2011年12月10日土曜日

温暖化対策の影、森林保護の名目で


12月9日放送 23:30 - 0:15 TBS

NEWS23X (ニュース)
ウガンダに住むカザムウェさんは、


父からもらった土地で農業をしていたが、


二年ほど前に土地を追い出された。


カザムウェさんは


「私が住んでいた場所には現在木が植えられている」と話す。


付近一帯に広がっているこの植林事業を手がけるのは、


イギリスに本拠を置く植林事業会社「ニューフォレスト カンパニー」。


2005年からウガンダの中央森林保護区を借り、


植林事業を進めている。


カザムウェさんらは土地を親から受け継いだり買ったりしたと主張したが、


政府やニューフォレスト カンパニーからは


森林保護区の不法入植者として扱われた


政府は周辺の住民らに立ち退きを要求。


人々はおとなしく退去したと話すが、住民のオリビアさんに話を伺うと


「警察や警備会社が銃や催涙弾を使って


私たちを無理やり追い出したんです」と話す。


ニューフォレスト カンパニーは


「住民の退去は政府の仕事であり我々は一切関与していない」


とした上で暴力があったとは聞いていないとしている。



土地紛争に発展した植林事業だが、



その狙いは単なる林業だけではない。


今年3月、ニューフォレスト カンパニーはこの事業を国連機関に


CDM=クリーン開発メカニズム


として植林事業の一部を登録申請した。


この制度は先進国が途上国で温室効果ガスの削減事業を行うことを


促進し、地球全体で排出量を減らす狙い。


今回の事業を例にとると、


ニューフォレスト カンパニーが木を植え、


その木が吸収する二酸化炭素の量に応じてクレジット


と言われるものが発行される仕組み。


このクレジットはウガンダ政府や、ニューフォレスト カンパニーなどの


当事者に配分される。


クレジットは転売することができ、


買った企業は自分達が温室効果ガスを排出する枠を


増やすことができる仕組み。


しかしこのクリーン開発メカニズムには


途上国が先進国の排出枠増加に利用されているとの批判が付きまとう。


ウガンダ政府の担当者・ハドソンさんにこれについて話を伺ってみると


「私たちは蚊帳の外に置かれている気がする、 


温室効果ガスを大量に出す国の尻拭いを


我々の森で行なっているわけですから」と語ってくれた。


こうしたクリーン開発メカニズムの問題について


ニューフォレスト カンパニーは取材を拒否。


この事業を推進しニューフォレスト カンパニーにも出資している


ヨーロッパ開発銀行のサイモン副総裁は


「ウガンダのケースについては注意深く推移を見守っている」と述べた。



南アフリカで開かれたCOP17では



「クリーン開発メカニズム」の功罪を評価する作業部会の設置が決まった。


しかしそれも、ウガンダに住む人々にとっては遠い世界。


立ち退きにあったウィリアムさんは


「以前はバナナやコーヒー、トウモロコシを栽培していた、


パラダイスでした」と残念そうに話す。


先進国主導で進められている森林保護・温暖化対策ビジネス


の名の下に、途上国の人々は翻弄されている。

























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