2011年11月13日日曜日

TPP 米国丸儲けの米韓FTAから なぜ日本は学ばないのか 「TPP亡国論」著者が最後の警告!

6:20から、このおじさんのお話が面白い




中野剛志 [京都大学大学院工学研究科准教授] 2011年10月24日



TPP交渉に参加するのか否か、11月上旬に開催されるAPECまでに結論が出される。国民には協定に関する充分な情報ももたらされないまま、政府は交渉のテーブルにつこうとしている模様だ。しかし、先に合意した米韓FTAをよく分析すべきである。TPPと米韓FTAは前提や条件が似通っており、韓国が飲んだ不利益をみればTPPで被るであろう日本のデメリットは明らかだ。
TPP(環太平洋経済連携協定)の交渉参加についての結論が、
11月上旬までに出される。大詰めの状況にありながら、TPPに関する情報は不足している。政府はこの点を認めつつも、本音では議論も説明もするつもりなどなさそうだ。 
 しかし、TPPの正体を知る上で格好の分析対象がある。TPP推進論者が羨望する米韓FTA(自由貿易協定)である。

米韓FTAが参考になるのは
TPPが実質的には日米FTAだから

なぜ比較対象にふさわしいのか? 
 まずTPPは、日本が参加した場合、交渉参加国の経済規模のシェアが日米で9割を占めるから、多国間協定とは名ばかりで、実質的には“日米FTA”とみなすことができる。また、米韓FTAもTPPと同じように、関税の完全撤廃という急進的な貿易自由化を目指していたし、取り扱われる分野の範囲が物品だけでなく、金融、投資、政府調達、労働、環境など、広くカバーしている点も同じだ。
そして何より、TPP推進論者は「ライバルの韓国が米韓FTAに合意したのだから、日本も乗り遅れるな」と煽ってきた。その米韓FTAを見れば、TPPへの参加が日本に何をもたらすかが、分かるはずだ。
だが政府もTPP推進論者も、米韓FTAの具体的な内容について、一向に触れようとはしない。その理由は簡単で、米韓FTAは、韓国にとって極めて不利な結果に終わったからである。 
では、米韓FTAの無残な結末を、日本の置かれた状況と対比しながら見てみよう。

韓国は無意味な関税撤廃の代償に
環境基準など米国製品への適用緩和を飲まされた

まず、韓国は、何を得たか。もちろん、米国での関税の撤廃である。
 しかし、韓国が輸出できそうな工業製品についての米国の関税は、既に充分低い。例えば、自動車はわずか2.5%、テレビは5%程度しかないのだ。しかも、この米国の2.5%の自動車関税の撤廃は、もし米国製自動車の販売や流通に深刻な影響を及ぼすと米国の企業が判断した場合は、無効になるという条件が付いている
 そもそも韓国は、自動車も電気電子製品も既に、米国における現地生産を進めているから、関税の存在は企業競争力とは殆ど関係がない。これは、言うまでもなく日本も同じである。グローバル化によって海外生産が進んだ現在、製造業の競争力は、関税ではなく通貨の価値で決まるのだ。すなわち、韓国企業の競争力は、昨今のウォン安のおかげであり、日本の輸出企業の不振は円高のせいだ。もはや関税は、問題ではない。
さて、韓国は、この無意味な関税撤廃の代償として、自国の自動車市場に米国企業が参入しやすいように、制度を変更することを迫られた。米国の自動車業界が、米韓FTAによる関税撤廃を飲む見返りを米国政府に要求したからだ
 その結果、韓国は、排出量基準設定について米国の方式を導入するとともに、韓国に輸入される米国産自動車に対して課せられる排出ガス診断装置の装着義務や安全基準認証などについて、一定の義務を免除することになった。つまり、自動車の環境や安全を韓国の基準で守ることができなくなったのだ。また、米国の自動車メーカーが競争力をもつ大型車の税負担をより軽減することにもなった
 米国通商代表部は、日本にも、自動車市場の参入障壁の撤廃を求めている。エコカー減税など、米国産自動車が苦手な環境対策のことだ。

