小出裕章氏講演会2012/01/21 ~考えよう、わたしたちと子ども 小出裕章氏 IN FUKUSHIMA 小出さんは、”ブレない”。やはり、”真実の人”であった。

小出裕章氏講演会~考えよう、わたしたちと子どものあした。~ 第一部2012/01/21  
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小出裕章氏講演会~考えよう、わたしたちと子どものあした。~ 第二部

小出裕章氏 IN FUKUSHIMA
小出さんは、”ブレない”。やはり、”真実の人”であった。
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 一つは、『子供を被曝させない』ということです。
 もう一つは、『1次産業を守る』ということです。
 日本というこの国は、これまでずーっと一貫して、工業化すればいいんだということで、1次産業を崩壊させながらきたわけですし、その象徴は原子力発電というものだったと私は思います。その原子力発電所が事故を起こした時に、1次産業を更に崩壊させるというようなことをやったら、もう取り返しのつかない未来になります。何とか私は1次産業も守りたいと思います。
 まず『子供を守る』ということですが、どういうことか。
 まず、子供には原子力を選んだ責任がありません。
 この会場にもちいちゃな子供が何人も来てくれているけれども、そういう子には、原子力を選んだ、或いはこんな今回のような事故を起こした責任は無いのです。
 もちろん重たい責任は東京電力にあるだろうし、政府にもあるだろう。原子力の旗を振ってきた学者にも、重い責任があると思います。
 私は原子力の旗は振りませんでしたけれども、原子力の場に居た人間として、責任があると思います。
 でも、この会場に居る大人の皆さんは、これまで、「国が絶対安全だと言ってるから」ということ信じて、原子力を見逃してきたんだと思います。
「騙されてきたんだから、仕方がない」
と、いう言い訳はできると思います。皆さんは。
 でも、「騙されたんだから、仕方がない」と言ってしまうなら、また騙されます。
 日本の大人の人には、全て『騙された責任がある』と思っています。
 でも、少なくとも子供には責任がない。
 そして、その子供というのは、放射線の被曝に対して、ものすごい感受性が高いのです。それを今、ここに書いてみようと思います。
 放射線ガン死の年齢依存性というものを、この白いキャンバスに描きます。何を書くかというと、1万人『Sv』と書いてある、これは『シーベルト』という被曝の単位です。1万人シーベルトあたりのがん指数というのを書きます。
 1万人シーベルトというその単位は、多分皆さんはピンとこないと思うのですが、例えばこんなものです。
 私が1シーベルトの被ばくをする、私のような人間を1万人集めてくると、合計の被曝量が1万人シーベルトになる、そういう単位です。
 皆さんは、1年間に1ミリシーベルトしか浴びてはいけないという国の法律ですから、1ミリシーベルトしか浴びていないのであれば、1万人シーベルトという被曝の総量に達するためには、逆に人数をたくさん持ってこなければいけない。1000分の1の被曝なわけですから、逆に人数は1000倍集めてくる。つまり1000万人の人々が1ミリシーベルトの被ばくをしたときに、1万人シーベルトという合計の被曝量になるという単位です。
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 そのときに、じゃあ一体どれだけのガンで死ぬ人が出るかというと、30歳の人であれば、3855人がガンで死ぬ。これは、どのくらいの危険度化というと、全年齢平均をした被曝の危険度が、ほぼ30歳の人です。今日この会場にも、ほぼ30歳くらいの方がいらっしゃるように見えますが、そういう方々は、人間としてほぼ平均的な被曝の危険度を受けると思ってください。そして、歳をとっていくと、どんどんどんどん被ばくに対しては鈍感になっていきます。どのくらい鈍感になるかというと、こんな。
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 55歳にもなれば、平均的な危険度の、約100分の1。
 この会場にも55歳を過ぎた方はたくさんいらっしゃると思うけれども、そういう人は、もう被曝しても大したこと無い、ということになってるわけです。
 私はもう60を過ぎましたけれども、もう私なんか被曝したって、ものすごい鈍感だと、そういう年になってしまっているわけです。
 逆に言うと、年が若くなると、もっともっと危険は逆に大きくなります。ゼロ歳の赤ん坊なんていうのは、こんなん。
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 平均的な人、人間に比べれば、4倍も5倍も被曝の危険が大きい。
 私なんかに比べれば、もう・・・100倍、1000倍というようなほど、被曝の危険が大きいということなんです。
『なんとしても彼らを守らなければいけない』ということが、これから私たちがやるべきことです。
 こういう現実の中で、国が何をやろうとしてるかというと、国が今やってることはこういうことです。
 例えば食べ物でも何でもそうですけど、基準を決める。
『基準を超えたものは排除する。市場に出回らせない。だから、安全だ。それ以下の基準以下のものは、もともとも安全だ。結局放射能は何の問題もないよ。』
 そういう宣伝を、今、彼らはやってるんですね。それは、汚染の実態を隠すということです。
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 基準を決める、例えばついこの間まで、牛肉でもお米でも1㎏あたり500ベクレルという基準値でした。それを超えたものは市場に出回らせない。でも、499ベクレルであれば、それは市場に出てきてしまう、そんな規制の仕方はインチキだと私は思います。
 でも、彼らはそれをやって、汚染の実態を隠すという、そういう作戦に出てきているのですね。
 この国がやろうとしてることに対して、私がやりたいことはこういうことです。
『汚染の実態を明らかにするということ』
 何よりも実態を知らなければ、子供たちを守ることはできないのです。
 強制的に避難させなければならない地域の、今膨大に汚染してるところから10万人の人が避難させられている、そこの1次産業はもう残念ながら崩壊します。どうしようもない。
 その周りの人たちだって、本当は私は避難させたい。農民も酪農家もみんな避難させたい。
 でも、日本の国家は彼らを取り残している。補償も何もしないで取り残している。そうすると、そういうところで生活している人たちが居る限り、食べ物は出来てくるんです。
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 それをどうするかということで、日本で原子力に反対をしている多くの私の仲間たちは、『東京電力に買い取らせろ』と言っています。
 結構です。それでも。東京電力が悪いんですから、買い取らせてもいい。
 でも、買い取った食べ物は、東京電力は捨てるんです。捨てることが判っているものを農業者、酪農業者が作れるか?といえば、私は作れないと思う。
 今、汚染地に取り残されている農業者、酪農業者が作ってくれるものは、やはり受け入れるしかない、捨ててはいけないと私は思うのです。
 でも、私は放射能を食べたくありません。皆さんだって食べたくないだろうし、誰にだって私は食べさせたくない。
 でも、どんなことを言ったって、全て汚れているのです。
 山梨県の皆さんは幸いだったと言ったけれども、それでも汚染がないわけではない。福島からの放射能は降ってきているのです。私は大阪に住んでいますが、大阪にだって放射能が降ってきて、地球上、もう全部に放射能が降っている。どこかで線を引いたところで、その線以下の汚染に私たちは必ず向き合わなければいけない・・・のです。
・・・どうしようもない、そういう状態です。
 そうであれば、私は東京電力に求めるのは、汚染した食料の買取・補償ではないと思います。正確に汚染度合いを測定して公表する、その仕事こそ、東京電力にやらせるべきだと思います。
 れっきとした東京電力の所有物を、彼らがばら撒いたんですから、自分の所有物はどこにあるんだということは、彼らがちゃんと測定して知らせるべきものだと私は思います。
 その作業は、線を引いたそれ以上のものを買い取るというお金とは、もっともっとお金のかかる作業ですけれども、それを東京電力にやらせなければいけない。できるかどうかわかりません。でも、もしそれをやらせることができれば、この食べ物は1㎏あたりどれだけ汚れているかというような食べ物が、ずらりと低いモノから高いモノまでずっと並ぶんですね。
 そういう時にどうするのかということですけれども、私の提案は、一つです。
『自己責任を果たす』ということです。
 こういう汚染を生じさせてしまった責任の重さに応じて、汚染を引き受けるしかないと、私は思います。
 食品の汚染を徹底的に調べる、そして汚染の高いものから低いものまで出てくるわけですけれども、それをどうするかというときに、私は提案があるのです。
 皆さん、18禁の映画というのをご存知ですね?
 18歳にならないと見ちゃいけないとかいう、そういう映画を大人が勝手に指定するというわけで、本当にそんなんでいいのかな?と私は思うけれども、でも、それを今度は食べ物についてやらなければいけない。
 60禁の食べ物、50禁の食べ物、40禁の食べ物というように、どんどん仕分けをしていって、年寄りが汚染を引き受けられるような制度を作る。子供には汚染の低い食べ物を与える。
 何度でも言いますけど、子供を守らなきゃいけない!
