2012年4月5日木曜日

再検証 環境放射線の測定結果


環境放射線の測定結果

KEKにおいては通常の安全管理業務の一環として、周辺環境の放射線の状況を監視しています。地震の発生後、3月14日より環境放射線の計測結果を公開しております。

(1)つくば市で観測された空気中の放射性物質の種類と濃度の測定結果

高エネルギー加速器研究機構は国立環境研究所との協力のもと、つくば市における空気中の放射性物質の種類と濃度の測定を実施しています。測定結果は以下をご覧下さい。

(2)現在のつくば(KEK)の放射線線量

KEKでは、3月16日より放射線モニタリングシステム(東大通沿いに設置:つくば市大穂1-1 福島第一原子力発電所からの距離165km)得られた測定結果を放射線科学センターホームページよりリアルタイムに公開しております。
http://rcwww.kek.jp/norm/3月14日から16日までの測定結果は以下をご覧ください。
放射線量グラフ16日12:00
KEKの放射線モニタリングシステム(東大通沿いに設置)で得られた16日午前5時からのデータ(ガイガーミュラー計数管)。横軸は時刻、縦軸はマイクロシーベルト毎時(フルスケールで0.9マイクロシーベルト毎時)。画面右上の「AVERAGE: 3.323E-01 μSV/h」はこの測定時間帯の平均値が0.3323マイクロシーベルト毎時であることを表す。
放射線量グラフ16日12:00
NaI計数管による14日午後2時から16日午前9時までのデータ。
放射線量グラフ15日17:00
その後再解析した結果、最大値は約1.1マイクロシーベルト毎時であったことがわかりました。本日(15日)の13時35分までのデータを掲載いたします。KEKでは現在も計測を続けております。今後もつくば市と連携を図り、必要な情報を提供いたします。(NaI計数管)
KEKにおいては通常の安全管理業務の一環として、周辺環境の放射線の状況を監視しています。地震の発生とともにKEKの加速器は運転を停止しており、加速器による放射線の周囲への影響はありません。

この環境放射線の測定値が3月15日(火)早朝より上昇し、通常の自然放射線を超えるレベルの放射線が観測されました。測定データの時間的推移からみて、今回の数値上昇は福島第一原子力発電所による事故の影響と見られます。

測定された数値は15日午前3時52分、午前6時、午前8時40分に0.3〜1.3マイクロシーベルト毎時まで上昇しております。これは自然放射線と比べると最大で約10倍ですが、健康に影響のあるレベルではありません。このうち1.3マイクロシーベルト毎時の測定は時間的推移から見て、東海村の原子力科学研究所における5マイクロシーベルト毎時測定時の影響がつくばでも観測されたものと見られます。

引き続き測定結果についてお知らせしていく予定です。

参考リンク



検出結果

検出された主要な核種はヨウ素131(半減期8.02日)、テルル132(半減期3.204日)およびその娘核種のヨウ素132(半減期2.295時間)であり、その他の極微量の核種の存在は確認されていない。
引き続き測定を継続し、データを公表していきます。

第1表 第1回採取試料の検出核種及び濃度(Bq/cm3※1

採取期間:2011年3月15日 14:39—17:34
採取空気量:105立米
核種ヨウ素131テルル132※2
ガラスフィルター2.1×10-52.0×10-5
活性炭フィルター8.7×10-64.1×10-8
合計3.0×10-52.0×10-5

第2表 第2回採取試料の検出核種及び濃度(Bq/cm3※1

採取期間:2011年3月15日 17:48—3月16日8:48
採取空気量:540立米
核種ヨウ素131テルル132※2
ガラスフィルター1.5×10-54.9×10-6
活性炭フィルター5.8×10-65.8×10-9
合計2.1×10-54.9×10-6

※1 1Bq/cm3(1立方cmあたり1ベクレル):1ベクレルは1秒間に1回の割合で放射性崩壊がおこることを意味する。
※2 ヨウ素132はテルル132の娘核種であり、この測定に含まれる。

採取条件

  1. 採取場所:国立環境研究所敷地内
  2. ハイボリュウムエアサンプラー:第16、17回は毎分350ℓ、第18回以降は600ℓで空気を吸引採取
  3. 使用ろ紙:石英繊維ろ紙(1枚)および活性炭ろ紙(2枚)の2段組で捕集
ろ紙の測定は、高エネルギー加速器研究機構設置の高分解能Ge検出器を用いた。
表1および5に測定結果を示す。最近の傾向は、3月15日の頃に比べて約1000分の1に減少している。第19回(4/7-4/9)の採取期間は、風が強く粉塵の捕集量が非常に増加したが、放射性物質の顕著な増加はなかった。ヨウ素-131が依然として最も多いが、総量が減少していることによりセシウムの放射性同位体(134および137)の比率が相対的に増加している。
高エネルギー加速器研究機構は引き続き測定を継続し、正確なデータの公表に努めていきます。

