南相馬の方の検査結果
以下は、南相馬の酪農家の方の検査結果です。
NHKのNews Watch 9で2011年08月03日(水)に放送された映像の中に
映し出された検査結果の画像です。
セシウム137と134の合計が25万ベクレルを超えているように見えます。
ヨウ素はゼロのようです。
Cs-137 129746Bq + Cs-134 122676Bq = 252422 Bq/kg
・・・・・・・・・・・・
これは体重1キロあたりなのか、体全体の測定結果なのか上記サイトの内容(文章)と、
画像を見てもよく分かりませんでした。
体全体の測定結果とします。この酪農家の方の体重がどれぐらいなのか分かりませんが、
子どもではなく大人だということは分かります
仮に体重が80キロとして、計算すると体重1キロ当たり3155.2ベクレルになります。
この方が私のサイトをご覧になるかどうかも分からないのですが、
このブログの8月6日付の記事「福島県民の方が受けた測定の結果について」を読んでいただき、
セシウムが排出されるような対策を早く採っていただきたいです。
木下黄太さんのブログ
放射能防御プロジェクト「福島第一原発を考えます」内で
「福島県民がうけたホールボディカウンターや尿検査はまともなレベルなのか?」
と言う記事があります。
木下黄太さんのブログより
福島県のホールボディカウンターがきちんと運用されているのか。疑う情報です。
先行で福島県民の放射性物質をはかっていた
ホールボディカウンターの最低の検出限界が
Cs‐134:320Bq、Cs‐137:570Bqということです
衝撃的な最低値です。
福島県内のホールボディカウンターが、
バックグラウンドの数値が高いため、きちんと機能しないだろうことは、
もともと専門家の間でも想定内でした。
それは、精密度の問題であって、誤差は出るのだろうけれども、
一定レベルの機械で測っているものだと勘違いしていました。
北海道がんセンターやタイは100Bqくらいは測れるはずです。
僕の知り合いはドイツで精密型のホールボディカウンターを無料で受けました。
検出限界は20Bqです。こういうレベルで測定できるのがあたりまえです。
しかし、この福島県民がうけたホールボディカウンターは
検出限界がCs‐134は320Bq、Cs‐137は570Bqなのです。
こんな数字でまともに測っているといえるのか。
発生して数ヶ月が経過して始めていることから、生物学的半減期を考えると、
この検出限界に達しない事が多いでしょう。
これで測定しているなんてちゃんちゃらおかしい話です。
その上、尿検査は一リットルあたり13Bqがこれまた、検出限界となっている。
普通の民間検査会社でお子さんの尿を個人依頼しても、1Bq以下でも検出していて、
体内の蓄積と尿への排出の関係を考えると検出が数ベクレルレベルからは、
考慮すべき事を考えると、尿検査の検出限界も13Bqというのは、
十倍以上緩い(たぶんもっと)検出限界です。これも意味があるのかという検出限界です。
こんな緩い検出限界で大丈夫かと率直に思います。
というか、きちんと測定しようとしているのか?と。
全国のホールボディカウンターを極力測らせないように、
業界内で周知の文章がまわっている状況(全国殆どの施設でWBCを受けられない)と
あわせて考えると、福島県民も含めて極力、放射能による健康被害を顕在化させないように、
政府も福島県も専門家たちもぐるになっている構図がまたもあらわになっています。
こんなレベルまでやっていたとは。いくらバックグラウンドが高くてもその中で、
さらにこのレベルとは。またしても、驚きです。福島第1原発:住民の健康調査 先行の10人が千葉到着
東京電力福島第1原発事故を受けて全県民の健康調査を実施する福島県は27日、
比較的高い放射線量を被ばくしていると推定される
3地域の住民2万8000人を対象に先行調査を始める。
初日は、警戒区域と計画的避難区域に指定された
浪江町の住民10人が内部被ばく検査を受けるため、
千葉市の放射線医学総合研究所へバスで着いた。
放医研で午後、ホールボディーカウンターによる内部被ばく検査を受ける。
比較的高い放射線量を被ばくしていると推定される
3地域の住民2万8000人を対象に先行調査を始める。
初日は、警戒区域と計画的避難区域に指定された
浪江町の住民10人が内部被ばく検査を受けるため、
千葉市の放射線医学総合研究所へバスで着いた。
放医研で午後、ホールボディーカウンターによる内部被ばく検査を受ける。
先行調査は同町に加え、
計画的避難区域の飯舘村と川俣町山木屋地区の住民が対象。
東日本大震災以降の行動を記録する問診票を全員に配り、
被ばく線量を推計する。
このうち浪江町の10人を含む120人は放医研で内部被ばく検査を受ける。
同検査を7月上旬に終え、全県民約202万人の調査は8月に始める見通し。
【種市房子】毎日新聞 2011年6月27日 10時58分(最終更新 6月27日 12時43分)
計画的避難区域の飯舘村と川俣町山木屋地区の住民が対象。
東日本大震災以降の行動を記録する問診票を全員に配り、
被ばく線量を推計する。
このうち浪江町の10人を含む120人は放医研で内部被ばく検査を受ける。
同検査を7月上旬に終え、全県民約202万人の調査は8月に始める見通し。
【種市房子】毎日新聞 2011年6月27日 10時58分(最終更新 6月27日 12時43分)
(独)放射線医学総合研究所において実施した
福島県民の内部被ばく調査結果の概要について
平成 23 年 7 月 28 日
原子力被災者生活支援チーム
1.調査の目的 今回の調査は、福島県が主体となって実施する
「県民健康管理調査」事業の一環として実施されたもので
1)線量が高いと思われる地域住民の内部被ばく線量の推定
および
2)尿の測定により、
ホールボディカウンタ(WBC)を受けるカットオフ値の検討を目的として
6 月 27 日から 7 月 16 日まで
(独)放射線医学総合 研究所において実施されたもの。
「県民健康管理調査」事業の一環として実施されたもので
1)線量が高いと思われる地域住民の内部被ばく線量の推定
および
2)尿の測定により、
ホールボディカウンタ(WBC)を受けるカットオフ値の検討を目的として
6 月 27 日から 7 月 16 日まで
(独)放射線医学総合 研究所において実施されたもの。
2.測定の対象者
浪江町 90 人、
飯舘村 20 人、
川俣町(山木屋地区)12 人、
合計 122 人
(今回示す結果は、7 月 10 日までの 109 人)。
3.測定項目
ホールボディカウンターと
尿のバイオアッセイ法による
セシウム 134、同 137及びヨウ素 131。
ホールボディカウンターと
尿のバイオアッセイ法による
セシウム 134、同 137及びヨウ素 131。
4.結果の概要
(1)セシウム 134 は 109 人中 52 人(47.8%)に検出され
そのうち最高値は 3,100Bq であった
その他は検出限界以下であった。
