食品放射能調査 第1回目:秋のお魚調査
大手スーパー5社で調査を行ったところ、暫定規制値は超えないものの、放射能汚染された商品が広く販売されていたことを確認しました。
放射能測定室 シルベク 食品放射能調査
第1回目:秋のお魚調査
(スーパーマーケットで売られている魚介類の放射線値検査)
調査結果より
- 一般に販売されている魚介類に放射能汚染された商品が幅広く混入していることを確認。
(全60サンプル中34サンプルから放射性物質を検出) - 商品の外見や表示(ラベルなど)からは汚染度合いを見分けることができず、消費者が知らないうちに汚染された魚介類を口にしている可能性が高い。
- 暫定規制値を超える魚介類は今回の調査では検出なし。
- 汚染度合いが最も高かったのはユニーで購入したワカサギ(茨城県産)で88Bq/kg。
- 特定のスーパーではなく、調査対象の全てのスーパーから、汚染された魚介類商品が検出された(サンプル数は各社公平に12個ずつ購入)。
- ブリ(岩手産)、カツオ(宮城産)、マイワシ(千葉産)など季節の魚で広く流通されているものから汚染が確認された。
ただしサンマやサケ(秋鮭)からは汚染が確認されず、海藻の商品からも検出がなかった(サンプルは季節の魚を中心に購入)。
今回の調査で明らかになった魚介類の放射能汚染は、東京電力福島第一原子力発電所の事故に依るものです。
また流通規制の強化や食品安全の保障は、本来であれば企業ではなく政府が早急に行うべきことです。
また流通規制の強化や食品安全の保障は、本来であれば企業ではなく政府が早急に行うべきことです。
グリーンピースは政府に対し迅速かつ適切な対応を要請していますが、依然として東京電力による情報開示は未だ満足に進まず、政府の対応もきわめて遅いままです。
そうしているうちにも大量の魚介類が広く流通され、私たち消費者の口に入ってしまっています。
この現状で、魚介類消費における安心確保に最も敏感に動き出せるのは、流通経路の中で消費者に一番近い位置にある大手スーパーマーケットです。
詳細結果
- 5 社全てに、放射性物質(セシウム134,137)が検出された商品あり。
日本政府が定める暫定基準値(1キログラム当たり500ベクレル)を下回っているものの、一般に購入できる魚介類商品に放射能汚染があるという事実が明らかになりました。
(全60サンプル中34サンプルから放射性物質を検出) - イトーヨーカドーで購入した12サンプル中8検体から放射性物質を検出
(ダイエーと並んで対象スーパー中で最多)。 - ユニー(アピタ)で購入したワカサギ(茨城産)から88Bq/kgを検出
(採取サンプル中で最高)。 - ダイエーで購入したブリ(岩手産)から60Bq/kgを検出。
ダイエーで購入した12サンプル中8検体から放射性物質を検出 (イトーヨーカドーと並んで対象スーパー中で最多)。 - ブリ:8サンプル中6サンプルから放射性物質を検出。
- カツオ:18サンプル中14サンプルから放射性物質を検出。
- マイワシ:6サンプル中4サンプルから放射性物質を検出。
- サンマ・サケ:放射性物質を検出せず。
調査の背景
- 消費者は家庭で最も多くの魚介類を消費しており、その最大の購入先がスーパーマーケット。
© Kazuya Hokari / Greenpeace - 2011年10月20日現在、大手スーパーで、魚介類の自主検査の実施を公表している企業がAEON一社のみ。
- 自主検査の実施や、流通規制の策定を行っていない大手スーパーが拠り所としている行政指導だけでは、消費者の安全性を確保しきれない。
- 多くの消費者は「暫定規制値以下かどうか」だけではなく、実際に魚介類がどれほど汚染されているのか、その具体的なベクレル値を知りたがっている。
- 日本は、一人あたりの食用魚介類供給量が世界一。
(人口百万人以上の国の中で)
調査内容
- 調査期間:2011年9月4日~2011年10月7日
- 対象店舗:AEON、イトーヨーカドー、ユニー(アピタ)、ダイエー、西友
- 対象地域:東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、茨城県、福島県、宮城県の店舗
- 対象サンプル:秋の魚で、東日本太平洋側で捕獲された魚介類商品を中心に、各スーパーで12商品ずつ購入。
- 検査方法:「グリーンピース放射能測定室 シルベク」で、NaIシンチレーション検出器を用いてスクリーニング検査の後、第三者機関(日本食品エコロジー研究所)で、ゲルマニウム半導体検出器を用いて検査。
©Greg McNevin / Greenpeace
<スクリーニング検査について>
「シルベク」で行うスクリーニング検査(精密検査前の簡易検査)には、短時間(30分前後)でセシウムなどの放射性物質が食品に含まれるかどうかを迅速に検査できる、NaIシンチレーション検出器(Berthold Technologies社製 LB 2045)を使用しています。
また、この検査器で正確な計測を行うために必要な以下の作業を、ACRO(フランスの放射能測定専門機関)の協力のもと、導入時から定期的に行っています。
「シルベク」で行うスクリーニング検査(精密検査前の簡易検査)には、短時間(30分前後)でセシウムなどの放射性物質が食品に含まれるかどうかを迅速に検査できる、NaIシンチレーション検出器(Berthold Technologies社製 LB 2045)を使用しています。
また、この検査器で正確な計測を行うために必要な以下の作業を、ACRO(フランスの放射能測定専門機関)の協力のもと、導入時から定期的に行っています。
- 検出器の校正:測定のずれを把握して補正する
- 係数の更新:検出器から得られる計数率(※)を放射能(ベクレル/kg)へと換算する際に必要な係数を補正する
※係数率とは
単位時間当たり(秒や分など、計測器・方法・目的によって異なる)に検出器に入射した放射線の数。
単位時間当たり(秒や分など、計測器・方法・目的によって異なる)に検出器に入射した放射線の数。
グリーンピースからの提案
日本で消費者にとって最大の魚介類購入先であるスーパーは、対応の遅い行政の指導を待つ姿勢を改め、安心を求める消費者の声に対応すべき。
具体的には以下の3点。
具体的には以下の3点。
- 牛肉、野菜、米などに限らず、魚介類も独自の放射能検査を実施し、その結果を公表することで、消費者に選択購入の基準を提供する。
(現在はAEON1社だけが、魚介類の自主検査の実施を公表) - 政府が定める暫定規制値を安全基準とせず、独自の流通基準を設け公表することで、消費者に安心を提供する。
- 水産庁による「東日本沖の太平洋側で獲られる、魚介類商品の産地表示を『水揚げ港』ではなく『漁獲海域』に徹底する」よう求める通知に従い、消費者に選択購入の基準を提供する。
グリーンピースの活動
- お魚ツイートを通じて、引き続き消費者と一緒にスーパーに3つの提案を実行してもらう事を呼び掛ける。
ぜひ皆さんも今すぐご参加を>> - 今回の調査結果を含め、これまでの調査結果を元に、引き続き大手スーパーと交渉、合わせて水産庁にも要請を続けて行く。
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