「冷温停止宣言」のメカニズムが全て記されていた!

今宵はもう一本、配信します。本日、16日に野田首相により福島第一原
発の冷温停止宣言がなされるそうです。同時に15日には「廃炉まで最長
40年」という経産省と東電の発表もなされました。明らかに両者は、
タイアップしたものとして打ち出されてきています。

ここで出された点の解析を行いたいと思いますが、その際、前提として
おさえておくべきことは、「冷温停止宣言」は、何の実態も伴わない意
味のない宣言でしかないということです。そもそもこの言葉は、原子炉
が健全なときに使われていたものであり、現状ではいかなる意味でも
「冷温停止」はありえません。

そればかりではない。この間、政府は冷温停止を「原子炉圧力容器下部
の温度が100度以下になった状態」と定義しなおしてきました。しかし
圧力容器はメルトダウンで壊れ、メルトスルーして、燃料は圧力容器か
ら漏れ落ち、原子炉格納容器の下部に落ちているわけです。

それからすると、原子炉圧力容器下部の温度が下がらない方がおかしいの
であって、それは何ら燃料の冷却を意味しない。だとするとせめて原子
炉格納容器の下部でも測ればとの意見が出てきそうですが、実はそんな
ところに温度計はないし、あっても溶けるなどして機能できるわけがない。

その意味では、原子炉が健全な状態にないばかりでなく、自らが設定し
た「圧力容器下部の温度が100度以下」という条件すら満たさない、でた
らめなものであることは明らかです。その点ではこの宣言はあまりに無
意味で不誠実です。

ではどうしてこんな宣言を出すのかと言えば、原子炉の危機の実態隠しに
他ならないと思います。とにかく現実に起こっていることを論点にしない。
人々の関心の対象にさせない。それで、誰にも分かるようなうそをあえて
繰り返し、あまりのくだらなさに、人々が論議する気もなくなるようにし
向けているのではないかと思えます。

またその上で、「冷温停止」を繰り返し、危機は去ったとこれまた繰り返
し語ることで、危機の収束ではなく、危機感の収束を目指すこと、このこと
にこの宣言の真の狙いはあると思われます。そのため宣言がくだらないから
といって、目をそらさずに、少しでも現実に起こっていることを、見抜く
ことが問われていると思います。そうした観点に沿って、今回の宣言を
見ていくと、そこでもある程度、見えてくることがあります。


ここであえてとりあげたいのは、12月3日付けの毎日新聞の記事です。15日
付けの各社の報道よりも、重要と思われるポイントが、ちりばめられている
からです。というのは、この記事によると、本日の宣言は、すでに12月3日
段階で決まっていたことで、それが実行に移されるに過ぎないことがわか
ります。その際、誰がこれを主導したのかというと、細野大臣であることが
書かれています。政府より細野大臣の意向が優先されています。

この間、指摘しているように、僕は細野大臣は、3月20日ごろに、アメリ
カが首相官邸に乗り込んできたときにつくられた、日米による事故収束
プロジェクトを担っており、その後、渡米して帰国した後に、原発担当
大臣になったことから、アメリカの意向を強く受けていると思っています。

このことを頭に入れて流れを整理してみると、日本政府が、当初、10月
中旬から来年1月中旬とした「冷温停止」の時期を、細野大臣が前倒しし
ようとしてきた。つまりアメリカの意向がここに強く働いたのだと思わ
れるわけですが、それはなぜでしょうか。

アメリカの側から、福島第一原発事故を考えたときに、もっとも重大な
事態は、アメリカ西海岸にまで、放射能が押し寄せてきたことです。しか
も汚染度も深刻で、日本の西半分よりも高い数値になっている。アメリカ
としてはこのことを自国民と住民に騒がれたくないのだと思います。

となると年内に「冷温停止宣言」がなされれば、事故収束イメージが強く
なり、来年から福島事故への関心をかなり下げることができる。という
よりほとんどないものにしてしまえる。そのことで、福島の事態を完全
に忘れさせることができる。いや忘れさせたいのではないでしょうか。

これはそもそも福島第一原発が、アメリカのGE社製の原子炉と、その
コピー群によって生じた事故であることも絡む問題だと思います。同型の
原子炉がアメリカで現役で動いているかどうか、確かめていませんが、い
ずれにせよアメリカの原子炉の信頼性も揺るがしたのが今回の事故であり
それらがアメリカ国内の、脱原発運動に結びつく前に、福島事故を収束
したことにしてしまいたい。そのため年内に宣言を押し込めたいのでは
ないか。

これに対して日本政府はどうか。すでに放射能漏れそのものは隠しようの
ないことですから、「年内達成」の必然性はそれほどなかったのではない
か。日本は年度制もありますから、それ以前の達成でも良かったのではな
いか。このズレが、細野大臣によって修正され、「前倒し」されたのでは
ないかと思えます。


しかしそこに若干の時期のずれはありますが、大きな方向性は日米で一致
している。まず冷温停止宣言を行う。そして同時に、その後のものすごく
長く事故収束工程をここで一気に出してしまう。もちろんそれが「廃炉ま
で最長40年…経産省・東電」という15日だされた発表です。

実際には、原子炉の中がどうなっているかはっきり分からないので、これ
も絵に描いた餅にすぎないのですが、これで何が狙われているのかという
と、「冷温停止」以降は、40年という長いステップに入ると人々に思わせ
ることです。本当は、ただ危機が収束せずに続いているだけなのですが、
それを一定の区切りがついて、これからは長い時間をかけて対処していく
のだと思わせるのです。

