2012年4月5日木曜日

ラスムッセン報告「確率論」のうそ


原子力発電所1ヶ所当たり500年に1回の過酷事故発生を政府が予測

2012年01月29日 | 放射能と情報操作

『日本の原発事故率が7倍 500年に1回(54基なら10年に1回)に改定』

原発保険料7倍に…1か所、年2億4000万円。
政府は20日の閣議で、原子力発電所の事故による損害賠償に備え、電力会社に義務づけている保険契約について、4月1日から電力会社が負担する保険料を約7倍に引き上げることを決めた。
福島第一原子力発電所の事故により支払いが発生したため、見直すことにした。
保険制度は、原発の事故が発生した場合に、政府が最大1200億円を電力会社に支払うことを定めている。電力会社はこれまで原発1か所につき年3600万円の保険料を支払っているが、原子力損害賠償法の施行令を改正し、2億4000万円に引き上げる。
制度の対象は、全国17か所の原発と、「もんじゅ」など日本原子力研究開発機構の施設3か所の計20か所。政府は、今回の福島第一原発事故で1200億円を支払ったことを受け、事故の危険性を再計算し、保険料率を現行の「1万分の3」から「1万分の20」に改定する。
(2012年1月20日22時44分 読売新聞)

『ラスムッセン報告「確率論」のうそ100万』

1975年に、原子力発電所の安全性について世界最多の100基以上の原発がある原発大国アメリカで、約3年半と10億円のお金をかけて膨大な調査活動が行われる。
『確率論』のノーマン・ラスムッセン教授の原子炉安全性研究において示された『ラスムッセン報告』によると、大規模事故の確率は、原子炉1基あたり10億年に1回であるとされた。
以後この『ラスムッセン報告』の確率論を基礎にした発想は一人歩きして世界中に『原発安全神話』を振り撒いていくのである。
1基当たり10億年に1回なら、100基あれば100万年に1回となる。
ところが100万年の遠い未来の話どころか『ラスムッセン報告』が出された、たった4年後の1979年にスリーマイル島(TMI)原子力発電所で、『100万年に1回』の過酷事故が起きて仕舞う。
このTMI事故後には現実離れした『ラスムッセン報告』の安全神話がアメリカ国内で語られることは少なくなった。
ラスムッセン教授の『確率論』の欠陥は明らかだったのである。
そもそも確率論は新生児の平均寿命のように過去の数千万例の実数値の平均から導くらか正しい数値がでる仕組みである。
ところが『ラスムッセン報告』の様な不確かな推論(誤差)の積み重ねの場合には、導かれた『確率』の誤差の範囲は必然的に『無限大』に膨らむのは致し方ない。
今までの使い古された(『失敗学』の長年の歴史がある)確率した予測可能な成熟した技術体系ではなくて、原子力発電の様な始まったばかりで(事故の歴史の蓄積が無い)未熟な発展途上段階のシステムには『確率論』での安全予測が入り込む余地はまったく無かったのである。

『都市伝説としてのラスムッセン報告』

ところが日本では『100万年に1回』の確率であるとの『原発安全神話』は、その後も生き続ける。
この現実離れした能天気な楽観論のラスムッセン報告の確率論を参考にして、もう少し慎重?な日本の原子力関係者は『今の原発の安全性は稼動一基あたり100万年に一度の率である』と主張していた。
利益共同体の体質は何処も同じで、チャレンジャー号が爆発するまでは、NASAはスペースシャトルの安全性(事故率)は(原発安全村と同じ数字の)『100万回に1回で旅客機より安全である』と主張していた。
この連中の為には『嘘八百』ではなくて今後は『嘘百万』と言葉を改めるべきであろう。
ちなみに打ち上げ時に爆発したチャレンジャー号の事故後に、スペースシャトルの事故率が20回に1度である驚愕の恐ろしすぎる真実が発覚している。
『一基あたり100万年に1回』なら54基の原発がある日本では、約50基が連続稼動していると仮定すれば2万年に1回の確率ということになる。

『内向きと外向きで大きく違う危険率』

日本では一般市民向けには『100万年に1回』の確率であるとの安全神話が福島第一原発事故発生まで宣伝されていた。
ところが日本政府の福島第一事故の以前に考えていた確率(保険料率)は、実は年間1万分の3(3333年で1回)だったのです。
3333年とは約100万日のことなので、内向きの数字の『百万日』を厚かましくも外向きには『百万年』と丸々誤魔化していたのですからから驚き呆れる。
『100万回に1回』は単なる神話(都市伝説)であり日本政府自ら、まったく信じていなかったのです。
福島第一事故が起きる前に(3・11の過酷事故時)政府が考えていた事故の確率は1基当たり年間3333分の1であった。
(54基なら62年間で1回の確率)
爆発事故後に正しい事故確率が発覚したアメリカのスペースシャトルと同じで、事実日本で最初の原子力発電が行われたのは49年前の1963年(昭和38年)東海村の動力試験炉であり、今のところ日本国の致命的な過酷事故は約50年間で1回の確率で発生しているのである。
それなら100万年に1回の『ラスムッセン報告』とは正反対の、この以前の保険料率(過酷事故が62年で1回)を考えた日本の技術官僚の水準の高さは素晴らしい。
原子力発電の危険性(保険料率)の認識力(正しさ)には脱帽するばかりである。
我等が日本国の官僚は、世界一の技術水準では無いだろうか。
今年4月1日からは1200億円の支払額に対して保険料が7倍増の1基当たり年間2億4000万円(1万分の20)であるから、それなら日本政府の考えている事故の確率は1年間で500分の1である。
日本全国で50基が稼動していれば、野田政権が今考えている福島第一原発のような過酷事故の起きる割合は、『10年に1回』との恐るべき高確率だと推測出来る。

『福島第一原発事故が10年~25年に1回』

原発事故発生の数値は、多発する自動車事故の保険料率よりも何十倍も高くて、確率的に身の毛もよだつ恐ろしさである。
読売記事では1基ではなく『一ヶ所』とあるが世界最大の7基の東京電力柏崎刈羽原子力発電所と1基だけの東北電力東通原子力発電所が同じ保険料はありえないので、1基当たりの間違いであろうと思われる。
しかし無茶苦茶な無責任極まるドンブリ勘定で、日本政府の保険料率が読売報道の『一ヶ所』が正しいなら10年に1回ではなく、確率的には『25年で1回』の過酷事故の発生となる。
これなら半分以下だが、それでも25年に1回は自分のふるさとが全住民が避難している飯館村になる危険性があるのですから、市民の目線なら『気休め』にもならずそれほど変り映えしない。
今のような原子力発電の無責任な日本政府の対応では、我々市民は余りの恐ろしい現実を目の前にして『怒り』よりも何故か『笑』が出て来るから不思議である。
此処まで酷いと、もはや笑うしかない。

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