います.ここでは,これから書く記事の内容を理解するために必要となる用語について,簡潔に解説を試みます.それなりの分量があるので,先に本文を読みたい人は飛ばしてください.
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被ばく
被ばくとは,人体が放射線を浴びることを差します.報道で,作業員や避難住民が「被ばくした」と伝えているのは,被ばく量を測る線量計で測定可能な量以上の放射線を浴びた場合です.しかし実際には,すべての人(ヒトに限らず生き物すべてですが)は自然界に存在する放射性物質から出た放射線を浴びています.この点では,すべての人は「被ばくしている」ということもできます.このあとで説明するように,浴びた放射線の量によって「被ばく」には色々なレベルがあるので,単に「被ばくした」というだけでは,どれくらいの量の放射線を浴びたのかは分かりません.当然,医療チームは被ばくした人の「被ばく量」を調べ,健康への影響がどの程度あるかを分析します.
被ばく線量
被ばく線量とは,どれくらいの放射線を人体が浴びたか,その量を表したものです.一般的には,シーベルトSvという単位が使われます(後述).被ばく線量は,「どれくらいの強さの放射線に」,「どの程度の時間さらされたか」によって決まります.弱い放射線に長くさらされるのも,強い放射線に短くさらされるのも,まとめて「被ばく線量」として扱うことができます*3.また,全身に放射線を浴びた場合だけでなく,臓器や組織ごとに分けて,被ばく線量を分割して考えることもあります.例えば,外部被ばくの場合,皮ふや眼の水晶体が被ばくを受けやすくなります.また内部被ばくの場合は,取り込んだ放射性物質がどの臓器に集まりやすいかによって,臓器ごとに分けた被ばくの影響を考えます.
吸収線量-グレイGyと実効線量-シーベルトSv
放射線量を表す単位にはGyグレイとSvシーベルトがあります.物理的に測定されるものが吸収線量:Gy*4,Gyで表された吸収線量に,人体への影響を加味した重み付け(放射線荷重係数;同じエネルギーを受けても,放射線の種類によって影響の度合いが異なる)をしたものが等価線量です.さらに,同じ量の放射線を浴びても影響は臓器ごとに異なります(生殖腺や骨髄は被ばくに弱く,皮ふや骨は強いetc...).浴びた放射線の等価線量を,組織・臓器ごとに分けて重み付けし(組織荷重係数),その後それらを合算した値を実効線量と呼びます *5.単位はSvです.実効線量は,実際に正確な値を求めるのが難しい(すべての組織・臓器に線量計を付けるわけにはいかない)ので,測定可能な実用量(実効線量に近くなるよう補正された測定値)で代替されます.説明が長くなりましたが,被ばく線量を考える時には,最後の「実効線量」に注目する必要があります.様々な測定地点で測定される放射線量も,実効線量に換算したものとなっています.高線量の被ばくを考える場合は,被ばく線量を実効線量Svではなく,吸収線量Gyで基準づけて評価します.低線量被ばくによる確率的影響を考える場合は実効線量Svを用います.ただし,資料によっては,高線量被ばくについての記述でもGyやSvが混在していることもあるので,注意が必要です.
放射線
放射線とは,強いエネルギーを持った電磁波(X線γ線)や粒子線(α線β線中性子線など)のことを差します*6.普段,私たちが眼で見ている可視光も電磁波の1種ですが,放射線と呼ばれるタイプの電磁波は眼に見えません.また,ヘリウム原子核だけが飛びだしたもの(α線)や電子だけが飛び出したもの(β線)のように,電磁波ではなく,粒子が高速で飛んでいるものも放射線と呼びます.放射線には,原子炉や医療用X線装置のように人工的に作られる「人工放射線」と,宇宙から飛来したり,自然界に存在する放射性物質から飛び出す「自然放射線」の2種類があります.
放射性物質
放射線を出す物質のことです.例えば,核燃料や原子爆弾の材料としてよく知られるウラン235は,自発的にα線を出し,別の放射性物質に変わります(専門用語では「崩壊」と呼びます).もちろん,β線やγ線などを出す放射性物質もあります.例えばヨウ素には,放射線を出さないタイプ(安定同位体)のヨウ素127と,放射線を出すタイプ(放射性同位体)のヨウ素129,ヨウ素131の3種類があります.この127や131といった数字は,原子の重さ(正確には質量数)を表しています.原子核を構成する2つの単位,陽子と中性子のうち,陽子の数が元素の種類を決め,中性子の数がその元素の重さや放射線を出すかどうかといった性質を決めます.ヨウ素は53個の陽子を持っており,さらに中性子を74個持っているものがヨウ素127,78個持っているものがヨウ素131です.つまり,同じ「ヨウ素」でも,中性子の数が違うと,放射線を出したり出さなかったりします.
放射能
放射能とは放射性物質が放射線を出す能力のことです.1秒間に崩壊する(つまり放射線を出す)原子の数を放射能と呼び,ベクレルBqという単位で表します.しかし,放射能という言葉は上で説明した「放射線」や「放射性物質」の意味で,誤って使われていることも少なくありません.例えば,誤)放射能漏れ→正)放射性物質漏れ or 放射線漏れ,誤)放射能の雨が降る→正)放射性物質を含んだ雨が降る,などは典型的な誤用例です.
確定的影響
確定的影響とは,被ばくによって生じる白内障や皮膚損傷,血液失調症,不妊,骨髄死,腸管死のような死に至る傷害などの影響を指します.ある一定量(しきい値)以上の放射線被ばくが起きた時しか生じません.しきい値は傷害によりますが,概ね1 Gy(1000 mGy)以上であり,核爆弾の被害や臨界事故の作業員などが浴びるレベルの被ばく線量の場合です.
確率的影響
確率的影響とは,放射線がDNA損傷を引き起こすことによって生じる「発がん」と,生殖細胞のDNA損傷が与える個体レベルの影響が子孫に引き継がれる「遺伝的影響」の2つのみを指します.しきい値はなく,被ばく線量に比例して,発がんや遺伝的影響が生じる確率が高まるとされています*7

もしも福島第一原発でチェルノブイリ級事故起きたら

ここからは「もしも福島第一原発でチェルノブイリ級の事故が起きたら」という無理やりで最悪な状況の仮定をおいて,さらに適当に仮定を付け足しつつ*8,どんな健康被害が生じるかを定性的に考えてみます.シミュレーションの妥当性は,誰かより詳しい方に評価していただければと思います.

作業員におよぶ被害:確定的影響

まず原発内で作業している人達は,高線量の被ばくを受けます.高線量の被ばくを受けた人たちには,確定的影響,つまり被ばく線量に従ってほぼ確実に発生する放射線障害が生じます.これは受けた被ばく線量に従って,多いほど重篤な傷害をもたらします.一時的不妊,リンパ球の一時的減少,脱毛などの命に別条のない変化から,骨髄死,腸管死のような死に至る傷害まで,影響はさまざまです.現地で作業している人達がどれくらい被ばくするか,受ける線量は事故時にどこにいたか(距離,壁があったかなど)と放射能汚染地域でどれだけ作業したか(時間)に比例します.臨床的には,0.25 Gy(250 mGy)以下の被ばくでは急性の放射線障害は起こらないことが確認されています*9.ただし,0.15 Gy(150 mGy)以上の被ばくを受けた男性は,数日後から精子数の減少し,一時的な不妊が生じます.これは一時的なものなので回復します.
確定的影響を受けるような高線量被ばくを避難区域外にいる人が受けることはありません.チェルノブイリ事故の場合ですら,原発内にいた600人中,0.7-13.4 Gyの高線量被ばくを受け,放射線症(確定的影響)となったのは134人にとどまります*10.また,高線量被ばくを受けたら確実に死ぬ,というわけでもありません.放射線症になった134人中,事故直後に2人,最初の3ヶ月以内に28人が死亡しましたが,全員ではありません.また医療の進歩により,日本で起きた東海村JCO臨界事故でも,高線量被ばくを受け放射線症となった作業員3名のうち,16-20 Gy,6-10 Gyの被ばくを受けた2名の作業員が亡くなりましたが,1-4.5 Gyを浴びたと推定される作業員は事故後に退院しています*11

私たちが受ける被ばく

これに対し,チェルノブイリ近郊から避難を余儀なくされた116,000人の平均線量は30 mSv*12であり,汚染した地域に住み続けている人達は,事故後最初の10日間で10 mSvの被ばくを受けたと推定されています.チェルノブイリ事故の場合,放射性物質を含む煙(雲?)が風向きを変えて,ほぼ360°全ての方向に拡散しました.その結果,ベラルーシロシアウクライナ以外の近隣諸国でも,最初の1年に1 mSvの被ばくが生じています.しかし,これらは自然放射線による被ばく量と同程度であり,健康リスクはないと考えられています(詳しくは後述).
平均30 mSvの被ばくを受け避難した発電所周囲30 kmの住民は,事故後36時間以上経ってから避難を開始しています(事故は突発的だったため).仮に,福島原発で同規模の事故が起こったとしても,既に避難している住民や避難区域の外側にいる住民の受ける被ばく線量は30 mSvを下回ると考えられます.以上をまとめて,原発事故の避難区域外にいる人(例えば私)が事故後に避難することも考えると,私たちが受ける被ばく量は,どんなに多く見積もっても30 mSvを下回るだろうと推定します

