2012年9月27日木曜日

内部被曝の真実と尿検査 「低線量被曝でも危険」 児玉龍彦



内部被曝の真実と尿検査「低線量被曝でも危険」児玉龍彦  

内部被曝の真実と尿検査「低線量被曝でも危険」児玉龍彦


低線量被ばくによる健康影響へのメカニズムを、
あの児玉龍彦さんが解説してくれています。

また、前立腺肥大症の500例の膀胱の組織を集めた調査(国立バイオアッセイ研究所 福島先生)から、尿中に6ベクレル/㍑ くらいのセシウムが15年くらい検出された人は、ほぼ全員に前癌状態が確認されているそうです。


http://www.youtube.com/watch?v=hnh_ogQe47s



日本バイオアッセイ研究センターの福島昭治所長によれば、
セシウム汚染地域の住民の膀胱には,高い線量でも中間的線量でも,
前癌状態として増殖性の異型性の病変(“チェルノブイリ膀胱炎”)が
広範にわたり引き起こされていることがわかった。


高いセシウム線量(5~30 Ci/km2),中間的線量(0.5~5 Ci/km2),
非汚染地域の住民の 3 群にわけて検討。
これら 3 群のヒトの尿中のセシウム 137 は,それぞれ,6.47,1.23 そして 0.29 ベクレル/L 。


http://plusi.info/wp-content/uploads/2011/08/Vol.41.pdf


長期被曝が前癌状態を作り出すという報告は重要。


内部被曝の真実 児玉龍彦著 
http://www.yasuienv.net/Kodama.htm
今回の話題と関係するが、国は、やはり1mSvを超す地域の除染を国の責任で実施するという方針を固めた。

 5mSv程度の低線量地域に居住しても、神経症以外の健康被害はほとんど出ないと想定されるので、論理的には無駄なように思うのだが、日本農業をTPP下でも競争力のある形に変えるためや、東北の温泉への海外からの訪問者を増やすことなどを考えると、日本産の農産物や、日本の大部分の地域の安全性に対して、全く無理解な中国、韓国、欧州、米国、オーストラリアなどの国民への対応として、仕方がないのかもしれない。

 これに関連して、以下のような記事を書きました。



 9月以来、なかなか忙しくて、本屋に出かける機会がなかった。久しぶりに本屋に行って、新書の棚を覗き、2冊の本を買ってきた。1冊目が、「池上彰の宗教がわかれば世界が見える」、文春新書814。そして、2冊目が、「内部被曝の真実」、児玉龍彦著、幻冬舎新書228である。

 「内部被曝の真実」という本であるが、実は、本書の内容から言えば、「内部被曝の真実は分からない」という題名を付けるべき本である。これって詐欺ではないか。内部被曝がどのようなもので、今回、どのぐらいの内部被曝があったのか、あるいは、今後あるのか、そして影響がどのようなものなのか、などは全く語っていない。この本の結論は、「内部被曝は分からない。20年後にしか真実は分からない」、「だから注意しろ」、「国は除染せよ」、という本である。

 中身は136ページしかない。いや11ページから始まっているので、もっと短い。最初は、国会での参考人として何を述べたか。これは、Webを探せば出てくるので、本を買う必要はない。この部分がp26まで。
 そして、最後に、p137~165まで、国会への提出資料が付いているが、全体としての中身の希薄さは相当なもので、手抜き本の見本みたいなものである。「本の真実 それは読んでみるまで分からない」という本を書きたくなったぐらいのものである。