 責任がないし、放射線にものすごい敏感なんです。
 子供だけは汚染の低いものを食べさせなければいけない。
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 ということは、どういうことかというと、汚染の高いものが残るということなんです。それは責任の度合いに応じて、大人が食べようというのが私の提案です。
 こういう提案で、皆さんから散々怒られてきた・・・
<会場から拍手>
 拍手してくださって、ありがとうございます。
 でも、本当は食べてはいけない。でも、もう仕方がない。
 もう一言言うなら、『責任の度合いに応じて』と私は言ったわけですから、東京電力の社員食堂は、猛烈な汚染食品で作って・・・
<会場から笑いと拍手>
 国会の議員会館の食堂も猛烈な汚染食品で・・・
<会場から拍手>
・・・でやってほしいのですが、そのためにはとにかく実態を知らなければいけない。実態のわからないまま、基準を決めて、それ以下のものは勝手にやれなんてものはダメなんです。なんとか、そういうことを私はこれからやりたいと思っています。


 これは、日本の地図です。
 甲府がここにあります。
 事故を起こした福島はこの辺にあるんですけれども、皆さんの近くには、浜岡原発もあります。もし、浜岡原発で事故が起きたら、どういう汚染を生じるかというと、こうですね。
 風にのってあちこちに流れたんですけど、甲府も北へ流れた放射能の汚染地帯に入るということになる。ちょっと見にくいですけども。
 また、北の方には柏崎刈羽というのがあります。ここでもし事故を起こせば、交付はここですから、汚染地帯に入ってしまう距離にはあるわけです。
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 今回の事故に関しては、山梨県の方に限っていうなら、比較的幸運だったと思ってください。
 しかし、もう日本というこの国に住んでいる限り、どこかの原子力発電所で事故が起きれば、安全なところはもうどこにもないというくらい、私たちは原子力をこの日本に許してきてしまったと、そういうことになっています。
 事故が無くても、原子力というのは、途方もない酷いものだと私は思っています。
 なぜなら、原子炉を動かす、つまりウランを燃やすということは、核分裂生成物という放射性物質を必ず作ってしまうと、そういうことなんです。
 私たち人間は、原子炉を動かす力を手に入れたわけで、核分裂生成物を作るということはできたけれども、実はその核分裂生成物を無毒化するという力を持っていない。
 そういう核分裂生成物は、これから100万年にわたって、生命環境から隔離をしなければいけないという、そういう毒物です。
 一体どれだけの核分裂生成物を作ったかということを、今から皆さんに見ていただこうと思います。
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 日本では1966年に東海第一原子力発電所という原子力発電所が動き出して、今日まで膨大な電気を供給してきました。どれだけ供給してきたかというのは、この帯の高さで示しています。単位は左の軸によります。1から8まで数字がありますが、今日までの合計でいうと、約7兆キロワット・アワーという、ちょっと想像もできないと思いますが、膨大な電気を確かに送ってきた、発生させてきたんです。
 しかし、そのことは、それだけのウランを燃やしたということだし、それだけの核分裂生成物という放射性物質を作ったということと1対1に対応している。
 じゃあどれだけかというと、右の軸で読んでいく。
 110、120という数字がありますが、これは広島原爆がばら撒いた放射性物質の110万発分、或いは120万発分という・・・想像できますか、皆さん?
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 広島原爆1発分の放射能だって、恐ろしい。何百発分か出てきたがために、今日本が崩壊するほどの汚染を受けている。
 でも、実はその陰には、百何十万発分という放射性物質を既に、私たちが電気がほしいからといって、作ってしまったというんです。
 それを無毒化する力が無いんです。私たちには。
 どうするのか?ということで、散々悩みました。
 初めに思いついたのは、こういうやり方です。
 宇宙処分。『ロケットに乗っけて、宇宙に飛ばして捨ててこい』というんですね。
 これ、できると思いますか?
 ロケットって、ときどき失敗して落っこってくる。
<会場、苦笑>
 スペースシャトルだって、打ち上げた途端にバラバラになって落ちてきたという、そうなったらもうおしまいだ、これはできないということになりました。
 次は、腐海海の底に埋めてしまえばいいという案を考えました。
 でも、これもし失敗したらどうなる?海が汚れる。海っていうものは、世界中全部繋がっている。原子力の恩恵を受けた国だけのものではない。これはやっぱり駄目だろう。国際条約で禁止されました。
 次に何を考えたか。
 氷床処分というのですが、南極です。南極というのは、厚さ1000メートル、2000メートルという分厚い氷で覆われています。その氷の上に放射能の塊を置いてくる、そうすると、放射能というのは崩壊熱というものを出していますから、どんどん氷を溶かしながら下に落ちていってくれる。最後には南極の大地にたどり着くけれども、その頃にはまた上の方に氷が張って、また閉じ込めてくれるという、まことに都合のいいことを、手前勝手なことを考えたのですが、これも
「一体じゃあ南極って誰のものなんだ?やがて資源開発ができるようになるかもしれないけど、放射能のゴミなんか捨てられてたらどうしようもない」
ということで、これも条約で禁止されました。
 そうなると、もうどうしようもない。
 地層処分というものをやるしかないということになりました。
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 これは、どこかに土地をとって、そこに深い縦穴を掘って、その底に横穴をほって、この穴に埋めてしまおうという案が、日本政府が唯一法律で決めた案に既になってしまっています。300メートルから1000メートルの竪穴を掘るのだそうです。
 深いと思いますか、皆さん?
 皆さんにスコップを渡して、穴を掘ってみろと言ったら、多分1m掘るのも大変だと思う。ですから。300m、1000m、確かに深いけれども、でも、日本というのは世界一の地震国なんです。深さ何キロ、何十キロというところで地震が起きて、岩盤をバリバリ割りながら、地表まで断層が表れるというのが地震なわけです。こんなもの、全然深くも何もない。100万年間地震が無いなんていうところは、日本にあるはずもない。
 どうしようもなくなってきて、最近はモンゴルにこれを作ろうかと、そんな恥知らずな案まで出てくるという、そういう状態に既になってしまっています。


 原子力発電所で生み出されるゴミには、たくさんの種類の放射能のゴミがあります。今日までに、原子力は46年間動いて来て、様々なごみを出しました。
 その原子力発電所を動かしたのは、9電力会社です。
 ここは中部電力でしょうか。多分そうだと思いますけれども、東京電力ですか?
 東京電力、関西電力、中部電力等の9電力ができたのは、まだ61年前なんですね。そういう国がガンガン放射能のゴミを生み出している。もっと前にさかのぼっていくと、今私たちは、電気を湯水のように使っているわけですけれども、日本で一番初めに電力会社ができたのは、まだ126年前なんですね。それより前は、日本には電気なかった。電気なんか皆使えない、そういう時代だったんですね。
 今ではもうあたかも当たり前のように作って、たくさんの放射能のゴミを生み出した。
 そのゴミのうち、比較的放射能の汚染度の低いごみというのは、低レベル放射性廃棄物と私たちが呼んでいるのですが、それは今青森県の六ヶ所に埋め捨てにしています。それは300年間お守りするんだそうです。 
 300年という時間の長さ、皆さん、想像できますか?
 300年後の六ヶ所村。
 300年後の甲府。
 300年後の日本。
 想像できるでしょうか?
 なかなか私は難しいと思う。
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 でも、300年前を知ることはできます。歴史を調べればいい。今から300年前は、忠臣蔵の討ち入りの時代。もちろん電気なんか使っていなかったし、今の私たちがこんなように電気を湯水のように使って、放射能をバンバン作って、それを六ヶ所村に埋め捨てにするなんてことは、想像もできなかったはずなんです。
 300年後には、民主党もなければ自民党も無い。
 電力会社だって無い。
 私だって、皆さんだって死んでいる。
 今の政府の偉いさんも死んでいる。
 東京電力も社長以下、皆死んでいる。
 そんな時まで、一体どうやって六ヶ所村に埋め捨てにしたゴミのお守りをするのかと、本当に気の遠くなるような作業なわけです。
 でも流石に電力会社は「責任を取れない」と言ったんです。わずか61年の歴史しかない会社が、300年も責任をとれる道理が無い。
 しょうがないから、
「放射能のゴミは、国が責任をもってくれ」
と彼らは言いました。そして、国は、
「そうだな、しょうがない、じゃあ国が責任をとろう」
と言ったわけですが、では国って一体どんな時間の長さでしょうか。
 明治維新が起きてから、まだ144年しか経っていない。それより前は、日本は階級社会で、侍はちょん髷を結って、日本刀を差していたという、そんな時代なんです。
 今、世界を支配しているアメリカ合衆国、まだ236年しか経っていない。
 国家っていったって、せいぜいそのくらいの時間の長さしかないというもの。
 まぁ、この甲府は武田信玄が多分作った町なのでしょう。そうすれば、どのくらいだろう、500年の歴史はあるかもしれない。
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 もっと日本には歴史というものがあって、邪馬台国というのがあったというんですね。卑弥呼という女王が納めていたといって、中国の古文書に書いてある。多分そうだと思います。でも、邪馬台国がどこにあったかすら、未だにわからないのです。近畿地方だという説もある。九州だろうという説もある。出雲じゃないかという説だってある。未だにわからないというのが、1800年前、そういう時間の長さです。
「日本では、いや、日本という国にはもっともっと歴史の由緒正しい、歴史の長い国なんだ」
と言いたがる人がいるんですね。そういう人々は、いつから日本ができたかというと、神武天皇が作ったというんですね。そういう人たちは、時の流れを西暦という年号では数えない。彼らは皇紀というのですが、今年は、皇紀2672年。つまり、日本というこの国が、どんなに長い歴史があったとしても、これだけしかない。
 その国で、生きている私たちが、電気が欲しいよと言って、原子力をどんどんやって、放射能をたくさんつくって、その放射能のお守りは・・・100万年するという。
・・・こんなものは、まともな考え方ではありません。
 原子力は、始まった当初から、『トイレの無いマンションだ』と言われていたんです。皆さん、トイレの無いマンションに住めますか?