放射線が人体に与える影響

放射線がなぜ人体に悪影響を与えるのかを説明します.放射線が人体を構成する原子に当たると,原子は電離・励起されます.電離・励起された原子は,自己の原子の共有結合を切断したり,周囲の別の分子と結合したりすることで,分子に損傷を与えます.
放射線の生物作用の標的は,人体の細胞内のDNAのみです.なぜならば,他の構成要素(例えばある種の酵素)が放射線により破壊されても,その効果は蓄積しないからです.細胞内のDNA以外の生体高分子(例えばタンパク質)に何らかの損傷があったとしても,その損害は損傷を受けた生体高分子だけにとどまります*13.非常に高線量の被ばくを受けた場合,人体が分子レベルで崩壊して死ぬ「分子死」というものが考えられますが,数百 Gy以上という原発事故でもありえない量を浴びないといけないので,ヒトでは分子死の記録はありません.しかし,DNAへの損傷は,細胞内で働く部品(タンパク質,RNAなど)の設計図が壊れることを意味します.この結果として,致命的である場合は細胞死,致命的ではない場合はDNA情報が変化したまま細胞分裂が繰り返されます.こうしたDNAの損傷は,活性酸素や他の化学物質などの発がん物質でも同じように起き,放射線に特別な現象ではありません.実際には,DNAに損傷が生じても,DNA修復系があるためほとんどのものは修復されるので,ただちにDNAがずたずたとなるということはありません.
放射線障害に限らず,通常の体細胞では,DNA損傷が蓄積した結果としてがんが生じます(発がん).つまり生物作用だけを見れば,放射線は発がん物質(のように振る舞う物)として働きます.また,放射線が生殖細胞のDNAを損傷し,子孫に引き継がれて,何らかの遺伝性疾患などの影響を生み出す可能性もあり,これを遺伝的影響と呼びます.低線量被ばくによって人体に生じる影響は,発がんと遺伝的影響という,どちらもDNAの損傷に由来した「確率的影響」になります.
遺伝的影響については,原爆被爆者の子どもには遺伝性疾患が生じるという風説から,結婚を避けられるといった差別が行われたという悲惨な歴史があります.しかし,被爆者の詳細な追跡調査から遺伝的影響は見られなかったことが分かっています.これはチェルノブイリについての追跡調査でも同じ結果が得られています.現在までに,ヒトにおいて,遺伝的影響が確かめられたことはありません

私たちにおよぶ被害:確率的影響

被ばく量とそれに伴う発がんリスクの上昇の関係は,疫学調査から明らかになっています.被ばく1 Svあたりの各障害の発生頻度が推定されており,名目確率係数と呼ばれます.
例えば,30 mSvの被ばくを全身被ばくとして均等に受けた場合,致死がんの発がんリスクの上昇はおよそ0.15%と推定されます
(30 mSvの被ばく) × (全身の致死がんの名目確率係数 5.00 × 10^-2)
30 × 10^-3 × 5.00 × 10^-2 = 0.0015

実際には,この値は多めに見積もられています.低線量被ばくによって上昇する発がんリスクを調べるためには,被ばくを受けた人と受けていない人を追跡調査して,それぞれで違いがあるかを調べます.しかし,被ばく以外の原因(喫煙,食事,生活習慣)による影響が大きいため,被ばくのみの影響を取り出すことは簡単ではありません.そのため「疑わしきは,より安全性を高めるように」という考えのもと,リスクを多めに見積もっています.
また食物連鎖を通じて,放射性物質が食品内に高度に濃縮され(生物濃縮),それを食べることで被ばくが生じるという間接的な被ばくもあります.実際に,チェルノブイリ事故による放射性物質の飛散により,周辺国の土壌がヨウ素131(半減期8日)やセシウム134(半減期2.4年),セシウム137(半減期30年)により汚染され,食品に影響が生じました.ただし,ウクライナ・ロシア・ベラルーシの一般大衆が1986-2005年までに受けた平均の被ばく線量は10-30 mSvと評価されました*15.これは,インドイランブラジル,中国にある自然放射線が非常に高い地域での住民の被ばく量(20年間に100-200 mSv)よりも低い値です.
低線量被ばくによる危険性が「確率」の話としてしか語られないのは,放射線生物学的に,その影響がDNA損傷とそれに伴う発がんという確率的な事象に起因するからです.確定的影響が生じない線量である限り,全身でも一部臓器の被ばくでも,体外被ばくでも体内でもこれは変わりません.放射線の健康リスクには「本質的に,確率論でしか語れない」部分がある,ということです.その上で,かなりひどい状況を想定しても,避難区域外にいて,かつ事故が起きた後にさらに避難するだろうということまでを考えれば,生じる発がんリスク上昇は生活習慣の違いに埋もれて見えなくなる程度だろう,という結論になります.多くの専門家が「被ばくしても問題ない」という言い方をするのは,それが発がんのリスク上昇としてしか評価できず,そのリスク上昇値が非常に小さなものだからです.
喫煙は,肺がんの発がんリスクを上昇させる代表的な生活習慣です.しかし,全ての喫煙者が肺がんになるわけではありません.ただ「喫煙すると肺がんになりやすくなり,吸うたばこの本数が多いほどその危険性も高まる」ということです.1本のたばこを吸っても肺がんのリスクは上昇するはずですが,その影響(リスク上昇)は他の影響(例えば飲酒,食事,運動など)に埋もれてしまうでしょう.非常に少ない被ばくの影響もこれと同じです.

1986年のチェルノブイリ事故から20年経った2006年,IAEAはチェルノブイリ事故を総括する声明を発表しています*16.ATOMICAに掲載された要約の中から,健康への影響に言及した部分を引用します.
70万人以上の緊急事態及び回復作戦要員、及びベラルーシ、ロシアとウクライナの汚染地域の500万人の居住者は、自然バックグラウンド放射線レベルに相当する比較的少量の放射線量を受けた;この水準の被ばくでは、放射線で誘発される目立った健康傷害には至らない。例外は、高い放射線量を受けた数百人の緊急事態及び回復作戦要員の一団である;約50人が放射線病とその結果のために死んだ。全体として、チェルノブイリ事故に起因する高い放射線量によって影響を受けた60万人中およそ4000人の人々の若死が、予期されていた。
放射線によって影響を受けるもう一つの群は、1986年に放射性ヨウ素で汚染されたミルクを消費し、甲状腺に相当な放射線量を受けた子供と青年である。全体で、およそ4000の甲状腺ガンのケースが1992年~2003年の間に、この群に検知された;それらの99%以上は、成功裡に処置された。

まとめ

放射線による影響について,正しいイメージを持つためには,多くの科学的知識が必要となります.ですから,放射線に詳しくない人たちが,刻々と悪化していく原発の状況や,放出された放射性物質による被ばくについて,強い不安を感じるのは当然だと思っています.
この状況の中で私は,被ばくに対する不安を抱える人たちに「とりあえず心配するな!」とか「不安がっているのは間違いだ!」と声高に主張する気にはなれませんでした.そこで,自分にできることとして「被ばくが人体にどういう影響を与えるか」というテーマでこの記事を書いてみました.最初に書いたとおり,この記事は,被ばくについて皆さんに何かをアドバイスすることを目的とはしていません.ただ,「何が起きるのか分からない」という未知に対する恐怖を,「何が起こるかはイメージできる」という既知のリスクに変える手助けになればと願っています.
最後に,2つの文章を引用しておきます.
放射線に関する影響は,これまでの膨大なデータを解析することにより,安全管理の上で十分に分かっているといってよい.ICRP(註:国際放射線防護委員会)によれば放射線防護の目的は「確定的な有害な影響を防止し,確率的影響を容認できるレベルまで制限すること」である.この目的を達成するために,1.確定的影響の「しきい線量」,2.確率的影響の発生頻度,3.容認できるリスクレベルを知ることが必要となる.
—放射線概論 p.410
技術の専門家にとっては、リスクの比較を数量的に行うのが合理的であっても、日常の生活実感でなじみの薄い確率は、公衆に対して直接用いるのは有効に働かない。なぜなら公衆のリスク認識は確率的なものでなく、結果の恐ろしいもの、不確実や未知なものなどをより大きなリスクと感じるからである。
—原子力におけるリスクコミュニケーション ATOMICA*17

なお,記述にあたっては放射線概論(平成17年度改正法令対応,飯田博美編・通商産業研究社)と放射線取扱の基礎(第5版,日本アイソトープ協会・丸善)を参照しました.また,原子力百科事典ATOMICA*18の記述も参照しました.