そのことで、どういうメリットが生じるのか。単純です。ステップが長く
なることで、日々の報告、あるいは短い期間の報告がいらなくなるのです。
具体的な設定としては次のようにうたわれています。「プール内の燃料を
回収する第1期(来年~2014年)▽格納容器修復などを実施する第2
期(15~21年)▽原子炉内の溶融燃料を取り出す第3期(22年~)」

こうなれば次のステップは2014年までにプール内の燃料を回収すればいい
ということで、あと3年、それ以外のことは触れずに済むわけです。もちろ
んその間に深刻な事態が起これば、触れざるを得ないでしょうが、そのとき
にも、危機の実相を隠し、情報を小出しにして、マスコミをコントロール
しようとする手法がとられるでしょう。

そのようにして、危機を収束させるのではなく、危機感を収束させる。その
ためにこそ「冷温停止宣言」はなされる。そして、その後の「プール内の
燃料を回収する第1期(来年~2014年)」段階への突入が宣言される。それで
国民・住民の危機感を解体してしまおうというのが、「冷温停止宣言」の
狙いだと思います。

その意味で、この宣言が、どれほどくだらないものであるかを批判するだけ
では僕は足りないと思います。そうではなく、これが危機隠し、危機感解体
のための積極的な政策であることを見抜き、収束ムードの創出に対して抗っ
ていかなければならないのです。

危機感が解体されるどどうなるか。第一に市民的な放射線防護が弱まって
しまいます。第二に、原発再稼動への抵抗力が弱まります。それが狙いなので
すから、この狙いをしっかりと暴き、今も事故がまったく収束してないこと、
深刻な被曝が拡大しつつあり、市民的対処が今こそ問われていることをきちん
とまわりに伝えていきましょう。「冷温停止宣言」を舐めてしまわず、市民的
動きを強化していきましょう!

******************

福島第1原発:「冷温停止」16日に宣言
毎日新聞 2011年12月3日 19時09分(最終更新 12月3日 22時18分)

政府は、東京電力福島第1原発事故の収束に向けた工程表で、原子炉内の
冷温停止状態を達成するとしていた「ステップ2」の終了を、16日に開
く原子力災害対策本部(本部長・野田佳彦首相)の会合で決定する方針を
固めた。政府は当初、冷温停止の達成時期を10月中旬から来年1月中旬
と設定。その後、細野豪志原発事故担当相が9月の国際原子力機関(IA
EA)年次総会で「年内達成」の前倒し目標を表明していた。

細野氏は3日、福島県いわき市で開かれた原発事故被害の「完全賠償」を
求める同原発周辺8町村の総決起大会で「何としても年内の冷温停止状態
を達成し『サイト内の事故は収束した』と説明できるよう、最後まで頑張
る」と述べ、事故収束への決意を示した。

冷温停止状態を認定するには▽原子炉圧力容器底部の温度がおおむね10
0度以下になる▽格納容器からの放射性物質の放出を管理・抑制する--
などの条件を満たすことが必要となる。1~3号機の原子炉は既に100
度未満の温度を維持しており、政府は放射性物質の低減状況なども検証し、
認定が可能と判断した。

政府はステップ2終了後、原発から半径20キロ圏内の警戒区域の段階的
解除など、避難区域の縮小に向けた検討を本格化させる。また、1~4号
機の廃炉を進める中長期の新工程表を年内に公表する方針だ。【笈田直樹】
http://mainichi.jp/select/weathernews/20110311/nuclear/news/20111204k0000m040022000c.html

*********

福島第1原発:廃炉まで最長40年…経産省・東電
毎日新聞 2011年12月15日 20時34分(最終更新 12月15日 23時25分)

東京電力福島第1原発1~4号機の廃炉処理について、経済産業省と東電
が作成した廃炉工程表の全容が15日分かった。使用済み核燃料プールの
燃料や、原子炉内の溶融燃料の回収などを3段階に分けて実施し、廃炉終
了まで30~40年間を要するとの計画を盛り込んだ。政府と東電は16
日に原子炉の「冷温停止状態」を宣言後、今月下旬に廃炉工程表を発表す
る。

廃炉工程表は、プール内の燃料を回収する第1期(来年~2014年)▽
格納容器修復などを実施する第2期(15~21年)▽原子炉内の溶融燃
料を取り出す第3期(22年~)--と設定した。

第1期では、各号機の燃料を保管する共用プール(1~4号機の南側)か
ら燃料を順次取り出して保管先とし、2年後の14年に4号機プールから
順番に燃料を回収し、共用プールに移す。内閣府原子力委員会の専門部会
は、プール燃料の回収時期について「15年以降」と提言していたが、
細野豪志・原発事故担当相の指示を受けて、1年前倒しした。

第2期では、損傷した格納容器を修復したうえで、燃料から出る放射線を
遮蔽(しゃへい)するため、格納容器全体を水で満たす冠水(水棺)を実
施する。第3期では、遠隔操作クレーンで溶融燃料の取り出しを始め、終
了は最短でも30年後(42年)。燃料の回収が難航すれば最長で40年
後(52年)になるとした。1~4号機のプール内には3108本、1~
3号機の原子炉内には1496本の燃料が残っており、廃炉にはこれらを
すべて回収する必要がある。

廃炉工程表は1~4号機が対象。5、6号機や第2原発1~4号機も廃炉
になればさらに時間を要する恐れもある。【中西拓司】
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20111216k0000m040037000c.html

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