大震災のなかで 私たちはなにをすべきか


『大震災のなかで 私たちはなにをすべきか』
Categories: 文化
大震災のなかで
編者:内橋克人
出版社:岩波書店
価格820円+税
発行日:2011年6月21日
我々現代日本人がかつて経験したことのない未曾有の大災害、「東日本大震災」が起きてから既に半年近い月日が流れた(本書執筆段階では2カ月が経過)。しかし、果たして被災地は順調な復興を遂げているのだろうか? 「福島第一原子力発電所」から大量に飛散した放射性物質の影響は、無くなったと言えるのだろうか? そのような問いかけを、編者である内橋克人氏が「序のことば」の中で読者である我々に示している。
「日本政府は17年前に起こった阪神・淡路大震災から
何も学んでいないではないか!」


内橋氏が繰り返し使っている言葉=「一定の環境条件を満たした住居に住む権利は、人間として最も基本的な生存権(国連人権規約・第11条)」の順守 この基本的生存権の精神も条約も、阪神・淡路大震災および今回の東日本大震災において日本政府は何一つ順守していないのである。


まず国連人権規約の遵守を厳しく求め続けることで、


始めて個人の連帯・奉仕・善意の意思は意味のあるものになる


と内橋氏は説いている。


本書は、編者である内橋氏を含め実に33人の各界の有識者が、震災後の支援・復興の形についてのそれぞれの提言や見解を綴っている。すべての寄稿文を紹介するのは誌面の都合もあり難しいので、ここでは特に注目した2つについて取り上げたいと思う。
まず、オーストラリア国際大学教授で日本経済史を専攻しているテッサ・モーリス=スズキ氏の

「(私たちが知る)日本の終わりなのか?」に着目した。
なぜなら、海外から見た日本の現状と震災後の方向性について実に的確に述べられているからである。
スズキ氏は、大きく2つのことを提言している。

1つは東日本大震災による一連の危機が、これまで日本の抱える諸問題に対応してこなかった
官僚制度や政党政治のしくみを抜本的に再編する好機、ととらえていること。

2つ目は、今回の大惨事からの回復を目指すためには、
日本国内のみならず諸外国との密接で有効な協働が不可欠であるということである。

具体的に言えば、

1つ目については震災後および原子炉爆発後の被災地・被災者への
各省庁および政府の遅すぎる対応により、
いかに行政がいざと言うときに頼りにならないものかが
白日のもとに晒された

日本国民が、少なからず今までの行政システムを変える必要があることに気づき始めている こと。

2つ目については、
韓国・中国・台湾・アメリカ・オーストラリア等の周辺各国から支援の手が
差し伸べられたことからはっきりしている。

スズキ氏は、

各国との密接で有効な協働こそが、
今後いつどこで起きるかわからない災害や事故に対応できるシステムである と説いている訳である。

そして2番目に着目したのは、
NPO法人セカンドハーベスト・ジャパン(以後2HJ)寄稿の「フードバンクにできること」である。

震災前から、
2HJの活動については
ニュース番組(あるいは週刊誌の記事であったかもしれない)を通して関心を寄せていた。
簡潔にまとめれば、

食品メーカー・小売業者・学校・施設等から余剰品とされたものを、
廃棄される前に食品として引き取り、施設やシェルターに無償で届ける活動(フードバンク)、
同時に緊急支援を要する個人向けに食品を届ける(ハーベストパントリー)こと、
そして路上生活者への炊き出しを行うことが、2HJの活動である。

震災直後の帰宅困難者へのスープの無料配布に始まり、
仙台を活動拠点に現地の小規模なコミュニティとの共助によって
長期に渡って行われた緊急支援活動の状況を通して、
行政では担うことができない民間団体による活動の長所を改めて認識することができた。

このことから、行政と民間団体が緊急災害時にどのように連携していくかが
今後の課題として浮かび上がってくる。

他にも、ノーベル文学賞受賞の大江健三郎氏、
反貧困ネットワーク代表で内閣府参与でもある湯浅誠氏、
復興構想会議委員であり社会安全学の権威である河田恵昭氏
等の著名な有識者からの貴重な提言がなされている。

一般市民だけでなく、行政に携わる方々や民間団体(NGO)の方がたにもぜひ読んで頂き、
これからの被災地支援・復興のあり方を考えて頂きたいと思う。【齋藤 崇】

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