コメの自由化は一時的に逃れても
今後こじ開けられる可能性大

農産品についてはどうか。
 韓国は、コメの自由化は逃れたが、それ以外は実質的に全て自由化することになった。海外生産を進めている製造業にとって関税は無意味だが、農業を保護するためには依然として重要だ。従って、製造業を守りたい米国と、農業を守りたい韓国が、お互いに関税を撤廃したら、結果は韓国に不利になるだけに終わる。これは、日本も同じである。
 しかも、唯一自由化を逃れたコメについては、米国最大のコメの産地であるアーカンソー州選出のクロフォード議員が不満を表明している。カーク通商代表も、今後、韓国のコメ市場をこじ開ける努力をし、また今後の通商交渉では例外品目は設けないと応えている。つまり、TPP交渉では、コメも例外にはならないということだ。
 このほか、韓国は法務・会計・税務サービスについて、米国人が韓国で事務所を開設しやすいような制度に変えさせられた。知的財産権制度は、米国の要求をすべて飲んだ。その結果、例えば米国企業が、韓国のウェブサイトを閉鎖することができるようになった。医薬品については、米国の医薬品メーカーが、自社の医薬品の薬価が低く決定された場合、これを不服として韓国政府に見直しを求めることが可能になる制度が設けられた。
 農業協同組合や水産業協同組合、郵便局、信用金庫の提供する保険サービスは、米国の要求通り、協定の発効後、3年以内に一般の民間保険と同じ扱いになることが決まった。そもそも、共済というものは、職業や居住地などある共通点を持った人々が資金を出し合うことで、何かあったときにその資金の中から保障を行う相互扶助事業である。それが解体させられ、助け合いのための資金が米国の保険会社に吸収される道を開いてしまったのだ。
米国は、日本の簡易保険と共済に対しても、同じ要求を既に突きつけて来ている。日本の保険市場は米国の次に大きいのだから、米国は韓国以上に日本の保険市場を欲しがっているのだ。

米韓FTAに忍ばされた
ラチェット規定やISD条項の怖さ

さらに米韓FTAには、いくつか恐ろしい仕掛けがある。
 その一つが、「ラチェット規定」だ。
ラチェットとは、一方にしか動かない爪歯車を指す。ラチェット規定はすなわち、現状の自由化よりも後退を許さないという規定である。
 締約国が、後で何らかの事情により、市場開放をし過ぎたと思っても、規制を強化することが許されない規定なのだ。このラチェット規定が入っている分野をみると、例えば銀行、保険、法務、特許、会計、電力・ガス、宅配、電気通信、建設サービス、流通、高等教育、医療機器、航空輸送など多岐にわたる。どれも米国企業に有利な分野ばかりである。
 加えて、今後、韓国が他の国とFTAを締結した場合、その条件が米国に対する条件よりも有利な場合は、米国にも同じ条件を適用しなければならないという規定まで入れられた
 もう一つ特筆すべきは、韓国が、ISD(「国家と投資家の間の紛争解決手続き」)条項を飲まされていることである。
 このISDとは、ある国家が自国の公共の利益のために制定した政策によって、海外の投資家が不利益を被った場合には、世界銀行傘下の「国際投資紛争解決センター」という第三者機関に訴えることができる制度である。
しかし、このISD条項には次のような問題点が指摘されている。
 ISD条項に基づいて投資家が政府を訴えた場合、数名の仲裁人がこれを審査する。しかし審理の関心は、あくまで「政府の政策が投資家にどれくらいの被害を与えたか」という点だけに向けられ、「その政策が公共の利益のために必要なものかどうか」は考慮されない。その上、この審査は非公開で行われるため不透明であり、判例の拘束を受けないので結果が予測不可能である。
また、この審査の結果に不服があっても上訴できない。仮に審査結果に法解釈の誤りがあったとしても、国の司法機関は、これを是正することができないのである。しかも信じがたいことに、米韓FTAの場合には、このISD条項は韓国にだけ適用されるのである。

