放射性廃棄物には、大きく分けて低レベル放射性廃棄物と高レベル放射性廃棄物の2種類

4.放射性廃棄物の処分方法

放射性廃棄物には、大きく分けて低レベル放射性廃棄物と高レベル放射性廃棄物の2種類あります。低レベル放射性廃棄物については、現在、日本で行われている埋設方法について具体的に紹介しています。一方、高レベル放射性廃棄物については、将来構想を含めた処分方法や課題が解説されています。
キーワード:低レベル放射性廃棄物 高レベル放射性廃棄物 TRU廃棄物
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低レベル放射性廃棄物

(1)極低レベル放射性廃棄物

極低レベル放射性廃棄物は、原子炉の解体で発生するコンクリートと金属類である。そこに含まれるおもな放射性同位元素は、コバルト60、水素3(トリチウム)などであり、およその最大濃度は、アルファ核種で廃棄物1トン当たり1×107ベクレル、ベータ・ガンマ核種で1×1010ベクレルの放射能の濃度である。ちなみに、天然に存在する放射性同位元素であるカリウム40だけについて見ると、土壌1トンの中におよそ106ベクレル存在していると言われている。極低レベル放射性廃棄物のベータ・ガンマ核種の最大濃度は、天然のカリウム40のおよそ1万倍である。それを処分する方法として、既に日本原子力研究所では、動力試験炉の解体によって発生した極低レベル放射性廃棄物(コンクリート廃棄物と金属などの廃棄物)を、コンクリートピットなどの人工構造物を設けない素掘りトレンチ方式で約1,670トン処分し実証試験を行っている(写真)。
日本原子力研究所の廃棄物埋設実地試験施設
日本原子力研究所の廃棄物埋設実地試験施設

(2)低レベル廃棄物

原子力発電所の運転管理によって発生する放射性廃棄物とか、大学、研究所、RI利用施設などで発生する放射性廃棄物は、容積から見るとほとんどが低レベル放射性廃棄物である。原子力発電所から発生する低レベル放射性廃棄物は、コバルト 60、セシウム137などを含み、およその最大濃度は、廃棄物1トン当たりアルファ核種で1×1012ベクレル、ベータ・ガンマ核種で1013ベクレルの放射能濃度である。
青森県六ヶ所村の低レベル放射性廃棄物埋設センターは、商用原子力発電所で発生する低レベル放射性廃棄物の埋設処分場として整備された。ここでの安全管理は、段階管理方式で進められている。埋設した放射性廃棄物に含まれる放射性物質の放射能と寿命は埋設したときに判っているので、その放射能の減少に応じて監視や規制を段階的に行いながら最終的には、処分する前の状態に戻そうという考えである。この考えに基づけば、含有放射性物質の放射能と処分方法との兼ね合いで、埋設する放射性廃棄物の濃度と総量を制限する必要があり、濃度上限値が設定された。容器内に固形化して埋設する六ヶ所村の埋設センターのような処分施設の濃度上限値は、コバルト60について1.11×1013ベクレル/トン、セシウム137について1.11×1012ベクレル/トンなどとなっていて、それに基づいて埋設する廃棄物中の最大濃度と総量が決められている(図4-1)。
<<図4-1>>六ヶ所村の低レベル放射性廃棄物埋設センターにおける段階管理の考え方
<<図4-1>>六ヶ所村の低レベル放射性廃棄物埋設センターにおける段階管理の考え方
出典:日本原燃(株)パンフレットより作成
埋設設備は、浅地中に鉄筋コンクリートで造ったコンクリートピット(人工構造物)によってブロックに仕切られ、排水・監視設備を持ち、そのなかに200リットルドラム缶が積み重ねて埋設される。この埋設センターに埋設できる放射性廃棄物は、低レベル廃棄物のうち濃度上限値を超えないセメント固化体、アスファルト固化体、プラスチック固化体である。すでに14万本以上が埋設されているが、最終的には300万本を埋設する計画である(図4-2)。
<<図4-2>>六ヶ所村の低レベル放射性廃棄物埋設センター概念図<<図4-2>>六ヶ所村の低レベル放射性廃棄物埋設センター概念図

(3)濃度上限値を超える低レベル廃棄物(炉心等廃棄物)