関連URL

  • 放射線は「甘く見過ぎず」「怖がりすぎず」 - 八代嘉美
    • [2011-03-18追記]このブログ記事では解説しきれなかったDNA修復系や晩発効果,生物学的半減期など,放射線生物学の基本的な事項が解説されています.安心しすぎるのでも,怖がりすぎるのでもなく,「正しく怖がる」ことが大切というのはその通りです.
  • MIT研究者Dr. Josef Oehmenによる福島第一原発事故解説 - A Successful Failure
    • MITの研究者による,福島第一原発の仕組みと事故による影響の解説記事を,@さんが翻訳したものです.長文ですが,非常に分かりやすく,おすすめです.[2011-03-17追記]元記事の内容が必ずしも正確ではないという指摘があり,より正しい解説記事が既に公開されています(上記参照).
  • 放射能のビジュアルイメージ - 山中俊治の「デザインの骨格」
    • 山中俊治先生(慶應大学,@)が,「放射能」と言われるものがどういうものなのかを,全く何も知らない家族に説明するなら,という視点で書かれたビジュアルイメージです.こういった伝え方が必要なのだな,と改めて思います.
  • 放射線医学総合研究所
    • その名の通り,日本における緊急被ばく治療の中心的な存在である研究所です.医学的な観点から,被ばくの危険性や被ばく対策について,情報が掲載されています.

関連書籍

*2:免責事項です.このブログ記事によって生じた結果には責任を負いません.しかし,内容自体の信頼性は,私自身に対する信頼性により担保されます.私は原子核物理学原子力工学の専門家ではありませんが,国家資格である第1種放射線取扱主任者の試験に合格しており,放射線に関する一定の知識を保有しています(試験合格後に定められている指定講習を受けていないので,主任者の資格はまだ得ていません).また,大学院において構造生物学生化学を専攻し,博士(理学)を3月に取得見込です.
*3:より細かいことを言えば,短時間に大量の放射線を浴びる場合と,長期間に渡って弱い放射線を浴びる場合では,影響には差がありますが,差が生じるのは被ばく量が非常に多い場合です.ここではその差は考えません.
*4:1 kgの物体に1 Jのエネルギーを与える放射線吸収量を1 Gyと定義します.SI単位.
*5:より詳しい説明は以下を参照してください.実効線量 ATOMICA,シーベルトと実効線量実効線量 福井県原子力環境監視センター.
*6:法的には,「放射線」とは,「電磁波又は粒子線のうち,直接又は間接に空気を電離する能力をもつもので,政令で定めるもの」を差します(原子力基本法第3条5号).核燃料物質、核原料物質、原子炉及び放射線の定義に関する政令
*7:日本の放射線障害防止法は,国際放射線防護委員会ICRPが1990年に出した勧告に基づいて,線量限度などを定めています.このICRP 1990年勧告では,確率的影響にはしきい値がないとしています.しかし,最新の研究ではしきい値があるのではないかという報告もあり,今後ICRP勧告やそれに基づく放射線障害防止法の規定が変更される可能性もあります.最新のICRP勧告は2007年に出されていますが,内容を私は把握していません.また放射線障害防止法にも反映されていません.
*8:放出される放射性物質の量や風向きなどによる拡散の影響を正確に見積もることはできないので,チェルノブイリ事故を参考に,被ばく量を推定することにします.
*9:福島第一原発で緊急作業に当たっている作業員の被ばく線量限度が250 mSvに上方修正されたのは,これが根拠となります.
*10チェルノブイリをめぐる放射線影響問題 ATOMICA(Googleキャッシュ)
*12:この被ばく量は体外被ばく・体内被ばくを合算した量だと思います.
*13:とされているのですが,例えばDNAポリメラーゼが損傷を受けたら,そのDNApolによって複製されるDNAに損傷が生じることは?なんて思ったりはします.
*14:単位が記載されていないが「10^-2/Sv」.
*17原子力におけるリスクコミュニケーション ATOMICA(Googleキャッシュ).
*18:現在,サーバが落ちているため,Googleキャッシュで見ました.







人体に入った放射性セシウムの医学的生物学的影響

チェルノブイリ原発事故でべラルーシのゴメリ州は放射能汚染され、
ゴメリ医大の学長だったバンダジェフスキーは放射線被曝の影響を研究しました。
従来の被曝の研究は原爆、原発事故、原発作業などで放射線を受けた人の
発ガン確率等が多く、食物から身体に入った放射性物質による
人間の内部被曝の研究は殆どありません。
人間に放射性物質を与えて身体の変化を調べる実験は行えません。
チェルノブイリ事故による健康被害は、半減期8日の放射性ヨウ素による甲状腺ガンだけで、
心理的影響が大きいという説が通用し、半減期30年のセシウム137の影響は
ほとんど発表されていません。
バンダジェフスキーは大学病院で死亡した患者を解剖し、心臓、腎臓、
肝臓などに蓄積したセシウム137の量と臓器の細胞組織の変化との関係を調べました。
臨床研究と動物実験を併せて、体内のセシウム137による被曝は低線量でも
危険との結論に達し公表しました。
バンダジェフスキーの結論は、低線量の放射線は健康にほとんど影響しない
という政府の方針に反するので、政府は入学試験の賄賂汚職の容疑で禁固8年の刑を与えました。
国際アムネステイの働きかけもあって5年で出獄しましたが、復職はできず、
性格が変り、フランス滞在後にリトアニアに移り、ビリニュスの大学で働き、今はヴクライナのキエフに居ます。
バンダジェフスキーの親友で彼を助けたネステレンコ教授が設立した
放射線安全研究所ベルラドを訪問したとき、ここで出版したパンフレッ
トを貰いました。
当時はべラルーシのことであり、医学には知識も興明もないので放置していたのですけれど、福島原発の事故でセシウム137汚染地域が我が国にもできてしまい、
そこで生産した食物から体内に入るセシウム 137の影響が深刻になっています。
この文献が汚染地域の人々に何らかのお役に立てば幸いです。


〜裏表紙から〜
この本は体内の放射性セシウムが人間の健康に与える影響ならびに放射線防護手段を述べている。
著者は彼自身の多くの研究、特にチェルノブイリ事故のため
放射性同位元素で汚染された地域の多人数グループの医学的調査
および動物実験の結果を示し、病理学的変異を 詳しく分析した。
この変異は体内の放射性セシウムの濃度によって種々の器官とシステムに起こっている。
特に放射性セシウムの毒作用に注目し、体内に長期間在る
放射性セシウムによる症候を強調した。
放射性セシウムが人体に入るのを防ぐ手段のデータならびにセシウムの除去法を示した。
この本は体内の放射性元素が人間の器官に与える問題を調べている
多くの人々、開業医、研究者向けである。
チェルノブイリの子供を救おう会 代表
茨城大学 名誉教授 久保田護 


チェルノブイリ原発事故によるベラルーシでの遺伝的影響
 
ゲンナジー・ラズューク,佐藤幸男,ドミトリ・ニコラエフ,
イリーナ・ノビコワ
ベラルーシ遺伝疾患研究所(ベラルーシ),*広島文化女子短期大学
 


 
チェルノブイリ原発事故で放出された放射能により,ベラルーシ,ロシア,ウクライナの数多くの住民が被曝し,その影響が遺伝的な損傷,とりわけ染色体の異常として現れていることは多くの研究結果によって示されている1,4,6.染色体異常の増加は,不安定型と安定型,また染色体型と染色分体型といった,いずれのタイプの異常にも認められている4,7,8.(放射線被曝に特徴的な)2動原体ならびに環状染色体といった異常とともに,化学的変異原にも共通するその他の染色体異常の増加が認められていること6,9,また実際に観察された染色体異常の頻度が被曝量推定値から計算されるものより大きいこと4,5が明らかとなっている.これらの事実は,チェルノブイリ事故被災者に認められる染色体異常は,被曝の影響に加えて他のいろいろな変異原によって引き起こされているか,または,物理的な手法に基づく被曝量が過小に評価されている可能性を示している.
染色体異常の観察結果が,生体に対する変異影響を測るための生物学的尺度として有効であることは言うまでもない.しかしながら,染色体に基づく方法によっては,通常の末梢血リンパ球の観察ではもちろん,たとえ性細胞の異常を観察したとしても,実際の遺伝的な影響を検出することは困難である.自然流産率,周産期死亡率といった遺伝的損傷の経年変化,先天性障害児発生率の経年変化といった研究が,放射線の影響を含め,遺伝的変異原の影響を調べるもっとも確かな方法である.このことは,遺伝子の変異から先天性障害をもつ子どもの誕生までの間には,(遺伝子の選別,着床前や胎児期での死亡といった)数多くの事象がつながっているという事実と関連している.そうした事象を直接観察することはほとんど不可能であり,そのことがさまざまな不確定性をもたらしている.最終的な結果を直接観察する方法のみが,それなりの欠点はあったとしても,遺伝的損傷に関する実際の情報を示すことができる.本報告では,合法的流産胎児の形成障害と,新生児・胎児における先天性障害の観察を基に,チェルノブイリ原発事故がベラルーシの住民にもたらした遺伝的障害の大きさを明らかにする.
合法的流産胎児の形成障害
われわれは,放射能汚染管理地域とミンスク市(対照グループ)における,合法的流産胎児の形成障害頻度の観察を行なっている.汚染管理地域とは,ゴメリ州とモギリョフ州のセシウム137による汚染が15Ci/km2以上の地域である.ベラルーシ先天性疾患研究所では,胎齢5週から12週の間に掻爬された胎児を調べている.検査は,ステレオ顕微鏡下で胎児を解剖しながら行なわれ,必要であれば,病理標本を作成する.すべての胎児の胎齢は,カーネギー研究所方式で決定されている.掻爬にともなっていくつかの臓器が検査不能になることもあるので,形成障害の頻度は,検査された胎児数ではなく,検査された臓器数に基づいて決定される.また,胎児の形成過程を考えると,いくつかの障害はある胎齢以降にしか観察されないので,そうした障害の頻度は,その胎齢に達した胎児のみを考慮する.検査で発見した形成異常はすべて記録している.これまでに,33376例の胎児を検査し,その中には(1986年後期以降の)汚染管理地域の2701例が含まれている.
検査結果の一部を表1に示す.汚染管理地域での形成障害の頻度を,チェルノブイリ事故前6年間および以降11年間のミンスク市と比べると,汚染管理地域の値はミンスク市のどちらの値よりもかなり大きい.また,汚染管理地域において,1986年から1995年の平均値(7.21%)に比べ,1992年に大きな値(9.87%)があったことを指摘しておく3
中枢神経系異常や(多指症や肋骨縮体といった)新たな突然変異の寄与が大きい障害など,放射線被曝に特徴的と考えられている部位において有意な増加が認められているわけではない.しかしながら,それらの増加傾向はかなりはっきりしたもので,とりわけ肋骨縮体において認められる.


