乳幼児・子供の実効線量係数

 乳幼児・子供の実効線量係数 (1) (11/7/15)

第42話でごく一部紹介した、乳児・幼児・子供・成人の預託実効線量
実効線量係数です。ICRP Publication 72 を基にしています。

元データはあまりに膨大なので、1回では収まらないので、今回は低原子量側。
選択した核種は、メジャーなもの、平常時から人体に影響しているもの(40K など)、
核燃料にあって人体への影響が大きいもの、及び今回の原発事故で
東京電力が観測値を公表した核種です。


ICRP Publication 72
Annals of the ICRP

Age-dependent Doses to Members of the Public from Intake 
of Radionuclides: Part 5
Compilation of Ingestion and Inhalation Dose Coefficients

Volume 26 No. 1 1996
ISSN 0146−6453

放射性核種を摂取した場合の線量係数は、3ヶ月1歳5歳10歳15歳
及び成人で与えられています。

成人」とは、ほとんどの核種では20歳を意味しますが、Ca (カルシウム), 
Sr (ストロンチウム), Ba (バリウム), Ra (ラジウム), Pb (鉛), Th (トリウム), 
U (ウラン), Np (ネプツニウム), Pu (プルトニウム), Am (アメリシウム), 
Cm (キュリウム) については25歳です。

それぞれの代表年齢の表す年齢範囲は、
摂取時年齢区分 t0対象年齢範囲積分期間
"3ヶ月"0~1歳70歳までの期間
(70−t0)
"1歳"1~2歳
"5歳"2~7歳
"10歳"7~12歳
"15歳"12~17歳
"成人(20 or 25歳)"17歳以上50年間

f1 値 とは、fractional absorption in the gastrointestinal tract = 
「胃腸管での吸収率」すなわち、the fraction of an element directly absorbed
from the gut to body fluid = 「消化管から体液に直接吸収される割合」
とあります。

吸入の場合のタイプは4種類あり、呼吸管 (Respiratory tract) からの吸収率を、

Type F: 速い吸収=吸着した物質は容易に呼吸管から体液に吸収される
Type M: 中度の吸収=吸着した物質の、呼吸管から体液への吸収率は中程度
Type S: 遅い吸収=吸着した物質は呼吸管で比較的不溶 (insoluble)


の3種に加えて、気体または気化しやすい物に対して、

Type V: 極めて速い吸収=吸着した物質は、線量計算の目的で、呼吸管から
 直ちに体液に吸収されるものと仮定する


もあります。どれをどう使うか、は、被曝をどう考えるか、という使い手の
考え方に委ねられていると思います。保守的に考えるならば、Type F (またはV)
 ということになるでしょう。
 Type V, F, M, S の中で一番影響の多いものを
使うことになるでしょう。



実効線量係数 e(τ)

