元東電社員から内部情報 当時、福島県知事佐藤栄佐久の罪過、 そして高温岩体発電システムについて

投稿者: 原子力資料情報室 投稿日時: 2011/10/31 14:07:50 (874 ヒット)
元東京電力の社員から以下の内容の情報が寄せられました。
東電の内部の情報と考えられます。
Jビレッジへの寄付は当時、金額の大きさが問題となっていました。
内部情報によれば、取締役会の議決なしに行われた違法な決定としています。



◎福島県のプルサーマル受け入れ交渉に絡む、一部社員の暴走と、
それを追認する体裁を取り繕うための、取締役会議事録の改変
(あきらかな商法違反)。

これには勝俣自身は関与していません(まだ役員では無かった)。

ただ、追認にあたって、
当時企画部長だった勝俣が全く知らなかったとも考えられません。

時期は、平成3年の株主総会の前です。

当時、福島県知事は佐藤栄佐久でしたが、
今はプルサーマルを受け入れなかった一事をもって、
もてはやされていますが、実態は全く逆でした。

このころ、プルサーマル受け入れ交渉をしていたのが、
立地環境本部(当時)の本部長だった常務(名前は失念しました)と
当時課長だった、半谷永寿(半谷栄寿 Eiju HANGAI オフィス町内会事務局代表(東京電力株式会社 執行役員) 1953年福島県生まれ。1978年東京大学法学部卒業、東京電力株式会社入社。1989年総務部文書課副長、東電社内の古紙リサイクルに取り組む。1991年、環境NPOオフィス町内会を設立し、以降、事務局代表を務める。1996年、株式会社Jビレッジ 取締役企画営業部長。2000年、マイエナジー株式会社 取締役副社長。2005年、東京電力株式会社 事業開発部長、2008年同社 執行役員。 )という、地元の名士の家柄の人物が、
内々の知事の意向を受けた形で、
本来、1億円以上の支出には、取締役会の議決が必要なはずなのに、
それを全くせずに、突然、福島に100億円の寄付をする、と言う記者会見を行い、
一時社内は大騒ぎになりました。

しかし、常務級も含めての発言でしたので、後に引けずに建設されたのが、
今、事故対策本部がある、「Jビレッジ」です。

最終的には100億円を超える金額になりましたが、これを追認する為にあたかも、
取締役会決議であるかのように、あとから議事録の改変が行われました。
それを行った人物の名前も知っていますが、親しい人だったので、
明かすのはためらわれます。

また、この半谷はこの責任を取れと言う意味で、Jビレッジの建設当初から、
Jビレッジに出向させらましたが、そこで、
佐藤栄佐久知事を支持する建設会社のみに指名入札させるという悪辣ぶりを
発揮しました。

最終的には、2002年に、当時の荒木会長、南社長が引責辞任をした、
一連のトラブル隠し事件の発端の時機に、
佐藤栄佐久が態度を豹変させ、
一度は表明した、プルサーマル受け入れを撤回しました。

プルサーマルとは、熱中性子(thermal neutron)によりプルトニウムを核分裂反応させて発電を行う原子炉のことを指す。なおプルサーマルとはプルトニウムのプルとサーマルリアクター(軽水炉)のサーマルを繋げた和製英語(plutonium thermal use)である。(この部分は、ウィキペディアのプルサーマルの項から。http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%83%AB%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%83%AB)つまり、簡単に言ってしまえば、原子力発電で大きなネックになっている二つの問題、つまり、原子力資源であるウランが輸入に頼っていることと使用済み核廃棄物であるプルトニウムの処分方法の両方を一挙にほぼ解決するものなのだ。つまり、輸入に頼るウランを一度燃やしてできたプルトニウムを再度燃料に使えるので、日本においては二重の意味で有利な発電方法なのだ。しかし、普通の原子炉に、プルサーマル燃料と通常の燃料の二種類が混ざって装填されるため、制御が難しく、特に地震などの際に安全性が確保されるかどうかが問題になる。