表1 人工流産胎児の形成障害頻度

 
 
 
調査地区
 
 
 
ミンスク市
放射能管理地域
 
 
1980-1985
1986-1996
1986-1995
 
観察胎児数
10,168
20,507
2,701
形成障害頻度 (%)
5.6
4.9
7.21*
うちわけ:
 
 
 
中枢神経系異常
0.32
0.53
0.54
多指症
0.63
0.53
0.79
四肢欠損
0.07
0.1
0.28




新生児の先天性障害
ベラルーシ共和国では,新生児の先天性障害に関する国家規模でのモニタリングプログラムが


1979年から行なわれている.医療施設のランクにかかわらず,すべての医療施設において周産期児(分娩前後の胎児・新生児)の先天性障害が診断・登録されている.それぞれの症例については,診断にあたった医師が登録用紙に記入し,その用紙がミンスクの遺伝センターに送られる.先天性疾患研究所のスタッフが,定期的な地域巡回か,センターにおける家族面談の際に,記載のチェックを行なっている.新生児,および胎児診断後に人工流産された胎児に観察された障害は,無脳症,重度脊椎披裂,口唇・口蓋裂,多指症,重度四肢欠損,食道閉塞,肛門閉塞,ダウン症,および複合障害に分類されて登録される.セシウム137の汚染レベル別の結果を表2に示す.セシウム137の汚染レベルが1Ci/km2以下の30地区を対照グループに選んである.


表2 ベラルーシの国家モニタリングにおける先天性障害頻度(1982~1995)
(上段:新生児1000人当り頻度,下段:観察数)

障害の分類
セシウム137汚染地域
対照地域
 
(30地区)
15 Ci/km2以上
1 Ci/km2以上
 
 
 
 
(17地区)
(54地区)
 
 
 
 
1982-1985
1987-1995
1982-1985
1987-1995
1982-1985
1987-1995
無脳症
0.28
0.44
0.24
0.64*
0.35
0.49
 
 
 
 
 
 
11
26
48
226
23
63
 
 
 
 
 
 
脊椎披裂
0.58
0.89
0.67
0.95*
0.64
0.94*
 
 
 
 
 
 
23
53
132
335
42
120
 
 
 
 
 
 
唇口蓋裂
0.63
0.94
0.7
0.92*
0.5
0.95*
 
 
 
 
 
 
25
56
137
324
33
121
 
 
 
 
 
 
多指症
0.1
1.02*
0.3
0.66*
0.26
0.52*
 
 
 
 
 
 
4
61
60
232
17
66
 
 
 
 
 
 
四肢欠損
0.15
0.49*
0.18
0.35*
0.2
0.2
 
 
 
 
 
 
6
29
36
123
13
26
 
 
 
 
 
 
食道閉塞
0.08
0.08
0.12
0.15
0.11
0.14
 
 
 
 
 
 
3
5
23
53
7
18
 
 
 
 
 
 
肛門閉塞
0.05
0.08
0.08
0.1
0.03
0.06
 
 
 
 
 
 
2
5
16
35
2
8
 
 
 
 
 
 
ダウン症
0.91
0.84
0.86
1.03
0.63
0.92*
 
 
 
 
 
 
36
50
170
362
41
117
 
 
 
 
 
 
複合障害
1.04
2.30*
1.41
2.09*
1.18
1.61*
 
 
 
 
 
 
41
137
277
733
77
205
 
 
 
 
 
 
合計
3.87
7.07*
4.57
6.90*
3.9
5.84*
 
 
 
 
 
 
151
422
899
2423
255
744
 
 
 
 
 
 
事故後の頻度増加(%)
83
51
50

*:1982-1985年と1987-1995年を比べると有意に増加 (p - 0.05).
 
セシウム汚染地域と対照地域とも,チェルノブイリ事故後に先天性障害頻度が増加していることは明らかである.また,セシウム汚染レベルが大きくなるほど,頻度の増加が大きくなっている.対照地域では50%の増加であるのに対し,15Ci/km2以上の地域は83%の増加である.対照地域における頻度増加が放射線被曝によるものではないことは確かであろう.一方,汚染地域では,対照地域を越える増加が,54地区では1%(5150),17地区での33%(8350)と汚染レベルに応じて認められている.
こうした増加をもたらす原因として考えられるのは以下の4つである.
  1. チェルノブイリ事故後の先天性障害の増加は,真の増加ではなく,単に見せかけのものと考えられる.つまり,登録がより完全になったこと,言い換えると,被災地域における問題への関心が増加した結果である.
  2. 放射能汚染による胎内被曝にともなう胎児への直接的な被曝影響.
  3. どちらかの親の生殖線被曝にともなう突然変異による遺伝的影響.
  4. チェルノブイリ事故を含めたネガティブな要因(放射線のほか,化学汚染,栄養悪化,アルコールなど)の複合的影響.
最初の見せかけ説は,ベラルーシにおける国家モニタリングを基に,以下の理由で否定されよう.第1に,厳密に診断された先天性障害のみを考慮していること,第2に,先天性疾患研究所のスタッフによって診断の正確さは常にチェックされてきたこと,第3に,チェルノブイリ事故前はさまざまな地区においてほぼ同じ頻度であったこと,最後に,先天性障害頻度と汚染レベルに相関性が認められることである.
胎内被曝原因説も,放射線感受性の大きい胎児期での胎児の被曝量がしきい値以下であったことを考えると否定される.先天性障害児の母親のうち,チェルノブイリ事故がおきてから妊娠第1トリメスター(妊娠期間を3つに分けた最初の時期)の終わりまでに55ミリシーベルト以上の被曝を受けたものはいない.放射線被曝に最も特徴的な先天性障害である,中枢神経系欠陥の形成時期は,第1トリメスターに含まれている.国家モニタリングの調査結果(表1と表2)は,中枢神経系障害の有意な増加を示していない.
ベラルーシにおいて先天性障害の増加をもたらしている原因として最も考えられることは,慢性的な被曝またはネガティブ要因の複合的な影響による,突然変異レベルの増加である.以下の事実も間接的にこれを示している.
  1. チェルノブイリ事故で被曝したベラルーシ,ウクライナ,ロシアの人々の末梢血白血球において突然変異レベルが増加している2,5,8
  2. 15Ci/km2以上の汚染地域での増加が大きく,なかでも,新しい突然変異が大きく寄与する障害(多指症,四肢欠損,複合障害)が増加している.ただし,新しい突然変異のうち,ダウン症といったトリソミーの増加は認められていない.
先天性障害の増加とチェルノブイリ事故による被曝との関係を調べるため,ゴメリ州とモギリョフ州における(大きな都市は除いた)データを,放射能汚染については安全と考えられるビテプスク州のデータを対照としながら解析してみた.被曝量は,放射線医学研究所のデータで,18歳以上の住民について,事故発生以来の外部被曝と内部被曝を合わせた平均被曝量である.
解析結果を表3に示す.対照地域に比べ,汚染地域での先天性障害頻度の増加1%当りの平均被曝量は,モギリョフ州では0.20ミリシーベルト,ゴメリ州では0.31ミリシーベルトである.これらの値を,放射線被曝による遺伝的影響の倍加線量に換算すると0.020.03シーベルトとなり,国際放射線防護委員会(ICRP)や国連放射線影響科学委員会(UNSCEAR)が採用している倍加線量値の1シーベルトに比べ極めて小さな値となる.この結果は,放射線被曝にともなう遺伝的影響が従来考えられてきたより大きいものであるか,または,解析に用いた被曝量の値が実際の被曝よりかなり小さく評価されていることを示唆している.




