2011年12月28日水曜日

3号機高圧注水系統停止の謎

たねまきJ「事故調査委員会の中間報告について」小出裕章氏(内容書き出し・参考あり)12/26

事故調査委員会の中間報告について
・事故の原因
・テクニカルな専門家が誰もいない
・3号機高圧注水系統停止の謎



12月26日月曜日 
京都大学原子炉実験所助教 小出裕章先生に伺いました
Radio News「たねまきジャーナル」
MBSラジオ [MBS1179.com]





<参考>
事故調査・検証委員会 中間報告(会見動画)
中間報告に関する各社の記事と会見動画

法規制のあり方などを検証する第三者機関のNews
6月7日事故原因や法規制のあり方などを検証する第三者機関「事故調査・検証委員会」
(委員長・畑村洋太郎東大名誉教授)の初会合のニュース

畑村氏「原因究明の動作ができなくなってしまう」として責任追及は目的としないと明言。
「国民や世界の人々が持っている疑問に答え、100年後の評価に耐えられるものにしたい」


続きを読むに番組の内容書き出しました






水野:
まずですね、政府の事故調査委員会の中間報告
これをどんな風に受け止めていらっしゃるでしょうか?

小出:
もう、平野さんが説明して下さった。あまりにもアホらしいと思います。

水野:
私が素人なりにね、読みとったのは、
「あ、全体的に事故は津波のせいで起こったんだというストーリーで全体が貫かれているという」気がするんですけど、
小出さんから見るとどうですか?

小出:
そうですね、要するに一番大切なことは、
事故の原因をきちっと明らかにする」ということだと私は思ってきましたし、
これまで日本の政府、あるいは電力会社は、
事故はひたすら「津波のせいで起きた」と
地震はもう何の関係もない」という事で宣伝してきたわけで、
本当にそうであるかどうかという事を検証して、
この地震国である日本でこれでいいのかどうかという事を考えなければいけなかった筈だと思うのですが、
残念ながらそれに関しては何も触れないまま、という事になっているように見えます。

水野:そうですね、「地震での大掛かりな破断などは現時点では確認できていない」と。

小出:はい、それを確認するのが仕事だったと私は思うのですが。

水野:
そこが実は大切なポイントだという事ですよね。
地震でどの程度壊れたのか、壊れていないのか。
それによっては他の原発の政策への影響が、やっぱり大きいっていう事ですよね。

小出:
はい、ただ、この委員会は畑村さんを先頭にする委員会、
いわゆるテクニカルな専門家が誰もいないという、

水野:失敗学の先生でしたよね、畑中先生って。

小出:
もともと原発のテクニカルな事をきちっと分かる人がいない訳ですから、
初めからこういう結論になるんだろうなと、私は思っていました。

水野:
はぁ~、これ、地震でどの程度の破損があったのかという事をきっちり確かめないことには、原因が確定できない訳で、
じゃぁ、それでいろんな事を論じても意味がないですね。

小出:
ま、そうですけれども、委員の方々がですね、
テクニカルの事に関しては今聞いていただいたように、専門的な知識をお持ちでない訳だし、
結局、ですから、制度的にどうであった、連絡体制がどうであった、
ま、そういうところしか興味がなかったというか、明らかにする力がなかったという事だとおもいます。

水野:じゃぁ政府がですね、小出さんのようなテクニカルな事が分かる方を入れればよかったんですよね。

小出:(笑)本来はそうですけれども、ま、

水野:お声はかかりませんでしたか?

小出:
もちろんかかりませんし、
あの、政府は私は今回の事故の最大の犯罪者だと言っている訳で、
その犯罪者が自分の罪を積極的に暴こうとは、もちろんしないだろうと思いますし、
畑村さんはもともと「個人の責任は問わない」という事で、はじめから、始めているんですね。
わたしは、これほど悲惨な事が起きて、今現在子どもも含めて被ばくをしているという状況の中で、
個人の責任を問わないで済むなんて事が、私にとっては想像も出来ない事であって、
きちっと、一人ひとりの責任ですね、
学者も政治家も東京電力の会長社長も含めてですね、
個人の責任をきっちりと明らかにするような事をしなければいけないんだろうと私は思います。

