ブータン国王―桃源郷の挑戦見守ろう  21世紀仏教への旅 ブータン

ブータン国王―桃源郷の挑戦見守ろう

ブータンのワンチュク国王が国賓として来日した。31歳の国王は先月、21歳のペマ王妃と結婚したばかり。新婚旅行を兼ねた初めての訪問を歓迎したい。
九州よりやや広い国土に約70万人が住む。国民の多くは熱心なチベット仏教の信者だ。山間の農業国だが、収入の柱は水力発電による電力の輸出だ。
桃源郷という呼び名がふさわしい。ヒマラヤに抱かれた美しい自然に加え、前国王が唱えた「GNP(国民総生産)よりGNH(国民総幸福)」という考えが国造りの基本になっているからだ。経済成長より国民の幸せをという理念である。
しかし鎖国に近い状態から徐々に国を開いたことで、外資が押し寄せつつある。人口増加の著しい首都ティンプーは建設ラッシュだ。商業施設が開業し、車も増えた。携帯やインターネットの普及も加速している。
世界の情報が駆けめぐり、欲望が刺激される時代。GNHを掲げながら豊かさを実現できるか。小国の大きな実験だ。
この国が取り組むもうひとつの試みは、民主化である。
医療や教育の普及で国民から絶大な支持を得ていた前国王は98年、長く続いた国王親政から立憲君主制にかじを切った。絶対君主が自発的に権力を国民に譲った史上まれな決断だった。
長男である現国王の即位後に上院、下院選を実施した。08年に新内閣が発足、国王の定年制や国王の解任権を国民に与えると定めた憲法が施行された。
議会制より王の治世の継続を望む国民に対し、前国王は「悪い王の時も国が存続できる仕組みが必要」と説得したという。
背景には近隣で相次ぐ王室の危機がある。70年代にラオスやイランの「革命」で王家は追い出された。08年にはネパールでも廃止された。敬愛されるタイの国王も政局混乱に対するかつての調停能力を失っている。
経済のグローバル化が進み、統治のあり方にも世界標準が求められるなかで、選挙を経ない王室が政治権力を握り続けることはかつてほど容易でない。
ブータンでも民主化の定着はこれからだ。インフラ整備やネパール系住民の難民問題など課題も多い。若い国王は、誕生したばかりの政府と協力して国造りにあたることになる。
国交樹立から今年で25年となる日本は最大級の援助国として選挙にも協力した。顔つきや民族衣装が似ていることもあり、ブータン側の親日感情も強い。
GNHと民主化。ふたつの挑戦を温かく見守り、協力を惜しまぬ姿勢を示したい。






































 GDPは国の経済規模を測る指標として、
また経済発展を測る指標として定着しているが、
経済万能主義は誤りだとして、
それに代わる発展の指標がかねてより追究されている。

有名なのは
人間開発指数(HDI-Human Development Index)
であり、
厚生(ウェルフェア)の考え方としてインカム(所得)・アプローチから
ケイパビリティ(潜在能力)・アプローチへの転換を打ち出した
ノーベル賞経済学者アマルティア・センの影響下、
比較的計測しやすい指標として国連開発計画(UNDP)が
毎年計測、公表している(図録1130参照)。

幸福の大きさを指標にしようとする試みもある。
ブータンのワンチュク国王は、
約30年前に、単なる開発ではなく、
少しでも「幸せ」を増加させることを国家の使命とすべきとして、
「国民総幸福量」
(GNH -Gross National Happiness)
との概念を提唱したと言われ、
GNHを測る指標も取り組まれている。
2005年10月には、
外務省主催(日本・ブータン友好協会共催)にて
「ブータンと国民総幸福量(GNH)に関する東京シンポジウム2005」
が開催された。
時事通信(2010年12月23日)によれば、
「フランスではノーベル経済学賞受賞者らを集めて
サルコジ大統領が設置した委員会は2009年、
社会的発展を測る指標として幸福度の重要性を提言した。
英国も幸福度の計測を検討中という。
民主党政権は2010年6月、
幸福度に関する統計の整備方針を「新成長戦略」に盛り込み、
2020年までに「幸福感を引き上げる」との目標を掲げた。
これを受けて内閣府は、
経済学や社会学などの有識者らで構成する研究会
(座長・山内直人阪大大学院教授)を設置し、
同年12月に初会合を開いた。
今後の議論では、諸外国や国際機関での取り組みを調べながら、
日本特有の家族観なども考慮し、測定方法を開発するという」。 