表3 先天性障害頻度と平均被曝量の比較(農村地区,18歳以上)
地域
新生児1000人当り
チェルノブイリ事故
障害頻度増加1%
 
 
 
先天性障害頻度
による平均被曝量
当りの平均被曝量
 
 
 
 
(ミリシーベルト)
(ミリシーベルト/%)
 
 
 
1982-85
1987-95
1986-94
 
 
ゴメリ州
4.06 0.39
7.45 0.24
13.4
0.31
事故後の増加: 83 %
モギリョフ州
3.50 0.53
6.41 0.30
8.82
0.2
事故後の増加: 83 %
ビテプスク州
3.60 0.63
5.04 0.27
0.24
-
 
 



まとめ
われわれの調査結果は,ベラルーシの住民において胎児異常の頻度が増加していることを示している.それらは,人工流産胎児の形成障害および新生児の先天性障害として現われている.そうした増加の原因はまだ断定されていない.しかしながら,胎児障害の頻度と,放射能汚染レベルや平均被曝量との間に認められる相関性,ならびに新たな突然変異が寄与する先天性障害の増加といったことは,先天性障害頻度の経年変化において,放射線被曝が何らかの影響を与えていることを示している.
 
文献
  1. Lazjuk G.I. et al. Cytogenetic effects of additional exposure to low levels of ionizing radiation. Zdravookhraneniye Belorussii, 6: 38-41, 1990 (in Russian).
  2. Lazjuk G.I. et al. Frequency changes of inherited anomalies in the republic of Belarus after the Chernobyl accident. Radiat.Protect.Dosim., 1995, V.62, N.1/2, P.71-74.
  3. Lazjuk G.I. et al. Possible Genetic Consequences of the Chernobyl Nuclear Accident on Belorussians. The Chernobyl Accident (Thyroid Abnormalities in Children, Congenital Abnormalities and Other Radiation Related Information. The First Ten Years. 1996. Hiroshima, P.177-185.
  4. Sevankaev A.V. et al. Chromosome aberrations in Lymphocytes of Residents of Areas Contaminated by Radioactive Discharges from the Chernobyl Accident. Radiat.Protect.Dosim. 1995, V.58, N.4, P. 247-254..
  5. Pilinskaya M.A., et al., Cytogenetic Indicator of Irradiation among the People Suffering from Affected Factors by the Chernobyl Accident, Tsitologiya i genetika, 1992, V.26, N.6, P.6-9 (in Russian).
  6. Pilinskaya M.A. et al., Cytogenetic Monitoring of the People Affected by the Accident at the Chernobyl NPP, Tsitologiya i genetika, 1994, V.28, N.3, P.18-25 (in Russian).
  7. Stepanova E.I. and Vanyurikhina E.A., Clinical and Cytogenetic Characteristics of Children of the People Who Experienced Radiation Syndrome of 1 and 2 Level As the Result of the Chernobyl Accident, Tsitologiya i genetika, 1993, V.27, N.4, P.10-13 (in Russian).
  8. Vorobtsova E.I. and Boromazova A.N., Stable Chromosome Aberration in Lymphocytes in Peripheral Blood of the Persons Affected As the Result of the Accident at ChNPP, Radiatsionnaya biologiya Ii ragioekologiya, 1995, V.35, N.5, P.636-639 (in Russian).
  9. J.R. Lazutka. Chromosome Aberrations and Rogue Cells in Lymphocytes of Chernobyl Clean-up Workers. Mutat.Res. 1996, V.350, P. 315-329



ドイツ放射線防護協会
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 www.strahlentelex.de

2011 年 3 月 20 日

日本における放射線リスク最小化のための提言

ドイツ放射線防護協会と情報サービス放射線テレックスは、
福島原発事故の発生後の日本において、
放射線核種[いわゆる放射性物質:訳者注]を含む食物の摂取による被ばくの危険性
最小限に抑えるため、チェルノブイリ原発事故の経験をもとに
下記の考察・算定を行い、以下の提言を行う。


  • 1.放射性ヨウ素が現在多く検出されているため、日本国内に居住する者は当面、
  • 汚染の可能性のある*
  • サラダ菜、葉物野菜、薬草・山菜類の摂取は断念することが推奨される。



  • 2.評価の根拠に不確実性があるため

  • 乳児、子ども、青少年に対しては、
  • 1kgあたり 
  • 4 ベクレル〔以下
Bq:訳者注〕以上のセシウム 137 を含む飲食物を与えない
  • よう推奨されるべきである。

  • 成人は、
  • 1kg あたり 8Bq 以上のセシウム 137 を
  • 含む飲食物を摂取しないことが推奨される。

  • 3.日本での飲食物の管理および測定結果の公開のためには、
  • 市民団体および基金は、独立した放射線測定所を設けることが有益である
  • ヨーロッパでは、日本におけるそのような
  • イニシアチブをどのように支援できるか、検討すべきであろう。


考察と算定
以下の算定は、現行のドイツ放射線防護令の規定に基づいている。

飲食物を通じた放射性物質の摂取は、原子力災害後、長期間にわたり、
身体にもっとも深刻な影響を与え続ける経路となる。


日本では、ほうれん草 1kg あたり 54,000Bq のヨウ素 131 が検されたが、
こうしたほうれん草を 100g(0.1 ㎏)摂取しただけで、
甲状腺の器官線量は次のとおりとなる(*1)
乳 児(1 歳未満)   :甲状腺線量 20.0 mSv〔以下 mSv:訳者注〕(*2)

幼 児(1~2 歳未満) :甲状腺線量 19.4mSv(*3)


子ども(2~7 歳未満) :甲状腺線量 11.3mSv(*4)


子ども(7~12 歳未満):甲状腺線量  5.4mSv(*5)2

青少年(12~17 歳未満 :甲状腺線量  3.7mSv(*6)

大人(17 歳以上):甲状腺線量 2.3mSv(*7)

2001 年のドイツ放射線防護令第 47 条によれば、
原子力発電所通常稼働時の甲状腺器官線量の限界値は
年間 0.9mSV であるが、上に述べたような日本のほうれん草をわずか 100g 摂取する。
原発事故の場合には、同第 49 条によれ
だけで、すでに何倍もこの限界値を超えることになるば、
甲状腺線量は 150mSv まで許容されるが、
これはいわゆる実効線量 7.5mSv に相当する(*8)
それゆえ日本国内居住者は、当面、汚染の可能性のある*
サラダ菜、葉物野菜、
薬草・山菜類の摂取を断念することが推奨される。

ヨウ素 131 の半減期は 8.06 日である。したがって、福島原発の燃焼と放射性物質の環境への
放出が止まった後も、ヨウ素 131 が当初の量の 1%以下にまで低減するにはあと 7 半減期、つ
まり 2 ヶ月弱かかることになる。54,000Bq のヨウ素 131 は、2 ヵ月弱後なお約 422Bq 残存して
おり、およそ 16 半減期、つまり 4.3 ヶ月(129 日)後に,ようやく 1Bq 以下にまで低減する。
長期間残存する放射性核種

長期的に特に注意を要するのは、セシウム 134(半減期 2.06 年)、セシウム 137(半減期
30.2 年)、ストロンチウム 90(半減期 28.9 年)、プルトニウム 239(半減期 2 万 4,400 年)
といった、長期間残存する放射性物質である。
通常、2 年間の燃焼期間の後、長期間残存する放射性物質の燃料棒内の割合は、
セシウム 137:セシウム 134:ストロンチウム 90:プルトニウム 239=100:25:75:0.5
である。
しかしチェルノブイリの放射性降下物では、セシウム 137 の割合がセシウム 134 の 2 倍にの
ぼるのが特徴的であった。これまでに公表された日本の測定結果によれば、放射性降下物中の
セシウム 137 とセシウム 134 の割合は、現在ほぼ同程度である。ストロンチウム 90 およびプル
トニウム 239 の含有量はまだ不明であり、十分な測定結果はそれほど早く入手できないと思わ
れる。福島第一原発の混合酸化物(MOX)燃料は、より多くのプルトニウムを含んでいるが、お
そらくそのすべてが放出されるわけではないだろう。ストロンチウムは、過去の原発事故にお
いては、放射性降下物とともに比較的早く地表に達し、そのため事故のおきた施設から離れる
につれて、たいていの場合濃度が低下した。したがって、今回の日本のケースに関する以下の
計算では、
セ シ ウ ム 137: セ シ ウ ム 134: ス ト ロ ン チ ウ ム 90: プ ル ト ニ ウ ム 239 の 割 合 は 、
100:100:50:0.5
としている。
したがって、2001 年版ドイツ放射線防護令の付属文書Ⅶ表 1 にもとづく平均的な摂取比率と
して、1kg につき同量それぞれ 100Bq のセシウム 137(Cs-137)とセシウム 134(Cs-134)、お
よびそれぞれ 50Bq のストロンチウム 90(Sr-90)と 0.5Bq のプルトニウム 239(Pu-239)に汚染
された飲食物を摂取した場合、以下のような年間実効線量となる̶̶
乳児(1 歳未満):実効線量 6mSv/年(*9)3
幼児(1~2 歳未満):実効線量 2.8mSv/年(*10)
子ども(2~7 歳未満):実効線量 2.6mSv/年(*11)
子ども(7~12 歳未満):実効線量 3.6mSv/年(*12)
青少年(12~17 歳未満):実効線量 5.3mSv/年(*13)
成人(17 歳以上):実効線量 3.9mSv/年(*14)
現行のドイツ放射線防護令第 47 条によれば、原子力発電所の通常稼働時の空気あるいは水の
排出による住民1人あたりの被ばく線量の限界値は年間 0.3mSv である。この限界値は、1kg あ
たり 100Bq のセシウム 137 を含む固形食物および飲料を摂取するだけですでに超過するため、
年間 0.3mSv の限界値以内にするためには、次の量まで減らさなければならない。
乳児(1 歳未満):セシウム 137 5.0Bq/kg
幼児(1~2 歳未満):セシウム 137 10.7Bq/kg
子ども(2~7 歳未満):セシウム 137 11.5Bq/kg
子ども(7~12 歳未満):セシウム 137 8.3Bq/kg
青少年(12~17 歳未満):セシウム 137 5.7Bq/kg
成人(17 歳以上):セシウム 137 7.7Bq/kg
評価の根拠に不確実性があるため、乳児、子ども、青少年に対しては、1kg あ
たり 4Bq 以上の基準核種セシウム 137 を含む飲食物を与えないよう推奨される
べきである。