 そして、日本においてプルサーマル計画が大きく動き出したのが1997年だ。この年の2月4日、核燃料サイクルについて了承するという閣議決定がされ、同2月21日には電力11社によるプルサーマル全体計画が発表されるのだ。以降、プルサーマル計画の説明が新潟、福島、福井県に対してされていく。
中略
なぜ、東電OL殺人事件が起こったのか?被害女性の父親は、やはり東京電力に勤めていて、
1977年にがんで亡くなっている。
その2年前、工務部全体を統括する副部長と言う管理職になりなぜか一年で降格され、その一年後のガンでの死だ。
 そして、この時期は、原子力の危険性が世界中で言われていた時期なのだ。
1974年、アメリカでもタンプリン(A.R.Tamplin)及びコクラン(T.B.Cochran)が
プルトニウムの細かい粒子が肺に及ぼす影響を警告している。(http://www.jaea.go.jp/04/nsed/ers/radiation/refa/dresa/term/bp002290.htmを参照)
また、同年、
カレン・シルクウッド事件という、プルトニウム燃料工場での放射線被爆に関する内部告発者が事故死する
と言う事件が起こる。(http://www32.ocn.ne.jp/~everydayimpress/Video/Silkwood.htmを参照)
更に
日本においては、原子力船むつで放射能漏れ事故が起こったり、
浜岡原発や福島の原発で配管に亀裂が生じていた疑いが出るなどのことがあった。(http://www.rist.or.jp/atomica/database.php?Frame=./data/bun_index.htmlを参照)

 つまり、被害女性の父親は、原子力発電の危険性を指摘して管理職から降格された可能性が強いのだ。
彼は、高圧の地中送電線を東京都内に引く責任者を務めていたというから、
地震の地盤への影響についても詳しかったはずだ。

そして、父親がガンでなくなった1977年、彼女は大学二年生だった。
だから、この時期、彼女が原発に関する父親の見解を聞いている可能性は強い。
父親の死後3年の
1980年、彼女も東電に入社する
 ちなみに、
スリーマイル島原発事故が1979年、
チェルノブイリ原発事故が1986年である。
青森県六ヶ所村での核燃料廃棄物再処理工場の建設が始まるのが1993年、そして、
1995年、阪神大震災が起こる。
 多分、阪神大震災を見て、彼女は日本における原発の危険性を東電内部で発言し始めたのではないだろうか
阪神大震災の一年ほど前、
「東京イニシアチブ」と言う論文が発表され、そこには、
「高温岩体の地熱発電への研究開発資金を大幅に増やせば、
日本国内に大きなエネルギー資源が見つかるかもしれません。
北海道と本州の4300平方キロメートルの地域が高温岩体の井戸に適した条件を持っているそうです
(1992年電中研ニュース)。
2000メートルから4000メートルの深さまで掘ることによって、
約40万メガワットの発電が可能。
この発電力は日本全体の発電能力の2.5倍。
この電力の予測価格は、キロワット時あたり13円でした」(http://eco.nikkei.co.jp/column/maekita_miyako/article.aspx?id=MMECcc005002082007を参照)
と書かれていたと言うから、彼女も日本における地熱発電の可能性について理解していたはずであり、
原発の代わりに地熱発電をと言う主張はそれなりに説得力がある。