 このISD条項は、米国とカナダとメキシコの自由貿易協定であるNAFTA(北米自由貿易協定)において導入された。その結果、国家主権が犯される事態がつぎつぎと引き起こされている
たとえばカナダでは、ある神経性物質の燃料への使用を禁止していた。同様の規制は、ヨーロッパや米国のほとんどの州にある。ところが、米国のある燃料企業が、この規制で不利益を被ったとして、ISD条項に基づいてカナダ政府を訴えた。そして審査の結果、カナダ政府は敗訴し、巨額の賠償金を支払った上、この規制を撤廃せざるを得なくなった。
また、ある米国の廃棄物処理業者が、カナダで処理をした廃棄物(PCB)を米国国内に輸送してリサイクルする計画を立てたところ、カナダ政府は環境上の理由から米国への廃棄物の輸出を一定期間禁止した。これに対し、米国の廃棄物処理業者はISD条項に従ってカナダ政府を提訴し、カナダ政府は823万ドルの賠償を支払わなければならなくなった。
メキシコでは、地方自治体がある米国企業による有害物質の埋め立て計画の危険性を考慮して、その許可を取り消した。すると、この米国企業はメキシコ政府を訴え、1670万ドルの賠償金を獲得することに成功したのである。
 要するに、ISD条項とは、各国が自国民の安全、健康、福祉、環境を、自分たちの国の基準で決められなくする「治外法権」規定なのである気の毒に、韓国はこの条項を受け入れさせられたのだ。
 このISD条項に基づく紛争の件数は、1990年代以降激増し、その累積件数は200を越えている。このため、ヨーク大学のスティーブン・ギルやロンドン大学のガス・ヴァン・ハーテンなど多くの識者が、このISD条項は、グローバル企業が各国の主権そして民主主義を侵害することを認めるものだ、と問題視している

ISD条項は毒まんじゅうと知らず
進んで入れようとする日本政府の愚

米国はTPP交渉に参加した際に、新たに投資の作業部会を設けさせた。米国の狙いは、このISD条項をねじ込み、自国企業がその投資と訴訟のテクニックを駆使して儲けることなのだ。日本はISD条項を断固として拒否しなければならない。
ところが信じがたいことに、政府は「我が国が確保したい主なルール」の中にこのISD条項を入れているのである(民主党経済連携プロジェクトチームの資料)。
その理由は、日本企業がTPP参加国に進出した場合に、進出先の国の政策によって不利益を被った際の問題解決として使えるからだという。しかし、グローバル企業の利益のために、他国の主権(民主国家なら国民主権)を侵害するなどということは、許されるべきではない。
それ以上に、愚かしいのは、日本政府の方がグローバル企業、特にアメリカ企業に訴えられて、国民主権を侵害されるリスクを軽視していることだ。
政府やTPP推進論者は、「交渉に参加して、ルールを有利にすればよい」「不利になる事項については、譲らなければよい」などと言い募り、「まずは交渉のテーブルに着くべきだ」などと言ってきた。しかし、TPPの交渉で日本が得られるものなど、たかが知れているのに対し、守らなければならないものは数多くある。そのような防戦一方の交渉がどんな結末になるかは、TPP推進論者が羨望する米韓FTAの結果をみれば明らかだ。
それどころか、政府は、日本の国益を著しく損なうISD条項の導入をむしろ望んでいるのである。こうなると、もはや、情報を入手するとか交渉を有利にするといったレベルの問題ではない。日本政府は、自国の国益とは何かを判断する能力すら欠いているのだ。

野田首相は韓国大統領さながらに
米国から歓迎されれば満足なのか

米韓FTAについて、オバマ大統領は一般教書演説で「米国の雇用は7万人増える」と凱歌をあげた。米国の雇用が7万人増えたということは、要するに、韓国の雇用を7万人奪ったということだ。
他方、前大統領政策企画秘書官のチョン・テイン氏は「主要な争点において、われわれが得たものは何もない。米国が要求することは、ほとんど一つ残らず全て譲歩してやった」と嘆いている。このように無残に終わった米韓FTAであるが、韓国国民は、殆ど情報を知らされていなかったと言われている。この状況も、現在の日本とそっくりである。
オバマ大統領は、李明博韓国大統領を国賓として招き、盛大に歓迎してみせた。TPP推進論者はこれを羨ましがり、日本もTPPに参加して日米関係を改善すべきだと煽っている。
しかし、これだけ自国の国益を米国に差し出したのだから、韓国大統領が米国に歓迎されるのも当然である。日本もTPPに参加したら、野田首相もアメリカから国賓扱いでもてなされることだろう。そして政府やマス・メディアは、「日米関係が改善した」と喜ぶのだ。だが、この度し難い愚かさの代償は、とてつもなく大きい。
それなのに、現状はどうか。政府も大手マス・メディアも、すでに1年前からTPP交渉参加という結論ありきで進んでいる。11月のAPECを目前に、方針転換するどころか、議論をする気もないし、国民に説明する気すらない。国というものは、こうやって衰退していくのだ。

