これまで一貫して低線量被曝の危険性を訴えてきた
ジョン・ゴフ
「たった1個あるいは数個程度の放射線の飛跡でも、
人間
このゴフマンの主張をはっきり
またいままでの放射線影響の概念をくつがえすような現象
つぎつぎと明らかになってきている。
米国コロンビア大学のHei,T.K.らのグループは
顕微鏡で
ねらいを定めた細胞に
望みの数のアルフ
ハムス
ヒト1番染色体を入れた細胞核に
1個当たっただけで20%の細胞は死に
生き残った細胞にも変異が起こることを初めて証明した
(Pro
同グループは同じように細胞質にもアルファ粒子を照射し、
細胞
(Proceeding National Academy of Science,USA,96,4959-4964,1999)
細胞質に放射線が当たって死ぬ細胞は少ないので
放射線の影響は
細胞核に当たるよりもっと危険であるとも言える
これまでは細胞の中に標的を想定して、
ここに放射線という「弾
細胞が死にいたるという考え方がされてきた
しかし、この「標的理論」はくつがえされ、
照射された細胞の近
照射されていない細胞にも被曝の情報が伝わる
ことが明ら
これらの現象は
「バイスタンダー(Bystan
と総称されるようになった。
どのようにしてこんな
なにを媒体としているのか
安全量は存在しない
この効果は、アルファ線に限らずエックス線などでも起こり、
線
また、放射線照射した細胞培養液で処理した場
(Mothe
細胞以
バイスタンダー効果が起きるひきがねとなる可能性も示
放射線で遺伝子が直接傷つけられなくても
細胞に突然変異や発がんが起きる可能性があることを明らかにし
細胞と個体とは直接的には結びつかないにしても、
まったく言えないことを示してい
これまで、
原子力発電所や再処理工場周辺でがんや白血病が発生
「こんなに低い被曝線量ではがんや白血病は起こり得な
と放射線被曝との因果関係を否定され続けてきたが、
どんなに
日本での議論独自の主張を持っているのか?
原子力安全委員会は、
JCO事故の反省と2001年の省庁再編
独立性と機能を高めることを求められた。
そして
「行政庁
科学的・客観的知見をよりどこ
所要の政策の企画や、
行政庁の
とい
放射線障害防止基本専門部会
(主査:丹羽太貫京都大学放射線生物研
これらを背景に2001年9月にスタートした
この分科会の目的は、
低線量放射線リスクの科学的基盤を明らか
かなり率直な議論が展開さ
バイスタンダー効果については、
松原純子安全委員会委員長代理
「たとえ細胞レベルでこのような現象が起きても、
個体の放射
障害があっても必ずそれを修復する作用があ
発がんまでのプロセスにおいて働くさまざまな防御機構
という強い主張がたびたびなされた。
それに
「修復作用はあるだろうが、防護機構についての確
とし、現時点での科学的知見にもとづいた
低線量放射線影響研究体制のありかたをめぐる議論では、
これま
専門の科学者としての自嘲とも深い
つぎのような発言が出た。
「日本には広島・長崎の原爆被爆生存者の疫学調査の解析があり
重要な役割を果たしてきたのに、
リスク評価においてはなんの役
「すべての説明責任を「ICRP(国際放射線防護委員会)がこ
ということですませてしまっている。日本は独自の
「これまで原子力開発側の要望に則してきてしまっているが、
ほ
「日本では放射線生物学をやっていると、
それはまっとうな科学
大学院で放射線生物学をや
「放射線生物学をやるということに胸を張る人がだんだん少なく
「社会のニーズを喚起して、
研究者として拠って立つところを構
こうした発言は、実態をどうにかしなければならないとする
決意
ホルミシス効果を強調したかたよった議論
もうひとつ低線量放射線分科会で、強く印象に残った委員の発言
「かつて『アルファ粒子1個でも突然変異を起こす』
とい
原子力安全研究協会からクレ
低線量の生体影響の研究でも、
低線量被曝はむしろ健康にいいん
「放射線ホルミシス」のような研究は電力会社などからも
新聞や雑誌などでも特集が組まれ大々的に宣伝されて
それに対し、危険性が高いことを示す研究に対しては、
研究
9月25日、電力中央研究所低線量放射線研究センターの主催で
「低線量生物影響研究と放射線防護の接点を求めて」
をテーマと
ICRP第1委員会委員長のロ
チョークリバー研究所(カナダ)のロナルド
大阪大学医学部の野村大成氏、
丹羽太貫氏、
松原
長崎大学の渡邊正己氏、
電力中央研究所の酒井一夫氏らが
その後の電力中央研究所名誉研究顧問の
田ノ岡宏氏が座長となり
「低線量放射線は生体に対しプラスかマイナ
クイズと称して
「よい影響、悪い影響、どっちが多い?
を問うことに終始したひどいものだった。
真剣に研究に取り組ん
「そういう質問には答えにくい。確かに応答は
すべての場合に防護作用が働くと錯覚しまうことは危
「基本的にはわからない。
免疫機能は高まっても、なぜそ
などの発言があった。
各講
しかし、座長の田ノ岡氏は
放射線ホルミシス効果を支持す
まじめに研究に取り組んでいる科
先に述べた低線量放射線影響分科会では、
これまでに
放射線ホル
反省の上
現象として見つけただけではだめで、
その機
そして、バイスタンダー効果などを考えると、
より安全側に立たな
放射線のリスクやその評価の問題は、
専門外の人や一般市民にと
専門家はわかりやすく解説し伝えるという努力
また、市民にとっても非常に重要な問題なので、情報は市民に積
市民もまじえた議論の枠組みを作ることがぜひ必要
放射線影響の安全評価を行なっている機関
・ICRP (International Commission on Radiological Protection)
国際放射線防護委員会
・UNSCEAR
(United Nations Scientific Committee on the Effects of Atomic Radiation)
国連放射線影響科学委員会
・BEIR (Biological Effects of Ionizing Radiation)
電離放射線の生物学的影響に関する米国科学アカデミー委員
・RERF (Radiation Effects Research Foundation)
放射線影響研究所(日本)
・NCRP (National Council
on Radiation Protection and Measurement)
アメリカ放射線防護測定審議会
・NRPB (National Radiological Protection Board)
国立放射線防護委員会(英国)
(渡辺美紀子・スタッフ)
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