(2)セシウム 137 は 109 人中 32 人(29.4 %)に検出され、
そのうち最高値は 3,800Bq であっ
その他は検出限界以下であった。
(3)セシウム 134 と 137 両者ともに検出された者は
109 人中 26 人(23.9 %)で あった。
(4)尿のセシウムは、ほとんどの方が検出限界以下であり
WBC による線量との 相関ははっきりしない。
(5)ヨウ素 131 は、全て検出されなかった。
今回の調査は、内部被ばくが他の地域に比べ
高い可能性がある地域の住民を対象に行ったが
セシウム 134 及 137 による内部被ばくについては
高い可能性がある地域の住民を対象に行ったが
セシウム 134 及 137 による内部被ばくについては
合計しても1 mSv 未満であり、相当に低いと評価できる。
以上
1)線量の高い浪江町、飯舘村、川俣町山木屋地区の計122人を対象に実施
2)ホールボディーカウンターの詳細不明だが、千葉の放射線医学総合研究所で行ったらしい
http://mainichi.jp/select/weathernews/20110311/nuclear/archive/news/2011/06/20110627k0000e040020000c.html
http://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/pdf/20110728-2nisa2.pdf
3)122人のうち結果が示されているのは109人、
4)体内に多く検出された方はセシウム137が3000ベクレル以上の方が3名、
5)検出限界、Cs‐134で320Bq、Cs‐137で570Bq以下の方はそれぞれその半分、
6)ホールボディーカウンターの結果では
検出量も比例関係にある。
一方尿の測定結果はホールボディーカウンターの結果と一致せず。
尿検査で体内の放射性物質の量を調べるのは信頼性に問題がありそうである。
当初バックグラウンドの高い飯舘村や福島市で測定したので検出限界が高いのかと思いましたが、
通常大人の体内にはカリウムやモリブデンなど自然由来の放射性物質が約6000ベクレル程度あるとされ、
この調査の本当の問題点は木下さんが指摘している測定限界ではなく、
本調査の資料で住民の被曝量が示されていないのはこのヨウ素131分の被曝がわからないためでしょう。
あと、コバルト60の件、
ベラルーシでは体重1キロあたりでどれぐらいのベクレルかを測定し、
その結果に基づいて、「安心」とか「要注意」とか判断するのが、当たり前の常識です。
私もいつもそれでチロ基金の活動をする目安にしているわけです。
正直言って、体重1キロあたりのベクレルで結果を表示するのが、
国際基準で「当たり前」だと私は思っていましたので、
日本のホールボディカウンターの検査結果もそのように表示されるに決まっている、
と思っていました。
どうして日本では体重1キロあたりの結果ではないのでしょうか?
食品の測定も1キロあたりで計算して基準値より、上とか下とか判断するのと同じです。
日本の場合セシウム134の検出限界が320Bq、
セシウム137の検出限界が570Bq というのも、
小さいお子さんのこと(体重が少ない)を考えると、大雑把だなあ、と感じます。
例えば、体全体でセシウム137が569ベクレルの子どもがいたとします。
でも限界値570Bq以下なので「不検出」とされます。
もしこの子どもが体重10キロだとすると、体重1キロ当たり56.9ベクレルになります。
ベラルーシだったら「要注意」レベルで、「ペクチン剤を飲みましょう。」と言われます。
でも日本だったら「不検出」です。
これでよいのか? と思います。
「福島県民の方が受けた測定の結果について」という記事内での
「体内に多く検出された方はセシウム137が3000ベクレル以上の方が3名、
うち2名がセシウム134も約3000ベクレル、一人の方は約2800ベクレル検出」
・・・ですが、大人と子どもではずいぶんこの数字の意味が変わってきます。
もし体重100キロの大人で、セシウム137が3000ベクレルとすると、
体重1キロあたり30ベクレルで、しかも大人だから、「安心」になります。
しかし体重10キロの子どもだと体重1キロあたり300ベクレルで、しかも子どもだから、「危険」になります。
体重50キロの人だったら、体重1キロあたり60ベクレルです。
この人が子どもの場合だと「要注意」で、ペクチン剤を飲むなどの対策を取らないといけないとされます。
この人が大人なら「安心」レベルですが、大人でもまだ若く、
これから子どもを産む予定のある方の場合は「要注意」でペクチン剤を飲みましょう、と言われます。
年齢によっても基準が変わってくるので、
「体全体で○○○ベクレル」という数字だけを被験者に伝えるのは、大雑把だと思います。
今回の検査では被験者の方に直接、もう少し詳しい説明をされているかもしれませんが・・・。
前述の「日本のホールボディカウンターは体重1kg当たりではなく、体全体での数値のようです。」
と教えて下さった方は、北海道で検査された方に結果を伺ったそうです。
その結果、セシウム137が800ベクレル代、セシウム134が6000ベクレル台だったそうです。
(すみません。細かく数値を教えてもらったのですが、
そのままここで公開すると個人情報公開につながりますので、
「ベクレル台」というあいまいな表現をわざと使っています。)
検査した方に「体重1kg当たりですか?」と聞いたところ、
「分からない。」とおっしゃっていましたが、医師からは微量だと言われたそうです。
これが仮に体全体としての数値として、
この被験者の方の体重が例えば50キロとすると、
体重1キロあたりのセシウム137が約16ベクレル、セシウム134が約120ベクレルです。
どうしてこれが「微量」になるのか、理解に苦しみます。(単位の種類の間違いではないですよね?)
日本で測定を受けた方、体全体の数値を告げられても、体重1キロあたりに換算してから判断してください。
ベルラド研究所にある測定器はホールボディカウンタというものです。
ホールボディカウンタにもいくつか種類があります。
ベルラド研究所にある測定器は、超精密に測定しているわけではありません。
超精密な測定器を導入するとどうしても測定に費用がかかってしまい、
そうなると富裕層だけが測定でき、貧困層は測定できない、という不公平が生まれてしまいます。
ベルラド研究所はそうならないように、超がつく精密な結果よりもコストを下げることにしています。
測定するときは体重1キロあたりの放射能を計らないといけないので、まず体重計にのって体重を量ります。
そのときは着衣のまま(冬は重いコートなどは脱ぎます。)なので、
計算するときに純粋に体重だけで割り算するより、低い数字が出てきます。
さらに体重1キロ当たり5ベクレル以下だと、少なすぎて検知ができず、
0ベクレルとして算出されることがあります。
ですので、0ベクレルの結果が出ても、全く放射能がないのか?