 自分が生み出すごみの始末もできないなら辞めるという、そういう選択しか有り得ないと私は思います。


 これは地球です。
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 宇宙という広大無辺な広がりの中で、命というものが根付けた、大変貴重な星です。地球以外にどこかに命が根付けた星がないかと人間が探し回っていますけれども、未だに見つけることができないというほど、稀有な星です。
 この星は、約46億年前にできたのだそうです。
 できてから、命が生まれるまでには何億年もの時間がかかったし、生まれた命も原始的なものから次々とまた進化をしていって、生まれては絶滅し、生まれては絶滅しというのを繰り返すという歴史を辿ってきました。
 そして、人間も生まれました。
 もともとはサルだかゴリラだったかというような生き物が、ある時直立して動けるようになって、人間が生まれたと言われています。
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 400万年前だそうです。
 そして長い歴史を経て、狩りを覚えるようになった。約10万年くらい前だそうです。
 そしてまた長い時間を経て、農耕を覚えて集落を作って定住することになる。約1万年前。
 そして、それからまた何千年かが経って、私たちのようなこういう生活をしている人間がいる。
 これが、人間の進化なんですかね。私はほんとかなと思うのでクエスチョンマークがつけてありますけど、こういう歴史を辿ってきた。


 では、それぞれの時代に、人間がどれだけのエネルギーというものを使ったのかというと、こうだと言われています。
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 横軸の方は、時の流れを示しています。一番左の端に数百万年前と書いたところがあって、そこに原始人と書きました。そして、ここに実は帯が書いてあるんですけど、ほとんどの皆さんは見えないと思います。原始人という人が、一人1日当たりどれだけのエネルギーを使ったかというと、もう見えないくらいしか使わなかった。当たり前ですよね。自然に溶け込むようにして生きていたのです。
 それが、約10万年前になって、狩りを覚えるようになって、ちょっと帯が見えるようになってきたと思います。
 そしてまた何万年かが経って、約1万年前くらいになって、農業を始めて定住するようになったときから、はっきりと帯が見えるようになってきた。
 農業が高度化した西暦1000年以降だともっとたくさんのエネルギーを使うようになった。そして、更にどんどんどんどんエネルギーをたくさん使うようになったんですね。
 この帯の高さが、一人あたり使ってるエネルギーの量を示しています。
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 そして、この黒い線がありますが、これが人類全体で累積でどれだけのエネルギーを使ったかということなんですけど、この線を見ていただければわかっていただけるかと思いますが、人間が膨大なエネルギーをうなぎ上りに使い始めたのは、産業革命が起きてからです。
 始めに聞いていただいたように、ジェームスワットというような人たちが蒸気機関というものを発明して、水を沸騰させて湯気を発生させることができれば、その力で機械が動くということを見つけて以降、人間は膨大なエネルギーを使うようになったと、そういう年に突入しました。
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 でも、この横軸は時の流れを示していると私は言いましたけれども、これ、かなりインチキな図なんですね。なぜかというと、この右の端っこの方は、かなりの幅のところで100年という時間の流れを示しています。では、左の方はどうかというと、ほんの短いところで数百万年という時間が過ぎている。これ、全然インチキですよね。もし、これくらいの幅を100年ということで書こうとしたら、これ、数百万年前を書こうとしたら、もうずーーーーっと向こうのほうからこの図を書かなければいけないということになるはずです。


 これ、皆さんお分かりですか?
 ここは私たちが今いるところです。ここに甲府の駅があります。今私はここに5つの円を書きました。一つ100mです。最後の円だけちょっと幅が狭いのが判っていただけると思うけど、これだけ60mなんです。つまり、この最後の円に行くまで460mです。
 皆さん、今日どうやっておいでになったか知りませんが、私は甲府の駅から主催者の一人の方と一緒に歩いてきたのですが、どこかこの460mのこの円のどこからか、歩き始めて、今この会場の私のいる位置まで歩いてくるということを考えてください。
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 そして、私はなんで460mという中途半端な数字を書いたかというと、先ほど私は聞いていただいたように、地球というこの星は、46億年前にできたんです。その46億年という時の流れを460mという長さで考えてほしいんです。この円の一番外側で地球が生まれた。そして、このコラニー文化会館の、今私が居るところが現在です。ここまで歩いてくるということを想像していただいて、その間にはたくさんの生き物が生まれては絶滅し、生まれては絶滅していきました。
 では、人間が生まれた400万年前はどの辺ですか?この地図の。
 そうですね、地球誕生を46億年前を460mにする、それでは、人類が生まれた400万年前はどれだけかと聞いたわけで、40㎝です。
 ずーっと歩いて来て、この文化会館に着いたって、人間なんて居ないんです。
 そのドアを入ってても居ないんです。
 ずーっと会場の皆さんのいるところを歩いてきたって、まだ人間は居ないんです。
 この段の上に上がったって、人間はまだ地球には居ない。
 私のところが現在なら、もうここに来るまで人間は居ない。
 ながーい地球の歴史がありながら、たったこれだけが人類の歴史なわけです。
 その人類の歴史の中で、私たちが膨大なエネルギーを使いだしたのは、200年前だと私は言いました。どのくらいの長さですか?今度は。
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 ・・・0.02㎜。
 ほんっとに命が根付けたこの稀有な星である、この地球という星の上で、測ることすらできないという刹那的な時間の中で、私たち人間というものが膨大なエネルギーを使いだしてしまったということなんです。
 そのためにどういうことが起きているかというと、生物を絶滅させるということが起きるようになりました。
 1500年のときも1600年の時も、生物が絶滅するということはしょうがないのです。だから、たくさん、何がしかの生物が絶滅してきた。
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 しかし、産業革命が起きて、人間がエネルギーを使うようになったのを期と一にするように、他の動物を、生き物を絶滅に追い込んでいるというのが現在です。
 こんなことをすれば、やがて人間が破滅するということなんです。
 人間は自分のことを霊長類とかいって、名前を付けて呼んでいますけれども、本当に私は愚かな生き物だったんだなと、最近思うようになりました。

 『世界がもし100人の村だったら』という本を皆さんご存知だと思います。
 池田香代子さんという大変優れた人が書いてくれた、この世界を100人の村として考えたら、一体どんな村かということをいろんな例を出して、説明してくれている。
 これはDAYS JAPANという写真月刊誌ですけれども、それが確か2007年だったと思います。写真版の世界がもし100人の村だったらという特集号を作ってくれました。
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 その中でいろんな世界の写真を出しています。
 これはトップページですけれども、ここに何て書いてあるかというと、
『世界がもし100人の村だったら、この村で作られた穀物を平等に分ければ、全ての人が一日に2800キロカロリーの食事をとることができます』 
と書いてあります。
 2800キロカロリーというのは、命を維持するのに十分すぎるほど十分です。2000キロカロリーあれば、大人が生きられるわけですから、要するに平等に食べ物が分配できるなら、だれ一人として飢えずに済む、それだけの穀物があると言っている。
 しかし、いま世界では11億の人たちは、絶対的貧困という状態にあって食べ物が無い。そのうち5億の人たちは飢餓に直面していると、そういう不平等な世界なんです。
 これはわかって頂けるでしょうか。
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 ここにぽっかりと窓のようなものが開いていて、その下に実は子供が居るんです。これはウクライナという国です。さっきもちょっと言いましたけど、チェルノブイリ原子力発電所という原子力発電所があった国で、発電所が大きな事故を起こしたために経済が崩壊してしまいまして、子供たちが路上に放り出されるということになりました。この子が居るここのところは、下水のマンホールの下です。冬になって凍えてしまう、死んでしまうので、下水のマンホールの中で生活をするということをやっている子の写真です。
 世界の子供がもし100人だったら、7人はスラムで、5人は家族と離れて路上で暮らしています。
 日本の私たちには想像もできないような、困難な世界が・・・。
 これはイラクです。
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 米軍が踏み込んで、イラク全土を占領して、人々をこうやって尋問しながら戦争を続けてきました。米軍がイラクに攻め込んだ理由は、イラクが大量破壊兵器、つまり核兵器を作っているという理由だったんですけれども、イラク全土を探しても何もありませんでした。
 それでも米国は、一言の謝罪もしないまま、イラクの人たちをこうやって苦しめながらきたわけです。
 世界の子供がもし100人だったなら、9人は戦火の中で暮らしています。
 戦争で命を奪われる市民100人のうち、80人は女性と子供です。
 日本は、なにか、戦争など無くて平和だと思われているかもしれないけれど、未だに世界中で戦争が続いている状態です。
 これは、アフリカのスーダンです。
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 日本というこの国は、ものすごい水に恵まれた国です。水道をひねれば、きれいな水が出てきて、それをそのまま飲めます。車を洗うんだって、綺麗な水で車を洗う。トイレに行けば綺麗な水が流してくれる。
 でも世界には、水なんかない。
 こうやって水を集めて、食べ物、飲み物に使うという世界。
 75人は食べ物のたくわえがあり、雨露をしのぐところがあります。
 でも、後の25人はそうではありません。
 17人は綺麗で安全な水を飲めません。
という、こういう世界なんです。現在は。


 それでも、日本にいる私たちは、
『もっともっと電気が欲しいよ。停電なんかヤダよ。原子力をやめたら停電だぞ。どうだ?』
といって、国から脅かされている。そういう国なんですね。
 挙句の果てに、これからリニア新幹線というのを作るんだそうです。
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 皆さんの甲府を通って、東京から名古屋、大阪まで1時間で結ぶという、こんなことをすればどうなるか。
 時間が終わってしまいますので、簡単に言いますけれども、リニア新幹線を作ろうとすれば、新幹線、既存の新幹線の3倍もの電気が必要になる、と推計されています。
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 もし、リニア新幹線を作るなら、そのために原発1基を作らなければいけないという・・・。
 本当にこんなこと必要なんですか、皆さん?
