児玉龍彦 教授 講演 福島原発事故に対する緊急提案
00:04:30
国会で説明した事に補足を加えての説明と、
国会の話から一歩進めて提案したいと思います
00:08:30
放射性物質が放出された時に私どもが一番心配するのは
内部被ばくという遺伝子を傷つける事です
昔の考え方と今日では
ヒトのゲノムが読まれてからは一変するような状態になっております
チェルノブイリの甲状腺がんにおいてチェルノブイリに特徴的なもの
ミュンヘンのグループはゲノムの全体の配列の中の変異をみることによって
チェルノブイリの約4割の子どもに染色体の7番が3つになっている
放射線などで遺伝子が切られると切られた後に一部重複して
遺伝子が2コピーになってしまう
もう一つが1コピーで、合計3コピーになる現象が知られています
チェルノブイリの子どもの甲状腺がんのサンプルを調べますと
非常に特徴的な7q11という領域がコピー数が3つになっていると言う事が見付けられました
一方、染色体2番では普通に2つしかない
昔はゲノムという染色体の事が良く分からなかったので
低線量の被ばくというのが確率論であったり、例えば低線量であれば
放射線がぶつかっても、それを修復する機構があるんだと色々言われていました。
しかし、今のゲノム科学でみますと、DNAの切断が起こると
一定の率でパリンドローム変異がおこり、それが原因となって遺伝子が活性化される
それに続いてレット遺伝子が活性化されて
さらにそれから10年とか20年経つと、
もう一つの遺伝子が変異を起こして癌化すると言うメカニズムが
かなり決定論的なメカニズムとして分かるようになってきました
00:12:00
放射線の内部被曝と云うのを理解するのに人間で経過が最も良くとられておりますのは、
アルファ線のトロトラスト(トロトラストは二酸化トリウムの25%コロイド溶液で、投与時に急性の副作用がないことから、
主に第二次世界大戦中に傷痍軍人に対して血管造影剤として使用された。しかし、トリウムは自然α線放射性物質であり、
投与されたトロトラストは所謂細網内皮系に沈着した。大半は肝臓に沈着し、長期微量のα線被ばくの結果、
肝悪性腫瘍を誘発することが知られている。)による肝障害で、これはドイツで1980年代から
使われていた造影剤で日本でも1930年代から使われてきた医薬品による薬害でありまして
第一段階でP53という遺伝子を保護する遺伝子がやられてしまう。
この場合は、実際に使ったのが何時か分かっておりますので
何年位でアルファ線の障害が起きるかというのがよくわかります
ドイツ人で20年後
日本人でも20年ということで
最初にトロトラストを使ってから、その放射線の障害で実際に癌化が起こるのには
20年の年月がかかると言う事です。
それで、よく
アルファ線の核種を飲んでも大丈夫と言われますが
これは殆ど、ネズミとか犬で行われている実験で
寿命が2~10年の動物で行われているのです 2~10年の実験ではこのように20年以降人間に起こる放射線障害というのが分からないのは
寿命の事でありまして、われわれが、内部被ばくを問題にする時には
人間での内部被ばくを問題にしなくてはいけません
もう一つ注意する事は、
このトロトラストは肝臓に集まって肝臓で障害を起こします
チェルノブイリの甲状腺がんは
ヨウ素が甲状腺に集まって癌を作っていきます
今までの低線量被ばくの議論の中で、一部に考え方の違いがありまして
疫学や統計学から見て厳密な証拠が必要だとの議論がありますが
誤解の無いよう申し上げたいのは、
疫学や統計学というのは、一つの経過が終わった後に
そこから見て原因をみると言う学問的作業であります
甲状腺がんの場合もこの問題が如実に表れまして
実は91年ごろに甲状腺がんが増えてきていると言う事を ウクライナ・ベラルーシの医師が報告したときに
ロシア、日本、アメリカ、の学者は
「疫学的に明らかでないからはっきりした事は言えない」
と、言ってました
それが実際コンセンサスとなったのは2005年
4000人と言われる甲状腺がん、15人の子どもの死亡例が出た後に