と言うとそうではない場合もあることをご説明しておきます。
チロ基金はSOS子ども村と協議の上、
子どもの場合体重1キロあたり20ベクレル以上の測定結果が出た子どもに、
ビタペクトを1個渡すことにしています。
この数字を定めたのは、ベラルーシ政府ではありません。ベルラド研究所です。
この20ベクレルという数字はベルラド研究所が示している、子どもに対する注意レベルで、
それ以上の測定結果だった場合、ビタペクトを飲むことを勧めているからです。
さらに測定結果は小数点以下2位まで表示されます。
しかしビタペクトをあげるかどうかの基準は20ベクレルちょうどなので、
小数点以下は四捨五入した形でご報告しています。
例えば、兄弟がいて、兄は20.00ベクレルだったからビタペクトをあげるけど、
弟は19.99ベクレルだから、あげないというのはおかしいと私は思うからです。
この場合、弟の測定値も四捨五入して20ベクレル、兄も20ベクレルとして、
2人ともにビタペクトをあげる、という判断をしております。
子どもたちはSOS子ども村(ミンスク州ボロブリャヌィ市)にて保養滞在しています。
ミンスクから車で30分ぐらいのところにあります。
そこへベラルーシ各地から保養に多子家庭が来ていますが、
最近の報告には普段住んでいる地域(都市名など)についてだいたいチェルノブイリ原発から
何キロのところにあるのか説明を加えてあります。
この「普段住んでいるところ」についてですが、
①事故当時から住んでいる。
②高汚染地域から避難先として移住している。
③ホットスポットに住んでいる。
という3つの場合が考えられます。
記事内の記載では「現在住んでいる場所」を表記しています。
保養家族についてはさまざまな場合があります。
特別に記事内で記載がない場合は、「事故当時からこの場所に住んでいる。」とお考えください。
もし、現在住んでいる場所が「高汚染地域から避難先として移住してきた」家族の場合、
そのことを記事内に記載しています。
しかしチェルノブイリ原発事故が発生して25年経過しましたので、
「移住してきました。」と話してくれるのは親の世代ばかりで、子どものほぼ全員は、
移住経験がありませんし、当然のことながら事故後に避難区域対象になった
高汚染地域(デッド・ゾーン)で生まれいて、現在進行形で育っています、
という子どもはいない、と思ってください。
ただ、避難区域でなくても実際に汚染地域(チェルノブイリ・ゾーン)はベラルーシ国内に数多くありますし、
そこで暮らしている人もたくさんいます。
例えばゴメリ市などはベラルーシではいわゆる政令指定都市に当たる街ですが
、チェルノブイリ・ゾーンの中に入っています。 またチェルノブイリ原発からの距離に関係なく、
遠くても汚染されている地域があります。つまりホットスポットのことですが、
そこから保養に来ている家族の場合は、そのことが記事内に書いてあります。
ただ以前の日本人には「ホットスポット」と言う言葉自体になじみがなかったので、
記事内では「チェルノブイリ原発事故から離れているが汚染地域」といったような表現を使っています。
しかし今までSOS子ども村でいろんな地域の人と話をしましたが、
チェルノブイリ・ゾーンもホットスポットも関係なく、また地域を指定することにも関係なく、
ベラルーシに住んでいる人の多くに大なり小なり放射能が蓄積している、というのが私の実感です。
これはおそらく汚染された食品が国中を流通しているからだと思います。
また食品一つ一つはわずかな放射線量でも長年食べ続けることによって時間の経過とともに、
体内に蓄積されていっているのだと思います。
それからSOS子ども村に保養にきていた家族のうち、母親の年齢は公開していませんでいしたが、
これからはチェルノブイリ事故発生時の年齢を表記することにしました。
それから開発当時製造されていたビタペクトにはカルシウムが加えられていたのに、
今製造しているビタペクトTにカルシウムが入っていないのはどうしてなのか、というご質問がありました。
これも理由はコストを下げるためです。
ペクチン自体はそんなに高価なものではないのですが、
サプリの原料としてのカルシウムがベラルーシでは非常に高価で、
それをビタペクトに加えると、ビタペクトそのものの値段も高くなります。
そうなると富裕層だけが購入でき、貧困層は購入できない、ということになります。
そのため残念ながら、カルシウムだけを抜いたビタペクト2(粉末状)が開発され、その後タブレットタイプのビタペクトT
に進化したわけです。
このようなことをあらかじめ踏まえたうえで、この活動のご報告を読んでください。お願いします。
ビタペクト2について |
▼ビタペクト2とは何か?
「ビタペクト2」はりんごから抽出したペクチンに7種類のビタミンを混ぜた粉末状の健康食品です。水に混ぜるだけでジュースになり、それを1日ティースプーン2、3杯分飲むだけで、体内の放射能が体外に排出されます。 ▼ビタペクト2の開発「ビタペクト2」は元ソ連科学アカデミー会員であり、現在は放射能防護研究所「ベルラド」の所長であるネステレンコ教授が開発しました。「ビタペクト2」は摂取すると、体内に蓄積した放射能を体外に排出する働きがあります。 ▼ペクチンが放射能を排出するしくみペクチンが体内に入ると、まず胃の中で胃液に混ざっている放射能性物質を取り込みます。そしてそのまま便といっしょに体外に排出されます。 しかし放射能汚染地域で暮らしていて、毎日放射能に汚染された食品ばかり食べている人にとっては、少々のペクチンを摂取しても、体内の放射能量が多すぎるため、最低1日3キロ分のりんごを食べなくては、必要量のペクチンを摂取することができません。 りんご以外のペクチンを多く含む食品を摂ってもいいのですが、それでも1日にそんな多くのペクチンを摂るのは難しいことです。 「ビタペクト2」ティースプーン1杯で、りんご1キロを食べたのと同じだけの量のペクチンを摂取することができます。 このような「ビタペクト2」の働きにより、体内に蓄積された放射能は体外に排出され、体内に入ってくる放射能を減らすことができます。 ▼ビタペクト2の原料「ビタペクト2」はジュース工場で絞った後残ったりんごの絞りかすを原料にしています。それはりんごの中に含まれるペクチンの95%が絞りかすのほうに残るからです。 (文:辰巳雅子) |
ビタペクト2を製造しているのはミンスクにあるベルラド研究所です。
ビタペクトは最初、カルシウムを加えた「ビタペクト」を開発、製造していたのですが、
その後、カルシウムを除いた「ビタペクト2」を製造するようになり、チロ基金は長年にわたり、
寄付金で購入、ベラルーシの子どもたちに無料で配布してきました
「ビタペクト2」は粉状だったのですが、ベルラド研究所は最近、粉を固めたタブレット型のビタペクト2を
製造するようになりました。これは「ビタペクトT」と言います。
成分的にはほとんど違いはなく、タブレットにして飲みやすく、
さらに1回分の摂取する分量を分かりやすくするためなのですが、
その結果、ベルラド研究所は「ビタペクト2」の製造は中止し、