私はかねがね幸福をどのくらい感じているかが
最終的な基準ではないかと思っていた。
貧しくとも幸せであり得、金持ちでも不幸せであり得るのである。
しかし、幸福度は、
何も、GDPやHDIのように無理矢理指標化する必要はなく、
単純に、当人に聞いてみればよいのではと感じていた。
世界価値観調査では、
各国国民の幸福度を聞いているのでこれを図録化した。

世界価値観調査は、
世界数十カ国の大学・研究機関の研究グループが参加し、
共通の調査票で各国国民の意識を調べ
相互に比較している国際調査であり、
1981年から、また1990年からは5年ごとに行われている。
各国毎に全国の18歳以上の男女1,000~2,000サンプル程度の
回収を基本とした個人単位の意識調査である。

これによれば、
幸福度(「非常に幸せ」と「幸せ」の回答率の合計)が、
世界一なのは、ニュージーランドであり、
これにノルウェー、スウェーデンといった北欧諸国が続いている。
逆に幸福度が最も低いのは、
モルドバであり、ザンビア、イラクがこれに続いている。

日本の幸福度は、57カ国中24位と、半分よりやや上の水準である。

男女別の結果の国際比較については図録9484参照。
日本は女性の幸福度の方が高い。
また、「幸せがお金で買えるか」
という点を所得水準とここで取り上げた幸福度との相関から
図録9482で探っているので参照されたい。

また、この図録の旧年次版(2000年データ)は
図録9480xに掲載しておいたので参照されたい。
旧図録では人間開発指数(HDI)との関連やブータンの状況にふれ、
また、年次は異なるがここで掲載した国以外のデータも掲載している。

最後に、図に掲載した57カ国の名称と調査年次を以下に掲げる(英語ABC順)
アンドラ[2005]、アルゼンチン[2006]、オーストラリア[2005]、ブラジル[2006]、
ブルガリア[2006]、ブルキナファソ[2007]、カナダ[2006]、コロンビア[2005]、
キプロス[2006]、チリ[2006]、中国[2007]、エジプト[2008]、エチオピア[2007]、
フィンランド[2005]、フランス[2006]、グルジア[2008]、ドイツ[2006]、ガーナ[2007]、
英国[2006]、グアテマラ[2004]、香港[2005]、インド[2006]、インドネシア[2006]、
イラク[2006]、イラン[2005]、イタリア[2005]、日本[2005]、ヨルダン[2007]、
マレーシア[2006]、マリ[2007]、メキシコ[2005]、モルドバ[2006]、モロッコ[2007]、
オランダ[2006]、ニュージーランド[2004]、ノルウェー[2007]、ペルー[2006]、
ポーランド[2005]、ルーマニア[2005]、ロシア[2006]、ルワンダ[2007]、
セルビア[2006]、スロベニア[2005]、南アフリカ[2007]、韓国[2005]、
スペイン[2007]、スウェーデン[2006]、スイス[2007]、台湾[2006]、タイ[2007]、
トリニダードトバゴ[2006]、トルコ[2007]、ウクライナ[2006]、米国[2006]、
ウルグアイ[2006]、ベトナム[2006]、ザンビア[2007]

(2006年7月21日収録、8月10日ブータン情報追加、
8月14日1995年値追加、2011年1月4日更新、
1月5日幸福指標化の経緯追加)





































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