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 今、日本の政府や電力会社は、
『原発やめると停電しちゃうぞ』
と脅かしをかけています。
『こういう電気の3割は原子力から既に来ている、原子力から足を洗うことはできない。もう諦めろ。』
といって、皆さんを脅かしているんですね。
 でも、それは嘘なんです。
 ここに私は水力・火力・原子力・その他と書きましたが、これが日本の9電力が持っている発電所の設備の量をここに示しています。
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「電力会社の電気が高いから嫌だ」
と言って、大きな企業は自家発電所を作っています。それも結構あるんです。
 ただ、この黄色い帯は、発電所の能力、全出力で1年稼働した場合の発電量です。でも、実際には原子力で1年稼働するなんてことないわけで、実際に発電した量はどれだけかというと、これだけです。
 水力発電所の場合には、すいませんが細かい説明はできなくて、すぐ時間が無くなりましたが、揚水発電所という大変馬鹿げた発電所を、今電力会社がたくさん持っていて、それを動かしたくないがために実際の設備利用率は2割くらいしかありません。
 原子力発電所の場合には、1度動かしてしまうと、出力を上げたり下げたりすることもできない、とにかくずーっとフル出力で動かす。中に事故で止まってるものもあるし、定期検査で止まってるものもあるけど、7割が動いている。
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 じゃあ日本で一番たくさんある火力発電所はどうかというと、48%しか動いていない。つまり52%、半分以上は止めてあるというくらい、火力発電所はあるんですね。
 そして、この青く塗った電力会社が発電した発電量のうち、原子力の青の部分が3割だと言っている。
 そして、それは本当なんです。
 でも、これがないと困るか?というと、困らない。
 なぜか?
 こうすればいい。
 原子力発電なんかやめて、火力発電で発電すれば、充分に足りた。それでも尚且つ火力発電所は3割止めておかなければならないほど余っている。
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 でも、これを私が言うと、国と電力会社が私に文句を言う。
『お前がそこに書いたのは、1年間通してのことだ。でも電気というのは、一番たくさん使う時にちゃんと供給できなければいけない。そのために原子力発電所も要るんだ』
と、彼らは言うんですね。
「冗談をよしてくれ」
と言って、私が作ったのはこの図です。
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 1930年から今日に至るまで、水力発電所が青い部分、黄色いところが火力発電所、赤いところが原子力、その上に自家発電所がどんどん増えてきてるというのが判っていただけると思います。
 そして、日本で一番電気を使ったときに、どれだけ使ったかというのが、この黒い丸印です。
 分って頂けると思いますが、水力発電所と火力発電所で十分に稼働させることができるようにしておけば、原子力発電所なんて、全然必要なかった。
 最近なんてのは、あまりに余ってるというくらい、余っている。
 即刻原子力を止めても、何でもありません。


 私は常日頃から、電気を使わないように心がけています。
 今日、私のことを紹介してくださった方も、ちゃんと言ってくださったけども、私の研究室の照明は、ほとんどついていない。京都大学の研究室ですから、エアコンはありますけれども、スイッチを入れたことが無いので、多分動かないと思います。
 家にも一台もエアコンがありません。
 電気を使わないということはいいことだし、皆さんにもお願いしたいと思います。
 でも、今年の夏、そして今もそうですけれども、国と電力会社が、
「節電しろ、節電しろ」
と脅しをかけているんですね。
『節電、原子力発電が止まっているから、節電しなきゃ困る』
というような脅しをかけている。
 私はその脅しを聞いて、
「なにくそそれなら使ってやる」
と思います。
<会場笑い>
 むしろ、それほど馬鹿げたことを私たち宣伝されて、皆さんが騙されているということが続いているのです。
 もっと注意をして世の中を見なければいけないと思います。

 最後にします。
 これちょっと写りが悪いんですが、判って頂けるでしょうか。
 人工衛星から夜の地球を見た時の写真です。
 一番明るいのは、ここですね。
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 ・・・日本です。
 夜の人工衛星から地球を見ると、日本は不夜城のごとく浮かび上がるというのです。
 本当にこんなことをする必要があるのかどうか。
 こんな未来を子供たちに残していくのかどうか。
 そのために、原子力までやって、汚染が起きたらもう国も何も知らん顔をするという、そんなものを私たちが使っていいものかどうなのかということを、皆さんに考えていただきたいと思います。
 終わりにします。
 ありがとうございました。
60

<会場、拍手>
<01:47:30頃まで>

のちほど質疑応答・最後の挨拶部分を追記いたします。
一旦失礼します。
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【質疑応答部分、追記いたします。】
(進行)ありがとうございました。
 皆さん、もう一度盛大な拍手をお願いいたします。
 まだまだ聞き足りない思いでいらっしゃる方、たくさんいらっしゃるかと思いますが、ここから15分間の休憩を挟みまして、この後4時過ぎまで質疑応答の予定をしております。
<休憩終了>
(進行)お待たせいたしました。
 只今より質疑応答を開始いたします。お早目にお席についていただけますでしょうか。
 そして改めまして、小出裕章さん、本日は、ほんっとうにお忙しい中を山梨にお越しいただきまして、貴重な講演をお聞かせいただきまして、まずお礼を言わせてください。ありがとうございます。
<会場、拍手>
(進行)是非のちほど先生には、全部見ていただきたいんですけれども、朝になってしまうほどの量のご意見とご質問が、今スタッフが見ております。貴重な時間ですので頂いた質疑応答を始めていただいてよろしいでしょうか。
 よろしくお願いいたします。 
 いろんな分野があるんですが、まず
「最後に先生が原発を止めても大丈夫なんだというお話がありましたが、
『核分裂はCO2=二酸化炭素を生まない、温暖化対策に有効である』
というのが、今まで売りだったように思います。原発を止めて火力を増やしてもCO2対策はできるのでしょうか?」
というご意見、そして、代替エネルギーの話も少しあったかと思いますけれども、失礼いたします。それに伴いまして、
「原発を無くすだけでいいのに、電気を湯水のごとく使う生活を改めようとせず、社会は原発の代替として自然エネルギーを大合唱しております。風力は自然を破壊し、太陽光発電は他国の自然を破壊しないと製造できなく、また製造過程で被曝者を出してしまうそうです。
 また、自然エネルギーというのを製造するのに貴重な資源の火力などのエネルギーを大量消費してしまいます。資源は大切にしてほしい。もうこれ以上自然を壊さないでほしいと願っています。
 原発がなくなっても、命やほかの動植物との共存をしていかない経済優先の社会なら、子供たちに未来はないと思うのです。
 小出先生、どのようにお考えでしょうか?」
という原発を無くした後のエネルギーについて、お願いいたします。
(小出氏)はい。CO2問題と将来のエネルギー問題ということで、どちらも大変重要なテーマですし、そのことを聞いていただこうと思うと、それぞれ1回ずつ今日のような講演会をしていただかなければいけないと、そういうものです。
 ただし、CO2問題でいうならば、私はCO2がそれほど悪者ではないと実は思っていて、CO2というのは、この地球が命が根付ける星であるために、絶対的に必要なものなんですね。植物がCO2を光合成して自分の身体を作る、それを動物が食べるということでこの生態系が成り立っているわけですから、CO2がなければむしろ、地球は死の星になってしまう、そういうCO2を何かあたかもものすごい悪者のように言いながら、原子力を使おうというような宣伝がなされてきた。しかし、原子力を使ってできるものは、核分裂生成物という放射性物質なのであって、そちらはもう命にとって圧倒的に危険なものだということが判っているわけですね。