 しかし、これらのことは、東電OL殺人事件発生当時、まったくマスコミに取り上げられることはなかった。マスコミの関心は、その後、神戸連続児童殺傷事件によってまさに乗っ取られていくからだ。
 神戸連続児童殺傷事件は1997年5月24日、14歳の中学男子生徒が11歳の知的障害のある男子児童を殺害し、翌25日その児童の首を切り落とし、26日未明に男子生徒の通学していた中学の正門前にその頭部を犯行声明文とともに置いたという事件である。そして、これら一連の事件は、東電OL殺人事件の容疑者とされるネパール人が逮捕された5月20日の直後と言うタイミングなのだ。つまり、東電OL殺人事件の犯人逮捕がされ一応事件のけりがついたとされた直後に神戸連続児童殺傷事件が起こるのだ。
 しかし、神戸連続児童殺傷事件にしても、とても14歳の男子中学生の犯行とは思えない事件だ。11歳の児童を連れて自宅そばの丘に登りそこで殺害して首を切り、その首を中学の門に置くと言う一連の犯行は、一切目撃されていないし、指紋などの直接的な証拠も一切ない。唯一あるのは少年の自白なのだが、その自白さえも多少でもきちんと見れば矛盾点だらけという代物だ。これらのことについては、神戸小学生惨殺事件の真相(http://w3sa.netlaputa.com/~gitani/pamphlet/kyumei.htm)にかなり詳しく述べられているし、「神戸事件を読む 酒鬼薔薇聖斗は本当に少年Aなのか?」という熊谷英彦と言う方が書いた本にもかなり説得力を持つ論理が展開されている。

 そして、これらの事件が起こった1997年は、新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法が作られた年でもある。4月に成立しているが、そこでは、それまで国庫補助の対象であった地熱発電がはずされたのだ。その後、この法律は、2002年に改正されているがその際も地熱発電は補助対象にならずバイオマス発電などが補助対象として新たに指定されたのみである。更に、2008年にも改正が行われているが、その際には、地熱発電の内小規模発電に適しているバイナリー発電のみが補助対象として指定されている。そのため、1990年代後半から地熱発電の新規開発は止まってしまうのだ。ある程度の規模のある最も新しい地熱発電所は1993年から企画され1997年に自然公園法の認可を得た500kwの九重地熱発電所で大分県の九重町にある九重観光ホテルでやっているものだ。

 以上のような経緯を見たとき、佐藤栄佐久前福島県知事の裁判がいかにも非論理的であり、反原発を主張する人々を黙らせるためのものであるということが、ある程度納得いくのではないだろうか?

