これは、27日開かれた専門家による検討会で環境省が示したもので、除染を行う面積や除染に伴って取り除く土の量を文部科学省が測った放射線量などを基に試算しました。それによりますと、除染をする対象の地域は、最も広い場合で、年間の放射線量の積算値が5ミリシーベルト以上の地域と、1ミリシーベルト以上5ミリシーベルト未満でも側溝など放射線量が局所的に高い地点を加えた範囲と想定しています。そのうえで、これらの地域にある森林全体から枯れ葉などを回収した場合を計算した結果、除染する面積は、最大で福島県を始め宮城県と山形県、栃木県、茨城県の一部を合わせた2419平方キロメートル、取り除く土の量は東京ドームおよそ23杯分に相当する、およそ2879万立方メートルに上るとしています。環境省は、この試算を基に専門家による議論を進め、除染を行う範囲や具体的な方法を年内に取りまとめることにしています。(9月27日 22時18分 NHK ニュースより)
農林水産省は、福島県飯舘村などで行ってきた農地から放射性物質を取り除く実験の結果をまとめ、14日に公表しました。このうち、土の表面を4センチの深さまで削り取る実験では、1キログラム当たり1万ベクレル余りだった放射性セシウムの濃度を75%低減させ、2600ベクレルにできたということです。放射性セシウムの濃度が極端に高い場所では、作業の際、土が飛び散らないよう、表面を薬剤で固めるなどの対策が必要だとしています。一方、水田に水を張ってトラクターでかき混ぜる実験では、運び出す土の量は排水の際に出た分だけで済みましたが、低減効果はおよそ40%にとどまったということです。また、薄い硝酸液で土を洗う実験では、ほぼ100パーセントの低減効果が見込めるとしていますが、温度を200度まで上げる装置が必要になるため、実用化までには時間がかかるということです。こうしたことから農林水産省は、放射性物質の濃度が高い農地では、土の表面を削り取る方法が確実だとして、今後、削り取った土の処理方法について検討を進めることになりました。(9月14日 22時10分 NHK ニュースより)
NHKは、福島県で被災し県内外の仮設住宅や避難所などで暮らす187人を対象にアンケートを行いました。この中で将来の生活基盤について「避難した当初と比べて心境の変化はありますか」と尋ねたところ、「戻りたい気持ちが強くなった」という答えが26%だったのに対し、「戻れないという気持ちが強くなった」が43%、「戻らないという決意を固めた」が11%となっていて、半数を超える人が当初に比べ元の自宅があった場所に戻ることが難しいという思いを強くしていることが分かりました。この理由として、自由記述の中で変わり果てた町の様子や除染の難しさを挙げる人が多く、中には「一時帰宅で荒れ果てた自宅や人けのない町を見てもうここには住めないと思った」とか「自宅の放射線量を測ってみて実際に高いことが分かり、以前とは違うということを実感した」など、一時帰宅をきっかけに自宅には戻れないという思いに傾いたとする記述が目立ちました。政府に望む対策については「徹底した除染や土壌改良などの原状回復」が43%と最も多く、次いで「自宅などの資産の買い上げ」が19%などとなっていて、自分が暮らしていた土地の原状回復を第一としながらも、難しい場合は移転の支援を求めたいとする複雑な心境がうかがわれます。(9月6日 17時21分 NHK ニュースより)
地図は、文部科学省が6月から7月にかけて、福島県を中心に2200余りの地点で測定した、土に含まれる放射性物質の量などを基に作成したものです。29日に農林水産省が公表した農地の汚染は土1キログラム当たりですが、土壌の汚染は1平方メートル当たりの放射性セシウムの濃度で示されています。それによりますと、最も高い値を示したのは、福島第一原発から数百メートルに位置する大熊町の地点で、放射性セシウムの濃度が1平方メートル当たり2946万ベクレルに上っていました。この値は、IAEAが緊急事態の対応として一時的な住居の移転などを求める放射性物質の濃度、1平方メートル当たり1000万ベクレルを超え、極めて高いレベルです。今回の調査では、ほかに原発から北西方向の双葉町や浪江町の一部の地点でもこのレベルを超えていました。福島第一原発と同じように土壌汚染が問題になったチェルノブイリ原発事故の場合、1平方メートル当たり55万5000ベクレルを超える区域で一時的な住居の移転が求められましたが、今回の調査では、こうした地点が、福島市や二本松市など、警戒区域や、計画的避難区域以外の地域にも広がっていることが分かりました。一方で、土壌汚染の度合いは、原発からの距離とは必ずしも一致せず、原発から北西方向や、福島市から栃木県の那須塩原市の方向に帯状に高い汚染地域が広がっていました。政府は、今回作成した地図を、住民の被ばく量の評価や、除染の計画作りなどに役立てたいとしていて、今後も継続的に調査を行うとしています。(8月29日 20時38分 NHK ニュースより)
