2011年11月3日木曜日

「確率的殺人に加担したくない」福島の漁師の想い

「確率的殺人に加担したくない」福島の漁師の想い

スナメリチャンネルさんのブログより
こんにちは!
17日から昨日まで、前回に引き続き、いわき市久ノ浜の港(福島第一原発より約30㎞南)に通いながら漁師さんのお話を伺っていました。

漁師さんたちがたまに船を出すのはもっぱら放射能汚染のモニタリングのための漁と、がれきの撤去作業のためです。

漁には出たいが、安全な魚を獲りたい。いつになったら元の海に戻るのか。

7ヶ月半が経った今でも先が見えずに思い悩む日々を過ごされています。
久ノ浜の漁師・新妻竹彦さんに今の現状についての考えを語って頂きました。
  
「安全な魚を届けたい」と願う竹彦さんは、事故前の元の海で獲れた魚の濃度が知りたくて、東京電力に質問しました。

その答えは、「(セシウムで)0.1ベクレルでした。
(映像で出てくるデータは以下に示しています。県と電力会社による報告書です。)

現在、国の食品の暫定基準値は(セシウム500,ヨウ素2000 ベクレル㏃/㎏)です。
元の海からすると、(セシウムで)約5000倍の値です。
  
これではたして安全なのか。いのちに関わることだからこそ、国民の大関心事だと思います。
この暫定基準値は「甲状腺で年50ミリシーベルト、全身で年5ミリシーベルト」の被曝を上限に定めたと言います。問題だと思うことを2つ挙げます。
  
●元々法律で定められた「年1ミリシーベルト」を大きく上回るということ。
(これは昨日、小宮山厚労相がセシウムの基準を年1ミリシーベルト程度を前提に見直すと発表しました。今度は「生涯100ミリシーベルト」が上限の基準のようです。しかし、決定は来年の4月としています。)

●内部被曝の危険性が考慮されていないであろうということ。
内部被曝は外部被曝よりも何倍も危険だと言われていますが、国はこれまで内部被曝の危険性を無視し続け、空間線量(外部被曝)だけを見て避難区域などを決めてきました。
5月に文科省の役人が「内部被曝は全体の(被曝の)0.2%ぐらいだから大丈夫」と発言したこともあったそうです。それぐらいの評価で基準が定められている恐れがあるかも知れないのです。

国は原発の安全神話に加え、食品の安全神話を作ろうとしているのかも知れません。
しかし、多くの国民はもはや国の言うことを信用していません。
原発の事故前に危険だったものが、今は安全とされ、来年4月からは危険に戻るのです。
  
国の基準と国民の基準には大きな差があります。
その差(国の過小評価)こそが国民(生産者と消費者)を苦しめているのだと思います。
「消費者の安全」と「生産者の賠償」を犠牲にしているということです。
  
僕はこう提案します。
いのちを守るために「消費者の安全」を第一に考える。
国は積極的に県や自治体と協力して食品を測定し、「何ベクレル」と表示できるようにする。今は市民が自腹で行っている状況です。その費用は東京電力(足りない分を国)が支払う。

それは、「安全と思える食べ物を選びたい」という消費者の権利と「確率的殺人に加担したくない」という生産者の権利を保障するためでもある。

生産者が損をした分(消費者が買わなかった分)は東京電力(足りない分を国)が全額補償する(いわゆる風評被害と呼ばれるものを含める)。

どうでしょう?
東京電力には潰れてもなお補いきれない責任があると思います。責任の取れないことはしないということを僕たち一人一人も確認しましょう。
どうしても数字で語られることが多くなりますが、本当に大切なことは数字ではないと思います。いのちの尊さは数字では表せられないでしょう。生きていく上で大切なことに気づくべき時だと思います。 

久ノ浜の漁師さんたちは、いつ再開できるか分からない状況の中、いつかの再開の時のために船の手入れを欠かさず続けています。
   

★映像で出てくるデータ

「現在の福島原発周辺海域のモニタリング」
●福島県 水産課 http://bit.ly/kmilTf
●文部科学省 http://bit.ly/pNo88i
●東京電力 http://bit.ly/obcq7f

「事故前からの原発周辺海域のモニタリング」
●新潟県 柏崎刈羽原発(新潟県と東京電力が出している報告書)
 http://bit.ly/tmXcY4(新潟県放射線監視センターより)
●福井県 敦賀,美浜,高浜,大飯原発(福井県,日本原電,関西電力などによる報告書)
 http://bit.ly/sZgz9V(福井県原子力環境監視センターより)
●福島県 福島原発(福島県と東京電力による報告書)
 http://bit.ly/rDorfV福島県原子力安全対策課より)

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安全な食卓を守りたいと苦渋の選択をしている漁師さんがいる一方で、

国(外務省)はODA(=政府開発援助)予算に約10億円つけ、福島県などの被災地で生産された(サバやサンマの缶詰などの)水産加工品を、“途上国”に送ろうとしているのをご存じでしょうか。目的は“途上国”の食糧支援と、風評被害の払拭のためだと言います。
   
(もう少し詳しくは、岩手・宮城・福島などの被災地で生産された水産加工品の他、車椅子などの工業製品も含み、全体で約50億円を予算案で要求しています。約10億円が水産加工品にあてられる予定です)

以下は、「脱原発の日実行委員会」http://amba.to/nkqDiE による抗議申し入れの様子です。
皆さんはどう思いますか?

“途上国”や被災地の支援を謳っていますが、僕には、買い手がないから税金(みんなのお金)を使って買ってしまおう、貰い手がないから知らない人たちに送ってしまおうということに思えてなりません。
仮にも、被災地支援と言うのなら、買うだけで送る必要はないでしょう。食べることになるのは、何も知らない子供たちです。そもそも税金を使う前に東京電力が支払うのが筋でしょう。
計画書の「機を逃さず」「呼び水効果」などの言葉からは先進国側の思惑が見え隠れします。
国の暫定基準が見直されるなら、この計画自体も見直されるべきでしょう。今後も追っていきたいと思います。
  
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