e(τ) の単位は [nSv/Bq] (1BqあたりのナノSv、ナノは10億分の1)
生物学的半減期は、ICRP Publ. 72 には載っていないので、別のところから
集めた断片的情報です。
核種分類3ヶ月1歳5歳10歳15歳成人
3H経口e(τ)0.120.120.0730.0570.0420.042
f11.0001.000
吸入Fe(τ)0.0260.0200.0110.00820.00590.0062
f11.0001.000
Me(τ)0.340.270.140.0820.0530.045
f10.2000.100
Se(τ)1.21.00.630.380.280.26
f10.0200.010
半減期(物)12.3年
※経口=有機化合物中の三重水素 (OBT)、吸入=三重水素化合物
核種分類3ヶ月1歳5歳10歳15歳成人
14C経口e(τ)1.41.60.990.800.570.58
f11.0001.000
吸入Fe(τ)0.610.670.360.290.190.20
f11.0001.000
Me(τ)8.36.64.02.82.52.0
f10.2000.100
Se(τ)1917117.46.45.8
f10.0200.010
半減期(物)5370年
核種分類3ヶ月1歳5歳10歳15歳成人
40K経口e(τ)624221137.66.2
f11.0001.000
吸入Fe(τ)24177.54.52.52.1
f11.0001.000
Me(τ)
f1
Se(τ)
f1
半減期(物)12.8億年
(生)*****30日
42K (12.4時間)、43K (22.6時間)、44K (22.1分)、45K (20.0分) 
の e(τ) は上記より1桁以上小さい
核種分類3ヶ月1歳5歳10歳15歳成人
58Co経口e(τ)7.34.42.61.71.10.74
f10.6000.3000.100
吸入Fe(τ)4.03.01.61.00.640.53
f10.6000.3000.100
Me(τ)7.36.53.52.42.01.6
f10.2000.100
Se(τ)9.07.54.53.12.62.1
f10.0200.010
半減期(物)70.8日
核種分類3ヶ月1歳5歳10歳15歳成人
90Sr経口e(τ)2307347608028
f10.6000.4000.300
吸入Fe(τ)1305231415324
f10.6000.4000.300
Me(τ)15011065515036
f10.2000.100
Se(τ)420400270180160160
f10.0200.010
半減期(物)29.1年
(生)*****49年
核種分類3ヶ月1歳5歳10歳15歳成人
95Zr経口e(τ)8.55.63.01.91.20.95
f10.0200.010
吸入Fe(τ)12116.44.22.82.5
f10.0200.002
Me(τ)20169.76.85.94.8
f10.0200.002
Se(τ)2419128.37.35.9
f10.0200.002
半減期(物)64.0日
核種分類3ヶ月1歳5歳10歳15歳成人
95Nb経口e(τ)4.63.21.81.10.740.58
f10.0200.010
吸入Fe(τ)4.13.11.61.20.750.57
f10.0200.010
Me(τ)6.85.23.12.21.91.5
f10.0200.010
Se(τ)7.75.93.62.52.21.8
f10.0200.010
半減期(物)35.1日
核種分類3ヶ月1歳5歳10歳15歳成人
99mTc経口e(τ)0.200.130.0720.0430.0280.022
f11.0000.500
吸入Fe(τ)0.120.0870.0410.0240.0150.012
f11.0000.800
Me(τ)0.130.0990.0510.0340.0240.019
f10.2000.100
Se(τ)0.130.100.0520.0350.0250.020
f10.0200.010
半減期(物)6.02時間
核種分類3ヶ月1歳5歳10歳15歳成人
106Ru経口e(τ)844925158.67.0
f10.1000.050
吸入Fe(τ)725426169.27.9
f10.1000.050
Me(τ)14011064413128
f10.1000.050
Se(τ)260230140917166
f10.0200.010
半減期(物)1.01年
核種分類3ヶ月1歳5歳10歳15歳成人

乳幼児・子供の実効線量係数 (2) (11/7/15)


第44話乳児・幼児・子供・成人の預託実効線量の実効線量係数の続きです。
ICRP Publication 72 を基にしています。



ICRP Publication 72
Annals of the ICRP

Age-dependent Doses to Members of the Public from Intake 
of Radionuclides: Part 5
Compilation of Ingestion and Inhalation Dose Coefficients

Volume 26 No. 1 1996
ISSN 0146−6453


放射性核種を摂取した場合の線量係数は、3ヶ月1歳5歳10歳15歳
及び成人で与えられています。


成人」とは、ほとんどの核種では20歳を意味しますが、Ca (カルシウム), 
Sr (ストロンチウム), Ba (バリウム), Ra (ラジウム), Pb (鉛), Th (トリウム), 
U (ウラン), Np (ネプツニウム), Pu (プルトニウム), Am (アメリシウム), 
Cm (キュリウム) については25歳です。


それぞれの代表年齢の表す年齢範囲は、
摂取時年齢区分 t0対象年齢範囲積分期間
"3ヶ月"0~1歳70歳までの期間
(70−t0)
"1歳"1~2歳
"5歳"2~7歳
"10歳"7~12歳
"15歳"12~17歳
"成人(20 or 25歳)"17歳以上50年間


f1 値 とは、fractional absorption in the gastrointestinal tract =
「胃腸管での吸収率」すなわち、the fraction of an element directly absorbed
from the gut to body fluid = 「消化管から体液に直接吸収される割合」
とあります。



