セシウム汚染防止に新技術
11年9月16日
汚染土 「不溶化」に新技術
県立広島大生命環境学部(庄原市)の三苫(みとま)好治准教授(41)=環境化学=のグループが、金属カルシウムを使って、土壌中のセシウムが水に溶けて広がるのを防ぐ「不溶化」技術を開発した。福島第1原発事故で漏出した、水溶性の高い放射性セシウムの二次汚染防止に有効という。21、22日に東京である「イノベーション・ジャパン2011大学見本市」で発表する。
1万分の1ミリ以下に砕いた金属カルシウムを中心とした薬剤を、セシウムを含む土に加えて混ぜる。薬剤が土中の水分を吸収して反応、水に溶けにくい水酸化カルシウムができる過程で、セシウムを閉じこめる仕組み。
セシウム約0・1ミリグラムを混ぜた10グラムの土での実験では、94%以上の不溶化に成功。三苫准教授によると、直方体などに成型し、表面積を減らして固めれば、セシウムはほぼ閉じこめられるという。
セシウムと、原発事故で問題化している放射性セシウムは、化学的性質は変わらない。
放射性セシウムで汚染された表土を地中に埋めて処理した場合、放射性セシウムが地下水や雨水に溶けて広がる危険性を伴う。不溶化処理を経て埋めればその心配はないとしている。試算した処理費用は1トン当たり約1万円。
グループは2004年から、土中の重金属などの不溶化技術を研究。三苫准教授は「ほかの放射性物質の不溶化にも応用が可能だろう。本格的に実用化し、福島県の放射線除去に役立てたい」と話している。(菊本孟)
(2011年9月16日朝刊掲載)
0 件のコメント:
コメントを投稿