現在完全に「ビタペクトT」のみの製造に移行しています。
チロ基金はこれからもビタペクト2無料配布活動を続ける予定ですがビタペクト2ではなく、
「ビタペクトT」の配布と変わります。
これからは「ビタペクトT」を配布しますが、活動自体の名称は今までと同じく「ビタペクト2」のままで統一します。
ご了承ください。
また「ビタペクトT」は現在ベラルーシの一部の薬局でも販売されることになりました。
これで、個人で買うこともできるようになったのですが、薬局で買うと割高な金額になってしまいます。
チロ基金は直接ベルラド研究所でまとめて購入しているため、割引価格で売ってもらっており、助かっています。
画像は「ビタペクトT」です。中身をお皿に入れてみました。
ビタペクトも進化したなあ、というのが私の率直な感想です。
今後もチロ基金の「ビタペクト2&『放射能と栄養』無料配布」活動への変わらぬご協力を
日本人の皆様にお願いいたします。
・・・・・・・・・・・
問い合わせがありましたので、ビタペクトTの成分をお知らせします。
ペクチン
ビタミンB2
ビタミンB6
ビタミンB12
ビタミンC
ビタミンE
ベータカロチン
葉酸
セレン
亜鉛
カリウム
乳糖
クエン酸
ポリエチレングリコール(固化剤。タブレット状の形を保ちます。)
ステアリン(固化剤。タブレット状の形を保ちます。)
アスパルテーム(人工甘味料)
また1タブレット(2グラム)に含まれる成分はこのようになっています。
ペクチン 961ミリグラム
ビタミンB2 0.13ミリグラム
ビタミンB6 0.46ミリグラム
ビタミンB12 0.40マイクログラム
ビタミンC 13ミリグラム
ビタミンE 1.98ミリグラム
ベータカロチン 0.66ミリグラム
葉酸 26.5マイクログラム
セレン 9.9マイクログラム
亜鉛 2ミリグラム
補足
V.B. ネステレンコ、 A.V. ネステレンコ
【要旨】
毎年何万人ものチェルノブイリの子どもたちが(そのほとんどがベラルーシから)、外国で治療と健康管理とを受けるために故郷を離れる。チェルノブイリの汚染地区では多くの国々出身の医師たちが、史上最悪の技術災害の影響を少しでも小さくしようと無償で働いている。しかし、事故がもたらしたものは、規模においてあまりに大きく、また多岐にわたるので、チェルノブイリのような大惨事の長期的な影響には、世界のどの国であれ、一国だけで対処できるものではない。もっとも大きな被害を受けた国々、とりわけウクライナとベラルーシは、国連その他の国際機関からの、また民間の基金や支援団体からの援助に対して謝意を表明している。
チェルノブイリ事故による放射性物質の放出から22年を経ても、ベラルーシ、ウクライナ、ヨーロッパ側ロシアの高汚染地域では、放射能に汚染された土地の農産物の摂取を避けられないというまさにその理由で、一人当たりの年間線量当量限度(訳注1)は1ミリシーベルトを越えている。ベルラド研究所の11年間の経験により、子どもを放射能から効果的に守るには、子どもの介入基準値(訳注2)を公式の危険限界(訳注3)の30%(すなわち体重1キロにつき15〜20ベクレル)に設定しなければならないことが明らかになった。ベラルーシの高汚染地域に暮らす人々の体内に蓄積されたセシウム137(Cs-137)を全身放射線測定機(ホールボディカウンター・訳注4 )で直接測定すると、年間被曝線量は、少なく見積もられた公式の地域被曝線量一覧の3倍から8倍に達するのがわかる。
実践的な観点からいうと、アップルペクチン(訳注5)を含む栄養補助食品を手当てに用いることで、特にセシウム137の効果的な除去に役立つ可能性がある。1996年から2007年のあいだに、合計16万人を超えるベラルーシの子どもたちが、18日間から25日間にわたってペクチン含有補助食品の投与を受けた(1回5グラムを日に2回)。その結果、ペクチン性補助食品による1度の手当てごとに、子どもたちの臓器に蓄積されたセシウム137のレベルは平均30〜40%減少した。放射能に汚染された食物の摂取が避けられない状況において、人々を被曝から守るもっとも効果的な方法のひとつは、りんご、カラント(すぐり)、ぶどう、海草などを用いて様々なベクチンベースの栄養補助食品や飲み物を製造し、それを摂取して放射性物質を体外に排出することである。
汚染地域に暮らす人々の身体から放射性核種のレベルを減少させる基本的な方法は以下の三つ。第一に、摂取する食物に含まれる放射性核種の量を減らすこと。第二に、放射性核種の体外への排出を促進すること。第三に、身体に備わる免疫その他の防御系を刺激することである。
13.1. 食物に含まれる放射性核種を減らすこと
キノコ類や野菜などの食物の場合は、水に浸したり、茹でたり、塩漬けにしたり、ピクルスにしたりすることで、
また牛乳やチーズの場合は脂肪分を調整することで、放射性核種の量を、食材によっては数分の一にまで減らすことができる。
被曝に対する抵抗力を高める補助食品を用いることで、身体が持っている自然免疫力を刺激することも有効だ。フリーラジカル(訳注6)の生成を妨げる、このような補助食品には、抗酸化性のビタミンAとC、微量元素のヨウ素(I)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、セレン(Se)、コバルト(Co)がある。これらの補助食品は被曝による有機物質の酸化(脂質過酸化反応)を防止する。免疫を刺激する栄養補助食品は各種あり、たとえば小麦などの植物のもやし、海藻(たとえばスピルリナ)、松葉、菌糸体などが挙げられる。
放射性核種の排出を促すために次の三つの方法が実行されてきた(Rudnev et al.,1995;Trakhtenberg,1995; Leggett et al., 2003)。
・食品中の安定的な元素量を増やすことにより、放射性核種が体内に取り込まれるのを防ぐ。
被曝に対する抵抗力を高める補助食品を用いることで、身体が持っている自然免疫力を刺激することも有効だ。フリーラジカル(訳注6)の生成を妨げる、このような補助食品には、抗酸化性のビタミンAとC、微量元素のヨウ素(I)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、セレン(Se)、コバルト(Co)がある。これらの補助食品は被曝による有機物質の酸化(脂質過酸化反応)を防止する。免疫を刺激する栄養補助食品は各種あり、たとえば小麦などの植物のもやし、海藻(たとえばスピルリナ)、松葉、菌糸体などが挙げられる。
放射性核種の排出を促すために次の三つの方法が実行されてきた(Rudnev et al.,1995;Trakhtenberg,1995; Leggett et al., 2003)。
・食品中の安定的な元素量を増やすことにより、放射性核種が体内に取り込まれるのを防ぐ。
たとえば、
カリウムやルビジウムはセシウムが体内に取り込まれるのを阻害し、
カルシウムはストロンチウム(Sr)を、
三価鉄はプルトニウム(Pu)の摂取を阻害する。