★阿修羅♪さんのブログより


 この夏休み、ひょんなことから、「日本が世界の新エネルギーのイニシアチブをとる」と書かれた13年前の論文「21世紀のエネルギービジョン」を発見しました。「東京イニシアチブ」(京都プロトコルに似てますね)と呼ばれ、日本は21世紀の無炭素エネルギー世界に一番乗りを果たし、世界を太陽光・水素経済へ急速に転換させ、21世紀のサウジアラビアになるだろうというのです。
 ハワイのコナにジンジャーヒル・リトリートセンターというパーマカルチャーの学校があって、ヨガをしたり、絵を書いたり、メディテーションをしたり、お料理教室したり、シュノーケルでダイビングをしたりするのですが、そこに1週間、子どもを連れて参加をしています。その校長先生(小田まゆみさんという66歳の画家)が持っていたのが、この論文でした。
 論文は1975年から83年にかけてカリフォルニア州知事として先進的な環境技術優遇政策を導入したジェリー・ブラウン氏のご意見番だったタイロン・キャッシュマン(Tyrone Cashman)博士によって書かれました。3カ月間調査に費やし、世界中で発表されている論文を読み作られたもので、94年に新エネルギー財団の講演で発表されたそうです。
 いったいどんな根拠で書かれたのでしょう。13年前こんなに世界を期待させた日本はそれ以降どうなったのでしょう。そして今から東京イニシアチブをとることはできないのでしょうか。
■先進国でも途上国でも使える新エネルギー
 ざっと論文をたどってみましょう。「再生可能エネルギー源がやがて化石燃料にとって変わる、ということを疑う人はいない」という断言は94年6月18日のロンドン「エコノミスト」誌から。この再生可能エネルギー資源というのは、太陽、風、地熱、バイオマス、小規模水力、波力、潮力のことです。「世界のエネルギーシステムは燃料を求めて地球を掘り返す経済から、海や空を含めて地球を取り巻くエネルギーの循環や温度差をうまく捕らえるための道具を作る経済に変わるでしょう」。
 その流れはふたつあって、ひとつは途上国のもの。もうひとつが先進国のもの。途上国については具体的な例が上げられています。
 「この1年半で、途上国に小規模太陽光発電システムの巨大市場が突如出現しました。モロッコでは3メガワット(3000キロワット分)、6万枚の太陽光発電パネルが地元の起業家たちによって、オープンバザーでパネル1枚ずつ現金で販売されました。1メガワットの電力はパネル2万枚に相当。南アメリカや南アジアでも同じような方法がとられています。太陽光発電は、現在利用可能な再生可能エネルギー発電の中で最も高価なものですが、世界の貧しい人々にとっては、今あるものより安いのです。
 例えば北東ブラジルのアラゴアスという非常に貧しい地域では、平均的な家庭が灯油と乾電池に年間250ドルも払っています。年間250ドルあれば、2年ローンで蓄電池つきの完全な太陽光発電システムを買うことができます(!)。このシステムは夜間4時間、5 個の電灯とラジオと白黒テレビに十分な電力を供給します。これは大きな進歩です。世界には電気のない人々が20億人います。彼らのほとんどは太陽光発電なら喜んで払うかもしれません。歴史上、これほど大きな市場が突然生まれたことはほとんどありません」。
 私も去年、ネパールのUNHCRの難民キャンプで働く友人から、ソーラーエネルギーの写真を送ってもらったことがあります。この状況は13年間着々と進んできたのではないでしょうか。
水車を回して発電用モーターを動かす釣り堀センターの発電所(長野県大町市)
先進国の新エネルギーイニシアチブを日本がとる根拠は、日本の技術力、温暖化防止への取り組み、省エネ技術、省エネコンサルティング力、メジャーオイルの政治的影響力から比較的自由だということ。
 さらに当時の日本の発電能力の2.5倍(!)といわれた高温岩体発電にも言及しています。「高温岩体の地熱発電への研究開発資金を大幅に増やせば、日本国内に大きなエネルギー資源が見つかるかもしれません。北海道と本州の4300平方キロメートルの地域が高温岩体の井戸に適した条件を持っているそうです(1992年電中研ニュース)。2000メートルから4000メートルの深さまで掘ることによって、約40万メガワットの発電が可能。この発電力は日本全体の発電能力の2.5倍。この電力の予測価格は、キロワット時あたり13円でした」。
