文科省より東日本地域における地形に基づく沈着量が公表された。
図1=航空機モニタリングで測定された放射性セシウムの沈着量と地形の関係
○奥羽山脈、飯豊山脈、越後山脈、下野山地、関東山地等の地形に沿って、放射性セシウムが沈着している傾向が確認されている。
文科省は、「本結果は、被ばく線量評価、除染対策、放射性プルームの状況の検証、地表面への沈着経路の解明、及び今後の放射性物質の沈着量の経時変化の確認などに活用されることが期待される。」と結んでいる。
この地形における沈着図は、文科省として評価出来る仕事だ。
本紙としては、汚染地帯の定義を、特に長期的にCs137汚染が継続する以下の地域としたい。
※10月13日時点でのCs137+Cs134合計値
1)阿武隈山地浜通り方面(高濃度汚染地帯)相双管内(約20万人)600KBq/m2以上
2)阿武隈山地浜通り方面(中濃度汚染地帯)いわき市管内(約30万人)100KBq/m2以上
3)阿武隈山地中通り方面(中濃度汚染地帯)県北・県中管内(約100万人)100KBq/m2以上
4)放射能管理区域(低濃度汚染地帯)30KBq/m2以上(約1Ci/km2)
このうち1)~3)については、ICRP及びゴフマンモデルの適用が可能と考えている。4)については、内部被曝が中心になると見られ、当該地域はチェルノブイリの疫学データから予測する。
朝日新聞は、11月29日「東日本大震災と東京電力福島第一原発事故の影響で福島県から県外に避難している人の数が、6万人を突破した。8月中旬に5万人を超えており、それから約3カ月で約9千人増えた。」と報じている。先日、本紙も人口動態統計を報じているので、転出数とほぼ同数の方が戸籍を置いたまま疎開しているものと見ている。
政府は、年初より除染を拡大すると云っているが、まだモデル事業中であり、仮に面での除染を終えても、山林から再び移行することも予測され、先が見えない状態にある。先が見えない中、その正否も分からないのに住民、特に子どもや妊婦を疎開させないのは、極めてリスクが高い。もうひとつは、上記の高・中濃度汚染地域は、長期的に汚染が続くことが明らかであり、経済的影響も確実にある。
この経済的影響を、どう判断するかも住民にとって大きな選択肢になる。少なくともセシウム汚染は、最低でも30年は確実に減らないし、チェルノブイリでは25年経ってもさっぱり減っていない。従って少なくとも中濃度汚染地帯以上の住民には、「自ら避難を選択し得る法的枠組み」を整備すべきである。
同時に住民の口に入る飲用水、ミルク、一般食品の厳格な摂取管理も重要な行政政策であるが、空中の塵や埃の摂取は汚染地帯では完全に阻止できない。見えないがそこの地表面には、計測されたとおりの濃度の放射性物質が厳然と存在するからである。
除染は、当然しなければならない。しかし、そのことと健康リスクを伴う問題、とりわけ子どもと妊婦については行政政策を分別して対応する必要がある。
本件に関し、総理大臣が、国民の健康につき、腹を括れないなら、自らの責任において辞任すべきである。
これが、本紙の結論である。
以上
2011年12月1日木曜日
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