・放射性核種を吸着する様々な栄養補助食品を用いる。
・放射性核種を「洗い流す」ために、煎じた飲料やジュースその他の液体、および食物繊維を強化した食品の摂取を増やす。
放射性核種の除去(あるいは体内除染)とは、大便や尿などの排泄を介して、体内に取り込んだ放射性核種の除去を促進するために調整された薬剤を用いることである。放射性核種による極端な汚染に対する治療には、効果の高い特定の方法がいくつか知られている。たとえば、
・放射性核種を「洗い流す」ために、煎じた飲料やジュースその他の液体、および食物繊維を強化した食品の摂取を増やす。
放射性核種の除去(あるいは体内除染)とは、大便や尿などの排泄を介して、体内に取り込んだ放射性核種の除去を促進するために調整された薬剤を用いることである。放射性核種による極端な汚染に対する治療には、効果の高い特定の方法がいくつか知られている。たとえば、
セシウムの除去には鉄化合物、ストロンチウム(Sr)にはアルギネート類や硫酸バリウム、プルトニウムにはイオン交換樹脂などである。これらの方法は、短時間で急激に汚染された場合には効果がある。
しかし、ベラルーシ、ウクライナ、ヨーロッパ側ロシアのような、ひどく汚染された地域については事情が異なる。汚染地域では微量の放射性核種(そのほとんどがセシウム137)による日々の被曝を避けることは事実上不可能であり、食物を介して(最高で94%)、飲み水によって(最高で5%)、呼吸によって空気から(約1%)体内に取り込まれる。
地元の農産物に高レベルのセシウム137が含まれているため、第一に子どもたちにとって、また汚染地域に住むすべての人々にとって、放射性核種の体内への蓄積はたいへん危険だ(第4章12節参照)。体内に取り込まれた放射性核種は、現在、汚染地域における公衆衛生を悪化させる第一の要因になっており、被曝の影響を減らす可能性のある方法はすべて用いるべきである。
子どもの体内に蓄積されるセシウム137が、体重1キログラムあたり50ベクレルに達すると、生命維持に必須の諸器官(循環器系、神経系、内分泌系、免疫系)、ならびに、腎臓、肝臓、眼、その他の臓器に病理的変化があらわれることが明らかになっている(Bandazhevskaya et al., 2004)。ベラルーシ、ウクライナ、ヨーロッパ側ロシアの、チェルノブイリ事故で汚染された地域では、この程度の放射性同位体の体内への蓄積は今日でも珍しくない(詳細は第3章第11節を参照)。そのため、可能なあらゆる手段を用いて、これらの地域に住む人々の放射線核種の体内蓄積レベルを低下させる必要がある。子どもと大人の食事内容が同じである場合、子どもは体重が軽く、また新陳代謝が活発なので、地元で生産された食材から受ける被曝線量は大人の5倍に達する。農村に暮らす子どもが受ける被曝線量は、都市部の同年齢の子どもより5倍から6倍も高い。
子どもの体内に蓄積されるセシウム137が、体重1キログラムあたり50ベクレルに達すると、生命維持に必須の諸器官(循環器系、神経系、内分泌系、免疫系)、ならびに、腎臓、肝臓、眼、その他の臓器に病理的変化があらわれることが明らかになっている(Bandazhevskaya et al., 2004)。ベラルーシ、ウクライナ、ヨーロッパ側ロシアの、チェルノブイリ事故で汚染された地域では、この程度の放射性同位体の体内への蓄積は今日でも珍しくない(詳細は第3章第11節を参照)。そのため、可能なあらゆる手段を用いて、これらの地域に住む人々の放射線核種の体内蓄積レベルを低下させる必要がある。子どもと大人の食事内容が同じである場合、子どもは体重が軽く、また新陳代謝が活発なので、地元で生産された食材から受ける被曝線量は大人の5倍に達する。農村に暮らす子どもが受ける被曝線量は、都市部の同年齢の子どもより5倍から6倍も高い。
ペクチンは消化管の中でセシウムのような陽イオンと化学的に結合し、それによって大便の排泄量を増やすことが知られている。ウクライナ放射線医学センター(Porakhnyak-Ganovska,1998)とベラルーシ放射線医学内分泌学臨床研究所(Gres’ et al., 1997)の研究開発により、チェルノブイリ事故で汚染された地域の住民の食物にペクチン製剤を加えると、体内に蓄積した放射線核種の効果的な排泄を促すとの結論が導かれている。
1. 1981年、世界保健機関(WHO)と国連食糧農業機関(FAO)の合同食品添加物専門家会議は、2年間の臨床試験にもとづいて、ペクチン性腸内吸着物質の日常的な使用は効果的であり、かつ無害であると発表した(WHO, 1981)。
2. ウクライナとベラルーシでは、体内に蓄積した放射性核種の排泄を促す物質として、ペクチンをベースとする様々な製剤が研究されている(Gres’, 1997; Ostapenko, 2002; Ukrainian Institute, 1997)。水生植物(ゾステラまたはアマモという海草)から抽出されたペクチン基盤の製剤品は、市場ではゾステリン・ウルトラ(Zosterin-Ultra®)として知られるが、ロシアの原子力産業で集団予防に用いられていた。この、吸収されないペクチンであるゾステリンの血液注射は、栄養摂取や新陳代謝その他の機能には害を及ぼさない。経口用に液状にしたゾステリン・ウルトラは、腸内吸着性および血液吸着性を持つ、生物学的に生きている(言いかえれば治癒効果のある)補助食品として、ウクライナ保健省およびロシア厚生省により認可された(ウクライナでは1998年、ロシアでは1999年)。
3. 1996年、ベルラド研究所はセシウム137の排泄を促進するために、ペクチン性補助食品(フランスのメデトペクト(Medetopect®)およびウクライナのヤブロペクト(Yablopect®))にもとづく腸内吸着療法を開始した。1999年、同研究所はヘルメス社(本社:ドイツ、ミュンヘン市)と共同で、ビタペクト(Vitapect®)の名で知られるアップルペクチンを添加した合成剤を開発した。ビタペクトは粉末状で、ビタミンB1、B2、B6、B12、C、E、およびベータカロチン、葉酸を補った濃縮ペクチン(18%〜20%)と、カリウム、亜鉛、鉄、カルシウムなどの微量元素、および香料との化合物である。ベルラド研究所は、ベラルーシ保健省の認可を得て、2000年からこの補助食品を生産している。
4. 2001年6月から7月にかけて、ベルラド研究所は「ベラルーシのチェルノブイリの子どもたち」(本部:フランス)という団体と共同で、シルバー・スプリングス療養所(ホメリ州(訳注8)スヴェトロゴルスク市)において、内部被曝の確認された615人の子どもたちに対し、対照用の偽薬(プラセボ)を用いた二重盲検法(訳注9)によるビタペクトの三週間の投与試験を行った(1回5グラムを日に2回)。ビタペクトを汚染されていない食物とともに与えられた子どもたちと、汚染されていない食事とプラセボを与えられた対照グループとを比べると、セシウム137は前者のほうがずっと効果的に減少した(表13.1とグラフ13.1を参照)。
表13.1.