成人は、1kg あたり 8Bq 以上の基準核種セシウム 137 を含む飲食物を摂取しない
ことが推奨される。

国際放射線防護委員会(ICRP)は、そのような被ばくを年間 0.3mSv 受けた場合、後年、10
万人につき 1~2 人が毎年がんで死亡すると算出している。しかし、広島と長崎のデータを独自
に解析した結果によれば(*15)
、その 10 倍以上、すなわち 0.3mSv の被ばくを受けた 10 万人のう
ち、およそ 15 人が毎年がんで死亡する可能性がある。被ばくの程度が高いほど、それに応じて
がんによる死亡率は高くなる。
(注)
*1 摂取量(kg)x 放射能濃度(Bq/kg)x 線量係数(Sv/Bq)(2001 年 7 月 23 日のドイツ連邦
環境省による SV/Bq の確定値に基づく)=被ばく線量(Sv)。1Sv=1,000mSv。たとえば


E-6 とは、正しい数学的表記である 10
-6
(0.000001)の、ドイツ放射線防護令で用いられて
いる行政上の表記である。
*2 0.1 kg x 54,000 Bq/kg x 3.7E-6 Sv/Bq = 20mSv
*3 0.1 kg x 54,000 Bq/kg x 3.6E-6 Sv/Bq = 19.4mSv
*4 0.1 kg x 54,000 Bq/kg x 2.1E-6 Sv/Bq = 11.3mSv
*5 0.1 kg x 54,000 Bq/kg x 1.0E-6 Sv/Bq = 5.4mSv4
*6 0.1 kg x 54,000 Bq/kg x 6.8E-7 Sv/Bq = 3.7mSv
*7 0.1 kg x 54,000 Bq/kg x 4.3E-7 Sv/Bq = 2.3mSv
*8 ドイツの放射線防護令の付属文書Ⅵの C 部 2 によれば、甲状腺は重要度わずか 5%とされ
ている。甲状腺の重要度がこのように低く評価されているのは、甲状腺がんは非常に手術
しやすいという理由によるものである。
*9 325.5 kg/年 x [100 Bq/kg x (2.1E-8 Sv/Bq Cs-137 + 2.6E-8 Sv/Bq Cs-134) + 50 Bq/kg
x 2.3E-7 Sv/Bq Sr-90 + 0.5 Bq/kg x 4.2E-6 Sv/Bq Pu-239] = 6mSv/年
*10 414 kg/年 x [100 Bq/kg x (1.2E-8 Sv/Bq Cs-137 + 1.6E-8 Sv/Bq Cs-134) + 50 Bq/kg
x 7.3E-8 Sv/Bq Sr-90 + 0.5 Bq/kg x 4.2E-7 Sv/Bq Pu-239] = 2.8mSv/年
*11 540 kg/年 x [100 Bq/kg x (9.6E-9 Sv/Bq Cs-137 + 1.3E-8 Sv/Bq Cs-134) + 50 Bq/kg
x 4.7E-8 Sv/Bq Sr-90 + 0.5 Bq/kg x 3.3E-7 Sv/Bq Pu-239] = 2.6mSv/年
*12 648.5 kg/年 x [100 Bq/kg x (1.0E-8 Sv/Bq Cs-137 + 1.4E-8 Sv/Bq Cs-134) + 50
Bq/kg x 6.0E-8 Sv/Bq Sr-90 + 0.5 Bq/kg x 2.7E-7 Sv/Bq Pu-239] = 3.6mSV/年
*13 726 kg/年 x [100 Bq/kg x (1.3E-8 Sv/Bq Cs-137 + 1.9E-8 Sv/Bq Cs-134) + 50 Bq/kg
x 8.0E-8 Sv/Bq Sr-90 + 0.5 Bq/kg x 2.4E-7 Sv/Bq Pu-239] = 5.3mSv/年
*14 830.5 kg/年 x [100 Bq/kg x (1.3E-8 Sv/Bq Cs-137 + 1.9E-8 Sv/Bq Cs-134) + 50
Bq/kg x 2.8E-8 Sv/Bq Sr-90 + 0.5 Bq/kg x 2.5E-7 Sv/Bq Pu-239] = 3.9mSv/年
*15 Nussbaum, Belsey, Köhnlein 1990; 1990 年 10 月 4 日付 Strahlentelex 90-91 を参照。
[付記:チェルノブイリ原発事故後の経験に基づいてなされた本提言の厳しい内容と比べると、日本政府
によって出されて来ている様々な指針・見解は、いかに放射線リスクを過小評価したものかが際立ち
ます。本提言は、3 月 20 日の時点で出されたものであり、また、日本での地域的な違いが考慮されて
いないなどの制約があるかと思いますが、内部被曝を含めた放射線リスクの見直しの一助となること
を心より願います。なお、*
イタリック部分は、原文の意図を表現するため、ドイツ側関係者の了承
のもと訳者が追加したものです。
この日本語訳は、呼びかけに直ちに応じてくださった以下の方々のご協力で完成したものです。心よ
りお礼申し上げます。ただし、翻訳の最終的責任は松井(英)と嘉指にあります。
(敬称略・順不同)内橋華英、斎藤めいこ、佐藤温子、杉内有介、高雄綾子、中山智香子、本田宏、
松井伸、山本堪、brucaniro、他二名。
松井英介(岐阜環境医学研究所所長)
嘉指信雄(NO DU ヒロシマ・プロジェクト代表)]



華との邂逅様のブログから



チェルノブイリ原発事故でのセシウム137の影響

福島原子力発電所の事故で飛散している放射性のセシウム137の人体への影響について、チェルノブイリ原発事故に関連してWHOがベラルーシで行った、子供たちの健康状態についての調査のグラフを示します。

汚染地域と非汚染地域での子供たちの健康状態を比較しています。このグラフで「汚染地域」と定義されているのは、セシウム137が15キュリー/km2(平方キロメートル)以上の地域。キュリーはCiと表記する。 1キュリーは3.7×10の10乗ベクレル(Bq)に等しい。15キュリーは555,000,000,000Bq=5550億ベクレル。1平方キロメートルは100万平方メートルなので、1平方メートル当たりのベクレルは、5550億ベクレルを100万で割ると算出できる。

1平方メートルあたりの汚染度に直すと、5550億ベクレル÷100万=555,000ベクレル(約55万ベクレル)

つまり、このグラフでの「汚染地域」とは、セシウム137が1平方メートル当たり約55万ベクレル以上の地域、ということになります。※グラフをクリックすると別ウィンドウで拡大図が表示されます
チェ-ベラルーシ健康状態グラフ縮小01

上のグラフから、「汚染地域」とされているゴメリ州、モギリョフ州の子供については、慢性病が認められる子供、または慢性病にかかりやすい子供の割合が、非汚染地域のビテプスク州に比べて高いことが分かります。

「汚染地域」の定義についての補足です。
各国のチェルノブイリ被災者救済法に基づくと、汚染地域とはセシウム137 の土壌汚染が1キュリー/km2 以上のところと定義され、そのレベルによってつぎのように区分される。

・40 キュリー/km2 以上:強制避難ゾーン
・15~40 キュリー/km2:強制(義務的)移住ゾーン
・5~15 キュリー/km2:希望すれば移住が認められるゾーン
・1~5 キュリー/km2:放射能管理が必要なゾーン

1平方メートルあたりのベクレル(Bq)値に書き直すと、上から順番にそれぞれ、

・1平方メートルあたり148万Bq以上:強制避難ゾーン
・1平方メートルあたり55万~148万Bqまで:強制(義務的)移住ゾーン
・1平方メートルあたり18万5千~55万Bqまで:希望すれば移住が認められるゾーン
・1平方メートルあたり3万7千~18万5千Bqまで:放射能管理が必要なゾーン

