【 がんへの恐怖、そしてうつ病が蔓延する日本の避難民 】
[福島の原子力大災害]〈第3回〉
「もっと広範な徹底的な調査を行わない限り、今回の日本の大惨事の全貌は明らかにできない」


デア・シュピーゲル・オンライン(ドイツ) 2012年3月9日



▽ チェルノブイリからの教訓

メットラーやヴァイスのような放射線専門家の主張の根拠とするのは、チェルノブイリの大惨事の研究結果です。
2011年4月『原子放射線による影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)』は、チェルノブイリの大惨事に関する最新の研究結果を発表しました。
この報告書は事故当時、工場の敷地内で収束作業を行った50万人以上の作業員の検査に基づくものです。
この結果を約100万の住民の甲状 腺に蓄積された放射線量を比較しました。
チェルノブイリの大惨事が甲状腺ガン発症の直接原因となったとみられる子供と若者の数は、6,000人を超えました。
しかし、チェルノブイリでは他の種類の癌を引き起こしたという、決定的な証拠はありませんでした。

核戦争防止のための国際的な医師団(IPPNW)とグリーンピースは、ともにUNSCEARが発表したデータに疑いを抱き、もっと広範な徹底的な調査を行わない限り、今回の日本の大惨事の全貌は明らかにできないと、真っ向から批判しています。
そしてUNSCEAR内に4つのグループを設立すべきであるとしています。

1番目は福島第一原発でメルトダウンが発生した当時施設内にいた作業員と、一般と比較して明らかに大量被ばくしてしまった人々を調査する部門。
2番目は一般市民の被ばくの実態を調査する部門。
3番目は福島第一原発から放出された放射性物質の総量と、それがどこまで環境を汚染したのか、すべての資料をかき集め、実態を明らかにする部門。
4番目は入手したデータの信頼性について専門に検証する部門。

「データを検証し、評価することは最も重要なことであり、決定的手段を手に入れることにつながります。」とヴァイスも認めています。
今回の大惨事に対する日本政府の初期のあまりにひどい情報提供の在り方を見て、国連は透明性と独立性の確保に力を入れたい、と考えるようになりました。

今年5月にUNSCEARは最初のレポートを公開し、もう一つの大きなサマリーレポートは、2013年5月に予定されています。
UNSCEARは今年5月、この問題に関する最初の報告書を公表し、来年5月にはさらに詳しい報告書の公表を予定しています。

ところで世界の複数の専門家は、一つの重要な点について同じ意見を持っています。
すなわち、原子力大惨事による心理的な打撃は、被災者に放射線そのものよりも大きなリスクをもたらす、という事です。
チェルノブイリ事故の後、避難者の多くがストレスやうつ病、絶望感に苦しみ、同じような状況に追い込まれました。
食生活が粗末になり、喫煙やアルコール依存が高まり、結果的に癌のリスクを高めることになってしまいました。

看護師の松本さんもこの点には同意しています。
葛尾難民が抱える一番の問題は、今や放射線ではなく、体を動かす機会が極端に減ってしまったことです。

村民のほとんどは、大惨事の前には懸命に働いていた農民たちでした。
今、緊急避難施設にいて食生活をレトルト食品などに頼っている彼らは、かつては自分たちが育てた新鮮な野菜を食べていました。おかげでコレステロールの値や血糖値が上がる傾向にあります。
「すでに何人かの人がうつ病になってしまいました。」
松本さんがこう語り、さらに以下のようにつけ加えました。
ここにいる避難民の人々は、それに加えて職を失い、住んでいた家も失いました。

「いったいどうしたら、事態を改善できるのか、全く見当がつきません。」
〈完〉


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