2011年12月20日火曜日

福島第一原子力発電所 1~3 号機の炉心状態についてを検証してみた・

損傷した炉心が炉内構造物を溶融し、高温の燃料デブリとなって
原子炉圧力容器の下部に堆積し、
原子炉格納容器(ペデスタル)へ落下した場合、
燃料デブリとペデスタル床のコンクリートが反応する、
いわゆるコア・コンクリート反応によるペデスタルの損傷が懸念される



(1)コア・コンクリート反応とは
コア・コンクリート反応とは、
高温の燃料デブリと接したコンクリートが、
融点以上まで熱せられることにより分解する反応であり、
分解時に水素や二酸化炭素等のガスを放出しつつ
燃料デブリが残ったコンクリート成分を取り込み、侵食する。
燃料デブリの冷却が十分ではない状況においては、
崩壊熱が燃料デブリ表面からの放熱量を上回り、
温度がコンクリートの融点を超えると侵食が進行する。
崩壊熱は時間と共に単調減少すること、
及びコンクリートの侵食が進行すると、
燃料デブリ-コンクリート間の境界面積が単調に増加することから、
時間の経過とともに反応は低減する方向に向かい、
有限時間・有限体積で停止する。

(2)コア・コンクリート反応の進行過程
 溶融した燃料デブリが原子炉格納容器に落下すると、
流動性が保たれれば、ペデスタル床に広がるとともに、
スリットからペデスタル部の外側へも漏れ出し、
燃料デブリは表面積の大きな平らな塊(図 1 参照)となる
また、機器ドレンサンプピットなど、床面に穴が開いている場合には、
燃料デブリが密に詰まった状況(図 2 参照)となりうる
さらに原子炉格納容器底部に水が溜まっている場合には、
燃料デブリが水に触れると冷却効果によってかたまり、
小さな塊の集合体となる。
このように燃料デブリが原子炉格納容器に落下した後の
形状およびその分布については、非常に大きな不確かさが有る
また、水との接触の形態は図 3 に示す様な燃料デブリが
固化したクラスト層添付 12 2 を介していると考えられるが、
コンクリートの侵食が進行するのに伴い発生する CO2 等のガスが
溜まることによりクラストが破壊され、内部の溶融した燃料デブリが
クラスト層の上側へ噴出して細粒化したり、
さらにクラスト層の下側へ冷却水が流入するといった
冷却過程(図 4 参照)も考えられるため、
燃料デブリから水への熱伝達についても非常に大きな不確かさが残る
この様に、原子炉格納容器ペデスタル部の侵食状況を推定するには、
様々な仮定のもと大きな不確かさが残ると考えられる。 




 2.コア・コンクリート反応による影響評価
(1)侵食深さ評価のための条件設定
コア・コンクリート反応による侵食深さを評価するに当たっては、
前節で述べた通りデブリの堆積形状が不明であること、
冷却状況の不確かさが大きいことから、
一定の仮定を置いた上で解析しなければならない
従って条件の設定により結果が大きく異なる可能性がある。
ここでは、評価に当たって用いたモデル、各種設定条件について述べる。
①解析モデルの概要
コンクリートの侵食深さの解析には、
MAAP 内蔵のコア・コンクリート反応解析コード”DECOMP”を使用した。 (下記・おしどりまこさんのブログより説明)
解析モデルの概要を以下に記載する。
-燃料デブリの成分
(燃料成分、取り込んだ炉内構造物の成分)の比は 
MAAP解析結果を使用。
-燃料デブリの崩壊熱は ORIGEN2*モデルを使用。
コア・コンクリート反応評価開始時点を 
MAAP 解析結果による
原子炉圧力容器破損のタイミングとし、
その後の崩壊熱の減衰を考慮。
1970 年、米国のオークリッジ国立研究所で開発された
原子燃料の燃焼計算コード ORIGEN 1980 年に改良したもの。
-原子炉格納容器へ燃料デブリが落下する時点までに取り込んだ
ジルコニウムの酸化に伴う発熱量を考慮。 

燃料デブリはペデスタル床に一様に拡がるとともに
スリット部から ドライウェル床まで流出すると仮定
さらに、機器ドレンサンプピット、床ドレンサンプピットへも流入し、堆積すると仮定