はじめて、疫学とか統計学でコンセンサスになるという事になった
それで、今我々が、福島原発の後で考えなくてはいけないのは
これから起こる障害や事態を予測する。
シュミレーションするという事を積極的に行って、
この事態に対処すると言う事が、非常に大事だと思っています
ヨウ素131は半減期が8日です
大体一か月で10分の1に減りますから、2カ月で100分の1、3か月で1000分の1になりますので
今日ではほとんど検出できません
先程予測の問題が非常に重要だと申し上げましたのは
3月15日にヨウ素が大量に放出されていた時に実際には我が国は
128億円かけてスピーディというスーパーコンピューターの予測システムがフルに稼働していました
私も、スーパーコンピューターを使う仕事をしておりますので
同業者の動向はよく知っておりまして
スピーディーが完全に地震とその後の混乱の中で
コンピューターとしては稼働していたという事をよく存じております
それにもかかわらず、今出ている様々な報告をみますと
「スピーディーの予測という入力されるデータが十分でなかったから発表されなかった」
という見解が出ていますが
これは非常に大きな間違いです。
00:16:03
全てのデータが揃った場合にはこれは予測ではなくて、我々は実測と呼びます。
今、コンピューターを使う必要性というのは、
少ないパラメーターで最適の予測をやるというところに非常に大きな能力があります
現にスピーディで行われていた予測は、
その後、飯館村などの放射線を含むプルムの移動を非常に正確に予測しております
実際に南相馬に支援で入って感じましたのは
南相馬の多くの方があの時点で海沿いの線量の低い所から飯館村の方に避難したと
当日にプルムの非常に多かった所に行ってしまった方がいらっしゃいます
こういう事を避けてこれからの放射線障害を予測するという事が
科学者に対して課せられたもっとも大きな使命であり
全ての関係の方々が様々な科学論争での見解を捨てて
これから起こる事態に、
どういうふうに子どもや妊婦を守っていけるかという事を
真剣に考える段階になっているのではないかと思って国会で発言させていただきました
00:17:40
これから最も大きな問題になると現在考えていられる事はセシウム137です
これは土壌その他の調査で現在最も多量に検出されている核種です
30年という長い寿命を持っていますから
これからかなり長期にわたって検討すべき問題です
日本の土壌では土の流出が約40年で半分起こるとされており、半減期が30年ですので
普通の田畑が半分になるのに17年かかり、今後一番の問題になります
チェルノブイリでは、大体、尿中に6ベクレル/リッタ―位セシウムが出る地域では
かなりの方が増殖性の膀胱炎になり
非常に多数の方に早期の膀胱がんが出来ると言う事が報告されています
この事実が非常に心配だと思いましたのは
厚生省の研究班が、5月18日から6月3日に行った検査で
福島市、二本松市、相馬市、の7名から
1.9~13.1ベクレル/リッターのセシウムが検出されたと言う事が報告されています
これらのレベルからみますと、セシウムによる健康障害を予防していくという事は
待ったなしの課題であります
特に、被災初期にヨウ素131をひょっとしたら吸引しているかもしれない子どもなどにおいては
特別の重点的の注意が必要ではないかと思っております
東大のアイソトープセンターでは事故の後1時間ごとに測定したり
東大の様々な水、土壌、農場の農産物等の測定を全力を挙げて行いましたが
約1ヶ月ぐらい経った頃から測定を全部自動化して
1時間の測定の物は本部でウエブ上で全て提示できるように体制が整いまして
5月から南相馬への支援を開始いたしました
00:20:51
20K圏の幼稚園や学校より、30K圏の方が線量が高い
毎朝バスで1700人の子ども達が、100万円のスクールバスで線量の高い方へいっている事態に遭遇しました
この事は非常に問題ではないかと、原子力対策委員会に相談しまして
原子力対策委員会も、