国会での応答

1.「国が線量について議論をしても意味が無い」

◎山口和之(民主党)
 (要約)唐木先生や明石先生が、今程度の対策で、まあ大丈夫ではないか、という証言をされましたが、それについて、ご意見は?
◆児玉
 放射線はですね、人間の遺伝子を障害します。人間には2万5000の遺伝子がありますが、一定の数のDNA修復に関係する遺伝子、DNAの保護に係わる遺伝子というものがあります。普通はこれらがやられないと、低線量の放射線による障害は、だいたい問題なく修復されるということが分かっています。
 ですけれども、さきほど、例えばα線でやられているp53(ガン抑制遺伝子)のお話をしました。それからわれわれは最近、がんゲノムシークエンスといって、肝臓がんやさまざまなものの遺伝子配列全体をけっていして、いわゆるドライバーミューテーションという、最初に感を作る方向に起こってしまう変異が何であるかというのを研究しております。その結果、例えばp53のような、最初のDNAを守っている遺伝子や、そういうところに関わる遺伝子を壊すとがんになる、ということが分かっています。そうしますと、実際には2万5000の遺伝子の中で、どこがやられるかということは極めて確率論的になってきます。
 ですから一般にわかるのは、統計学的に非常にたくさんの人を集めて、例えばチェルノブイルのときの甲状腺がんのように-多分長瀧先生のほうがご存知だと思いますが-最初に笹川財団で5万人ぐらいまで調べたときには、「有意な差がない」といわれたんです。ところがですね、今になってコンセンサスとして、「6000人の甲状腺がんと15人の死亡例が生まれている」というふうに変わってきています。
 私はもともと、コレステロールのほうが専門でして、コレステロールの薬を作るときにも、たくさんの論争がありました。それで私が医学者として今一番感じておりますのは、どこの線量が安全かという議論と、国の政治的な関わり方を分けていただきたいということです。コレステロール論争のときに一番大事だったのは、「コレステロールを下げる薬をやって心筋梗塞がふえるかどうか」という問題でした。それで今日の厚生労働委員会でも、学問論争に対して厚生労働委員会で結論をだしたり考えたりする必要は、私はないと思っています。考えていただきたいのは、どうしたら国民の健康を守れるかということです。
 国民の健康を守るためどいういうことができるかというとき、まずセシウム137という物質は、自然界には1945年以前に存在していないものです。原爆と原発で生まれて、それが1960年代のはじめに水爆実験によってピークになったものであります。そのときに猿橋勝子さんという女性研究者が、海水のセシウム濃度が100倍になっているということを微量線量計で確認して、そのデータをもってアメリカにいって、フォルサム博士と公開実験というのをやり、これが大気圏内核実験禁止の大きな学問的根拠になりました。
 その後セシウムはずっとへってきていたのが、今またそれをはるかに倍する量に上がろうとしています。そうしますと、線量の議論の問題を言うよりも、元来自然界にないセシウム137というものが膨大に撒かれて、ガンマカウンターで簡単に分かるような量にまでなって散らばっている。そかもそれが広島原爆の20倍の量撒かれているという事態に対して、国土を守る立場からぜひ積極的な対応をしていただきたいというのが、私の基本的なお願いです。



C先生:両君に、はっきり聞きたい。何を言いたいのか、結論は「除染すべき」であること。これは分かったけど、その論理展開が分かった?

A君:かなり分かりにくい。発がんは確率的事象だ。だから、5万人ぐらい調べても分からない。今回、セシウムはこれまで地球上に存在しなかった物質なので、いくら微量でも危険だ、と読むのでしょうか。

B君:論理的展開になっていない。ICRPの広島長崎でのデータから導いた被曝量と発がんの関係、すなわち、100mSv以下の被曝量では、重大な臨床学的な不都合は起きない、ということを否定するのは、さすがに難しいと考えていることは、伺える。しかし、それを言い出すと、自らがもっとも拘泥する主張である、「何が何でも除染が必要」が、危うくなって、5mSv/年程度以上の土地しか除染されなくなることが考えられる。そこで、被曝量はゼロでも危険だというLNT(線形しきい値なし仮説)を新しい観点から強化、すなわち、人類が歴史的には経験をしたことのないセシウム137という物質の出す放射線は、「慣れていないから微量でも危険だ」ということを主張したいのだろうか。


2.「放射線取扱者として30年間厳守してきた基準が反故にされている」

◆児玉
 私、放射線取扱者に1977年になりまして、1995年から放射線取扱主任として、除染と規制に関わっております。それで今まで、例えば平成12年の科学技術庁告示に基づいて、われわれがやらされていたことを、一つご報告しておきます。
 妊娠中である女子については、内部被曝を1ミリシーベルト以下にする(注:妊娠の事実を知ったときから出産までの間)。それから妊娠中である女子の腹部表面については、2ミリシーベルト。
 このように規制されて、この規制を守るべく、30年間やってまいりました。ところが、福島原発の事故で広島原爆20個分の放射線が撒き散らされた途端に、このような基準がすべて反故にされている。
 さきほど福島県の議員から「どのようにしたら安心か」というご質問がありました。私は安全に関しては、いったん基準をきめたら、危機になったからそれを変えていくという格好ではダメだと思います。基準を変えるのではなく、今は、今年は、できないかもしれないけれども、来年までにその基準にもっていく、再来年までにはこうする、ということでなければ住民が安心できるわけがないではありませんか。
 そのために最初から申し上げている通り、広島原爆20個分の、天然にないセシウム137を撒き散らした東電と政府の施策を反省し、これを減らすために全力を挙げる以外に安心できる解決などありえないのです。そのことを抜きにして、どこが安全だという議論をいくらやっても、国民は絶対に信用しません。