ドレンサンプピットに堆積した燃料デブリの解析モデル上の配置概念図は図 5 の通り。


堆積した燃料デブリは常に冷却水で覆われていると仮定し、
水による除熱量(熱流束)は OECD-MCCI 試験データ
(大気圧/珪酸系コンクリート条件でのデブリ冷却試験)を参考に
 125kW/m2一定を仮定
-燃料デブリ層
燃料デブリは均質に溶融したプールを形成すると仮定
上部および下部(側面)にクラスト層が形成されていると仮定
-クラスト層
・クラスト層のエネルギーバランス(溶融プールからの伝熱、
冷却水・コンクリートへの伝熱)によりクラスト厚さの変化率を計算。
-コンクリート侵食
・コンクリート表面から深さ方向に1次元熱伝導を解き、
温度分布を計算。
・コンクリート溶融温度(1500K)以上で侵食が開始されると仮定
・燃料デブリからの伝熱量と分解/溶融潜熱により侵食量を評価。
・燃料デブリとコンクリートの境界面は図 6 の通り拡大すると仮定
-伝熱モデル
・上部クラスト-冷却水間: デブリベッドからの除熱量(熱流束一定)を仮定、
伝熱面積は初期値一定(ドレンサンプピット断面積)。
・クラスト内: 放物線形温度分布を仮定
・溶融プール-クラスト間: 対流伝熱により熱伝達すると仮定。
・デブリ-コンクリート間: 溶融プールからクラスト層への対流伝熱量とクラスト内崩壊熱の和。 

以下、②解析条件の設定へと叙述されていく(下記にPDF)

取り敢えず、ここまでとする。
専門的知識のない私が評価出来るはずもないが、
ここで、考えられることは、
仮設の如何によっては、
いかなる結果にもなり得るということだと思う。
故に、東電デブリ松本のあと37cm見解説など
結果ありきで逆算すれば、
いくらでも可能だということが素人の私にも分った。

専門的評価など、仮定データの選択で
容易に侮れる。

鉄筋コンクリートの老朽度 や 

中性子照射脆化」は無いだろうが、

金属疲労、地震による破損・ダメージの影響、


そして、工事時における技術者の能力等の

あらゆるリスクを考慮せねばならぬ大事を


机上のシュミレーションによって

地表まで37cmと平気で断言する輩を


決して信じてはならない。





炉心は、一体どこなのか、

最悪を考慮しなければ。








201168()
炉心の状態に関する評価について(6.6)
昨日、6月6日の合同会見で保安院が発表された
「東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故に係る1号機、2号機及び3号機の炉心の状態に関する評価について」
それらはこのようなニュース記事として反映されいますが
この解析データがなぜ、保安院と東京電力で大きく違うか、
そこの点を詳しくお聞きしたので書きます。

(今日、木野さんに説明しましたら、ほめられちゃいましたからね☆)


一番の大きな違いは
使用したシビアアクシデント解析コードが違うことです。

(解析用計算ソフトのようなもの、とお考えください)

東京電力は
MAAP(マープ)を使用、
保安院はクロスチェックとして
MELCOR(
メルコア)を使用したのです。

MAAP

http://www.fauske.com/maap.html

MAAP * - モジュラー事故解析プログラム


モジュラー事故解析プログラム(MAAP)バージョン4軽水と重水の応答をシミュレートするコンピュータコードとして実行されたアクションを含む重篤な事故シーケンス、中に、原子力発電所、現在のデザインと高度な軽水炉(ALWRs)の両方をモデレートされてシビアアクシデントマネジメントガイドライン(SAMGs)の一部。MAAP4 *、BWRのために1つずつ、PWRでは、CANDUs、ふげんの設計とロシアのVVERのPWRの設計のいくつかのパラレルバージョンがあります。
MAAP4 *また、レビュー機能を強化するだけでなく、分析能力を高めるために、グラフィカルインタフェース、MAAP4 *- GRAAPHが含まれています。具体的には、ユーザーが実行中のコードとの対話的インターフェースに直接結果を観察するなど、オンサイト電源、ポンプ、バルブなど、同様に、の状態を変更することができます。
MAAPの*は、もともと産業縮退コアの規則制定(IDCOR)プログラムの一環として、ファウスケ&アソシエイツ、LLCによって開発されました。以前のメジャーリビジョン、MAAP *- 3Bは、植物特有の個々のプラントの試験(IPEs)をサポートするためにEPRIによって開発されました。初め以来、FAIは、電力研究所(EPRI)とMAAPユーザーグループ(MUG)の後援の下でコードを開発し、維持している。

MELCOR

http://melcor.sandia.gov/

MAAPは一般的で簡便型の解析コードで
誰でも使えるし、出力もすぐ出るそうです。

実際、
MAAPのサイトにいくと、ダウンロードがすぐできそうな雰囲気!

一方、
MELCORはとてもマニアックで複雑な計算ができる解析コードなんだそうです。

NRC(米の原子力規制委員会)が使うためのコードで
サンディア国立研究所(米、エネルギー省)が作ったもの。

で、細やかにいろいろセッティングして計算ができ、
保安院も
NRCなど、アメリカと意見交換しながら、
今回の解析を出したそうです。

MAAPは大まかなざっくりとした計算を一回、みたいな雰囲気ですが
MELCORは①→②→③→④→⑤みたいな計算もできるのです。

例えば、東京電力の解析データでは
水位のデータ入力は全部一定なのですが
保安院の解析データでは
水位を細かく上下したデータ入力ができるということ。

実測のプロットは同じなのですが
使用した解析コードが違うことと、
どこに重きを置くかで異なる結果が出た、とのことです。

保安院の防災課事故室第三班長、古作泰雄さんにお聞きしました。
























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