この20K圏30K圏の指定をどのように解除して子どもたちを守るかということを検討しています
しかしながら、この議論は実際には保障問題とリンクしている
国会などで、強制避難は優先的に支援するけどそれ以外は後回しという事になっていますが
これは、実際には
汚染を受けたのは住民であります
高い線量を受けたり避難をしていると言う事は
強制であろうとなかろうと、これは基本的に住民被害として保障されるべきものであり
補償問題と被ばく問題を切り離して、子ども達が多くの被ばくを受けないように
一刻も早く手を打って欲しいと痛切に感じております
00:23:55
一般的な線量計測というのはほとんど意味をなさないという事です
室内で下に向けて線量を測ると0.2μシーベルトであるのが
上に向けて測ると0.45μシーベルトと
線量計を上に向けたらバッと線量が増えてしまう
屋上に上がって測ってみますと、屋上は33μシーベルトというようなところが沢山出てきます
それは、セシウムが土などの粒子にくっついてが雨のたびに流れて濃縮されていきます
こういう事態から私どもが考えましたのは
一律の線量区切りだとか、一つの数値で代表的にやるようでは、今の事態に対処できない。
ですから、
細かく測定して住民と一緒に考えるということが必須なんではないかという事を痛感いたしました
この線量ならいいのではないか、この線量なら避難じゃないか
いろんな方がいろんな事を言っていますがこれは現地の実情にあっていません
00:26:18
ところが、福島原発の事故が起こってからの議論で
このような子どもと妊婦の議論が全く行われていません
00:27:00
私は・・・
日本の国土というのは、すべからく、
子どもと妊婦を最優先しなくてはならないという責務を
科学者も政治家も経済人も
マスコミの方もすべからく負っていると思います
今は、様々な意見の違いを超えて
日本国民が総力を挙げて、この、子どもと妊婦が
安心できる日本の国土を作り上げるために、力を挙げる時だと思っています
国会でお願いした事も、その事の一点に尽きます
それで、実際の除染に入ってみまして
二つの事にすぐ気付きました
滑り台の下とか子どもが触る部分の除染はすぐにできるが
なかなか0,5μシーベルト以下にならない
妊婦や子どもに安全な漁になかなかならない
これはガンマ線が100メートル位の距離でまわりからきますので
こうした子どもが口に入れてしまうような緊急な除染活動だけでは
本当に妊婦と子どもが住める日本の国土に復旧すると言う事は
不可能なのではないかということに思い至りました
そのために、緊急の除染だけでなくて
恒久的な除染が非常に大事だと思っています
一つだけ緊急の除染に関して申し上げますと
緊急な除染をお母さんや先生がやる時に、必ず内部被ばくに注意して下さい
マスク、手袋、長靴(側溝など)それから、作業中の飲食禁止
一番大事なのは、高い線量のところは、まず、線量計で測って
専門家が取り除いてから、お母さんや先生が除染に当たると言う事を必ず守って欲しい
00:29:53
長期の土壌汚染に関しては様々な問題があります
そして、住民が農耕し、生活し、働き、住み、家族と一緒に過ごしている土地ですから
ここの判断というのは基本的に住民の方が判断する必要があります
その時に考える事は
私の家はどうなっているか、
学校はどうなっているかという正確な汚染マップです
これは空からの汚染マップが必要だと感じています
家の周りを知りたいとメールもいただいています
空からのマップ作りは無人ヘリコプターで採れば細かいものが取れる
汚染されているすべての自治体に
すぐやる課を作ってもらって
依頼があったら測りに行って欲しい
どの程度までならどの程度の除染が出来るか調べていただきたい
00:33:27
平均値でここを汚染地域にするとか強制収容と言われている
これは絶対にやってはいけないことです
自治体ごとのきめ細やかな対策を作る
そのために信頼される委員会を作っていく
残念ながら今までの不祥事がある方にはこの委員会には入って欲しくない!!
