町内会で除染活動に参加してみた(震災取材ブログ)
@福島
- 2011/11/14 12:00
放射性物質の影響が続く福島市。先日、地元の町内会で開かれた除染活動に参加してみた。
薄日が差し始めた午前6時すぎ。町内に住む約20人が集まった。ズボンにジャケット。マスクを着けた人もいる。道具はホウキとちり取り。至って簡単な装備だ。
その理由を町内会長が教えてくれた。「福島市から土を集めるような作業はしないでほしいと言われている」。草などをはぎ取って放射性物質を含む土壌が集まると、土を置く「仮置き場」が必要になるからだ。こうした除染の自粛を7月ごろから求められ、今回も道路に落ちた枯れ葉を拾う清掃くらいしかできないという。
放射線の計測器を持ちながら、清掃を始めた。枯れ葉の上は1時間当たり3マイクロ(マイクロは100万分の1)シーベルト。雨を吸い込むため、道路の表面などに比べて線量は高い。枯れ葉を集めるだけでも除染につながる。
さらに町内会長が「ここは高いよ」と教えてくれた道路の側溝にある土の表面を調べた。値は17マイクロシーベルト。この周辺では最も高い値。警戒区域並みのレベルだ。雨水で放射性物質が流れ込み、土に含まれる粘土にくっついて蓄積したようだ。
「広島では大雨が降り、放射能が下がったと聞いていたのに」。町内会長はこうため息をつく。原爆が落ちた広島市では戦後、目立った除染活動は行われなかった。原爆の落下直後に降った大量の雨が放射性物質を洗い流したとみられている。
福島県でも原子力発電所の事故後、台風などによって大雨があったものの、放射能のレベルはなかなか下がらない。
自粛を求めていた福島市は政府の除染計画の決定を受けて、10月から放射性物質を取り除く活動を本格的に始めた。当面は放射線量のレベルが市内で比較的高い地域に限られ、作業も専門業者に委ねる考え。費用もかかるうえ、時間も遅い。市民は順番を待つしかない。除染に向けた道のりは遠い。(竹下敦宣)
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