おまけ
★阿修羅♪ さんのブログより

投稿者 バロック 日時 2011 年 11 月 12 日 10:50:21: Hh9WSHmiwdlbY
政経塾政権として野田内閣が動き出したことによって、日本の社会システムを全面的にアメリカ化することを第一の政治課題にしており、国民の意見や国会の決定に無関係な形で、TPPへの参加を国策の筆頭にしようとしている。これは政治としては主権を放棄してアメリカに追従する売国政治だ。なぜ政経塾政権がこのような売国行為に熱心かといえば、それは松下幸之助が設立した松下政経塾が反共十字軍として作られた、資本主義を護ることを盲信した国際組織の「道徳再武装(MRA)」運動に直結した、PHPを司令塔にしたカルトによって牛耳られているからだ。この「道徳再武装(MRM)」運動に最も忠実だったのが国際勝共連合(統一教会)であり、統一教会を背後から操っていたのがKCIAだで、そのまた背後にはアメリカのCIAが控えていたのだった。だから、CIAのエージェントだった岸信介の孫として統一教会に操られていた安倍晋三が、無能で行き詰ったのに病気を口実にして政権を投げ出したために自民党が政権を失ってから、末期的な政治的混乱を経て成立した民主党政権をトロイの馬戦法で、政経塾に操られた政治家が乗っ取って菅政権を作り、この菅内閣の破綻に続いて本命の政経塾出身の政治家たちによる、野田内閣が発足したのだった。この経過を理解するためには、松下政経塾と「道徳再武装(MRM)」運動について知る必要があり、国際勝共連合(統一教会)を使ってアジアや世界の労働運動を空洞化した手先としてのCIAについて理解すれば、なぜ野田内閣が日本をアメリカに売り渡そうとしているかの背後関係が納得できるのだ。
<貼りつけ記事>
カルトの世紀 道徳再武装と松下政経塾(その2) 不 可 視 の 学 院
http://black.ap.teacup.com/fukashinogakuin/565.html
(以下、注釈≪≫を加え、引用転載)
-- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- --
【カルトの世紀 道徳再武装と松下政経塾 その2】 2007年10月15日掲載
≪≪MRAによる日米間の文化交流プログラムは、国防総省やCIAの秘密のミッションの隠れ蓑にもなっていた。
CIAのエージェントで、レバノンやベイルートで長くビューローチーフを務めたマイルス・コープランドJr.
(ロック・グループPOLICEのスチュワート・コープランドの父)の著作によれば、MRAは明確にCIAのコントロール下にあったという。
70年代以降、日米間の複雑に入り組んだネットワークの中枢を担ったのが、MRAの本部も兼ねていた日本国際交流センター(JCIE)だった。
JCIEは、デヴィッド・ロックフェラーが委員長を務める日米欧委員会(三極委員会=トライラテラル・コミッション)の事務局を兼ねており、
日本におけるロックフェラー財閥の代表機関になっていた。≫≫
JCIE理事長の山本 正は、「ロックフェラーの日本秘書」とも呼ばれ、
一時期は「全ての事が山本を経由する」と言われるほど日米間のパイプを押さえていたという。
デヴィッド・ロックフェラーやヘンリー・キッシンジャーをファーストネームで呼ぶことができる唯一の日本人とも言われた。
≪安倍晋三の祖父でCIAのエージェントだった岸 信介もMRAにも深く関わっていた。≫
岸は、首相就任直後の1957年に2度にわたりアメリカを含む東南アジア・大洋州15カ国を訪問して、日本の過去の戦争について謝罪して回った。
特に2回目の訪問国には、フィリピンやオーストラリアなど反日感情の強い国々があった。
オーストラリアの在郷軍人会は岸を戦犯として批判していたが、ブックマンと親しい外交官アラン・グリフィスらの説得によって、訪問受け入れに転換した。
岸は、首相在任中の1960年に日本を訪れたMRAの代表団に、
「諸君は全世界に対して道徳的バックボーンを与えるようにしておられる。
私はMRAが6週間にわたって我が国に与えた圧倒的な影響力に対して感謝の気持ちを表明したい。」と挨拶した。
≪当時は60年安保運動で、岸打倒の声がまさにピークに達していた時であり、MRA代表団の訪日のタイミングは絶妙なものだった。≫