00:36:35
わたくしここで一言訂正をさせていただきます
国会で違法行為をしていると言う事を申しましたら
専門家の方から
「違法行為を奨励する発言を東大教授としては行わないように」と
いわれました
ーーー画面暗転ーーーーー
00:37:25
現地でお母さんたちや先生が、扱うのにはふさわしくないような高い線量の物がありますと
教育委員会の方と相談して、このようなアイソトープ協会指定の密閉度の高いドラム缶に
二重のビニール袋に入れて東京に持ってきて分析するという事をやっています
それはなぜ必要かというと
実際にどんな核種があり、どのような物にくっついているかを知るという事も一つありますが
実際にその場で緊急避難としてお母さんや先生に渡してくる訳にはいかない
東大では
一応センター長であるわたくし。これは除染に熱心です
除染にかかわっていない研究者
事務の責任者
この3者で容器に詰め第1種取扱放射線主任が全行程に付き添って管理するという事で
住民の方に迷惑かけないという方法でやっている
00:40:14
日本の中にどういう技術があるかという一例を申し上げますと
島津製作所の北村さんというこの世界の第一人者
このような機械。要するに流れ作業で50ベクレル/kgの測定するような機械は
大体3カ月あれば作れるという事を聞いております
そうすると、もし6月にスタートすれば収穫期の9月までにできるかと思っていたのですが
実際には今、もう、8月です
それで、総理大臣には島津社長の所に行って、1か月でやってくれと頼んでいただきたい。
いろんな会社のいろんな意見があるでしょうが、現実にはそれだけ急を要しているという事です
今、マスコミなども何かの汚染物が出るたびに大騒ぎしてそれを追っかけていますが
現在様々なところで子どもの尿などからセシウムが出ているという事が報道されています
ということは、かなりの食品の中にセシウムが入り込んでいます
ですから、食品のチェックというのは待ったなしの問題になっていると思います
00:42:00
実際には問題になりますセシウムの処理につきましては
現在粘土鉱物との強固の結合が70%になっています
00:42:42
封じこみ構造での埋め込みが中心になっています
低レベルの放射性廃棄物を封じ込めるという考え方です
―説明―
日本の土木会社のノウハウを一刻も早く引き出して、この知見を生かしていってほしい
力を合わせれば必ず日本の国土を取り戻せると思っています
00:46:46-質疑応答―
国会で説明した事に補足を加えての説明と、
国会の話から一歩進めて提案したいと思います
00:08:30
放射性物質が放出された時に私どもが一番心配するのは
内部被ばくという遺伝子を傷つける事です
昔の考え方と今日では
ヒトのゲノムが読まれてからは一変するような状態になっております
チェルノブイリの甲状腺がんにおいてチェルノブイリに特徴的なもの
ミュンヘンのグループはゲノムの全体の配列の中の変異をみることによって
チェルノブイリの約4割の子どもに染色体の7番が3つになっている
放射線などで遺伝子が切られると切られた後に一部重複して
遺伝子が2コピーになってしまう
もう一つが1コピーで、合計3コピーになる現象が知られています
チェルノブイリの子どもの甲状腺がんのサンプルを調べますと
非常に特徴的な7q11という領域がコピー数が3つになっていると言う事が見付けられました
一方、染色体2番では普通に2つしかない
昔はゲノムという染色体の事が良く分からなかったので
低線量の被ばくというのが確率論であったり、例えば低線量であれば
放射線がぶつかっても、それを修復する機構があるんだと色々言われていました。
しかし、今のゲノム科学でみますと、DNAの切断が起こると
一定の率でパリンドローム変異がおこり、それが原因となって遺伝子が活性化される
それに続いてレット遺伝子が活性化されて
さらにそれから10年とか20年経つと、
もう一つの遺伝子が変異を起こして癌化すると言うメカニズムが
かなり決定論的なメカニズムとして分かるようになってきました
00:12:00
放射線の内部被曝と云うのを理解するのに人間で経過が最も良くとられておりますのは、
アルファ線のトロトラスト(トロトラストは二酸化トリウムの25%コロイド溶液で、投与時に急性の副作用がないことから、
主に第二次世界大戦中に傷痍軍人に対して血管造影剤として使用された。しかし、トリウムは自然α線放射性物質であり、
投与されたトロトラストは所謂細網内皮系に沈着した。大半は肝臓に沈着し、長期微量のα線被ばくの結果、
肝悪性腫瘍を誘発することが知られている。)による肝障害で、これはドイツで1980年代から
使われていた造影剤で日本でも1930年代から使われてきた医薬品による薬害でありまして
第一段階でP53という遺伝子を保護する遺伝子がやられてしまう。