 ですから、もっと原理原則に立ち返って、まずは原子力を止めるという選択をすべきだと思います。
 そしてCO2がもし本当に増加させたらまずいものだというのであれば、原子力こそ最悪です。なぜなら、先ほどきいていただいたように、生み出したごみの始末を100万年続けなければいけない。そんなことをやろうとしたら、どれだけエネルギーがいるのか、どれだけ労力がかかるのか、もう想像することすらできないことになってしまって、膨大なCO2を出してしまうということになると思います。
 もし、本当にCO2が悪いというのなら、原子力だけはやってはいけないと、そのように考えてほしいです。
 それから、未来のエネルギー源ですけれども、私はさっき聞いていただいたように、人間がエネルギーを膨大に使い始めたという、そのことが根本的な問題なのであって、もちろん原子力は悪いけれども、原子力の代わりに火力をやればいいと言っているわけではありませんし、原子力の代わりに自然エネルギーをやればいいなんて言ってるわけでもありません。
 なんとかエネルギーを少しでも使わないで済むような、そういう社会をこれから作っていかなければいけないということです。
 風力の問題、太陽光な問題、様々な問題はもちろんあるわけで、皆さん十分に注意をしなければいけないと思います。
 ただし、原則的なことを言うのであれば、原子力の燃料であるウランはすぐに無くなってしまいます。石油や石炭に比べても遥かに貧弱な資源ですので、ごくごく短期間に原子力は使えなくなります。石油・石炭を含めた化石燃料も数百年間はもちますけれども、いずれなくなります。
 つまり、地球が46億年の歴史をかけて、地球の中に蓄えてきたエネルギー資源というものは、人間がこのように湯水のごとく使おうとするなら、いずれにしてもそんなに長くは持たないのです。
 そうなれば、そうではないエネルギー、尽きることのないエネルギーを使うしかないわけで、それは基本的にいうなら、太陽エネルギーしかないのです。
 今聞いていただいたように、太陽エネルギーすらが使えば環境破壊を起こしますので、どうすれば環境を破壊しないように、ある程度太陽光に依存できるかということをすぐにでも考え始めて、そのような技術開発をしなければいけないと、そういう時に私たちはあるのだと思います。
 残念ながらそれにもかかわらず、日本というこの国では、未だに『原子力、原子力』と言ってるわけで・・・、まず原子力を止める。化石燃料も減らす。自然エネルギーに対しても、過度に依存をしないという、そういう方向に少しずつ舵を切るべきだと、私は思います。
(進行)ありがとうございます。
<会場、拍手>
 今日は、ちょうど今出たお話につながるんですけど、
「ウランからプルトニウムを取り出して再処理をするという話がずっとあったわけですが、今日その話が出てなかったんですが、今、日本の高速増殖炉もんじゅの状況はどうなっているのでしょうか、教えてください。」
(小出氏)はい。
 これもまたちゃんと聞いていただこうと思うと、1回分の講演会が必要になるようは重要なテーマです。
 今聞いていただいたもんじゅ=高速増殖炉という原子炉ですけれども、もんじゅ自身は、今事故で止まってしまっています。1995年の12月に試運転を開始しようとした途端に、事故を起こしました。12月8日でした。12月8日って、皆さん、お分かりでしょうか?日本が太平洋戦争をしかけたその日ですし、私にとっては、ジョンレノンが殺された日でもあるんですが、その日にもんじゅという原子炉の試運転を始めたら、途端に事故を起こして止まってしまいました。
 とてつもなく技術的に難しい原子炉なんです。
 それは、今、説明する時間はありませんけれども、とてつもなく難しくて、世界中が撤退してしまった原子炉なんですが、もんじゅもすぐに壊れてしまった。
 そして、14年止まったままでいたのですが、昨年それをまた日本が、日本という国家が動かそうとしたのですね。
 皆さん、想像してほしいんですけれども、家庭の何かの機械が壊れた。そして、それが14年間そのままにしておいて、もう一度動かす気になりますか?
 普通だったら有り得ないようなことを、日本の句にはやったのですね。
 ところが、またすぐに事故になって止まってしまった。
 もんじゅというその原子炉は、未だに1kw/時の発電すらしていませんけれども、そのために1兆円以上のお金を捨ててしまった、そういう馬鹿げたものです。
 あんなものは二度と動かしてはいけないと、私はずーっと主張しつづけていますが、日本の国家としては、なんとしても動かしたいという理由が実はあるのです。
 なぜかというと、もんじゅという原子炉を動かすと、超優秀な核兵器材料を懐に入れることができるという。
 もともと皆さんは、『原子力』という言葉と『核』という言葉が何か別のものを意味していると思われてるかもしれませんが、『原子力』と『核』は、全く同じものなんです。もともと日本というこの国が原子力発電をやった動機も、原子力の平和利用と共謀しながら、核兵器を持つための技術的な能力を懐に入れたい、そういう動機から始まっているのです。
 もんじゅという原子炉も、直接、核兵器開発につながる、そういうものであるがために、日本国家としてはそれを止めることができないという、そういう状態にあるのです。
 であるからこそ、私はなんとしてももんじゅをつぶしたいと思っています。以上です。
<会場拍手>
(進行)それから先生、これは非常に多くの方からいただいたんですが、
「1月の初めくらい、1月3日あたり、セシウム134、137などが5倍になっています。急にセシウムが上がったという状況があったんでしょうか。一体何があったんですか?また、明日にでもM8、9の地震が来たような場合、4号機の安全性について教えてください。4号機が崩壊したら、やるべきことは何なのでしょうか?」
(小出氏)セシウム137と134が5倍に増えたと今ご指摘、私実はそのことを知らなかったんですが、今聞くまで。それはどこのことをおっしゃってるんですか?(進行)この方は書いてらっしゃらないんですけど、他の方を見ると、福島県でセシウムが上がったという状況があったようです。
(小出氏)すいません、正確に私は知らないのです。発電所の中で、例えば特定の場所でセシウムの濃度が上がるとか、或いは環境中のどこかでセシウムの濃度が上がるということはあり得ると思います。
 もともと放射性物質というのは、生み出してしまえば、人間の力で消すことができないというものなのであって、要するに移動してるのですね。もともと福島第一原子力発電所の原子炉の中にあったもの、東京電力の所有物だったものが吹き出してきて、あちこちに汚染を広げているわけですし、今でも吹き出してるのが止まってるわけでもないし、既に吹き出してしまったものも、あちこちへ移動してる。
 例えば地面に落ちたものは、川へ流れて海へずっと汚染を広げる。山に降ったものは、どんどんまた流れて田畑を汚すというようなことで、移動してるわけですから、そういう移動の過程で、ある時にある場所で「4倍になった、5倍になった」ということは、あり得ると思いますけれども、申し訳ありませんけど、具体的なその事実を私は知りません。
 それから4号機の問題ですけれども、さっきも写真で見ていただいたように、4号機というのは、非常に特殊な壊され方をしていまして、使用済燃料プールというものがある、その階すらが爆発で破壊されているのです。そして、使用済燃料プールは格納容器という放射能を閉じ込める最後の防壁の、更に外側にあるわけですから、あの使用済燃料プールがこれから起きるかもしれない余震で崩壊するようなことになれば、一切、成す手は無いと思います。
 ですから、東京電力は事故収束の工程表というのを作っていますけれども、その中で、4号機の使用済燃料プールの中に、今現在存在している使用済の燃料を、ほかのどこのプールよりも早く取り出して、安全なところに動かしたいという、そういう工程表になっていますし、もちろんそうしなければいけないと思います。
 ただし、それを実際に行うまでには、多分何年かの時間が必要だと思います。
 超危険なものなわけで、もちろん近づくことすらができません。
 遠隔操作でやらなければいけないのですが、もう全て建物ごと壊されてしまっているわけですから、従来の物を使うこともできない。新たに使用済燃料をどこかに移すということを、一から作り直さなければいけないということで、大変な時間がかかりますし、その時間がかかるより前に、余震が起きないでくださいと、私たちとしては願うしかないだろうと思います。
(進行)あの、『もう何もしようがない』というふうにはっきりおっしゃいましたけれども、もし余震が起きて、そのような重大な事故になったときに、私たちはどうしたらいいんでしょうか?