C先生:「今は、今年は、できないかもしれないけれども、来年までにその基準にもっていく、、、、」というのは、まさに緊急事態期での対応を表現しているのであって、反故にしたということではない、と考えるべきだ。

A君:基本的な理解がやはり問題。1ミリ、2ミリという値は、あくまでも平常時における管理基準。平常時には、ベネフィットの全くない放射線に被曝することを避けることは、実現可能なことなので、できるだけ避けよ。

B君:緊急事態期には、残念ながらいやでも被曝してしまう。それを避けるには、なんらかの対策が必要である。そのための対応原則がALARAの原則。無理なく避けることができる範囲で、できるだけ被曝量を下げようということ。非常事態であれば、最初の年なら100mSvまでも許容できると言うのがICRPの見解。しかし、日本政府は最初20mSvまでに抑えようという決断をした。

A君:しかし、今がICRPの言う緊急事態期であるという宣言を国は行なったのか、ということを逆の表現で質問しているという考えなのかも知れないですね。緊急事態期にあると宣言すると、反発が大きいので、避けているのでしょうか。

B君:除染を児玉先生が手伝うことで救われる南相馬は良いけれど、そうでないところは、ますます心配になって、ストレスが貯まる。緊急事態期には、リスクのトレードオフを考えるというもっとも根本的な原理原則が無視されているため、このような発言をすることで、結果的に他の多くの地域の住民を苦しめているという考え方は持たないのだろうか。

A君:唐木先生流に、まあ大丈夫です。無駄な心配をするぐらいなら、子供を外で遊ばせることができるように、遊び場ぐらいを除染すべきだ、というのも一つの考え方ではないですか。

B君:すべてを除染することが安心をするための必要条件だということにはならないのではないか。大体、「天然にないセシウム137」という言い方そのものが、安心を奪う条件になっているような気がする。そして、除染にすがる人を多く作る言葉なのではないか。

A君:まあ、児玉先生も全共闘世代ですからね。安心を与えるということを本当の目的としていないのでは。今回の彼の相手は、東電と政府か。

B君:被害補償についての児玉先生の意見は、妥当性が高い。しかし、だからといって、神経症がもっとも心配になるこの時期に、より不安になる「内部被曝の真実」を書いてはいけないような気がする。


3.セシウムは膀胱がんを引き起こす

◆児玉
 セシウムが何を起こすかを研究していらっしゃったのが、現在は国立の日本バイオアッセイ研究所センター所長を務めておられる福島昭治先生です。
 私が福島先生をとても尊敬しているのは、大阪市立大学教授時代に、チェルノブイリで、500体もの膀胱組織を調べられたからです。どうやったかというと、ベラルーシとかウクライナからで、前立腺肥大を手術するときに一緒に取れてくる膀胱を、現地のお医者さんと協力して調べたわけです。膀胱とか尿管上皮を調べたところ、尿中にセシウムが6ベクレル/リットルぐらいで出ている状態が15年ほど続いていると、みんな、増殖性膀胱炎になっている。そこにはp53遺伝子の変異が多く、小さいインサイツのがんが増えている。その結果、チェルノブイリ周辺の地域では、膀胱がんがだいたい6割増えている。この結果は、国際的な医学雑誌6誌に報告されています。
 
◆児玉
 こういうことを言うと、「それは児玉先生、リンケージですよ」と言われます。尿中のあれが高い、それで症状がでた、途中もこうかもしれない。それは連関があるだけで因果関係ではない、まだ直接的な証明ではない、と言われるのです。
 医学的にはそのような議論がいくらでも続きます。しかし、それはちょっと違う。現実に、幼稚園から学校から畑の田んぼから、至るところにセシウムが大量に散ってしまっているわけです。でもまだ一過性の飛散で、土でも多くは表面のところに留まっている。だったら、絶望的とか何とか言う前に、思い切ってセシウムを減らしていく。それが、今、我々に求められていることではないでしょうか。

C先生:議論がかなり単純なのだが、これで正しいのだろうか。

A君:まず、国に、あるいは、東電でも良いのですが、何10兆円もの除染の費用があれば、それを使うということで、もしも後々絶対に後悔しないということにするのなら、良いかもしれません。