原子力発電所から排出する放射性廃棄物の中で、運転中に放射化された炉心構造物、燃料構造体や、交換されたり解体された炉心などは、放射能濃度が高い。この放射性廃棄物には、コバルト60、ニッケル63などが含まれており、廃棄物1トンあたりのおよその最大濃度は、アルファ核種で1010ベクレル、ベータ・ガンマ核種で1015ベクレルである。これは、現在の六ヶ所村の低レベル放射性廃棄物埋設センターへの埋設のために設定された濃度上限値を超えるので埋設できない。これらの廃棄物は、含有する放射性物質の性質を考慮して、地表から50~100メートル程度の埋設施設を開発して埋設する計画になっている。

(4)TRU廃棄物(アルファ廃棄物)

プルトニウムなどの超ウラン元素(TRU元素)のほとんどは、アルファ線を出し半減期が長いので、長期の安全性の確保が必要になる。再処理工場などでは、超ウラン元素を限度(濃度上限値)以上の濃度で含んでいる廃棄物が発生するので、 TRU廃棄物として区別され保管される。このTRU廃棄物は、プルトニウム239、アメリシウム241などを含み、廃棄物1トン当たりのおよその最大濃度は、アルファ核種で1013ベクレル、ベータ・ガンマ核種で1015ベクレルである。これらのTRU廃棄物は、地中深くに隔離し、廃棄物周辺の囲いを強化して処分することが計画されている。
ウランを含んだウラン廃棄物についても、TRU廃棄物に準じた検討が行われている(図4-3)。
<<図4-3>>地中処分の概念(スウェーデンフォルスマルクの最終貯蔵所の例)
<<図4-3>>地中処分の概念(スウェーデンフォルスマルクの最終貯蔵所の例)
出典:(財)原子力環境整備促進・資金管理センター「放射性廃棄物データブック」より作成

高レベル放射性廃棄物

高レベル放射性廃棄物には、使用済み燃料中の核分裂生成物(ストロンチウム90、セシウム137など)と超ウラン元素(ネプツニウム237、アメリシウム241など)が入っていて、廃棄物1トン当たりのおよその最大濃度は、アルファ核種で1014ベクレル、ベータ・ガンマ核種で1016ベクレルである(図4-4)。この高レベル放射性廃棄物の処分には、その危険性の高さと寿命の長さから特別に慎重な対応が必要である。
高レベル放射性廃棄物ガラス固化体は、現在日本原燃(株)などの施設に貯蔵されているが、最終的には地下300メートル以上深い、安定した地層の中に処分場を建設し、そこに処分することが計画されている。そのため、2000年に高レベル放射性廃棄物の処分を専門的に実施する組織として原子力発電環境整備機構が設立された。その事業計画によると、2007年(平成19年)ごろまでに処分候補地の概要調査地区を選定し、その結果に基づいて2017年ごろまでに精密調査地区を選定し、2027年ごろまでに処分施設建設地を選定して、2037年ごろには処分開始することになっている(図4-5)。
<<図4-4>>高レベル放射性廃棄物の放射能の変化
<<図4-4>>高レベル放射性廃棄物の放射能の変化
出典:核燃料サイクル開発機構パンフレット
<<図4-5>>地層処分の概念
<<図4-5>>地層処分の概念
出典:核燃料サイクル開発機構 地層処分研究開発第2次取りまとめより作成

放射性廃棄物処理処分の将来

ベータ・ガンマ低レベル放射性廃棄物については、現在既に実施している浅地中処分によって今後も進められ、大きな課題は残っていないと考えられる。
一方、TRU廃棄物とか高レベル廃棄物のような寿命の長い廃棄物については、1000年を超える安全性を確保し、確認するという課題が残されている。このため、もっと確実で理解されやすい処理処分法が模索されている。その代表的な方法が、わが国でも開発が進められている長寿命放射性同位元素の分離変換技術である。
これは放射性廃棄物から影響の可能性が高い長寿命放射性同位元素を分離し、それを加速器とか原子炉によって、さらに核変換させて取り扱いやすい低レベル放射性廃棄物並みの放射性物質に変えようというものである。しかしこの研究は、まだ緒についたばかりである。

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