吸入の場合のタイプは4種類あり、呼吸管 (Respiratory tract) からの吸収率を、


Type F: 速い吸収=吸着した物質は容易に呼吸管から体液に吸収される
Type M: 中度の吸収=吸着した物質の、呼吸管から体液への吸収率は中程度
Type S: 遅い吸収=吸着した物質は呼吸管で比較的不溶 (insoluble)



の3種に加えて、気体または気化しやすい物に対して、


Type V: 極めて速い吸収=吸着した物質は、線量計算の目的で、呼吸管から
 直ちに体液に吸収されるものと仮定する



もあります。どれをどう使うか、は、被曝をどう考えるか、という使い手の
考え方に委ねられていると思います。保守的に考えるならば、Type F (またはV)
 ということになるでしょう。
 Type V, F, M, S の中で一番影響の多いものを
使うことになるでしょう。



実効線量係数 e(τ)


e(τ) の単位は [nSv/Bq] (1BqあたりのナノSv、ナノは10億分の1)
生物学的半減期は、ICRP Publ. 72 には載っていないので、別のところから
集めた断片的情報です。
核種分類3ヶ月1歳5歳10歳15歳成人
129mTe経口e(τ)4424126.63.93.0
f10.6000.300
吸入Fe(τ)20135.83.11.71.3
f10.6000.300
Me(τ)3526149.88.06.6
f10.2000.100
Se(τ)382917129.67.9
f10.0200.010
半減期(物)33.6日
核種分類3ヶ月1歳5歳10歳15歳成人
132Te経口e(τ)4830168.35.33.8
f10.6000.300
吸入Fe(τ)22188.54.22.61.8
f10.6000.300
Me(τ)16136.44.02.62.0
f10.2000.100
Se(τ)15115.83.82.52.0
f10.0200.010
半減期(物)3.26日
核種分類3ヶ月1歳5歳10歳15歳成人
129I経口e(τ)180220170190140110
f11.0001.000
吸入Ve(τ)17020016017013096
f11.0001.000
Fe(τ)728661674636
f11.0001.000
Me(τ)363324241915
f10.2000.100
Se(τ)29261813119.8
f10.0200.010
半減期(物)1570万年
(生)11日23日**80日
核種分類3ヶ月1歳5歳10歳15歳成人
131I経口e(τ)180180100523422
f11.0001.000
吸入Ve(τ)17016094483120
f11.0001.000
Fe(τ)72723719117.4
f11.0001.000
Me(τ)22158.24.73.42.4
f10.2000.100
Se(τ)8.86.23.52.42.01.6
f10.0200.010
半減期(物)8.04日
(生)11日23日**80日
核種分類3ヶ月1歳5歳10歳15歳成人
132I経口e(τ)3.02.41.30.620.410.29
f11.0001.000
吸入Ve(τ)2.82.31.30.640.430.31
f11.0001.000
Fe(τ)1.10.960.450.220.130.094
f11.0001.000
Me(τ)0.990.730.360.220.140.11
f10.2000.100
Se(τ)0.930.680.340.210.140.11
f10.0200.010
半減期(物)2.30時間
(生)11日23日**80日
核種分類3ヶ月1歳5歳10歳15歳成人
135I経口e(τ)108.94.72.21.40.93
f11.0001.000
吸入Ve(τ)9.78.54.52.11.40.92
f11.0001.000
Fe(τ)4.13.71.70.790.480.32
f11.0001.000
Me(τ)2.21.60.780.470.300.24
f10.2000.100
Se(τ)1.81.30.650.420.270.22
f10.0200.010
半減期(物)6.61時間
(生)11日23日**80日
核種分類3ヶ月1歳5歳10歳15歳成人
134Cs経口e(τ)261613141919
f11.0001.000
吸入Fe(τ)117.35.25.36.36.6
f11.0001.000
Me(τ)32261612119.1
f10.2000.100
Se(τ)706341282320
f10.0200.010
半減期(物)2.06年
(生)0~1歳2~9歳10~30歳31~50歳
9日38日70日90日
核種分類3ヶ月1歳5歳10歳15歳成人
137Cs経口e(τ)21129.6101313
f11.0001.000
吸入Fe(τ)8.85.43.63.74.44.6
f11.0001.000
Me(τ)36291813119.7