B君:ということは、「無駄金を使ってしまった」、という後悔をする可能性があると言いたいようだ。

A君:児玉先生は、この話を、ここにも書いています。
http://plusi.info/wp-content/uploads/2011/08/Vol.41.pdf
 セシウムの尿中濃度が6ベクレル/L程度で、これが、100万人あたりの膀胱がんの発症が、86年26人から、01年43人に増加している原因であると断定します。

B君:6ベクレル/Lか。この場合には、セシウムの崩壊が6ベクレル/Lの原因であることまで分析されているということなのだろう。セシウムは、体内での挙動はカリウムと似ている。カリウム40は有名な自然放射線を出している物質。その量に関しては、
 「生物学的半減期は30日とされる。人体が持つ放射線強度は、体重60kgの成人男子で約4000ベクレルである」。「天然カリウム中に0.0117 %の割合で存在し、カリウム1グラム当りの放射能強度は30.4 Bqである」。
 カリウムは、成人1日で3.1gから3.5gを摂取。カリウム1gは、30.4Bqであるので約100Bq。これをほぼ尿として排出すると考えれば、1.2~1.5Lなので、尿中の放射線量は、67~83Bq/Lとなって、セシウム6Bq/Lは誤差の範囲でしかない。

A君:児玉先生の見解だと、セシウム137からのγ線は、地球上に存在していなかった自然ではない放射線なので、人体影響が大きいのでは。

B君:医学的な議論が続くということだが、どうも、その程度の理解だとしたら、それ以前の議論をする必要があるように思える。

A君:児玉理論を採用して、土壌からの被曝量が1mSvの場所も除染するというようなことになれば、日本という国はますます赤字。そして、ヘタをすればデフォルトに落ち込む原因となるような気がする。

C先生:そろそろ結論で良いだろう。児玉先生の理論が支持を得ているのは、どうやら被害補償を十二分にしろ、というところなのではないだろうか。

A君:実際、そこは十二分はとにかく、十分にするのが、東電と国の義務だと思いますね。やはり、生活を壊されたのですから。強制避難をしているときには補償されるが、自主避難だとすべてダメとか、こんな形になることを児玉先生は「駄目だ」と一喝しているところが、支持される理由ではないでしょうか。

B君:その部分はその部分。しかし、セシウム6Bq/Lの尿だと、膀胱がんになるというところは、どう考えても因果関係がなさそうに思える。住民にとって、これは単なる脅しにしか聞こえない。ますます神経症の発生数を増加させるだけのように思える。神経症の増加は、がんの研究者にとっては、関心のないことなのかもしれないが。

C先生:児玉先生の膀胱がんの話は、神経症を増加させるとの指摘は正しいように思える。
 余り大きな声では言えないが、福島県に雇用を増やして、意図的に失業状態を続けている人々を労働に復帰させないと、神経症とは別意味で不健康な地域になってしまうという心配がある。そのためにも、除染は一つの雇用を確保するための方法のようにも思える。
 それに、今回の前文でも述べたように、海外の人々の放射線リスクに対する無理解さ加減を考えると、日本の食料の輸出と観光客の数を復活させるという目的のためにも、除染はある程度認めざるを得ないのだろうと思っている。

1 件のコメント:

前田 進 さんのコメント...

安部売国・亡国政権が東北地方の封鎖計画
2013.4.24
宇宙情報によれば、富士山ニニギ・ブログで暴露されたように、比較的高線量の放射線被爆者らから不特定多数の人々への全国的な放射線拡散を防止するため、安倍政権がIAEAの要請で近く東北地方を封鎖する計画である。
 自民党は単独立法による徴兵制実施を計画している。自衛隊部隊の兵士らが、徴兵された新兵らを指導して、封鎖された東北地方から脱出する人々にスナイパー(照準器付き)ライフルの銃口を向けて、脱出阻止に当たることになると。これは亡国安倍政権による東北地方日本国民の大量虐殺になる。
 全国的な反対運動が起こるだろう。
http://gold.ap.teacup.com/tatsmaki/95.html

読書会に爆破予告? 多様性をめぐり分断深まるアメリカの今 2023年6月27日 LGBTQ アメリカ

  読書会に爆破予告? 多様性をめぐり分断深まるアメリカの今 アメリカ各地で広がっている、ある読書会。 子どもたちに多様性への理解を深めてもらいたい。そんな思いから始まりました。 しかし今、こうした読書会が爆破予告や反対デモで、中止に追い込まれる事態が相次いでいるといいます。 い...