水野:
いくつも細かいポイントで伺うべきところがあるんでしょうが、
わたし、個人的に引っ掛かりましたところはですね、
小出先生が早くから「これ不思議なんだ」とおっしゃっていらした3号機の謎がありまして、
これは、水素爆発の前日、3月13日にですね、
高圧の注水の系統、水をどんどん入れていく、これが必要な訳ですけど、
この水を入れていくそのシステムを、動いていたのを運転員が停止させたっていう事実がありますよね。
で、「なんで止めたんだろう、それを知りたい」と、小出先生は早くからおっしゃって板というふうに覚えているんです、

小出:そうです

水野:
で、今回の報告書を見ますとですね、この、止めたという事について、
誰がその情報を知っていたかという話には触れられているんですよ。
停止の判断は幹部に上がっていなかった」というふうに報告書は指摘していまして、
東電は、「いやいや、対策本部とこの情報を共有していた」と言っているので、
ここは、コミニケーションについての見解は違っているんです。

ただ、
「なんで止めたか」という小出先生がおっしゃっている根本的理由についてはですね、
謎については、答が読みとれないんですけど、

小出:
はい、私もそうでした。
わたしはそれが、「高圧注入系の配管が破断したが為に使えなくなった。それを知った運転員が止めた」。
という事を疑ってきているのですけれども、
そういう現場というか、実際に起きているテクニカルな問題の解明という事を実はやって欲しいのですけれども、
結局、その連絡体制ですとか、組織的な問題だけに、今回の委員会は終わってしまったという事だと思います。

水野:
運転員がなぜ、わざわざ水を入れているのを止めたかという事が
平野さん、本当に不思議ですもんね。

平野:
うん・・先生この間冷温停止状態という、ま、中間総括的な話しも含めて、政府がこういうのを、
ま、あまり中身のない物を発表しているのですけれども、
海外ではさらに評価を落とすと思うんですけど、

小出:そうですね

平野:
そのいわゆる、原子力を研究する学者のみなさんの評価というんですか、海外の。
これはなんか先生は時々、やっぱり交流もあると思うんですけれども、
どう見ているんですかね、日本政府のこういう対応は。

小出:
私のところに海外のマスコミの方とか、知人とかの連絡が入ってきますけれども、
「日本っていうのはいったいどうなっているんだ?」という感想が一番多いと思います。

水野:ますますそっちの方向に行っているんですね、今も。

平野:逆の方向に行きたいのに、むしろ結果は逆逆にいっていますよね、今の政府の対応は。

水野:ええ、ありがとうございました。




福島3号機:現場独断で冷却停止…3月13日、高圧注水系

2011年12月16日 2時39分
高圧注水系のイメージ図
高圧注水系のイメージ図
東京電力福島第1原発事故で、3号機の原子炉を冷やすための最後の要となる「高圧注水系(HPCI)」が3月13日に現場の独断で止められ、再起動できなくなっていたことが、政府の事故調査・検証委員会の調べで分かった。3号機は翌日、水素爆発した。1号機でも冷却装置「非常用復水器(IC)」が止まったが、吉田昌郎前所長が稼働していると誤認して事故対応していたこともすでに判明している。指揮系統が機能していなかったことが重大事故につながった可能性がある。今月末に公表される中間報告書に、こうした対応が不適切だったと記載される模様だ。

 ◇政府事故調、中間報告へ

東電が今月2日に公表した社内調査中間報告書などによると、3号機では東日本大震災が発生した3月11日、電源が喪失し、「原子炉隔離時冷却系(RCIC)」と呼ばれる別の冷却系が作動、原子炉に注水した。だが、12日午前11時36分には原因不明で停止。原子炉の水位が低下し同日午後0時35分にHPCIが自動起動したが、13日午前2時42分に停止した、としている。
複数の関係者によると、事故調が経過を調べた結果、運転員がバッテリー切れを恐れ、吉田前所長の判断を仰がずHPCIを止めたことが分かった。その後、HPCI、RCICともに起動を試みたが再開しなかった。報告書は「HPCIを止めない方がよかった」と指摘する見通し。
一方、報告書は津波対策にも言及するとみられる。東電は08年、想定していた高さ5・7メートルを上回る10メートル超の津波の可能性を試算したが、社内で「防潮堤のかさ上げは費用が高くなる」との意見が出された。当時原子力設備管理部長だった吉田前所長らが「学術的性格の強い試算で、そのような津波はこない」と主張したこともあり、具体的な対応は見送られたという。
さらに、報告書は法律に基づいて設置された現地本部が十分機能しなかったことや、政府が「炉心溶融(メルトダウン)」を軽微に感じさせる「炉心損傷」と修正した点にも触れる見込み。閣僚の具体的な関与では今月から聴取を始めており、来夏に作成する最終報告書に盛り込む。