 13年後の現在、新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)のホームページを見ると、高温岩体発電は「2000年11月27日に山形県大蔵村肘折(ひじおり)で実験を開始、02年4月末時点で、稼働率約90%(450日以上)、坑口温度130℃以上、回収率60%(蒸気2t/h、熱水34t/h)を記録、02年6月5日からは、循環抽熱実験の最終段階として高温岩体システムの発電能力を検証するために約3ヶ月間の発電試験を開始し、6月中旬時点において、平均出力約50KWを記録」。こんなに夢のような新技術が一般的にはあまり知られていないなんて、もったいない。国の重要エネルギー政策になっていないのは、技術的に問題があったからなのでしょうか。税金を払い、選挙権を持っている日本の大人である私たちは、電力需要の2.5倍もの潜在発電能力を持つといわれる地熱発電が国策にならない理由を、子どもたちに説明できるくらい理解していたいものです。
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■新エネルギーでできるこんな生活
 沖合に多数の風車が並ぶコペンハーゲンの洋上風力発電基地〔共同〕
まだこんなにはインターネットが普及していない13年前の論文ですが、コンピュータ制御の分散型の新エネルギーシステムが、世界を変える様子が描かれています。
 「家や会社の屋根の上には太陽熱温水パネルがあり、家の中には燃料電池。燃料電池は水素を使って電力と熱を最大の効率で供給します。水素は天然ガスのようにパイプで送られてくるか、その場で作られ、タンクに貯められます。晴れた日には、自分の家の太陽電池で発電した電力によって燃料電池を逆向きに運転して作り、曇りの日には水素会社からパイプラインで送られてきたものを使います。
 制御コンピュータは、太陽光発電パネルと温水パネルの太陽の日射強度、冷蔵庫内の冷却剤の量、温水タンク内の熱量、建物の蓄熱材の中の熱量、蓄電池の中の電気量、電力貯蔵用フライホイールの分毎の回転数、水素タンクの中に貯えられた水素の量などを翌日、翌々日の予想負荷と比較、電力市場のリアルタイム価格と比較され、高い場合には貯蔵庫から取り出して売り、安い場合には電力を買って使用するか貯蔵庫に入れます」。
 風力資源を利用するだけで、05年までにCO2排出量の20%減が可能、というその根拠は、93年8月30日付けの朝日新聞に掲載された新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)の風力地図(年間平均風速が秒速6~8メートルの地域とそれ以上の風速の地域を示す)でした。適切な風力資源をすべて利用すれば、日本は現在の電力需要の20%(1000メガワットの発電プラント25基分)を作ることができるのだそうです。
■そして今、新エネルギーが占める割合は
 そしてこの論文は、日本に勇気ある一歩を求める一文で締めくくられています。「今が日本の新エネルギーの使用量を劇的に増やす時です。今こそ日本の風力、太陽光、次世代地熱資源を利用するときです。日本は長い間、国内エネルギー資源が乏しい国だと思い込んできました。今こそ、その考えを見直して「日本は国内エネルギー資源が豊かな国だ」と言い始めることができます。さらに日本は世界一の製造国として、世界の新エネルギー、再生可能エネルギー発電装置を製造し、21世紀のサウジアラビアになることができます」。「世界が必要としている新たな経済原則によって世界を新エネルギーの未来に導けるのは、日本だけです。今がそのチャンスです。世界中の将来の世代が、この時期の大胆な東京イニシアチブを尊敬と感謝の念を持って振り返るようになるでしょう」。
 そして13年が経ちました。先進国の新エネルギーのイニシアチブはどこがとっているのでしょう。
  EUは、加盟国平均で2010年にエネルギー全体の12%、電力の21%まで導入。拘束力のない欧州議会の目標は、エネルギー全体で20年に20%。アメリカは昨年できたエネルギー政策法で風力、太陽光、バイオマスを支援。2013年までに連邦政府の電力消費の7.5%を自然エネルギーに。日本は2010 年までに1.35%の導入を義務化。エネルギー全体では2010年までに7%が目標。東京都は独自にエネルギー全体で2020年に20%の目標を設定。
  ……ちょっと悲しい気持ちになってしまいます。たった13年で、この違いです。シロウト目に見ても、日本の混乱がわかります。日本は自分たちの技術力を過信しすぎて、意見交換など人々のなかの政治力を培うことを怠ってきたので、今そのつけが回っているのかもしれません。イニシアチブが取れなかったことを嘆くより、一刻も早く、このエネルギー政策の「こんがらかり」を落ち着いて解かなくてはなりません。
 運動会のムカデ競争で一番先頭を走っていたのに、足がこんがらかって、ころんで、抜かれてしまったようなものです。落ち着いて。まず立って。そして声を掛け合って。なぜこんがらかったのかみんなで意識を共有して。共有できたら、さあ、もう一度、走り出しましょう。こんがらかりがほどけたら、きっと私たちはすばらしい技術力を持っているのですから、追いついたり、追い越したり、できるはず。新エネルギーのイニシアチブをもう一度、世界から期待される日も来るはずです。
[2007年8月3日/Ecolomy]