この場合は、実際に使ったのが何時か分かっておりますので
何年位でアルファ線の障害が起きるかというのがよくわかります
ドイツ人で20年後
日本人でも20年ということで
最初にトロトラストを使ってから、その放射線の障害で実際に癌化が起こるのには
20年の年月がかかると言う事です。
それで、よく
アルファ線の核種を飲んでも大丈夫と言われますが
これは殆ど、ネズミとか犬で行われている実験で
寿命が2~10年の動物で行われているのです 2~10年の実験ではこのように20年以降人間に起こる放射線障害というのが分からないのは
寿命の事でありまして、われわれが、内部被ばくを問題にする時には
人間での内部被ばくを問題にしなくてはいけません
もう一つ注意する事は、
このトロトラストは肝臓に集まって肝臓で障害を起こします
チェルノブイリの甲状腺がんは
ヨウ素が甲状腺に集まって癌を作っていきます
今までの低線量被ばくの議論の中で、一部に考え方の違いがありまして
疫学や統計学から見て厳密な証拠が必要だとの議論がありますが
誤解の無いよう申し上げたいのは、
疫学や統計学というのは、一つの経過が終わった後に
そこから見て原因をみると言う学問的作業であります
甲状腺がんの場合もこの問題が如実に表れまして
実は91年ごろに甲状腺がんが増えてきていると言う事を ウクライナ・ベラルーシの医師が報告したときに
ロシア、日本、アメリカ、の学者は
「疫学的に明らかでないからはっきりした事は言えない」
と、言ってました
それが実際コンセンサスとなったのは2005年
4000人と言われる甲状腺がん、15人の子どもの死亡例が出た後に
はじめて、疫学とか統計学でコンセンサスになるという事になった
それで、今我々が、福島原発の後で考えなくてはいけないのは
これから起こる障害や事態を予測する。
シュミレーションするという事を積極的に行って、
この事態に対処すると言う事が、非常に大事だと思っています
ヨウ素131は半減期が8日です
大体一か月で10分の1に減りますから、2カ月で100分の1、3か月で1000分の1になりますので
今日ではほとんど検出できません
先程予測の問題が非常に重要だと申し上げましたのは
3月15日にヨウ素が大量に放出されていた時に実際には我が国は
128億円かけてスピーディというスーパーコンピューターの予測システムがフルに稼働していました
私も、スーパーコンピューターを使う仕事をしておりますので
同業者の動向はよく知っておりまして
スピーディーが完全に地震とその後の混乱の中で
コンピューターとしては稼働していたという事をよく存じております
それにもかかわらず、今出ている様々な報告をみますと
「スピーディーの予測という入力されるデータが十分でなかったから発表されなかった」
という見解が出ていますが
これは非常に大きな間違いです。
00:16:03
全てのデータが揃った場合にはこれは予測ではなくて、我々は実測と呼びます。
今、コンピューターを使う必要性というのは、
少ないパラメーターで最適の予測をやるというところに非常に大きな能力があります
現にスピーディで行われていた予測は、
その後、飯館村などの放射線を含むプルムの移動を非常に正確に予測しております
実際に南相馬に支援で入って感じましたのは
南相馬の多くの方があの時点で海沿いの線量の低い所から飯館村の方に避難したと
当日にプルムの非常に多かった所に行ってしまった方がいらっしゃいます
こういう事を避けてこれからの放射線障害を予測するという事が
科学者に対して課せられたもっとも大きな使命であり
全ての関係の方々が様々な科学論争での見解を捨てて
これから起こる事態に、
どういうふうに子どもや妊婦を守っていけるかという事を
真剣に考える段階になっているのではないかと思って国会で発言させていただきました
00:17:40
これから最も大きな問題になると現在考えていられる事はセシウム137です
これは土壌その他の調査で現在最も多量に検出されている核種です
30年という長い寿命を持っていますから
これからかなり長期にわたって検討すべき問題です
日本の土壌では土の流出が約40年で半分起こるとされており、半減期が30年ですので
普通の田畑が半分になるのに17年かかり、今後一番の問題になります
チェルノブイリでは、大体、尿中に6ベクレル/リッタ―位セシウムが出る地域では
かなりの方が増殖性の膀胱炎になり
非常に多数の方に早期の膀胱がんが出来ると言う事が報告されています
この事実が非常に心配だと思いましたのは
厚生省の研究班が、5月18日から6月3日に行った検査で
福島市、二本松市、相馬市、の7名から
1.9~13.1ベクレル/リッターのセシウムが検出されたと言う事が報告されています
これらのレベルからみますと、セシウムによる健康障害を予防していくという事は
待ったなしの課題であります