≪MRAの日本導入の立役者は、現首相の福田康夫の父で後に首相になる福田赳夫であったと言われている。≫
1961年、岸は福田と共にコーのMRA世界大会に参加した。MRAは、権力回復に野心を燃やす戦犯たちに、公開贖罪の場を提供していた。
岸も他の悔悟者とともにMRAの国際会議場で涙を流してみせた。
≪≪しかし、岸は戦後日本で最も反動的な首相であり、わずか3年間の短い在任中に、
警察官の権限を拡大強化する警察官職務執行法改正案、紀元節の復活といった史上稀に見る反進歩的な法案を提出した。
岸は韓国のカルト宗教・統一教会、アジア人民反共連盟(APACL)などの右翼組織やCIAのフロント組織をバックアップし、
日本郷友連盟や祖国防衛同士会などの極右団体の顧問もつとめた。MRAもそうした右翼組織の一つだった。≫≫
≪岸が、右翼の大物・笹川良一やフィクサー・児玉誉士夫と共に、
統一教会の別組織である国際勝共連合の生みの親であったことはよく知られている。≫
≪統一教会は、軍事政権下の韓国のKCIA(韓国中央情報局※)が直接組織した団体だったが、
その教祖の文鮮明は、実はMRAを参考にして統一協会を作ったと言われる。統一協会・勝共連合は、MRAの「鬼っ子」だったのだ。≫
※KCIA
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E9%9F%93%E6%B0%91%E5%9B%BD%E4%B8%AD%E5%A4%AE%E6%83%85%E5%A0%B1%E9%83%A8
※日本の検察「権力者によどみなくメス」、(KCIAが暗躍する)韓国では絶賛の声も - Yahoo!ニュース
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100116-00000007-scn-kr
※日本テレビ放送網とCIA
http://www.f.waseda.jp/tarima/NTV%20and%20CIA.htm
統一協会が軍事政権や自民党右派などの排他的右翼政治勢力と組んだのに対し、
MRAは民族融和を標榜し、財界と結びついた点に大きな違いがあった。
年に1回、コーで開かれているMRAの日米欧経済人円卓会議は、経団連の土光敏夫や奥田 碩が代表を務めている。
経団連はMRAの別働隊であるとさえする見方もある。
戦後日本の政治家の中でMRAの影響を最も強烈に受けたのは、後に民社党(現在の民主党)に連なる社会党右派だった。
60年安保当時、東京のMRAハウスは既に自民、社会両党議員の交流の場にもなっていた。
日本社会党右派→民社党と移り、内閣総理大臣も務めた片山 哲も、戦後すぐにコーのMRA本部に詣でた一人だった。
片山は、当時ろくに収入が無かったが、MRAに飛行機代を全額出してもらい、
三井財閥の三井高維らご一行と共に仲良くコーで開かれたMRA世界大会に夫婦で出席して、
「MRAの機動部隊を日本に派遣されたい」などとおべんちゃらを言った。
共産党の宮本顕治の妻でプロレタリア作家の宮本百合子は、
『再武装するのはなにか』と題された文章の中で、そんな片山とMRAのウサン臭さを痛烈に批判している。
しかし、片山はもともとクリスチャンであり、キリスト教的人権思想と社会民主主義の融合=キリスト教社会主義を実践した人物だった。
弁護士時代はYMCA(キリスト教青年会)の寄宿舎を借りて事務所を開いていたぐらいだから、MRAとは相性が良かったのだろう。
元首相で民主党議員の羽田 孜と民主党創設者の鳩山由紀夫は、
前述の尾崎行雄の娘・相馬雪香らと共に97年にコーのMRA国際会議に出席してスピーチをしている。
羽田は尾崎行雄記念財団副会長も務めているが、どうも尾崎行雄というのは日本のMRA受容史の中で重要な名前であるらしい。
コー日米欧経済人円卓会議※のコーディネーターを務めているのも、藤田幸久という民主党議員だ。
この男の経歴は、戦後日本のMRAと社会党右派~民社党~民主党政治家の蜜月を象徴している。
民社党は労使協調の第二組合をバックボーンに持つ政党であり、まさにMRAの申し子だった。統一教会は自民党と組み、MRAは民社党と組んだとも言える。
※経済人コー円卓会議日本委員会
http://www.crt-japan.jp/
≪≪MRAが巨大な影響力を及ぼしている日本の政治勢力はもう一つある。
松下政経塾出身のネオリベラル(新自由主義)/ネオコン政治家たちだ。≫≫