農林水産省は、福島第一原発から放出された放射性物質による農地の汚染状況を把握するため、福島、宮城、栃木、群馬、茨城、千葉の6つの県の合わせて580か所の畑や水田から土を採取して分析し、6月現在の値に補正して、地図にまとめました。公開された地図によりますと、コメの作付けが制限された地域以外でも、いずれも畑ですが、福島県内の4つの市と村の合わせて9か所で、制限の目安とされる、土1キログラム当たり5000ベクレルを超える放射性セシウムを検出したことが分かりました。このうち、伊達市霊山町下小国では8571ベクレル、いわき市川前町下樋売で6882ベクレル、大玉村大山では6856ベクレル、相馬市東玉野では5990ベクレルなどとなっています。このほか、コメの作付けが制限されている地域では、水田を中心に、浪江町南津島や飯舘村長泥、それに大熊町野上などで、土1キログラム当たり2万ベクレルを超える放射性セシウムが検出され、深刻な汚染状況が改めて裏付けられました。農林水産省は今後、福島県内の畑や水田を中心に、調査対象を5倍以上のおよそ3000か所に増やし、さらに詳しく農地の汚染状況を調べることにしています。福島県の大高哲郎農林水産部次長は「特に警戒区域や計画的避難区域などでかなり高い数値が出ているという印象だ。得られた結果は、今後、除染を徹底するうえで活用するとともに、引き続き土壌調査を実施して、県内の農産物の安全性確保に努めていきたい」と話しています。また、伊達市内の農地の土壌から高い濃度の放射性物質が検出されたことについて、伊達市の佐藤芳明産業部長は「高い数字だと認識している。ただ、同じ畑で取れた作物に対して、県が行った検査では、放射性セシウムは検出されなかったので、その点は安心だと考えている。市としては、こまめに検査を行って、作物の安全性を確保するとともに、農地の除染についても早急に取り組みたい」と話しています。(8月29日 19時29分 NHK ニュースより)
東京電力福島第一原発の事故で、政府は、被ばく線量が年間20ミリシーベルト以上に達するおそれのある地域を、段階的かつ迅速に縮小することを目指すなどとした、除染の基本方針を決定したことを受けて、26日午後、臨時閣議を開きました。そして、この基本方針に基づいて福島県内の除染を行うため、今年度の第2次補正予算に計上した予備費から、およそ2200億円を支出することを決めました。このあと記者会見した枝野官房長官は「政府としては地域の自治体や住民と連携して、迅速かつ着実な除染の推進に責任を持ち、当面、緊急に実施すべき除染事業などに一丸となって取り組む」と述べました。(8月26日 17時3分 NHK ニュースより)
文部科学省は、住民の立ち入りが禁止されている警戒区域への一時帰宅を近く実施するという政府の方針などを踏まえ、区域内の50の調査地点について、事故から1年後までの積算の放射線量の推計値を初めて公表しました。それによりますと、値が最も高かった福島県大熊町小入野では508.1ミリシーベルトと、国が計画的避難区域指定などの目安としている年間20ミリシーベルトを大きく上回りました。このほか、浪江町川房で223.7ミリシーベルト、双葉町長塚で172.4ミリシーベルト、富岡町小良ヶ浜で115.3ミリシーベルト、南相馬市小高区金谷で53.1ミリシーベルトなどとなっていて、年間20ミリシーベルトを上回ったのは、50の調査地点のうち35地点に上りました。一方、浪江町については、原発から8キロしか離れていない北幾世橋では4.1ミリシーベルトと推計されるなど、同じ町内でも値に大きなばらつきがあることも分かりました。文部科学省では「今後も警戒区域の解除に向けて必要な情報を公開していきたい」としています。(8月21日 19時36分 NHK ニュースより)
政府は、事故の収束に向けた工程表でステップ2に当たる、原子炉の冷温停止状態が達成されたあと、原発から半径20キロ圏内の警戒区域の解除の検討に入る方針です。一方で、今月9日の原子力災害対策本部の会合で、放射線量が極めて高いなどの理由で、相当長期にわたって帰宅が困難な区域の存在も、今後明らかになるという見方を、初めて示しました。そして、こうした区域について政府は、当面、警戒区域のまま解除せず、立ち入り禁止措置を続けることになりました。また、こうした区域の土地については国が買い取るなどの対策も検討していくことになりました。具体的に該当する区域としては、原発から極めて近く、放射線量が依然として極めて高い地域を検討することにしていて、今後、自治体とともに長期的な復興対策や対応策を検討することにしています。菅総理大臣は、近く、こうした区域に該当する自治体に対し、住民の避難が長期化する見通しや、それに伴う住民への支援策などについて、直接説明する方向で調整を進めることにしています。(8月21日 18時39分 NHK ニュースより)
この中で平野復興担当大臣は、福島第一原発の周辺地域について「放射線量の基準を設定して、場合によっては住民が帰宅するまでに長い時間がかかる場所を、明らかにできるのであれば、できるだけ早く明らかにするべきだ」と述べ、放射線量が極めて高いなどの理由で、相当長期にわたって住民の帰宅が困難だとみられる一部区域については、できるだけ早く特定して公表することが望ましいという考えを示しました。そのうえで、平野大臣は「帰宅するまで長期間になる場合は、仮設住宅よりも、災害住宅のようなものを建設して住んでもらうといった対策を考えるべきだと思う」と述べ、長期にわたって帰宅が困難な一部区域の住民については、恒久的な住宅を建設するなどの支援策を検討すべきだという考えを示しました。(8月21日 17時36分 NHK ニュースより)
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