特に、被災初期にヨウ素131をひょっとしたら吸引しているかもしれない子どもなどにおいては
特別の重点的の注意が必要ではないかと思っております
東大のアイソトープセンターでは事故の後1時間ごとに測定したり
東大の様々な水、土壌、農場の農産物等の測定を全力を挙げて行いましたが
約1ヶ月ぐらい経った頃から測定を全部自動化して
1時間の測定の物は本部でウエブ上で全て提示できるように体制が整いまして
5月から南相馬への支援を開始いたしました
00:20:51
20K圏の幼稚園や学校より、30K圏の方が線量が高い
毎朝バスで1700人の子ども達が、100万円のスクールバスで線量の高い方へいっている事態に遭遇しました
この事は非常に問題ではないかと、原子力対策委員会に相談しまして
原子力対策委員会も、
この20K圏30K圏の指定をどのように解除して子どもたちを守るかということを検討しています
しかしながら、この議論は実際には保障問題とリンクしている
国会などで、強制避難は優先的に支援するけどそれ以外は後回しという事になっていますが
これは、実際には
汚染を受けたのは住民であります
高い線量を受けたり避難をしていると言う事は
強制であろうとなかろうと、これは基本的に住民被害として保障されるべきものであり
補償問題と被ばく問題を切り離して、子ども達が多くの被ばくを受けないように
一刻も早く手を打って欲しいと痛切に感じております
00:23:55
一般的な線量計測というのはほとんど意味をなさないという事です
室内で下に向けて線量を測ると0.2μシーベルトであるのが
上に向けて測ると0.45μシーベルトと
線量計を上に向けたらバッと線量が増えてしまう
屋上に上がって測ってみますと、屋上は33μシーベルトというようなところが沢山出てきます
それは、セシウムが土などの粒子にくっついてが雨のたびに流れて濃縮されていきます
こういう事態から私どもが考えましたのは
一律の線量区切りだとか、一つの数値で代表的にやるようでは、今の事態に対処できない。
ですから、
細かく測定して住民と一緒に考えるということが必須なんではないかという事を痛感いたしました
この線量ならいいのではないか、この線量なら避難じゃないか
いろんな方がいろんな事を言っていますがこれは現地の実情にあっていません
00:26:18
ところが、福島原発の事故が起こってからの議論で
このような子どもと妊婦の議論が全く行われていません
00:27:00
私は・・・
日本の国土というのは、すべからく、
子どもと妊婦を最優先しなくてはならないという責務を
科学者も政治家も経済人も
マスコミの方もすべからく負っていると思います
今は、様々な意見の違いを超えて
日本国民が総力を挙げて、この、子どもと妊婦が
安心できる日本の国土を作り上げるために、力を挙げる時だと思っています
国会でお願いした事も、その事の一点に尽きます
それで、実際の除染に入ってみまして
二つの事にすぐ気付きました
滑り台の下とか子どもが触る部分の除染はすぐにできるが
なかなか0,5μシーベルト以下にならない
妊婦や子どもに安全な漁になかなかならない
これはガンマ線が100メートル位の距離でまわりからきますので
こうした子どもが口に入れてしまうような緊急な除染活動だけでは
本当に妊婦と子どもが住める日本の国土に復旧すると言う事は
不可能なのではないかということに思い至りました
そのために、緊急の除染だけでなくて
恒久的な除染が非常に大事だと思っています
一つだけ緊急の除染に関して申し上げますと
緊急な除染をお母さんや先生がやる時に、必ず内部被ばくに注意して下さい
マスク、手袋、長靴(側溝など)それから、作業中の飲食禁止
一番大事なのは、高い線量のところは、まず、線量計で測って
専門家が取り除いてから、お母さんや先生が除染に当たると言う事を必ず守って欲しい
00:29:53
長期の土壌汚染に関しては様々な問題があります
そして、住民が農耕し、生活し、働き、住み、家族と一緒に過ごしている土地ですから
ここの判断というのは基本的に住民の方が判断する必要があります
その時に考える事は
私の家はどうなっているか、
学校はどうなっているかという正確な汚染マップです
これは空からの汚染マップが必要だと感じています
家の周りを知りたいとメールもいただいています
空からのマップ作りは無人ヘリコプターで採れば細かいものが取れる
汚染されているすべての自治体に
すぐやる課を作ってもらって
依頼があったら測りに行って欲しい
どの程度までならどの程度の除染が出来るか調べていただきたい
00:33:27
平均値でここを汚染地域にするとか強制収容と言われている
これは絶対にやってはいけないことです
自治体ごとのきめ細やかな対策を作る
そのために信頼される委員会を作っていく
残念ながら今までの不祥事がある方にはこの委員会には入って欲しくない!!