2001年、ベラルーシのシルバー・スプリングス療養所で、
計615人の子どもにビタペクトを21日間用いたところ、
セシウム137の濃度が低下した(BELRAD Institute Data)。
グラフ13.1.
ビタペクト1回5グラムを日に2回、21日間服用すると、
子どもの体内のセシウム137による放射能レベルが低下する(Nesterenko, et al., 2004)。
5. 別のグループでは、セシウム137による放射能の相対的減少は、
ビタペクトを摂取したグループで32.4% ± 0.6%、
プラセボを用いたグループで14.2% ± 0.5%(p > 0.001)となり、
ペクチンを与えられなかったグループでは69日間だった。
つまり、ペクチンを用いた場合の実効半減期の短縮率は2.4倍だった。
この結果は、汚染されていない食物とともにペクチン添加のビタペクトを摂ると、
汚染されていない食物のみを摂った場合に比べ、セシウム137のレベルを低減させる効果が50%高くなることを示している(Nesterenko et al., 2004)。
6. 7歳から17歳までの94人の子どもたちを、ホールボディカウンターで測定したセシウム137の汚染レベルによって、まず2つのグループに分け、
ビタペクト1回5グラムを日に2回、16日間にわたって経口投与した臨床試験の結果、セシウム137の体内蓄積量において有意な減少がみられ、心電図も著しく改善した(EKG; Table 13.2)。
表13.2.
セシウム137による汚染がある子どもで、ビタペクトによる手当てを受けた
2グループの心電図正常化の結果(Bandazevskaya et al.、2004)
7. 2001年から2003年にかけて、「ベラルーシのチェルノブイリの子どもたち」という団体(本部:フランス)、ミッテラン基金(本部:フランス)、チェルノブイリの子ども基金(本部:ベルギー)、およびベルラド研究所は共同で、ホメリ州ナロヴリャ地区の13の村を校区とする10の学校に通う1,400人の子どもを手当てした。
その結果、ビタペクトを摂取した子どもたちの放射能汚染は、1年につき3分の1から5分の1に減少するのが明らかになった。ある村の手当て結果をグラフ13.2でご覧いただける。
グラフ13.2.
ホメリ州ナロウリャ地区ヴェルボヴィチ村に住む子どもたちの体内にある
セシウム137による放射能汚染の推移(体重1キログラムあたりのベクレル数)。
グラフはデータの平均値を示す。点線はビタペクトの摂取期間を示す(Nesterenko et al, 2004)。
8. ペクチン性腸内吸着物質は、セシウム137だけでなく、生命維持に必要な微量元素まで除去してしまうのではないかと懸念されていた。2003年と2004年に、ドイツ連邦放射線防護庁(BfS)の支援を受けて、「ベラルーシの重度被曝の子どもたち」プロジェクトの枠組みの一環として、特別な試験が実施された。ベラルーシの3つの療養所(ティンバーランド、シルバー・スプリングス、ベラルーシ女子療養所)で実施したこの試験で、ビタペクトは、子どもたちの血液中のカリウム、亜鉛、銅、鉄の良好なバランスを損ねないことがわかった(Nesterenko et al, 2004)。
9. 「チェルノブイリの子どもたち」を支援するドイツ、フランス、イングランド、アイルランドのNGOの求めにより、ベルラド研究所は、外国で実施された健康プログラムに子どもたちが渡航する前と帰国後に、セシウム137の体内蓄積量を測定した。25日間から35日間、汚染されていない食事を摂っただけの子どもたちのセシウム137レベルが20%から22%程度低下したのに対し、これに加えてビタペクトによる1回の手当てコースを受けた子どもたちのセシウム137蓄積レベルは、さらに大幅に低下した(表13.3と表13.4)。
9. 「チェルノブイリの子どもたち」を支援するドイツ、フランス、イングランド、アイルランドのNGOの求めにより、ベルラド研究所は、外国で実施された健康プログラムに子どもたちが渡航する前と帰国後に、セシウム137の体内蓄積量を測定した。25日間から35日間、汚染されていない食事を摂っただけの子どもたちのセシウム137レベルが20%から22%程度低下したのに対し、これに加えてビタペクトによる1回の手当てコースを受けた子どもたちのセシウム137蓄積レベルは、さらに大幅に低下した(表13.3と表13.4)。
表13.3.
2004年にフランスで実施された、46人の子どもを対象にした
30日間の手当て結果(BELRAD Institute Data)
表13.4.
ベラルーシの子どもたちを対象に実施した、
ビタペクトによるいくつかの手当て結果(BELRAD Institute Data)
10. グラフ13.3は、ある1回の実験における放射能減少の度数分布を示す。ペクチンを摂取したグループにおけるセシウム137の相対的な減少は、それぞれ平均値で32.4%、中央値で33.6%だったのに対し、プラセボを与えられたグループにおける減少はそれぞれ14.2%(平均値)および13.1%(中央値)にとどまった。これは、ペクチンを摂取したグループの実効半減期が平均で27日間に短縮されたのに対し、プラセボを与えられたグループでは69日間であったことと合致する。
グラフ13.3.
ベラルーシの子どもたちにビタペクトを投与した際に観察された、
セシウム137による体内被曝の相対的減少の発生頻度(Hill et al., 2007)
11. グラフ13.4は、全身での残存率を表す関数モデルを二種類算出したものである(成人用)。最初の曲線は、t = 0の時点で食物を汚染されたものから汚染されていないものに切り替えた場合の結果を表しており、2番目は、t = 0の時点で汚染されていない食物への切り替えに加え、ビタペクトの摂取を始めた場合の結果を表している。観察された実効半減期の平均短縮率(69日間から27日間に減少)は、2.5倍に相当する。
グラフ13.4.