(小出氏)使用済燃料プールの中に4号機の場合には、原子炉の炉心の中にあった2つ分、或いは3倍分くらいの使用済燃料があるんですね。それが格納容器というものの外側にあるために、使用済燃料プールの中の放射性物質が全て大気中に出てくるというようなことになれば、今日見ていただいた汚染の、また何倍もというような汚染が生じると思います。
 ただし、それはさっきも聞いていただいた通り、風がどっちに吹いているかということが勝負です。
 運悪く、例えば山梨の方に風が吹いてきたとすれば、山梨という、この皆さんの土地も、さっき見ていただいたような汚染地帯に含まれてしまうということもあり得るだろうと思いますし、そういう時には、日本のこの政府というのは、情報をきちっと知らせてくれない政府ですので、皆さん自身が情報を常に集めるように注意をしながら、そういう事故になったということが判った時には、風向きの情報をちゃんと集めて、場合によっては逃げるということも考えておいていただいたほうがいいだろうと思います。
(進行)続いて食品についてです。
「福島の原発事故のためだけではなく、日本の海は全て汚染されているというような話を聞きましたが、魚は食べられないのでしょうか。」
 それから、別の方です。
「無農薬のお野菜やお米を買っていましたが、それが危険だと聞きました。無農薬で頑張っているのに、とても気の毒に思います。どのようにすればよいのでしょうか?」
(小出氏)はい。
 今日、私は福島第一原子力発電所の事故による汚染の話を聞いていただいたわけですが、放射能によって、この地球が汚染されたという出来事は、これまでにもたくさんありました。
 たとえば、広島・長崎の原爆が爆発して、大気中にたくさんの放射能をばら撒いたということがあったわけですし、それ以降、米国とソ連を中心にして核開発の競争が起こって、大気圏内で1000発も多分超えたと思いますけれども、核実験というものが行われて、大量の放射能が全地球を汚しているのです。
 日本というのは北半球の温帯という地域に属していますが、その北半球という温帯でいうのであれば、1平方メートルあたり5000ベクレルというくらいの汚染を、何十年かという時間にわたって少しずつ蓄積されてきたのです。
 ですから、そういう汚染の中で既に私たちは生きてきたわけですし、海のさかなも皆汚れていたと、そういう中で生きてきたのです。
 今回、福島の第一原子力発電所の事故が起きて、さっき地図で見ていただいたように、一平方メートル当たり何万ベクレル、何十万ベクレル、或いは何百万ベクレルというような汚染が、福島県を中心にできてしまった。
 それから、大気圏内核実験で5000だったもの、そういう汚染を1950年代から60年代に受けていたわけですけれども、今回2011年に、たった1回の事故で、これまで人間、私たち日本なら日本という国が受けた汚染の10倍とか100倍とか、もっと強い汚染を受けてしまったようなところが、原子力発電所周辺に作られてしまった。
 ですから、そういうところの海ももちろん汚れているわけですし、魚に関してもこれからも注意をしなければいけないだろうと思います。
 それから、有機農業のことですけれども、このこともちゃんと聞いていただこうと思うと、1回分の講演会を開いていただかなければいけないと私は思います。
 不注意な発言をしたくないのですが、有機農業で作られる野菜は、放射能に関しては汚れていると思います。
 なぜなら・・・、有機農業という農業は、この地球という生態系の、その力を信じて作物を作るというやり方ですね。私は、大変いいことだと思うし、有機農業をどんどん発展してほしいと私は思っています。
 しかし、この地球自身が放射能で汚れてしまった時には、有機農業で作られる食べ物が汚れてしまうということは、もう避けられないのです。
 それに比べて、化学肥料で作る農業というのが今一般的になっているわけですけれども、化学肥料というのは、例えば、窒素・リン酸・カリというのですが、カリ肥料というのは、何から作ってるかというと、地下深くに埋まっている塩を掘り出してくるんですね。岩塩というもの。その岩塩からカリ肥料を作り出すわけで、地下深くに眠っているが故に、人間がばら撒いた放射能で汚れてはいないのです。
 ですから、有機肥料という地球の表面の力で育てる有機農業の作物に比べると、地下に眠っていた岩塩で作ったカリ肥料で育てた野菜は、汚染が少ないということに、原理的にはなってしまいます。
 個別に言うとたくさんのことを皆さんにお伝えしなければいけないけれども、原理的に言えばそうだと私は思います。
 でも、有機肥料、有機農業を支えなければいけないと私は思いますので、先ほど聞いていただいているように、福島の1次産業を守るということも大切ですし、有機農業をどうやって守っていかれるかということを考えることも大切だと思いますので、皆さんがお一人おひとり考えていただきたいと思います。
(進行)その食品に続きまして、先ほど出ました
「汚染食品のR指定に共感しております。汚染に加担した大人が汚染を受け入れるのは、当然としても、汚染食品を大人が食べれば、生きている間は排泄物が出ます。下水や処理場が汚染されるのではないでしょうか?死ねば火葬場の煙や土葬の土が・・・(ちょっとごめんなさい、読めません。)骨に残ったものが墓地がと、食べては終わりにならないのでしょうか。人は、移動する生き物ですから、封じ込めるのが原子力の鉄則ならば、誰であっても汚染食品を食べてはいけないのでしょうか。食べることは予期せぬ拡散を未来の子供に引き起こさないでしょうか」
(小出氏)おっしゃるとおりです。
 食べれば排泄物に移るわけですし、それは下水処理場に行って、下水処理場の汚泥というところに濃縮されて集まってくることになります。
 何度も聞いていただきましたけど、私たちは放射能を作る力は手に入れてしまったけれども、放射能を消す力は無いのです。そうなれば、どこかに移動するということしかないのです。放射能自身は。
 ですから、例えば私が放射能で汚れたものを食べたとして、一時期私の身体の中にその放射能が蓄積することで、私は被曝するけれども、いずれまたそれは排泄するということで、下水処理場の汚泥に行くんです。
 結局拡散してしまうということは、避けようがありません。
 ですから、じゃあどうするのか?一切食べないのか?ということにするならば、きっと人間は生きることができない。
 どこからどこまでじゃあ許すのかと、そういう選択しかできないわけですけれども、さっきも聞いていただいたけど、汚染の高いものから汚染の低いものまで、全てもう汚染はされているのです。
 ですから、拡散するのを防ぐということは、もう既にできませんし、できることであれば、下水処理場の汚泥を集めて、環境から隔離するような政策をとるというようなことくらいしか、多分できないと思いますし、今日のご質問の中にあるかどうかわかりませんが、今現在、東北地方の瓦礫というものを全国にばら撒いて、全国の自治体で燃やしてしまえというような話があるわけです。
 それも放射能を拡散させることになります。
 一体そういう問題に、どうやって向き合うべきなのかということを考えなければいけなくて、それもまたちゃんと聞いていただこうと思うと、1回分の講演会をやっていただかなければいけないだろうと思います。
 でも、皆さんは、放射能は決して消えないということだけ、まず頭に入れていただいて、どうやったら放射能の汚染が広がって、人々の被曝につながる、それを少なくできるかということを考えていただくということしかないだろうと思います。
 残念ながら、放射能を消すことはできないのです。
(進行)ちょうど次にお伺いしたいと思ってたのが、瓦礫の問題だったんですけども、今ちょっと触れていただきました。
 そして、同じ方なんですけれども、
「山梨では落ち葉の野焼きをよく見かけます。隣の長野県では、今年は県をあげて、焼き芋や野焼きを禁止していますが・・・」
 そうなんですかね・・・。
「山梨は大丈夫なのでしょうか。市や県に落ち葉を集めて線量を測ってもらいたい。また、瓦礫についても意見をあげたいと言っても、電話でお願いしても、取り合ってもらえずとても心配しています。」
(小出氏)いま、「大丈夫なんですか」と、そういうご質問があったと思うんですけれども、放射能に関する限り、『大丈夫』という言葉は決して使わないでください。
 放射能、放射線に被曝をするということは、どんなに微量でも危険を必ず伴います。『大丈夫』ということはないし、『安全』ということもありません。
『どこまで私たちが我慢をして受け入れることができるか』
 ただそれだけの判断です。
 山梨県も長野県も、地図で見ていただいたように汚染は少ないですけれども、少ないだけであって、汚染はあるのです。ですから、落ち葉だって汚染をしています。それを燃やせば、放射性物質が大気中に飛び出してくるというのは当たり前なんです。
 しかし、落ち葉をそのまま置いておいたって、腐ってそこの土を汚すのです。
 一体どうすれば、私たちが被曝を少なく出来て、どこまでなら我慢をすることができるか、それだけのことです。
 瓦礫問題にちょっと申し上げますけれども、今現在、東北地方を中心に、膨大な瓦礫があります。放射能の汚染度の少ない瓦礫から、猛烈に汚染している瓦礫もあります。日本の国は、
『それを全国各地の自治体で、今ある焼却炉で燃やしてしまって、出てきた焼却灰は勝手に埋めろ』
と、そういう指示を出しています。
 それは、二つとも正しくありません。
 私は、今の国の方策に、完璧に反対です。
 ただし、今福島に放置されている瓦礫を、そのまま放置することは私はできないと思っているのです。私がやりたいことは、子供を被曝から守るということです。私は子供として呼ぶ子供は、もちろん山梨にいる小さなお子さんも入っています。私が住んでいる大阪の子供たちも入っています。
