2012年2月13日月曜日

「今は放射能汚染がれき焼却を水際で止めるとき」


「今は放射能汚染がれき焼却を水際で止めるとき」  
1 今は放射能汚染がれき焼却を水際で止めるとき
住民が行政に交渉して止めさせるとき。
原発推進勢力は、国を突き動かして、放射能汚染がれき焼却特別措置法を成立させた。
周到な法律である。議員立法というのは隠れみのだ。かねてから指摘しているように、この法律は、技術的な側面を持っており、また、地方自治法や土地収用法など関連する法律を改正する内容を含む。議員だけで法律案を作れるような代物でないだろう。ベテランの官僚、放射能の専門家、医者、地方自治体の相当の地位にある者などがチームを組んでが法律案を作らなければ、法案として提出できる水準の担保は不可能だろう。反対運動を見越したジュラルミン、否、チタンの盾のようなものだ。

2 司法救済(裁判など)を求める時でない。

司法救済には時間がかかる。具体的に、権利が侵害され、被害が生じており、その因果関係が立証されなければならない。そのようなことをしている間に、どんどん放射能汚染がれきが焼却され、放射能が拡散される。
行政法は難しい。法律の中で最も難しいとも言われる。田中角栄は、法律の隅々まで知り尽くしていたと言われるが、その角栄ですら、行政についての法律は、弁護士でも分からない、官僚にしか分からない。だから自分で勉強すると言っていたという。行政法は、日本の法律体系の中で、異色のドイツオーストリア系であると言われる。
行政事件訴訟を手がけることができる弁護士は「高級弁護士」と呼ばれる。

3 チタンの盾にも穴がある
① 法律の「哲学」で勝負しよう

行政法の世界は、法律→省令・政令→施行規則・・・などというようにどんどん細かくなっていく。こうした細かいところで、つまり、訴訟に持ち込むような細かい法律論を、瓦礫の焼却反対運動において言っても、役人にはじかれるだけだ。
そうではなく、法律の考え方に噛みつこう。それを持ち出されると、役人は返答のしようがないはずだ。

ア まず、憲法違反であることだ。
そもそも、憲法第92条 地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。と書いてある。憲法は、地方自治法を定めろと命じている。その憲法を受けて、地方自治法は、団体自治:国から独立した地方自治体を認め、その自治体の自らの権限と責任において地域の行政を処理するという原則、そして、住民自治:地方における行政を行う場合にその自治体の住民の意思と責任に基づいて行政を行うという原則を定める。裏返せば、国は一々地方に口を出さないことだ。地方自治体のことは、その住民が決める。それなのにこの特別措置法は、国と電力会社の大失敗のしりぬぐいをすることを、その大失敗に関係のない自治体に協力することを義務づけている。こんなように地方を縛る法律は、憲法と地方自治法に違反する。
→この法律は次のように定めている。

  第四条 地方公共団体は、事故由来放射性物質による環境の汚染への対処に関し、国の施策への協力を通じて、当該地域の自然的社会的条件に応じ、適切な役割を果たすものとする。
これの解釈:「ものとする」は義務付けである。
イ 次に、原子力基本法など、原子力の基本の法規に違反しているということだ。
 *  「平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染の対処に関する特別措置法 基本方針」http://www.kantei.go.jp/jp/kakugikettei/2011/1111HOUSHIN_houshasei.pdfには、その5ページに次のことが記載されている。

「事故由来放射性物質により汚染された廃棄物の処理に当たっては、・・・・安全な処理のため、・・・処理などに伴い周辺住民が追加的に受ける線量が年間1ミリシーベルトを超えないようにするものとする。また、最終的な処分に当たっては、管理期間終了後についての科学的に確からしいシナリオ想定に基づく安全性評価において、処分施設の周辺住民が追加的に受ける線量が年間10マイクロシーベルト以下であること等について原子力安全委員会が示した判断の『めやす』を満足するものとする。」

要するに、この瓦礫焼却だけからの放射線量が年間1mSvを超えないようにせよとしている。 日本の放射線量規制についての法体系が、食料、飲料水及び大気などからのすべての被爆量合算値が年間1mSv未満でなければならないと定めていることに、この法律は違反抵触する。
 そして、線量の判断の「めやす」を示すのが原子力安全委員会。その委員長は、福島原発事故において様々の不手際や判断ミスをして、国会答弁で反省していた人物である。この人物を当該委員長に据え置いたままの原子力安全委員会に判断を示させることになっている。

これに対して、原子力法規の基本:以下の通り
  *1mSvの法的根拠
 一般公衆が1年間にさらされてよい人工放射線の限度(ICRPの勧告)。1mSv/年
   原子力基本法第20条の「放射線による障害を防止し、公共の安全を確保するため、放射性物質及び放射線発生装置に係る製造、販売、使用、測定等に対する規制その他保安及び保健上の措置に関しては、別に法律で定める」という記述。

で、その法律が「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律」
そして、この法律の第19条1項に廃棄の基準というのがあり、そこにあるのが
「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律施行令」と
「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律施行規則」
という定めで、さらにその規則の第19条第1項第2号ハで、
基準は文部科学大臣が定めると書かれていて、その定めた内容が「放射線を放出する同位元素の数量等を定める件」というものであり、

この第14条4項に
「規則第1条第1項第2号ハ及び第5号ハに規定する線量限度は、実効線量が4月1日を始期とする1年間につき1ミリシーベルトとする。」と定められています。
下にコピーしたページの19条を見て下さい。
http://www.scn-net.ne.jp/~scout/tokubetu/HOUREI/kisoku.html#kisoku15
その四角の枠の中の「二」の中の四角の「ハ」があるんで、そこを読んで下さい。

そして、その中の
「文部科学大臣の定める線量限度」をクリックすると
14条のところに、1年1ミリシーベルトという記述が出てきます。
とにかく、1ミリを守らないと法律違反、ということです。

② 相手は地方自治体である
知事・市町村長は選挙で選ばれる。どうしても次の選挙に勝ちたいと思っている。
選挙で強力な味方になる町会長などに話をして、味方に付けておくこと。
行政の決定は、課をベースにして原案を作成し、部全体の方針にして、首長をヘッドとする御前会議で、シャンシャンと決めていくのが基本。細かい情報は課とやりとりする。
しかし、最後は、首長がトップダウンで決める。これには誰も逆らえない。従って、首長とつながりのある町会長は強力な味方になる。実際に、町会長が反対を言い出したら事態が急変して、焼却中止に向かった例もある。

  ③ がれき焼却の作業員にも働きかけよう
作業員の方は、がれきの放射能の危険にさらされる。御用学者や推進勢力からでない正しい知識が伝わっているか。焼却工場が行政直営ならば、職員労働組合にも働きかけよう。

* 国際原子力村は強力な圧力団体である。しかし・・・
当然、影響力を行使できるメディアを持っている。それなのに、たった30分のNHKの低線量被爆の危険とICRPが任意団体に過ぎないことを組んだ特集番組に、わざわざ公開文書を出して反論している。追い詰められ始めたのではないか。

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