レゲット(Leggett)らのモデル(2003)にもとづく、
理論上の放射能残留関数(成人用)。
上の曲線は汚染されていない食品の結果を示し、下の曲線は、ビタペクトの使用によって
吸着がさらに阻害される様子を示している(Hill et al., 2007)。
12. 1996年から2007年にかけて、合計16万人を越えるベラルーシの子どもたちが、ビタペクトの経口投与による18日間から25日間の手当てコース(1回5グラムを日に2回)を受けた。その結果、それぞれの手当てコース後に、セシウム137のレベルが平均30%から40%低下することがわかった。
ベルラド研究所は、その長期にわたる経験から、放射能に汚染された地域に住むすべての子どもたちが、従来からの食物の制限に加えて、経口用のペクチン性補助食品摂取コースを年に4回受けるよう推奨する。ベルラド研究所は過去11年間にわたり、32万7,000人を越える子どもの体内のセシウム137蓄積レベルを管理してきた。この活動によって、人々のあいだに恐慌が引き起こされたり放射能恐怖症に陥ったりするようなことはなく、むしろ人々に放射線射線防護についての知識を普及させるとともに、自分の健康に対する個々人の責任感を高めた。
13.3 直接測定にもとづく放射線射線防護の新しい原則
ベルラド研究所の11年間にわたる経験によれば、汚染された地域で実効性のある放射線射線防護を行うためには、公式の危険限界(すなわち体重1キログラムにつき15ベクレルから20ベクレル)の30%を、子ども用の介入基準値として確立しなければならないことは明らかだ。
1. ベラルーシの高汚染地域に住む人々の、セシウム137の体内累積量をホールボディカウンターで直接測った結果、牛乳10サンプルとじゃがいも10サンプルのセシウム137濃度をもとに作成された公式の地域被曝線量一覧は、個人の年間被曝線量を実際の3分の1から8分の1にまで小さく見積もっており、放射線射線防護を実効性のあるものにするにあたって、信頼できる数値ではないことがわかった。
2. 体内に蓄積された被曝線量を反映するセシウム137をホールボディカウンターで直接測り、そのデータにもとづいて、放射能に汚染された人々の本当の地域被曝線量一覧を作成しなければならないことは明白だ。この一覧は、ベラルーシ国内において、チェルノブイリ事故の影響を受けたすべての地域の住民から得た信頼に足るサンプルを用いて作成されるべきである。
3. ホールボディカウンターによる測定で得られたセシウム137の体内蓄積量と、医学的な評価を組み合わせることによってのみ、住人のあいだの罹病率の増加と放射性核種の体内蓄積量との因果関係(線量との依存関係)を知ることができる。今の時点でこのようなデータが得られるのは、ベラルーシ、ウクライナ、ヨーロッパ側ロシアの、チェルノブイリにより汚染された地域だけである。この情報は、放射線射線防護を計画したり人々を治療したり、ベラルーシにおける放射線被曝をできる限り小さくするために支援が必要だと国際社会を説得したり、またチェルノブイリ大惨事の影響の大きさを理解したりするために、重要な要素となりうる。
13.4 チェルノブイリの子どもたちにとって国際的な援助が特に効果的な分野
チェルノブイリで起きた炉心溶融(メルトダウン)規模の大災害による長期的影響に対して、一国のみで対処できる国は世界のどこにもない。もっとも大きな影響を受けた国々、とりわけ甚大な被害を被ったウクライナとベラルーシは、国連その他の国際機関からの、また民間の基金や支援団体からの援助に対して謝意を表明している。
毎年何万人ものチェルノブイリの子どもたちが、健康を改善するための治療を受けに外国に出かける。チェルノブイリの汚染地域では多くの国々出身の医師たちが、史上最悪の技術災害の影響を少しでも小さくしようと無償で働いている。事故の影響は規模においてきわめて大きく、また種類も多岐にわたるため、こうした支援の効果をいっそう大きくするにはどうすべきかが常に問われている。
食材と、汚染地域に暮らす人々の体内とに蓄積した放射性核種のレベルを監視すべく、大規模かつ長期にわたるプログラムを実施した経験にもとづいて、国際的プログラムおよび国内プログラムの効果を増大させるために以下の提言を行う。
・ 放射線核種の体内蓄積レベルとの関連において、様々な病気の発生頻度と深刻さを、特に子どもたちに関して解明するための共同研究。
・ 汚染地域のすべての住民一人ひとりに対する、特に子どもたちに対する定期的な放射線測定検査の実施。これを実現するには、ベラルーシ内の移動検査室を現在の8台から12台にまで、あるいは15台にまで増やす必要があるだろう。こうした定期的な放射線観察の結果を用いて、放射線核種の蓄積量が多く、生命に危険が及ぶような状態にある人々を特定するために、ウクライナやヨーロッパ側ロシアでも、ベラルーシと同種の方式による独立した実践的な科学センターないし臨床センターを設立すべきである。
・ 汚染された食物の摂取が避けられない状況下において、人々を(放射性物質の除去により)被曝から守るもっとも効果的な方法のひとつである様々なペクチンベースの補助食品や飲み物を、りんご、カラント(すぐり)、ぶどう、海草などを用いて製造し、投与する。
・ 放射線の管理のためにベルラド研究所が地域センターを組織してきた経験を活かし、独立した放射線の監視と、地元の食材の放射線管理とを行うこと。これは現行の公的なシステムに替えてではなく、それに追加してもよい。
・ 予防的な健康管理のために、経口用のペクチン性補助食品による定期服用コースの実施。
大惨事から22年を経ても、チェルノブイリ事故のひどい汚染を被った地域では、放射能に汚染された地元の農産物の摂取が避けられないために、国際的に許容されている個人の線量当量限度である年1ミリシーベルトを超えてしまうのが実情である。ようするに、放射性核種の蓄積レベルを下げる方法として最適なのは、汚染されていない食物だけを食べることだ。汚染されていない食物の入手が不可能な状況下では、吸収し、蓄積した放射性核種をできるだけたくさん取り除くために、放射線核種を吸着して体外へ排出させる補助食品を用いるべきである。
除去の効果について程度の差はあるが、放射性核種の吸着性を持つ食品がたくさんある。
アルギン酸-アルギン酸塩(ほとんどは褐海藻から取れる)を用いた様々な種類の食品類はストロンチウムの減少を促し、
また鉄やシアン化銅(たとえばフェロシニアドブルー)はセシウムの減少を促す。
活性炭やセルロース、種々のペクチン類も、蓄積された放射性核種の吸着に効果がある。