 でも、福島の子供達だって、私が子供と呼ぶものに入っているのです。そして、瓦礫を今の状態で福島県内に放置しておくということは、福島県の子供達に被爆を与えるということになってしまいます。
 今の状態ではなくて、なんとかその瓦礫を早期に始末をして、福島の子供たちも含めて、子供全体としての被曝量をどうやったら少なく出来るかということを考えなければいけないと私は思います。
 そのために、私の提案はいくつもあるんですけれども、福島県内の膨大に汚れている瓦礫は、福島県の今の汚染地に専用の焼却場を作って、そこで焼くということです。ただし、それでは間に合いません。瓦礫を放置しておけば、自然発火して、また放射能が飛び散ってくるかもしれないわけですから、間に合わない分に関しては、全国の自治体で引き受けるしかないと、私は発言しています。
 そして、皆さんから怒られています。
 ただし、今の焼却炉で燃やしてはいけない。
 焼却炉にきちっとした放射能捕捉装置を取り付けた上でないと、燃やしてはいけないと言っています。
 捕捉するということは、私がイメージしてるのはフィルタというものなんですけど、フィルタの中に放射能が溜まっていきます。そして、焼却をすれば焼却灰ができます。それを日本の国は、今聞いていただいたように、
『勝手に埋めろ、自治体で埋めろ』
と言っているわけですけれども、そんなことをしてはいけません。
 放射能はそれこそ、また拡散をしていくだけですから、私の提案は、またそこで一つあります。どういう提案かというと、今私たちが汚染と呼んでいるものは、先ほども聞いていただいたように、東京電力福島第一原子力発電所の中にあったものだし、あるべきものだったし、東京電力のれっきとした所有物なのであるから、東京電力にお返しするのがいいというのが私の主張です。
<会場、拍手>
(小出氏)そのやり方というのもまたありまして、これまで焼却灰というのは、どうやって使われていたかというと、コンクリートの材料に使われていた。私はそうしたらいいと思います。
 これから東京電力福島第一原子力発電所の事故収束させるために、何十年もの時間がかかりますし、そのためには非常に巨大な石棺というような、覆いを作る必要もあるし、地下に、地下水を汚染しないようなバリアを張り巡らせる必要もあると思います。膨大なコンクリートが必要になるのであって、そのために焼却灰を使って、コンクリートにして、東京電力にお返しするということを、私は提案しています。
<会場、拍手>
(進行)ちょうど廃炉についても質問がございました。
「廃炉について具体的な作業に関して教えてください。」
 これも多分、別の講演会を必要とするくらいなものだと思うんですけれども、
「石棺というのは、各号機ごとに4つ作るものなのでしょうか。どれくらいの時間がかかるものなのでしょうか」
(小出氏)石棺という言葉で呼びましたけれども、それが作られたことを人類は既に経験しています。
 さっきも聞いていただきました、1986年4月26日に起きた旧ソ連チェルノブイリ原子力発電所というところの事故の時に、放射能が大気中にたくさん出てきたし、地下にも漏れていったわけですけれども、それをなんとか封じ込めようとして、原子炉の建物の周りに、もっと巨大な石の棺、コンクリートの塊を作って、放射能が外に出てくることを防ごうと作ったのです。
 そのために、6万人から8万人といわれるような労働者が駆り出されて、被曝作業をしながら、それを作りました。
 なんとかできたのですけれども、でも、時が経つにしたがって、あちこちが壊れていってしまって、もうあっちもボロボロ、こっちもボロボロ、穴が開いているという状態になっていて、今はその巨大な石棺の上に、更に巨大な第二石棺というのを作らなければいけない、25年たってそういう事態に追い込まれています。
 福島第一原子力発電所では、今4基の原子炉が同時に破壊されていっているわけですけれども、私は4基の原子炉それぞれに石棺というものを作ることになるだろうと思います。
 そのために、10年ではきかない時間がかかるだろうと思います。
 でも、ひょっとすると私はその石棺ができた時に、まだ生きてきて、その石棺を見るかもしれないと思います。
 今日この会場の皆さんも、福島第一原子力発電所に石棺というものを作られるのを見るかもしれないと思います。
 しかし、その石棺も、チェルノブイリの経験が示しているように、25年、30年経てば、また壊れますので、その上に更に巨大な石棺を作るということになると思います。
 今日来ているお子さんたちは、その次の第二石棺を見るかもしれません。しかし、またその後25年、30年経てば、第二石棺がボロボロになって、その上に第三石棺を作らなければいけない、そういう時が必ず来ます。それはもう今日この会場に居る人は、誰も見ることができないと思いますけれども、そういう作業を、これから何十年、何百年と多分やり続けるしかない、そういうことになっているわけです。
(進行)お時間のほうも迫っておりますので、あと二つだけお伺いさせてください。
「除染についてです。福島周辺の除染は、現実的だとお考えになりますか?チェルノブイリでは除染をしないで、汚染地域から離れて暮らす、食材などの放射線量を測定できる環境を整えるなどをしていると聞きます。
 福島では表土を削って除染をしても、周辺から汚染された物質が流れ込んでしまい、イタチゴッコだと現地の住民の方は言っていました」
 同じようなご意見が、
「除染というのは可能なのでしょうか」
という・・・。
(小出氏)はい。除染はできないのです。残念ながら。
 今、正しくご指摘くださったけれども、さっきも聞いていただいたように、放射能は消えないのです。移動してるのです。ですから、あるところを除染したとしても、また山から流れてくる。或いは、川に流したものが海へ流れていくということで、いつまでやっても汚染が消えないということなんですね。
 なんか『除染』というと、汚染を取り除けるように思うかもしれませんが、実はそうではない。ただできることは、『移動させる』ということができるだけなんですね。
 ですから、今日本という国は、除染をすることによって、住民が元の町に帰れるかのような、そういう錯覚を起こさせようとしているわけですけれども、そんなことは決してありません。
 除染というのは、基本的にできないと思わないといけないと私は思います。
 ただし、私は絶対に除染をしろと、これまでずーっと言い続けてきた人間なんです。どういう、私の言ってるのは、どういうことかというと、子供たちを被曝から守らなければいけない。子供たちが集中的に遊ぶ場所は、放射能を退けなければいけない。学校の校庭であるとか、幼稚園の園庭であるとか、地域の公園であるとか、子供たちが泥んこになって遊ぶような場所だけは、絶対に除染をしなければいけない。
 つまり、土の表面を削り取ってどこかに移すということです。消せるわけではありません。でも、子供たちの場所からは退かさなければいけない。
 どこかにそれを持っていかなければいけないということを、私はずーっと言い続けてきています。
 じゃあ一体どこに持っていくのかと言われても、大変苦しいことで、消えないわけですから、汚染をどこかに押し付けるということしかできません。
 そして、今日本の政府は、それを中間貯蔵施設とかいう名前で呼ぶようになって、
『膨大に汚染した双葉郡内のどこかにそういう置き場を作らせてくれ』
ということを言い始めました。
 私は大変言いにくいけれども、それが必要かもしれないと思います。
 ただし、私はそれをやる前にやるべきことがあると思っています。何度も言いますけれども、この汚染というものの正体は、東京電力の所有物なのであって、東京電力にお返しするのが筋なのです。ですから、剥ぎ取った校庭の土とかは、東京電力福島第一原子力発電所の敷地の中に持って帰ればいいと私は思っています。
 ただし、福島第一原子力発電所は、今戦争のような状態になっているので、それはできないのかもしれません。そこで私は提案があって、福島第二原子力発電所、そこもほぼ100万坪くらいの広大な土地があると思います。そこに持っていって、そこを放射能の墓場にすればいいと思っています。
 東京電力は
『福島第二原子力発電所のほうは、また再稼働させたい』
というようなそんな途方もないことまで言いだしているわけですけれども、そんなことは決してさせてはいけないし、福島第二原子力発電所も全部止めさせなければいけない。そのために、敷地を放射能のゴミ捨て場にするというくらいのことをやるべきだと、私は思っています。
<会場、拍手>
(進行)先生、最後の質問になります。
「この事故の後も諸外国、外国の中では、原発の建設、建造計画を進めているとも聞きます。世界全体で原発をやめるノウハウというのは無いのでしょうか。反原発にしても、市民運動というのは、どれくらい可能なものでしょうか?」
(小出氏)えー、これもまた原子力の歴史をちゃんと聞いていただこうと思うと、1回分くらいのお話を聞いていただかなければいけないと思いますが、私は1968年に原子力の夢に燃えて、大学の原子力工学科というところに入りました。
 当時は、これからの未来のエネルギーは原子力だと世界中が信じていた時代でした。それをけん引していたのは、米国とヨーロッパでした。それに日本も遅れて参戦したわけですが、米国とヨーロッパは、すぐに原子力の夢から覚めたのです。米国も1960年代の後半から1970年代の始めにかけて、猛烈に原子力発電所を作ろうとした時代がありました。運転をし始めたものもあるし、建設をしていたものもあるし、計画をしていたものもあります。その三つを合計した数が一番多かった年は、米国では1974年なんです。その年を過ぎてから、米国では計画中のものは、ほとんどすべてキャンセルです。建設中のものもキャンセルされて無くなった。100基までは作りましたけれども、米国では既にもう30年にわたって1基も原発は増えないと、そういう状態です。
