2011年10月17日月曜日

<放射性物質>新種の藻類「バイノス」が高い吸収効率


<放射性物質>新種の藻類「バイノス」が高い吸収効率

毎日新聞 10月17日(月)10時14分配信
<放射性物質>新種の藻類「バイノス」が高い吸収効率
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ゼリー状の球体に加工したバイノスをシャーレに出す山梨大の志村助教=山梨県中央市の山梨大医学部で、岡田悟撮影
山梨大医学部(山梨県中央市)などの研究グループは、東京電力福島第1原発で汚染水の浄化に使われている鉱物「ゼオライト」より新種の藻類「バイノス」の方が、放射性ストロンチウムとヨウ素の吸収効率が高いことを実証した。同原発での実用化に向け大手プラントメーカーと交渉中で、今月末に放射性物質で汚染された土壌処理にバイノスを活用するデモンストレーションを福島県伊達市で実施する予定だ。

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バイノスは筑波大系のベンチャー企業「日本バイオマス研究所」(千葉県柏市)が既に汚泥浄化用として製品化しており、放射性物質汚染にも対応できないか北里研究所(東京都港区)などと共同研究していた。

山梨大医学部第3内科で甲状腺疾患などを研究している志村浩己助教が依頼を受け、福島県浪江町の側溝などにたまっていた汚染水で4~7月、実証実験を実施。その結果、放射性セシウム137とストロンチウム各2メガベクレル、放射性ヨウ素3メガベクレルがそれぞれ入った水1リットルにバイノス100グラムを入れて遠心分離機にかけると、10分間でストロンチウムは8割程度、セシウム137は4割程度を除去できた。ヨウ素も24時間で4割程度減った。ゼオライトと比較実験したところ、ヨウ素についてはゼオライトはまったく吸収しなかった。ストロンチウムについては約1時間で、ゼオライトは約6割しか吸収しなかったのに対し、バイノスは95%吸収した。

バイノスは藻のため、光と炭酸ガスがあれば容易に増やせる。乾燥させると重量が20分の1になるため、吸収後の処理の簡略化も期待できるという。

デモンストレーションは、日本バイオマス研究所など複数の企業が行う。除染後に生じた汚染土壌をバイノスで無害化し、使用後のバイノスを1次保管するまでの作業を公開で実施する。【岡田悟】
    第82回新技術開発-05
    微細藻類を用いた排水生物処理装置の開発
    技 術 開 発
    契 約 者
    株式会社 日本バイオマス研究所
    代表取締役 湯川 恭啓
    所 在 地茨城県つくば市
    技   術
    所 有 者
    株式会社 日本バイオマス研究所
    技   術
    開 発 者
    株式会社 日本バイオマス研究所
    開発Gr.グループ長 黒崎 大輔
    【技術開発内容】
     活性汚泥法などによる各種工場・事業所の排水処理を、更に強力なバイオの力を利用して大規模な設備改造を施すことなく、曝気の低消費電力化、糸状菌などの有害菌の発生抑制などを行うもので、省エネで環境に優しい新規排水処理装置(浸漬ろ床法)に関する技術である。
    新規に発見し微生物の国内及び国際寄託された微細藻類(パラクロレラ・バイノス)からの分解酵素などの代謝物による、糸状菌などの有害菌の直接の発生抑制効果や、この代謝物を好む共生微生物による汚泥中の有機物分解促進効果により汚泥量の削減効果が得られる。
    バイノスは、細胞の80%以上が葉緑体から構成されており(図1)、上から(1)透明体、(2)バイノス、(3)フィルタ、(4)保護材の順に4層構成された透明フロートを排水中に浮かべ、バイノスの光合成により水を分解して酸素を放出し、この酸素をバイノスの周囲に共生した微生物群が吸収して排水中の有機物などを分解(酸化)するという排水処理方法である(図2)。 各種工場から排出される廃液・汚泥の処理には多大なエネルギーや費用がかかっており、排水処理に微細藻類を活用するこれまでにない特長の本技術が完成すれば、費用削減、省資源などの面での効果が大きく、経済性・公益性に優れた循環型社会の構築に貢献できる。 

    図


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