第1表 第16回採取試料の検出核種及び濃度(Bq/cm3※1

採取期間:2011年4月1日10:54 - 4月3日10:54
採取空気量:1019立米
放射線量グラフ
核種濃度(Bq/cm3※1
ヨウ素-1311.4×10-7
テルル-1325.5×10-10
セシウム-1341.7×10-8
セシウム-1367.0×10-10
セシウム-1371.6×10-8
テルル-129m検出せず
ヨウ素-133検出せず
テクネチウム-99m1.6×10-8
テクネチウム-99mはモリブデン-99から生成しており放射平衡に達している。
以上の他、ランタン-140等が検出されている。

第2表 第17回採取試料の検出核種及び濃度(Bq/cm3※1

採取期間:2011年4月3日11:21 - 4月5日10:59
採取空気量:1026立米
放射線量グラフ
核種濃度(Bq/cm3※1
ヨウ素-1311.8×10-7
テルル-1321.3×10-9
セシウム-1344.4×10-8
セシウム-1361.4×10-9
セシウム-1373.9×10-8
テルル-129m1.7×10-8
ヨウ素-133検出せず
テクネチウム-99m2.4×10-8
テクネチウム-99mはモリブデン-99から生成しており放射平衡に達している。

第3表 第18回採取試料の検出核種及び濃度(Bq/cm3※1

採取期間:2011年4月5日11:18 - 4月7日10:24
採取空気量:1691立米
放射線量グラフ
核種濃度(Bq/cm3※1
ヨウ素-1315.0×10-8
テルル-132検出せず
セシウム-1341.4×10-9
セシウム-136検出せず
セシウム-1371.4×10-9
テルル-129m検出せず
ヨウ素-133検出せず
テクネチウム-99m検出せず

第4表 第19回採取試料の検出核種及び濃度(Bq/cm3※1

採取期間:2011年4月7日10:31 - 4月9日10:31
採取空気量:1728立米
放射線量グラフ
核種濃度(Bq/cm3※1
ヨウ素-1318.4×10-8
テルル-132検出せず
セシウム-1344.0×10-8
セシウム-1361.1×10-9
セシウム-1373.6×10-8
テルル-129m検出せず
ヨウ素-133検出せず
テクネチウム-99m検出せず
以上の他、銀-110m、ランタン-140が検出されている。

第5表 第20回採取試料の検出核種及び濃度(Bq/cm3※1

採取期間:2011年4月9日11:08 - 4月11日10:48
採取空気量:1716立米
放射線量グラフ
核種濃度(Bq/cm3※1
ヨウ素-1313.7×10-8
テルル-1323.5×10-10
セシウム-1343.1×10-8
セシウム-1367.4×10-10
セシウム-1372.8×10-8
テルル-129m1.1×10-8
ヨウ素-133検出せず
テクネチウム-99m検出せず
以上の他、銀-110m、ランタン-140が検出されている。

第6表 第1回採取試料の再測定結果

採取期間:2011年3月15日14:39 - 3月15日17:34
採取空気量:105立米
第1回試料のうち石英フィルターの初回測定
3月15日19:04:02 測定時間:606秒
第1回試料のうち石英フィルターの再測定
3月28日9:28:12 測定時間:4000秒間

主成分のI-131、Te-132については再測定の結果、測定誤差範囲内でほとんど変化はなかった。

3月15日の試料のうちCs-134, 136, 137およびTe-129の初回測定については数値入力ミスにより、約5分の1に過小評価していたことが判明した。
同様にI-133についても、チャコールフィルターと合算し修正した結果を採用した。
(4月27日 8.4×10-7 Bq/cm3から2.9x10-6 Bq/cm3に訂正)
Tc-99mについては、放射平衡に達している今回の値を採用した。
放射線量グラフ
核種濃度(Bq/cm3※1
ヨウ素-1313.2×10-5
テルル-1322.3×10-5
セシウム-1344.0×10-6
セシウム-1366.8×10-7
セシウム-1373.8×10-6
テルル-129m3.8×10-6
ヨウ素-1332.9×10-6
テクネチウム-99m3.5×10-7
このほか、ランタン—140等が検出されている。


これまで測定した空気中濃度の経時変化を棒グラフで示すと以下のようになる。縦軸は濃度(Bq/cm3※1)である。
これまでの経過の棒グラフ
3月24日以降の測定結果




※1 1Bq/cm3(1立方cmあたり1ベクレル):1ベクレルは1秒間に1回の割合で放射性崩壊がおこることを意味する。



【連絡先】 KEK広報室 TEL:029-879-6047
mailto:proffice@kek.jp

























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