実践的な観点からいえば、
被曝の主因となる農産物、すなわち牛乳に含まれるセシウムの濃度を減少させる。
・ 子どもと妊娠中の女性には、汚染されていない食材と、体内から放射性核種および重金属が洗い出されるのを促す補助食品を与える。
・ 現状で手に入る食材や地元の生活様式を考慮しながら、地元産の食材の放射性核種による汚染レベルについて、また住民(特に子ども)の体内の放射線核種の濃度について人々に知らせる。
・ チェルノブイリ事故で汚染された地域に住む人々が、ある程度効果的に放射能から身を守るために、放射線核種の定期的な除去を生活のなかで習慣化させる。
栄養補助食品や、種々のビタミンを含むペクチン製剤、微量元素を摂取すると、蓄積した放射線核種の除染にきわめて有効なことが明らかになった。
・ 子どもと妊娠中の女性には、汚染されていない食材と、体内から放射性核種および重金属が洗い出されるのを促す補助食品を与える。
・ 現状で手に入る食材や地元の生活様式を考慮しながら、地元産の食材の放射性核種による汚染レベルについて、また住民(特に子ども)の体内の放射線核種の濃度について人々に知らせる。
・ チェルノブイリ事故で汚染された地域に住む人々が、ある程度効果的に放射能から身を守るために、放射線核種の定期的な除去を生活のなかで習慣化させる。
栄養補助食品や、種々のビタミンを含むペクチン製剤、微量元素を摂取すると、蓄積した放射線核種の除染にきわめて有効なことが明らかになった。
※ 当翻訳記事および訳注の著作権は『チェルノブイリ被害実態レポート翻訳プロジェクト』に帰属します。
全文の転載をご希望の場合は事務局(info [at] officemiki.com) までご連絡ください。
記事は予告なく改正・変更の可能性があります。
※ 本稿の翻訳には、田澤賢次教授(富山医科薬科大学 名誉教授)のご協力をいただきました。
この場を借りてお礼申し上げます。
<訳注>
1. 線量当量限度:医療被曝を除く、個人の被曝量の限度値。1977年、ICRPの勧告で定められた。一般人は年間1ミリシーベルト、職業人は50ミリシーベルト。
2. 介入基準値:ある地域や社会組織において、被曝に関係する一定のレベル(環境・体内・食物など)を超えた場合に、行政的な介入措置(指導・退去勧告・非汚染食物供給・除染作業開始・除染食品供給・そのほか)を開始する際の、基準となる数値
3. 危険限界:国際食品規格委員会、ICRPなどの国際機関や各国公的機関が、安全基準を超えたと判断した値や領域のこと。
4. ホールボディカウンター:身体表面や人体内の放射能汚染(内部被曝)を、体外から測定する装置。おもにガンマ線を測る。各原発や放射線医学総合研究所等、日本国内に100台以上設置されているが、ほとんど活用されていない。
5. アップルペクチン:りんごに含まれる食物繊維で、多糖類の一種。ジャムや化粧品、増粘剤など広く用いられる。セシウムの体外排出を促す働きがあると言われ、それはチェルノブイリで被ばくした子どもを対象とした調査でも実証されている。
6. フリーラジカル:反応性の高い化学物質で、DNAや脂質などの細胞分子や、細胞の他の部分を損傷することがある。酸化ストレスとも言われる。老化や糖尿病、発ガンの原因の一つとして注目を集める。
7. ペクチン性腸内吸着物質:ペクチンは食物繊維で、その性質には水溶性と不溶性がある。不溶性のペクチンには腸内の有害物質を吸着して排泄させる作用があることから、便秘や大腸ガンの予防効果、放射性物質の体外排出が期待される。
8. ホメリ州はベラルーシ語読み。ロシア語読みではゴメリ州
9. 偽薬(プラセボ)を用いた二重盲検法:一方の被験者には薬効のある治験薬を、もう一方の被験者グループにはプラセボ(偽薬)を投与して行う効果比較対照試験のこと。被験者も医師も、どの被験者にどちらが投与されているかは知らない。
10. 実効半減期:放射能核種の物理的な半減期と、放射能が排泄等によって体外に排出されて半減するまでの時間(生物学的半減期)の両方から導きだされる生物体内の放射能半減期のこと。
11. 子どもたちは在宅のまま、1日2回、給食時と自宅での食事の際に21日間ずつの投与を年に5回3年間受けた。
12. ベラルーシでは、セシウムを吸着して体外に排出する効果のあるペルシアンブルーを乳牛の飼料に混ぜている。
13. 放射性物質は水に溶けやすいので、クリームやバターに加工すると濃度を減らすことができる。牛乳をいったんクリームに加工し、それを汚染されていない水で牛乳の濃度にまで薄めた乳製品が牛乳の代わりに飲まれている。
<< 訂正 >>
※7月12日、下記の箇所を訂正しました。
[13.1]
・放射性核種を吸着する様々な栄養補助食品添加物を用いる。→ 放射性核種を吸着する様々な栄養補助食品を用いる。
[13.2]
2. ウクライナとベラルーシでは、体内に蓄積した放射性核種の排泄を促す物質薬剤として → 排泄を促す物質として
[13.3]
2.(略)この一覧は、ベラルーシ国内において、チェルノブイリ事故の影響を受けたすべての地域の住民から得た信頼に足るサンプリングを用いて作成されるべきである。→ サンプルを用いて作成されるべきである。
[ 訳注 ]
4. ホールボディカウンター:身体表面や人体内の放射能汚染(内部被曝)を、体外から測定する装置。主にガンマ線を測る。各原発や放射線医学総合研究所等、国内に100台以上設置されているが、ほとんど活用されていない。
→ おもにガンマ線を測る。各原発や放射線医学総合研究所等、日本国内に100台以上設置されているが、ほとんど活用されていない。
※7月13日、下記の箇所を訂正しました。
[ 訳注 ]
1. 一般人は年間1ミリシーベルト毎時、職業人は50ミリシーベルト毎時。 → 一般人は年間1ミリシーベルト、職業人は50ミリシーベルト。
※7月16日、下記の箇所を訂正しました。
[13.3]
1. (略)個人の年間被爆線量を → 個人の年間被曝線量を
2. (略)体内に蓄積された被爆線量 → 体内に蓄積された被曝線量
※7月26日、下記の箇所を訂正しました。
【要旨】第2段落
危険限界(訳注3)(すなわち体重1キロにつき15〜20ベクレル)の30% → 危険限界(訳注3)の30%(すなわち体重1キロにつき15〜20ベクレル)
※8月4日、下記の箇所を訂正しました。
[13.3]
(第4章13節参照) → (第4章12節参照)
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