2000年9月

次世代型地熱エネルギーの開発

-高温岩体発電システムの開発-

地殻工学部 地殻エネルギー研究室 天満則夫

Q.高温岩体とは何ですか?
地下の地熱をエネルギー源として見た場合,高い温度ではあるけれど,熱水や蒸気が自分で噴出するほど圧力が高くない地熱資源のことを高温岩体と呼びます。仮に水平方向の面積が1km2で深度2km(220℃)から3km (280℃)までの1kmの厚さの高温岩体(初期平均温度250℃)を考え,これから平均温度が200℃になるまで熱を抽出し発電に利用したとすれば,3.5万kWの発電が15年間にわったって行えることになります。このような高温岩体が地下にある理由として,その岩体がもともと生まれた時から高温であった場合と,より深部にあるマグマ溜まりからの熱によって,2次的に加熱されている場合の2通りが考えられています。
Q.高温岩体発電システムとは何ですか?
地熱発電等地熱資源を利用するためには,「水分」「貯留層構造(割れ目群,岩石の隙間)」,「熱源」の3要素が必要ですが,高温岩体は,「熱源」しかないために,このままでは地熱発電等に利用出来ない,いわゆる未利用資源となっていました。そこで,この高温岩体を人工的に利用するために考えられた方法が高温岩体発電システムです。このシステムは,1972年にアメリカロスアラモス国立研究所において考えられたものですが,図1に示すように,(1)高温の岩体に井戸(注入井)を掘削し,その井戸の中へ高圧の水を注水することにより岩盤に人工的な割れ目群(フラクチヤ),すなわち貯留層を造成します(水圧破砕技術)。(2)このフラクチヤのどのくらい広がったかを微小な破壊音を観測することによって決定し,(3)新しい井戸(生産井)を人工貯留層に交差するように掘削します。そして,注入井に水を流し込み,その水が人工貯留層の中を通過する間に,高温岩体の熱エネルギーを熱水として抽出し,生産井から地表に取り出して発電するというものです。


図1 高温岩体システムの作成手順
生産井から地表に取り出した熱水は,発電に使用した後に,また注入井へ流し込みますから何度でも繰り返して利用することができます。高温岩体発電システムの概念図を図2に示します。このような高温岩体発電システムを完成させるための技術として,高温岩体の掘削技術,岩盤内に人工的に割れ目を造成する水圧破砕技術,貯留層の拡がりを把握するフラクチヤマッピング技術,坑井周辺の岩盤状態を調査する坑井内検層技術,貯留層の寿命等を評価する貯留層評価技術等が考えられています。


図2 高温岩体発電システムの概念図(肘折方式の場合)
Q.高温岩体によって国内ではどのくらいの発電ができるのですか?
高温岩体は地下にある資源ですから,発電量を正確に見積もることは難しいのですが,新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が平成5年度に行った調査では,国内の有望とされている地熱地帯を29カ所選び,これらの地域で温度が250℃以上で探さが3kmまでの高温岩体資源を利用すれば,2900万kWの発電ができると見積もっています(NEDO,高温岩体資源利用拡大のための基盤調査,平成6年3月)。この調査の対象となった地熱地域の合計面積は日本の国土面積の0.3%に過ぎませんから,実際にはもっとあると考えても良いでしょう。
Q.高温岩体発電システムの発電コストはどの程度になりますか?
高温岩体発電システムは,日本をはじめ世界各国で開発が進められていますが,まだ実用化された例はありません。将来,実際に発電所が作られた時の発電コストを見積もるのは,現状でいろいろな仮定をしなければならないのですが,(財)電力中央研究所では発電所の規模が7万5千kWの場合には1kWh当たり18.0円,同じく24万kWの場合には12.7円と計算しています。また,NEDOは発電所の規模が3万kWの場合には,1kWh当たり22.0円になるとしています。
Q.高温岩体発電システムの長所と短所は何ですか?
もともと天然の蒸気を用いた地熱発電は二酸化炭素の発生量が極めて少なく,環境に優しいクリーンなエネルギーです。また,発電のための燃料を外国から輸入する必要もありません。高温岩体発電システムは地熱エネルギーを利用しているため,この長所は同様ですが,さらに高温岩体発電システムでは,地下に人工的に貯留層を造成するため,開発の対象となる地域がこれまでの地熱発電と比べると格段に広くなるという長所があります。但し,地域によって岩盤の様子が異なるため,地下の人工貯留層が画一的にできるというわけではありません。また,高温岩体発電システムでは,ポンプによって水を強制的に注入井へ流し込むため,従来の地熱発電と比べるとポンプ代の分だけコストが高くなるという欠点もあります。けれども,高温岩体は膨大な資源量が国内にあること,また環境にも優しいことから,今後,長期的には石油エネルギーの代わりとなる可能性を持っています。そのため,本システムの開発は今から着実に進めておく必要があります。
Q.高温岩体発電システムの研究開発はどこで行われているのですか?
高温岩体発電システムの研究は世界各地で行われています。現在は,日本,EC,スイス,オーストラリアにおいて基礎的な技術に関する現場実験が行われています。日本では,NEDOが写真1の山形県の肘折高温岩体実験場で研究開発を進めているほか,(財)電力中央研究所が秋田県の雄勝で現場実験を行っています。資源環境技術総合研究所は,ニューサンシャイン計画のもとで,肘折高温岩体実験場で得られた種々のデータの解析や評価を担当しているほか,委員会や部会等を通してNEDO肘折現場実験の立案等にも協力しています。