松下政経塾は、松下電器の創業者・松下幸之助が、1980年に湘南・茅ヶ崎に私財70億円を投入して設立した私塾で、
次世代のリーダーとしての政治家・経営者の育成を目標としている。設立にあたっては吉田松陰の松下村塾※をイメージしたとも言う。
塾は全寮制で、毎年22才から35才までの男女を公募、年間1期わずか30人を厳選し、政治・経営リーダーの卵として3年間訓練・養成する。
カリキュラムは早朝清掃や早朝ウォーキングに始まり、伊勢神宮への参拝、書道、剣道、儒教講話など日本の文化や精神の学習、
松下電器の工場での製造作業や店舗での営業販売体験、自衛隊への体験入隊、三浦半島100kmを一日で一周する「100キロ行軍」などが含まれる。
塾設立当初は、松下幸之助も塾生と一緒に風呂に入って背中を流し合ったり、寝食を共にしたという。
塾生には1年目は研修資金月額20万円、2年目からは研修資金月額25万円の他、活動資金が年額125万円~175万円が支給され、
寮費はわずか月額4500円だという。
≪≪松下政経塾の原点は、共産主義から自分の企業を守るにはどうしたらいいかを真剣に考えた松下幸之助が、
アーノルド・トインビー(007で有名なイギリスの諜報機関MI6※の創設者でもある)にその研究委託をしたところ、
ロックフェラー系の研究所の指南・報告を受けて、MRAに加わるようになったことにある。
その設立の動機には、創価学会と公明党を自由に操る友人・池田大作への憧れがあったとも言われる。≫≫
※MI6(イギリス情報局秘密情報部) - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%82%AE%E3%83%AA%E3%82%B9%E6%83%85%E5%A0%B1%E5%B1%80%E7%A7%98%E5%AF%86%E6%83%85%E5%A0%B1%E9%83%A8
松下政経塾の講師陣は、PHP総合研究所※の研究員が務めていると推定される。
(右寄りで知られる漫画家の弘兼憲史や「新しい歴史教科書をつくる会」の佐藤欣子なども講師を務めているらしい)
PHPは、松下政経塾と姉妹関係にあるシンクタンクで、出版事業が業績の9割以上を占めており、
右翼論壇誌「Voice※」やビジネス書を中心に、「お水教」の教祖・江本勝の『水からの伝言』などのオカルト/擬似科学系の出版物も多数出している。
※PHP研究所 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/PHP%E7%A0%94%E7%A9%B6%E6%89%80
※竹中平蔵らの他、前原誠司も執筆に名を連ねる『Voice』
http://voiceplus-php.jp/archive/index.jsp
MRA日本協会理事だった山崎房一も、
『きっと、自分を好きになる』『心が軽くなる本 「不安」を「安らぎ」に変える57のヒント』などという胡散臭い本を出している。
PHPとは「Peace and Happiness through Prosperity(=繁栄による平和と幸福)」の略で、
「物心両面の繁栄により、平和と幸福を実現していく」というコンセプトを表している。
松下はこのPHP理念でもって、企業と激しく対立する共産主義系の組合活動家たちを押さえ込んだ。
この中から、民主社会主義協会=民社党/友愛クラブ、JC中立労連が生まれ、日本の労使協調/反共労働運動の流れがスタートした。
日本最大の労働組合の全国組織「連合(日本労働組合総連合会)」がそのゴールだった。
PHP理念は、まさにMRA思想の松下版と言える。
松下政経塾は、非二世議員の人材供給源として、政界・財界に塾生を多く送り込んでいる。
現在、同塾出身の政治家は、衆議院議員28名、参議院議員2名、都議会議員15名、市区町村議会議員13名、知事2名、市長・区長9名。
出身者に対する政治家の割合は、単一の組織としては世界一だという。
所属政党は、国会議員で自民党13人、民主党17人と党派を問わず分布している。
自民党は逢沢一郎や小野晋也、高市早苗、赤池誠章など。
民主党は前原誠司前代表や野田佳彦、拉致議連の松原 仁、原口一博がよく知られている。
稀にリベラル派もいるが、ほとんどがファナティックな市場原理主義の親米保守派だ。
≪神奈川県は県知事と最大の市である横浜市の市長が共に松下政経塾出身で占められている。