 原子力産業も何も、全て終わってしまったと、そういうことになっています。
 ヨーロッパもそうです。
 運転中、建設中、計画中の基数が一番多かったのは、1977年なんです。もう30年以上前にヨーロッパスラが原子力から足を洗うと、そういう選択をしているのです。
 原子力が復活するなんてことは、もう決してありません。日本人が愚かなだけです。もしそう思ってるとすれば。
 これから、中国・インドという国で、何十基か増えるかもしれませんけれども、いずれにしても今現在430基原子力発電所があるのですが、これからどんどん原子力は破綻していくと、そういう時代になるだろうと思います。
 その息の根を止めるためにも、この日本という国で、私たちが何ができるかということが問われていると思います。
 ただし、市民グループとして何ができるのかと問われてしまうと、すいませんが私にはわかりません。
 私は始めにも聞いていただいた通り、こんな事故が起きる前に原子力を止めたいと思って、41年間来ました。何とか止められないかと思いつくことをなんでもやったつもりですけれども、止められないでここまで来てしまったんです。
 もし、私が止める力を持っている、止める知恵を持っているならば、もうやりました。
 でも、できなかったんです、私には。
 申し訳ないけど、私にはわからない。
 でも、原子力の問題というのは、今日も聞いていただいたように、原子力だけの問題ではない。エネルギーの問題でもあるわけだし、私たちがどういう未来を作ろうかと、そういう問題でもあるわけですから、皆さん、お1人お1人が、多分関わることができる課題を持ってるはずですので、皆さんがそれぞれの知恵で、それぞれの個性を生かして、原子力に抵抗するような活動を起こしてくだされば、きっとの時に原子力は止まると、私は思っています。
 是非ともお願いしたいと思います。
<会場、拍手>
(進行)いかがでしょうか、皆様。
 本当に少ない枚数でございました。本当に山ほどすごい数なんです。のちほど先生、全ての人のお声を届けさせていただいても、お受け取りいただけますでしょうか。
 よろしくお願いいたします。
 それでは、まだ小出さん、そのままでいていただけますか?お願いいたします。
 今日、ここでこの日を迎えるに当たりました、実行委員会のメンバー、壇上へお願いします。
 実行委員会です。
<会場、拍手>
(進行)どうぞ舞台に。そして小出さん、実行委員会の真ん中にお願いいたします。
 実行委員会は舞台の中央に集まって、小出さんを囲むように立っていただけますか。
 これがすべての実行委員ではございませんで、今も仕事中のものもおりますので、一部ということになりますけれども、ここで小出さんには真ん中に居ていただきまして、今日、この会を締めるに当たりまして、実行委員会を代表いたしまして、持留かずやより、皆様に提案させていただきます。
(持留氏)スイッチがオフになっていました。すいません。
 小出さん、今日は本当にありがとうございました。
 あと、今日この会場にお忙しい中来られた2000人を超える皆さん、本当にありがとうございました。
<会場、拍手>
(持留氏)今回の講演会は、およそ30名ほどのボランティアによる実行委員会という形で進めてきました。およそ半年間活動してきました。
 僕は、その実行委員の皆さんのいろんな思い、願いをまとめてチラシやHPを作らせていただいた、持留といいます。よろしくお願いします。
 今日は、二つのお願いがあって、最後にこの舞台に上がらせてもらっています。5分ほど時間をください。
 まず一つ目なんですが、それは今日この講演会が終わった後の皆さんのことについてです。二つ目は、最後にこの2000人を越える皆さんと一緒に一丁締め、所謂一本締めですね、それをさせていただきたいという、この二つのお願いをしにこうやって真ん中でしゃべらせていただいております。
 まず一つ目なんですが、ここのコラニー文化ホールは2000人収容できる、山梨県で一番大きいホールです。このホールが満員になるということは、滅多にありません。
 それは、例えばお芝居のような大勢の人が出演される、そういうイベントでなることも少ないんですが、たった一人の人の出演者で満員になるということは、本当にわずかです。しかもそれが講演会っていう、言ってみれば地味なイベントですよね。それで満員になったのは、このホールが始まって以来のことだと思います。このホールの伝説の日ですね。皆さんは、この伝説の証人になったわけです。
<会場、拍手>
(持留氏)すばらしい!
 僕からのお願いっていうのは、伝説となったこの経験を皆さんの中だけで留めてもらいたくないということです。この2000人という数なんですが、始め、この実行委員会が始まってから、どうやって2000人集めようと思って、ドキドキしながら来たら、ふたを開けてみたら、2000を遥かに超える人から問い合わせがあって、もう大変だったんですが、そのくらい大変な数だったんですが、ただその2000人というのは、山梨県民85万人いるそうです。85万人からすると、425分の1でしかありません。日本国民1億2000万人からすると、本当に本当にわずかな人数でしかありません。そのわずかなわずかな人数の人たちに聞いてもらって、果たして世の中って変わっていくのかな?っていうふうにさえ思ってしまいます。
 ただね、その2000人が、本当に心から今日あった、今日聞いたお話、自分の想いを周りの人に伝えると、その周りの人の心は動くと思います。
 そうやって、心動かされた人は、きっとまた更に多くの人に話します。
 そういった想いの輪が広がっていくことで、きっとそれは世の中を変える、そういう人数になると信じています。
 そう信じて、僕ら実行委員会のメンバーは、今日活動してきました。
 チラシも3万枚も刷って、もうものすごい情報量のあるチラシなんですが、それは今日ここに来れない人にも僕たちの想いを伝えたいという、そういうことで作りました。
 ちょっとここに持ってくるのを忘れちゃったんですが、さっきまで用意してたのに忘れちゃったんですが、今日皆さんに配布した資料ありますよね。その中に、今日小出さんが発表したスライドが入っています。
 講演会の最後にこの人工衛星からの写真で、
「あー、なんかこれでは上手く見えないんだけれども」
と、いうふうに小出さんがおっしゃられたものも、ちゃんと入っています。事前に小出さんから受け取ったスライドを元に再構成して、14枚のスライドで構成しました。
 本当に最後のキメの絵まで入れてしまって、小出さんからすると、ちょっと迷惑だったんじゃないかと思うんですが、内緒で作りました。ごめんなさいです。
 これは、今日この場で会ったお話を、周りの人に伝える良い道具になるんじゃないのかなと思います。
 是非、活用してください。
 今度の土曜日にUstreamを使って、今日この講演会を録画配信します。
 それも是非進めてください。
 土曜日だけじゃなくて、それ以降も録画が見られます。そういうことをして、皆さんが周りにどんどんとこのことを、願いを伝えていってもらうこと、それを僕らは願っています。
 よろしくお願いします。
<会場、拍手>
(持留氏)原子力発電所というのは、とっても具体的な存在だと思います。圧力容器の中にある放射性物質というやっかいなもの、一度外に出ると、もう何万年も環境を汚染し続ける、どうしようもなくやっかいで、動かしがたい、そういう存在。それが原子力発電所です。
 であると同時に、とても象徴的な存在でもあるというふうに僕は思います。
 どういう象徴であるかというと、危険なものはどこか遠くの弱い立場の人たちに押し付けて、自分は安全な生活を送りたい。今、この時代、現代に生きる自分たちは、便利な生活をして、未来の世代には核のゴミを押し付けてしまいたい。そういうとっても身勝手な暮らし方、ライフスタイルを象徴する存在、それが原子力発電所なんじゃないのかなと思います。
 そういう原子力発電所という存在に、明確に『No!』と言って、今この世に生きるすべての命、これから未来に生まれるすべての命、そういった命を基準に、命を尊重した生き方をこれから自分たちは選ぶんだという、その誓いをこの場に、この2000人のホールに集まった、集まっていただいた皆さん、実行委員の人たち全員で、一丁締めをすることで、その想いを一つにしたいというふうに思うのですが、よろしいでしょうか?
<会場、拍手>
(持留氏)ありがとうございます。
 長時間のイベントでお疲れの方も大勢いらっしゃると思います。あと、身体の不自由な方も何人かいらっしゃっていますので、座ったままで結構です。あと、ホワイエでプロジェクターでご覧になってる方も大勢いらっしゃいます。そういった方も、どうぞ一緒に、今、ドアが開け放っていますけれども、2000人を越える、ここコラニー文化ホールに集まった、この全員の気持ちを、この日本全国に、全世界に広めていくために一丁締めをよろしくお願いします。
 よろしいでしょうか。
 隣の人に気を遣いながら、大勢でやりますね。
【一丁締めされて、閉会です。】
(進行)皆様、長時間にわたり誠にありがとうございました。そして、今一度、盛大な拍手で小出さんをお送りくださいませ。
 小出裕章さん、本当にありがとうございました。
<会場、拍手>
【以上】

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