写真1 肘折高温岩体実験場
Q.他の国での研究開発はどうなっていますか?
ECの高温岩体実験場であるフランスのソルツでは,平成9年に4ヶ月間の循環試験が行われました。この試験では,生産井の中に熱水の汲み上げポンプを置き,約140℃の熱水を汲み上げることに成功しています。現在では岩盤温度200℃の岩盤から熱を抽出することを目的として探さ5,000mまで坑井を掘削,新しい地下システムを造ろうとしているところです。 アメリカではフェントンヒルで行っていた高温岩体の研究開発は終了しましたが,高温岩体発電システムの要素技術を従来地熱発電に適用するための研究を行っています。スイスやオーストラリアでは高温岩体発電システムの研究開発のための現場に坑井掘削に着手したところです。
Q.他の国との研究交流は行われているのですか?
現在,国際エネルギー機関(IEA)では地熱実施協定の中の高温岩体クスクにおいて,各国の研究者との情報交換等を進めています。IEA地熱実施協定は平成9年3月に仙台において調印が行われ,「地熱エネルギー開発が環境に及ぼす影響」,「高温岩体」,「深部地熱資源」の3分科会が正式に承認されて活動を開始することとなりました。高温岩体クスクには,現在,高温岩体発電システムに関する研究を行っている日本,EC,アメリカ,スイス,イギリス,オーストラリア,ドイツといった6ケ国1機関が参加しています。 高温岩体分科会では,従来の高温岩体だけではなく,地熱資源に何らかの人工的な手段を加えて地下から熱エネルギーを商業的ベースで開発する技術を対象に国際的な情報交換等を行うことで,技術開発に寄与することを目的としています。この中ではアメリカが提案している「高温岩体の経済性モデル」と「高温岩体技術への従来地熱エネルギー技術の応用」,スイスが提案している「データの取得・処理」,及び日本が提案している「貯留層評価」の4つの分科会が活発な活動を行っています。
Q.日本が行っている「貯留層評価」分科会は何をしているのですか?
この分科会では,高温岩体貯留層からどのくらいの期間にわたって発電がでさるかを明らかにしたり,貯留層を評価するためにどのような方法,技術,手段が有効であるかの検討を行っています。そのために貯留層技術に関してインターネットを用いたアンケートを行っています。アンケート項目は大きくシミュレーション,地質,トレーサ,地化学,検層技術の項目に分かれています。このアンケートのアドレスは,http://www.nedo.go.jp/gec/taskd/ですので,関心のある方はのぞいてみて下さい。
Q.肘折高温岩体実験場にはどのような地下システムが造られているのですか?
肘折高温岩体実験場には,4本の井戸(SKG-2,HDR-1~HDR-3)と浅部人工貯留層(探さ約1800m,岩盤温度約250℃)と深部人工貯留層(探さ約2200m,岩盤温度約270℃)の二つの人工貯留層があります。人工貯留層には,それぞれ注入井(SKG2, HDR-1)があり,図3のように2本の生産井(HDR-2, HDR-3)が浅部と深部貯留層に交差するシステムとなっています。なお,浅部貯留層の注入井と生産井との距離は40mから50mであるのに較べて,深部貯留層でより高温,より規模の大きな貯留層を造ったために100~130mと約2倍の距離があります。