となります。

2011年3月25日の朝日新聞 朝刊によれば、
※「福島第一、レベル6相当 スリーマイル超す」から引用
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福島県飯館村(いいだてむら)では20日、土壌1kgあたり16万3千ベクレルのセシウム137が出た。京都大原子炉実験所の今中哲二助教(原子力工学)によると、1平方メートルあたりに換算して326万ベクレルになるという(ブログ筆者注:1kgの土壌を1平方メートルあたりに換算する計算方法は別途記述)
チェルノブイリでは1平方メートルあたり55万ベクレル以上のセシウムが検出された地域(ブログ筆者注:先のグラフで15キュリー/平方km以上にあたる)は強制移住の対象となった。 今中さんは「飯館村は避難が必要な汚染レベル。福島第一原発では放射能が出続けており、汚染度の高い地域はチェルノブイリ級と言っていいだろう」。

金沢大の山本政儀教授(環境放射能学)によると、1メートル四方深さ5センチで、土壌の密度を1.5程度と仮定すると、飯舘村の1平方メートルあたりのセシウム濃度は約1200万ベクレルに上る。チェルノブイリの約20倍。「直ちに避難するレベルではないが、セシウムは半減期が30年と長い。その場に長年住み続けることを考えると、土壌の入れ替えも必要ではないか」と話した。
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ということです。

2011/3/31追記:今中氏の換算方法
・チェルノブイリの汚染と比べるため「平方メートル」に換算する簡易な方法として、
(チェルノブイリ事故では、土地の表面の汚染レベルを測定。今回の文科省の発表は㎏当たりのため)
・表面2㎝の土を1平方メートルにまいたとして、体積は20リットルとなる。
土の比重を1とする、つまり仮に土1kgは体積で1リットルであると見積もると、
1平方メートルの土壌は土20㎏に相当する。
・したがって1平方メートルの土地のセシウム137による汚染は 1kgの土から検出されたのセシウム16.3万Bqを20倍して16.3万Bq×20=326万Bq/平方メートルとなる。
※この今中氏の換算方法は「美浜の会」のHPをもとに書き直しました。


次に、チェルノブイリ原発事故では、セシウム137の汚染がどの範囲まで広がったかを記した地図を示します。※地図をクリックすると拡大図が別ウィンドウで表示されます
チェ_セシウム137汚染地域の地図_縮小版01

強制移住ゾーンレベルに汚染された地域が、半径300kmの範囲までおよんでいることが分かります。また「5~15 キュリー/km2:希望すれば移住が認められるゾーン」が半径600kmを超えて拡大していることが分かります。

下記「」内 チェルノブイリ原発事故:何が起きたのか(今川哲二)から引用 
「原発事故ではさまざまな種類の放射能が放出される。事故直後に問題になるのは、半減期が比較的短く(8日)体内に入ると甲状腺が特異的に被曝をうけるヨウ素131であるが、長期的な汚染で最も問題なのは、半減期30 年で、遠くまで飛散し食物にも移行しやすいセシウム137 である。」

このデータは、国土の狭い日本にとっては重大な意味を持つデータだと思います。

福島原子力発電所の事故が、チェルノブイリ級にならないようにするためには、今後、放射性物質の拡散をどこまで抑えられるかが重要だと思います。また、放射性物質の観測、採取、計測する作業も大切。

今回の事故をチェルノブイリ原発事故と比較しながら、状況を把握したり必要な対策を考える事は、非常に有効な手段であり、忌避するべきではないと思います。一部の人たちにチェルノブイリを引き合いに出すことを「忌避する」ムードがあるので、いちおう私の考えとして書いておきます。

ただ今の日本に十分な機材がそろっているのかが心配です。政府に正確な情報の提供を求めるにしても、ひょっとして、十分な情報を集めるための人手も機材も足りないのでは????


チェルノブイリと比較するのは「尚早」か?
今回も余談として紹介します。
先日、日本を訪問したIAEAの天野之弥(ゆきや)事務局長が、がっかりな発言をされました。asahi.comに掲載された記事から引用します。

天野之弥IAEA_01
国際原子力機関(IAEA)の天野之弥 事務局長

"「チェルノルブイリと比較は極端」天野IAEA事務局長"から引用
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天野氏は「原発の安全性は各国が責任を持つのが大前提であり、IAEAは『原発の安全の番人』ではない」と主張。核施設の査察では「核の番人」と呼ばれるIAEAも、原発事故の対応では当事国に対し強制力を伴う権限がなく、「協力者」に過ぎないと訴えた。
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なお、この発言は、朝日新聞 2011年3月25日 夕刊の記事からは削除されています。(新聞での記事のタイトル”チェルノブイリと比較「尚早」”として掲載)

今になってこのような発言をされると、IAEAの出す情報そのものが信じられなくなります。IAEAの天野氏が日本を訪問した時は、菅総理大臣が時間が無い中を直接対応した。あれはいったい何だったのだろうか。この忙しい時にそんな奴は二度と来るなと罵声の一つもあびせたくなります。
このブログの一つ前の記事で転載した産経NEWSの記事「原発安全基準、権限なきIAEA 核の番人、限界露呈」の中で、ロシア人専門家が述べた「IAEAは原発事故という危機に対応する能力も、チームもない」との指摘をみずから認めるような発言です。


このasahi.comの記事も削除されるのが心配なので、全文を転載させてもらいます。

■「チェルノブイリと比較は極端」天野IAEA事務局長
2011年3月25日9時30分
【ウィーン=玉川透】国際原子力機関(IAEA、本部ウィーン)の天野之弥(ゆきや)事務局長が24日、朝日新聞の単独インタビューに応じた。天野氏は福島第一原子力発電所について「依然として深刻な状況にある」との見方を示す一方、放射能汚染については1986年の旧ソ連・チェルノブイリ原発事故と比較するのは「時期尚早だ」と述べた。

天野氏は福島原発をめぐり「良い傾向も見えているが、同時に懸念すべき要素もある」とし、放射性物質の放出源特定が急務だと強調した。一方、農産物や水道水などの放射能汚染については「日本の基準に照らして深刻な状況だ」と指摘。そのうえで、チェルノブイリ事故と関連づけた汚染の分析や予測に対し、「非常に限られたデータを元にしており、いかにも極端だ」と疑問を呈した。

また、IAEAとしてすでに派遣している放射線計測の専門家に続き、人体や食品への放射性物質の影響を調べる専門家派遣を日本側と調整していることを明らかにした。

今回の事故でIAEAは、日本政府を通じて入手した情報を加盟国に提供してきたが、「情報量が少ない」「後手に回った」と批判もされた。天野氏は「原発の安全性は各国が責任を持つのが大前提であり、IAEAは『原発の安全の番人』ではない」と主張。核施設の査察では「核の番人」と呼ばれるIAEAも、原発事故の対応では当事国に対し強制力を伴う権限がなく、「協力者」に過ぎないと訴えた。

国際的な原発の安全基準については「津波などに対する今の設定が本当に良かったか議論されるべきではないか」と指摘。加盟国に対し基準強化に向けた議論を促すと共に、早期に日本へ調査団を派遣する考えを示した。

各国の原子力政策については、「脱原発」に路線変更する国が多数出ると見る一方で、「原発が安定したクリーンなエネルギーだという事実は変わらない」と指摘。各国の冷静な対応を期待した。
(asahi.comの記事はここまで)


もうおこってしまった事を後悔しても無駄。責任追及などしても意味が無い。慢性病を持ちやすくなるといっても、日本人が滅びるわけでもない・・・ただ、出来るだけ被害を少なくして欲しいと思うだけ。与党も野党も協力して事態の収拾に努めて欲しい。 今回の事態に対応するためには与党の人材だけでは足りないでしょう。「政局の具にするな」などというレベルで議論している場合ではありません。

少々、疲れました。

被災していない地域の人間が意気消沈していても仕方が無いので、次回の更新時には、もっと平和な記事を書こうと思います。


(外部関連サイト)

■チェルノブイリで起きた原発事故についても上記記事の引用元の資料
チェルノブイリ原発事故:何が起きたのか ※サイズ2.46MB
一読することをお勧めします

■放射能の影響を考えるための参考サイト
武田邦彦さん(中部大学)のブログ
原子力の利用について参考になる情報を逐次発信しています

東京電力 随時更新中の最新情報 現在値
福島第一・第二原子力発電所モニタリングによる放射線の計測状況

■ドイツ気象台による福島原発の放射性物質の拡散予想
※UTC時間で発生状況を表示しているので、
日本時間ではUTC時間より9時間をはやい段階での状況
UTCを日本時間に直すにはUTCに9時間プラスする。24時で日付が変わる事に注意

