東電、異論続出で汚染水の海洋流出量を再計算
2011年11月23日 02時10分
福島第1原発の事故で、4月に判明した高濃度汚染水の海洋流出をめぐり、東京電力が公表した放射性物質の流出量は少なすぎるとして、国内外の研究者から異論が続出している。東電の値には3月の流出分が含まれていないためだが、この値を加えると、過去最悪の海洋汚染になる可能性がある。突き上げを受けた形で、東電は月内の公表を目指し、再計算に乗り出した。
東電は5月、2号機の取水口近くなどから流出した放射性物質の量は、ヨウ素やセシウムなど3種類で計4700兆ベクレルだったと公表した。1975年に英国セラフィールド核燃料再処理施設から流出したセシウム137の総量5200兆ベクレルより少ないとされた。
だが、9月に日本原子力研究開発機構と、東電の“身内”でもある電力中央研究所の研究者が、実際の流出量は東電発表の約3倍だったとの試算値を相次いで学会発表し、波紋を広げた。
さらに10月、フランスの放射線防護原子力安全研究所(IRSN)が、セシウム137だけで2・7京ベクレル(京は兆の1万倍)と見込まれるとする試算値を発表。東電発表の実に28倍に当たる。
日本の研究者の間では、IRSNの試算値は海中でセシウムなどが拡散する状況を適切に見ていない、といった疑問の声も多い。
(中日新聞)
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