図3 肘折高温岩体実験場の地下システムの概念図
Q.肘折高温岩体実験場でこれまでにどのようことが分かったのですか?
肘折高温岩体実験場での研究開発は,図4に示すように大きく2つの期間,すなわち,昭和61年度から平成3年度まで浅部貯留層の研究開発を行った期間と,平成4年度以降の深部貯留層の研究開発を行っている期間とに分けることができます。浅部貯留層の開発では,先ず日本で最初の高温岩体に対する水圧破砕を実施し,人工貯留層を造成することができました。次に,それぞれ1本の注入井,生産井及び人工貯留層からなる人工熱水系を造成し,昭和63年度にはこの熱水系を用いて,日本で最初の高温岩体からの2週間の循環抽熱試験を行い,最高温度180℃の熱水や蒸気の回収に成功しました。けれども地下の様子が複雑な我が国では,1本の注入井と1本の生産井を用いた循環システムでは熱水や蒸気の回収率(生産された熱水と注入した水の割合)が低いことが分かりました。効率的な熱エネルギー抽出のためには,回収率の向上が必要であったため,1本の注入井を取り囲むかたちで複数の生産井を配置する世界で最初のシステムを提案し,平成3年度には,1本の注入井と3本の生産井を使用して90日間の循環試験を行い,熱水・蒸気の回収率を78%まで高めることができました。このときの熱出力は8.5MWでした。


図4 肘折高温岩体実験場の年度展開
その後,より高温で,規模の大きい貯留層の造成・開発を目指して探さ2,200m付近の深部貯留層の開発を始めました。深部貯留層の開発では,熱水循環系の造成手順として(1)注入井掘削,(2)水圧破砕による人工貯留層造成及び貯留層範囲の把握,(3)生産井掘削という浅部貯留層で開発された設計手順の再確認を行い,270℃の高温岩体に対する人工熱水系の造成(注入井1本,生産井2本)に成功しました。また,平成7年度には,この深部貯留層を対象に25日間の循環柚熱試験が行われ,残部貯留層より高い9MWの熱出力を得ることに成功しました。このときの現場の様子が写真2です。

写真2 循環試験の様子(平成7年度)
Q.肘折高温岩体実験場のこれからの予定はどうなっていますか?
高温岩体発電システムが本当に実現するかどうかは,人工貯留層から長い期間にわたって安定して温度の高い熱水や蒸気が生産できるかどうかを見極めることが必要です。そこで,肘折では要素技術を仕上げる最終的な段階として平成12年度の11月頃から2年間の長期循環試験を行う予定です。この試験では,最初の1年間は,深部貯留層を用いた循環試験を行い,深部貯留層の長期間の生産性や抽熱寿命等の長期抽熱特性を把握する予定です。さらに,浅部貯留層と深部貯留層から成るマルチフラクチヤシステムの特性把握を目的に1年間の循環試験を行う予定です。これらの試験を行うことによって,実用化に向けた高温岩体発電システムの研究がさらに進むと考えられます。
Q.どのような条件が整えば,高温岩体発電システムが実用化されるのですか?
実際に高温岩体発電を行うためには,20年以上にわたって発電に必要な温度の熱水を供給できる大規模な貯留層を造成し,安定して運転する必要があります。その場合,肘折高温岩体実験場で造成された地下システムよりも,さらに大きな地下システムを造る必要があります。そのためには,これまでに開発された貯留層造成(水圧破砕)技術をもとにして,十分な熱交換面積を有する大規模な貯留層の造成,即ち複数の大規模フラクチヤを効率的に造成するための技術開発が重要です。また,従来の地熱発電に比べて高温岩体発電では循環のためのポンプ動力が必要なため,発電コストの低減のためにはフラクチヤ内の流動状況の改善やマルチフラクチヤ間での流動制御などの最適生産技術の開発と,最適生産技術を適応する場合の基礎となるマルチフラクチヤシステムに対応した貯留層評価技術の高度化が今後の重要な課題として残されています。これら発電システム開発に必要な技術の開発を進め,2020年頃の実用化を目指しています。

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