EX-SKF-JPさんのブログより
食品安全委員会の答申「生涯累積被曝量100ミリシーベルト」のいいかげんさ
内閣府の食品安全委員会が、
食品に含まれる放射性物質からの内部被曝の生涯累積線量を
と報道しています。とくに読売などは、
セシウムの暫定基準値が年間5ミリシーベルトの内部被曝を前提にした値だ、
と(おそらく新聞としては初めて)認めています。
(ちなみにヨウ素の暫定基準値は2ミリシーベルト被曝を前提です。
年間平均0.41ミリシーベルトでした。
今回の食品安全委員会の答申は、
この自然内部被曝に付け加えての数字です。
しかも、自然内部被曝の半分を占めていたラドンの
吸引による自然内部被曝年間0.45ミリシーベルトに付け加えて、
原発から出た放射性物質の吸引はまったく考慮に入れていません。
(日本の平均放射線被曝量については、
9月4日のポスト『日本の人工放射線被曝、世界平均の5倍以上』をご参照。)
従来の食品(カリウム40)、ラドン吸引からの自然内部被曝はそのまま、それプラス年間ベースで1ミリシーベルト以上、しかも外部被曝、医療被曝は考慮に入れていない、となると、年間で
従来の食品(カリウム40)、ラドン吸引からの自然内部被曝はそのまま、それプラス年間ベースで1ミリシーベルト以上、しかも外部被曝、医療被曝は考慮に入れていない、となると、年間で
従来の自然被曝: 1.45ミリシーベルト(日本平均)
人工被曝(食品のみ): 1.43ミリシーベルト(今回の答申による限度; 70年の余命として計算)
人工被曝(福島原発事故由来の放射性物質吸引): ???
人工被曝(福島原発由来の放射性物質からの外部被曝): ???
医療などの人工被曝: 2.35ミリシーベルト(日本平均;世界平均の5倍以上、工業国平均の2倍近く。法律で決められた限度は現在ではまだ年間1ミリシーベルトです)
限度まで食品からの被曝をする、と仮定すると、今回推定すらされていない吸引による内部被曝、追加の外部被曝を加えた年間の被曝は、結構大変な数字になりそうです。
福島原発由来の放射性物質による外部被曝、吸引による内部被曝の推定値すら出さず、食品だけで生涯100ミリシーベルトまでOK、というのは、無責任、としか言いようがありません。
加えて更に無責任なことに、子供は放射能の影響を受けやすい「可能性」がある、としながらも、子供の被曝量については触れず、厚生労働省などの政府機関が検討すべきこと、と逃げています(読売新聞)。
食品安全委員会は、答申の考え方、根拠をまとめた1ページの資料を出しています。
福島原発由来の放射性物質による外部被曝、吸引による内部被曝の推定値すら出さず、食品だけで生涯100ミリシーベルトまでOK、というのは、無責任、としか言いようがありません。
加えて更に無責任なことに、子供は放射能の影響を受けやすい「可能性」がある、としながらも、子供の被曝量については触れず、厚生労働省などの政府機関が検討すべきこと、と逃げています(読売新聞)。
食品安全委員会は、答申の考え方、根拠をまとめた1ページの資料を出しています。
これをベースにした答申で、食品からだけで生涯100ミリシーベルト(非常時、平常時共通)の被曝までOKになるわけです。
資料を見た私の疑問:
- インドの高線量地帯にずっと住んでいる人々に発ガンリスクの増加なし
いったいどこと比べて増加なしなんでしょうか?インドの他の地域?それとも、同じ場所の経年比較?ずっと住んでいる人々の経年比較しても意味が無いので前者だとは思いますが、そうだとしても、「だからどうした」が私の反論。ガンにさえかからなければOKなのでしょうか?また、この地域の人の平均寿命はどれくらいなのか、ガン以外の病気はどのように発生しているのか、一切情報なしで、ただ高線量地帯にすむ外国人に発ガンリスクが増加していない、といわれて、ああそうですか、と安心する人はよほど情報が無い日本人です。
- 100ミリシーベルトで統計的に有意な[がんによる死亡リスク]増加は見られない(原爆被ばく者)(左下の図)
ここでもがんだけが考慮に挙がっています。また、統計的に、と言いますが、原発事故から発生した放射性物質の中で生活を続ける中での健康への被害が統計的に捕らえられたのはチェルノブイリ事故後の調査でしょう。原発ではなく。更に、この図は生涯全被曝量であるはずです。委員会の答申は食品による人工内部被曝のみ。この図をみると、委員会の答申の100ミリシーベルトがいかにも害がなさそうに思えますが、食品からの内部被曝だけで100ミリということは、ほかを付け加えたら生涯全被曝量はインドの高線量地帯をおそらく越えるでしょう。
- 100ミリシーベルト未満の健康影響について言及することは現在得られている知見からは困難
専門家が投げ出したら一般人はお手上げ。もう専門家に頼る必要はないと言うことですね。頼りようがないですから。健康影響がある、と言ったら各方面にまずいけれども、健康影響がない、と言って万が一影響があった、となると将来問題になるから逃げる、という姿勢でしょうか。それは政治家の姿勢であって科学者ではない気がするのです。
ちなみに、食品安全委員会のメンバーはこの方々。常勤4名、非常勤3名、合計7名の方々による答申が、新たな日本の法律になります。
インドの累積被曝量500ミリシーベルトを何気なく出していることを見ると、委員会のメンバーの方々も、人工内部被曝、人工外部被曝、自然被曝、医療被曝、全部合算した数字はこれに近いのではないか、と潜在的に思っていらっしゃるのかもしれません。(だったらそうはっきり言うのが科学者ではないかとは思いますが。)
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