 ◇高圧注水系◇

非常時に原子炉内に注水するために備えられた緊急炉心冷却装置(ECCS)の一つで、原子炉内の水位が異常に下がった場合に働く。原子炉の余熱で発生する蒸気を利用してタービン駆動のポンプを動かし、復水貯蔵タンクなどの水を勢いよく炉内上部から炉心(核燃料)に注ぎ込む。停電時でもバッテリーで使用できるのが利点。

 ◇解説…有事の指揮系統、機能せず

これまで東京電力は「原発事故防止のためにさまざまな取り組みをしてきた」「想定を上回る津波だった」などと主張してきた。しかし、政府の事故調査・検証委員会による関係者聴取から浮かぶのは、「不十分な備え」であり、「人災」という側面すらみえる。
同委員会の調査で、福島第1原発3号機で「高圧注水系(HPCI)」を運転員が独断で止めたことが判明した。今夏までの調査でも1号機の非常用復水器(IC)の停止を吉田昌郎前所長が把握できていなかったことが判明している。重大事故時の備えがなく、運転員にこのような行動をさせた点こそ問題だ。
また、東電の過酷事故時の手順書には、全電源喪失が長時間続くことを想定せず、格納容器を守るためのベント(排気)の手順なども盛り込まれていなかった。備えが不十分で現場の指揮系統が混乱し、最善策を取れなかったとうかがわせる。
過酷事故対策は79年の米スリーマイル島原発事故を契機に、世界的に整備が進んだ。日本でも検討され、原子力安全委員会は92年、事業者に過酷事故対策を求めた。だが、事業者の自主性に委ね、それ以来、対策内容を見直してこなかった。あらゆる警告を謙虚に受け止めることが関係者に求められる。
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畑村流「失敗学」に法の支えがほしい

2011年05月27日

これほどの大事故である。真相の究明にどれだけの態勢で臨むのかと思ったら、調査にあたるのは、内閣官房に置かれる一委員会なのだという。法律によって政府からの独立性を裏打ちし、聴取や資料要求の権限をもたせるといったこともない。
政府は、東京電力福島第一原発の巨大災害に対する事故調査・検証委員会(事故調)をつくることを決めたが、発表で明らかになった委員会のありようは心もとないものだった。
ただひとつ目を惹くのは、そのトップに、さまざまなシステムの安全を追求してきた「失敗学」の提唱者、畑村洋太郎・東大名誉教授を起用したことだ。

 東京電力は22日、
福島第一原子力発電所3号機で、
全交流電源喪失後の
3月13日未明に、
運転員が緊急炉心冷却装置「高圧注水系(HPCI)」を止めたのは、
同装置の振動が大きくなり、破損するのを避けるためだった、と発表した。

 HPCI停止後、消火ポンプを稼働させたが、注水できず、
その結果、炉心溶融(メルトダウン)、水素爆発に至ったが、
なぜHPCIを停止させたかよくわからなかった。

 東電の社内調査によると、
3号機の原子炉圧力は
13日午前2時ごろ、10気圧以下に低下。
手順書によると、HPCIは、10気圧以上での運転を求めている。
それ以下では、動作が不安定になって破損する恐れがあり、
運転員は午前2時42分ごろ、HPCIを止めた。

 当時、3号機の中央制御室では、
消火ポンプの稼働に必要な弁の状態を示すランプが正常に点灯。
運転員は消火ポンプの稼働を試みたが、
この時、既に弁を操作するバッテリーは消耗し、
ランプは点灯しても、操作するだけの電力は残っていなかったとみられる。
(2011年12月22日20時50分  読売新聞)

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