県知事の松沢成文は、小泉純一郎と共に郵政民営化研究会を立ち上げた「同志」であり、
1999年には小泉純一郎との共著『郵政民営化論』をPHP研究所から刊行している。≫
≪「堀江偽メール問題」で、民主党を自滅寸前にまで追い込んだ前原誠司も、郵政民営化研究会のメンバーだった。≫
≪雑誌「噂の真相」の名物編集長・岡留安則は、「噂の真相」の休刊にあたって「松下政経塾に気をつけろ!」という言葉を残したという。
松下政経塾とは、その母体になったMRAとは一体何なのか。
今後も日本の政局に重大な役割を果たしていくであろうこの集団の真の目的は未だ判然としないが、
その母体となったMRA、その影で蠢く統一教会、ロックフェラー財閥とアメリカ政府の姿を眼をこらして見れば、朧げながらその危険な牙が見えてくる。
そして日本にネオリベラリズムを導入した最初の首相である中曽根康弘は、MRAと統一教会に深く関わっていた。
今後の日本の政局の最大の焦点は、民主党内のネオリベ/ネオコン寄りの分派が、民主党を離脱して自民党と連合するかどうかだと言われている。
その時には、前原誠司を中心とする松下政経塾出身者がその主役になるだろう。≫
湘南方面から吹きつける不吉な風には、今後も注意が必要だ。
松下政経塾出身者の変わり種としては、サラ金業者・武富士の武井前会長の娘婿になった高島 望という男がいる。
この男は、退役軍人の集まりである社団法人「日本郷友連盟」の参与でもある一方で、
「全裸SEX教団」として最近週刊誌で話題の新興宗教団体「ザイン」の特別顧問にもなっており、「大公爵」という称号を持っている。
この「ザイン」は、代表・小島露観が「自衛隊はシビリアンコントロールから脱せよ」と主張する極右カルトで、
なんとクーデターの為に軍事訓練までやっていたという。まさにカルトはカルトを呼ぶ。
◇   ◇   ◇
但し、松下政経塾出身者でも原口一博総務大臣は、他と違っていると思う。或いは、彼こそが塾主が望んだ理想なのかもしれない。
他の人間は松下政経塾を利用したに過ぎないのかもしれない。以下、参考。
濁った目、鼻持ちならない権力の走狗。大きく醜い落とし穴から抜けることを教えていただきました。(原口一博議員日記)
「総理になってください。」というのが精一杯でした。
政権交代を果たして、近い将来に総理として改革の陣頭指揮をとってくださいとの思いを伝えたいと思いました。(原口一博議員日記)
http://www.haraguti.com/dcontents.php?num=368
日本を守るのに右も左もない 金貸し支配と労働運動は繋がっていた?
「金貸しによる日本支配が強まった契機を成すのが1985年プラザ合意だが、それと前後して起こったのが、日本の労働運動の再編だ。
当時の労働運動の再編の大きなトピックは、
①1987年 国鉄分割民営化→国労の解体、JR総連の発足と分裂
②同年 労働4団体(総評・同盟・新産別・中立労連)の解散→「連合」への統合
このような特権をアメリカの労働組合はどのようにして獲得したのか?
そのような特権は経営者が認めた(与えた)からであり、それは各企業に金を貸す金貸しが認めたからに他ならない。
ここでも、金貸しと労働運動の繋がりが透けて見える。このように、労働運動、さらには左翼運動全体が金貸し支配と繋がっていた疑いが出てくる。
労働運動、さらには左翼運動は金貸し支配の道具の一つだったのではないだろうか?」
日本を守るのに右も左もない MRA(道徳再武装)と中曽根康弘と労使協調
「MRA(道徳再武装)という団体が、1980年代以降従米路線に大きく舵を切った中曽根康弘元首相を取り込んだと同時に、
革新政党の議員や労働組合幹部をも取り込み、労使協調路線に洗脳したというのが注目点。
奇しくも両者は、1980年代の国鉄分割民営化と国労の解体、「連合」への労働団体の統合という地点で合流することになる」


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  読書会に爆破予告? 多様性をめぐり分断深まるアメリカの今 アメリカ各地で広がっている、ある読書会。 子どもたちに多様性への理解を深めてもらいたい。そんな思いから始まりました。 しかし今、こうした読書会が爆破予告や反対デモで、中止に追い込まれる事態が相次いでいるといいます。 い...