f10.2000.100
Se(τ)11010070484239
f10.0200.010
半減期(物)30.0年
(生)0~1歳2~9歳10~30歳31~50歳
9日38日70日90日
核種分類3ヶ月1歳5歳10歳15歳成人
140Ba経口e(τ)32189.25.83.72.6
f10.6000.3000.200
吸入Fe(τ)147.83.62.41.61.0
f10.6000.200
Me(τ)2720117.66.25.1
f10.2000.100
Se(τ)2922128.67.15.8
f10.0200.010
半減期(物)12.7日
核種分類3ヶ月1歳5歳10歳15歳成人
140La経口e(τ)20136.84.22.52.0
f10.0050.0005
吸入Fe(τ)5.84.22.01.20.690.57
f10.0050.0005
Me(τ)8.86.33.12.01.31.1
f10.0050.0005
Se(τ)
f1
半減期(物)1.68日
核種分類3ヶ月1歳5歳10歳15歳成人
144Ce経口e(τ)663919116.55.2
f10.0050.0005
吸入Fe(τ)360270140784840
f10.0050.0005
Me(τ)19016088554136
f10.0050.0005
Se(τ)210180110735853
f10.0050.0005
半減期(物)284日
核種分類3ヶ月1歳5歳10歳15歳成人
235U経口e(τ)35013085717047
f10.0400.020
吸入Fe(τ)20001300850750770520
f10.0400.020
Me(τ)13000100006300430037003100
f10.0400.020
Se(τ)3000026000170001100092008500
f10.0200.002
半減期(物)7.04億年
核種分類3ヶ月1歳5歳10歳15歳成人
238U経口e(τ)34012080686745
f10.0400.020
吸入Fe(τ)19001300820730740500
f10.0400.020
Me(τ)1200094005900400034002900
f10.0400.020
Se(τ)2900025000160001000087008000
f10.0200.002
半減期(物)44.7億年
核種分類3ヶ月1歳5歳10歳15歳成人
238Pu経口e(τ)4000400310240220230
f10.0050.0005
吸入Fe(τ)200000190000140000110000100000110000
f10.0050.0005
Me(τ)780007400056000440004300046000
f10.0050.0005
Se(τ)450004000027000190001700016000
f10.00010.00001
半減期(物)87.7年
(生)*****200年
核種分類3ヶ月1歳5歳10歳15歳成人
239Pu経口e(τ)4200420330270240250
f10.0050.0005
吸入Fe(τ)210000200000150000120000110000120000
f10.0050.0005
Me(τ)800007700060000480004700050000
f10.0050.0005
Se(τ)430003900027000190001700016000
f10.00010.00001
半減期(物)24100年
(生)*****200年
核種分類3ヶ月1歳5歳10歳15歳成人
240Pu経口e(τ)4200420330270240250
f10.0050.0005
吸入Fe(τ)210000200000150000120000110000120000
f10.0050.0005
Me(τ)800007700060000480004700050000
f10.0050.0005
Se(τ)430003900027000190001700016000
f10.00010.00001
半減期(物)6540年
(生)*****200年
核種分類3ヶ月1歳5歳10歳15歳成人


希ガスの被曝による実効線量係数 (成人のみ)

単位は、[nSv d−1/Bq m−3] つまり
「1立方メートル当たり1Bq」の放射能濃度の大気に対して、「1日あたり何ナノSv」。

核種子供成人
131mXe実効線量係数0.032
半減期 (物)11.9日




データは列挙できますが、これを正しく使いこなすスキルはなかなか
難しいものがあります。ヨウ素等は甲状腺に選択的に集まるので、
組織荷重係数との兼ね合いでどう使ったらいいか、とか、吸入の場合は、
肺に残ると半永久的ですが体液に移行すれば生物学的半減期で減少するし。
結局はそういうところのスキルなんですよね。

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