■ノルウェー気象研究所の拡散予想図

■環境放射能モニタリング測定値 - 福島県

■文部科学省まとめ 都道府県別 環境放射能水準調査結果

■文部科学省HP
福島原発周辺の土壌汚染の状況を公開し始めています

■文部科学省 東北地方太平洋沖地震関連情報

■茨城県環境放射線監視センター

■新潟県 放射線監視センター

■静岡県環境放射線監視センター
または下のURLからリンク

■東京電力URL ※プレスリリースで原発付近の放射線量の発表することがある
計画停電についてもこちらから

■厚生労働省HP
「放射能汚染された食品の取り扱いについて」は厚生労働省のHPから検索できます。




福島原発事故の放射能汚染レベルは、子供の立場で基準を決めろ

福島原発事故での放射能汚染の問題を、どう考えたらよいのか迷っていたので、ブログを書けないでいたが、中部大学の武田邦彦さんのブログを読んで問題点がはっきりわかった。

政府もマスコミ・報道も、人間の放射線の被曝量の限度は、やはり1年に1ミリシーベルトまでを基準として考えるべきである。そうしないと子供が危ない

テレビ、新聞は「1年に100mシーベルトまで大丈夫だ」という立場で報道しているが、それでは駄目だ。「1年に100mシーベルトまで大丈夫」という考え方が浸透してしまうと「子供は大人より弱い」という事を忘れてしまう。とくに福島県の飯館村は、せめて子供だけでも避難させたほうが良い。

武田邦彦さんのブログ「原発 緊急情報(45) 迷っている人に(被曝は合計)」を読んで下さい。

”放射線は漏れた直後が高いので、すぐ避難すると合計が少なくなります. 放射線の事故は「初期被曝を避ける事」が大切で、責任ある人や専門家は、危ないかどうか判らないときには「危ないかも知れないからすぐ避難した方がよい」”という対処をすることが大切であると書かれています。

チェルノブイリの原発事故でも、セシウム137で1平方メートルあたり1キュリー(37,000ベクレル)以上汚染された地域を「放射能管理が必要なゾーン」~「強制避難ゾーン(戻れないという意味)」に指定したのは、37,000ベクレルが「その地域は原発事故から最初の1年で被曝線量が1mSv(おそらく1mSv/年の意味)にあたるので放射線学的に重要」ということからである。ここでも「最初の1年」を問題にしているのも「初期被曝」が問題だからだろう。

IAEAのまとめた、チェルノブイリ原発事故20年目の文書
このPDF文書の23ページ目の記述がそれである。
Soil deposition of 137Cs equal to 37 kBq/m2 (1 Ci/km2) was chosen as a provisional minimum contamination level, because: (a) this level was about ten times higher than the 137Cs deposition in Europe from global fallout; and (b) at this level the human dose during the first year after the accident was about 1 mSv and was considered to be radiologically important.

被曝量の限度は1年で1ミリシーベルトという基準はやはり重要なのだと思う。私は放射線については素人なので、バカな計算をしているかもしれないが、被曝量の限度を1年で100ミリシーベルトと考えると、どういう事になるか計算してみる。

チェルノブイリ原発事故では、1平方メートルあたり148万Bq以上を強制避難ゾーン(戻ってはいけないゾーン)に指定していますが、3万7千ベクレルが1mシーベルト/年とすれば、148万ベクレルはその40倍、40mシーベルト/年になる。

被曝量の限度を100mシーベルト/年にしてしまうと、148万ベクレル/平方メートルに汚染された強制避難ゾーンさえ、全く問題ない汚染レベルということになってしまう。

そこで、「実際にこの汚染レベルで例えば発癌率が増えたのか」、という事が問題になるわけだけれども、今、こういうレベルでものをを考えていると、ド壺にハマルのだ。

被曝量を見積もる計算は難しいようで、たとえばベクレルを単純にシーベルトには換算できない。この被曝量の見積もりをどうするか、とか、チェルノブイリで汚染された地区で発癌率が増えたと科学的に証明できるのか、などということを問題を「じっくり」考えていると、一番重要な初期被曝を避けるタイミングを失ってしまう。

とにかく今重要な事は「被曝量の限度は1年で1ミリシーベルト」であると考えて、その基準を上回る危険があるようなら、すぐに逃げる事が大切なのだ(と私は思う)。

IAEAが福島県飯館村の土壌で放射性物質の調査をした結果について、あれはセシウムでなくヨウ素だったとか、数字が間違っていたとか言っているようだけれども、そんな議論に囚われていると「科学的な正確さの迷路」に入り込んでしまう。

ムダでも最初は逃げろ!が原則です。最初のタイミングに「安全」は禁句である(武田邦彦さんのブログから引用)

なお文部科学省が発表している放射性物質の汚染レベルは、土壌1kgあたりで発表している。これを1平方メートルあたりに換算するには、今中哲二さんが使っている簡易換算方法が分かりやすいので、それを使うと良いと思う。

それは1kgあたりのベクレル値を20倍すること。例えば、土壌1kgあたり16万3000ベクレルのセシウムが含まれている場合は、16.3万ベクレル×20=326万Bq/平方メートル。ここでも重要なのは、37,000ベクレル/平方メートルが1ミリシーベルト/年にあたるのだから、それを超えたら危険と判断するべきだ。
※この今中氏の換算方法は「美浜の会」のHPをもとにしました。


(外部関連サイト)
■放射能の影響を考えるための参考サイト
武田邦彦さん(中部大学)のブログ
原子力の利用について参考になる情報を逐次発信しています

■文部科学省HP
トップページの「福島原発周辺放射線モニタリングデータ」から
土壌の汚染度の観測データが閲覧できます。
福島県 飯館村のヨウ素とセシウム濃度は計測結果が一定していないが比較的高濃度で推移しているように見えます

■ドイツ気象台による福島原発の放射性物質の拡散予想
※UTC時間で発生状況を表示しているので、
日本時間ではUTC時間より9時間をはやい段階での状況。
UTCを日本時間に直すにはUTCに9時間プラスする。24時で日付が変わる事に注意

■ノルウェー気象研究所の拡散予想図
フランスねこのNews Watching
フランス語で発信される福島原発事故関連記事を読むから転用させていただきました


放射能に汚染された食品を食べると、何が起きるのか。子どもと大人では、汚染された食品の影響はどんな風に違ってくるのか。
チェルノブイリ原発事故の後、重度の汚染に苦しむ周辺地域で長く調査を行ったネステレンコ博士他のデータを参照してみた。
チェルノブイリ原発事故から14年が経った2000年になっても、周辺のウクライナ国ロフノ県とズィトミール県では、90%以上の野いちごとキノコで許容量を超えるセシウム137が見つかっていた。
以下は、1993年にベラルーシ国ブレスト県、ゴメル県、モジレフ県で行われたセシウム137による汚染調査による結果の一部である(安全基準は当時政府が設定していたもの)。
キノコ    安全基準370ベクレル/キロを超えたキノコの割合: 80.5
(参考: 福島県飯館村のシイタケ 7200ベクレル/キロ  421日調べ)
(     埼玉県秩父市のシイタケ 34.8ベクレル/キロ  419日調べ)
クランベリー  安全基準185ベクレル/キロ を超えたクランベリーの割合: 62.7
狩猟動物の肉  安全基準600ベクレル/キロ を超えた肉の割合: 58.4
牛乳      安全基準111ベクレル/キロ を超えた牛乳の割合: 14.9
水       安全基準185ベクレル/キロ を超えた水の割合: 8.8
大人に比べて体重が軽く、新陳代謝が激しい子どもは、大人と同じ量の汚染食品をを摂取した場合でも、大人の35倍以上の放射線にさらされる。
放射能に汚染されたベラルーシのゴメル県では、事故から10年・20年後の1995年から2007年にかけての時期になっても、7090%の子どもの体内に1キロ当たり1520ベクレルを超えるセシウム137が蓄積されているのが見つかっていた。
これは、年0.1ミリシーベルトの内部被曝をひきおこす放射線量である。
多くの村では、子どもの体内1キロ当たり200400ベクレルのセシウム137が検出され、最大では1キロ当たり7,300ベクレルにも相当するセシウム137を蓄積していた子どもも見つかっている。1キロ当たり2000ベクレルのセシウム137を蓄積すると、年最大100ミリシーベルトの被曝を受けることになる。
同じく、多くの村では最大で33%までの子どもが、年1ミリシーベルトの公式最大許容量を超える放射線を浴びていた(当時の政府が設定した基準。福島では現在、子どもに対し20ミリシーベルトが公式許容量として設定されている。年20ミリシーベルトとは、米国・ドイツの原発作業員における放射線被曝量の上限に相当する)。
1991年から2005年にかけて、ベラルーシ、ウクライナ、ロシアの汚染地域では、人々の体に蓄積されたセシウム137とストロンチウム90の量は減るどころかむしろ増加の一途をたどった。現状での放射性落下物の90%以上が半減期30年のセシウム137であることを考慮すると、今後30年の間、汚染地域では放射能汚染による危険な状況が続くと考えられる。
出典:ネステレンコ、ネステレンコ、ヤブロコフ「チェルノブイリによる食品と人々への放射能汚染」/『チェルノブイリ―大惨事が環境と人々にもたらしたもの』第12
カール・グロスマンのテレビ番組「環境クローズ・アップ」による同書特集(日本語の字幕付き)




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