00:36:35
わたくしここで一言訂正をさせていただきます
国会で違法行為をしていると言う事を申しましたら
専門家の方から
「違法行為を奨励する発言を東大教授としては行わないように」と
いわれました
ーーー画面暗転ーーーーー
00:37:25
現地でお母さんたちや先生が、扱うのにはふさわしくないような高い線量の物がありますと
教育委員会の方と相談して、このようなアイソトープ協会指定の密閉度の高いドラム缶に
二重のビニール袋に入れて東京に持ってきて分析するという事をやっています
それはなぜ必要かというと
実際にどんな核種があり、どのような物にくっついているかを知るという事も一つありますが
実際にその場で緊急避難としてお母さんや先生に渡してくる訳にはいかない
東大では
一応センター長であるわたくし。これは除染に熱心です
除染にかかわっていない研究者
事務の責任者
この3者で容器に詰め第1種取扱放射線主任が全行程に付き添って管理するという事で
住民の方に迷惑かけないという方法でやっている
00:40:14
日本の中にどういう技術があるかという一例を申し上げますと
島津製作所の北村さんというこの世界の第一人者
このような機械。要するに流れ作業で50ベクレル/kgの測定するような機械は
大体3カ月あれば作れるという事を聞いております
そうすると、もし6月にスタートすれば収穫期の9月までにできるかと思っていたのですが
実際には今、もう、8月です
それで、総理大臣には島津社長の所に行って、1か月でやってくれと頼んでいただきたい。
いろんな会社のいろんな意見があるでしょうが、現実にはそれだけ急を要しているという事です
今、マスコミなども何かの汚染物が出るたびに大騒ぎしてそれを追っかけていますが
現在様々なところで子どもの尿などからセシウムが出ているという事が報道されています
ということは、かなりの食品の中にセシウムが入り込んでいます
ですから、食品のチェックというのは待ったなしの問題になっていると思います
00:42:00
実際には問題になりますセシウムの処理につきましては
現在粘土鉱物との強固の結合が70%になっています
00:42:42
封じこみ構造での埋め込みが中心になっています
低レベルの放射性廃棄物を封じ込めるという考え方です
―説明―
日本の土木会社のノウハウを一刻も早く引き出して、この知見を生かしていってほしい
力を合わせれば必ず日本の国土を取り戻せると思っています
00:46:46-質疑応答―
児玉龍彦国会発表概要
わたくしは東京大学アイソトープ総合センター長の児玉ですが、3月15日に大変に驚愕いたしました。
私ども東京大学には27箇所のアイソトープセンターがあり放射線の防護とその除染などの責任を負っております。それでわたくし自身は内科の医者でして、東大病院の放射線施設の除染などにずっと数十年関わっております。
我々最初にまず午前9時頃、東海村で5マイクロシーベルトという線量を経験しまして、それを第10条通報という文科省に直ちに通報いたしました。その後、東京で0.5マイクロシーベルトを超えるその線量が検出されました。これは一過性に下がりまして。
次に3月21日に雨が降り、0.2マイクロシーベルト等の線量が降下し、これがこんにちにいたるまで高い線量の原因になっていると思っています。
それでこの時に枝野官房長官は「さしあたり健康に問題はない」ということをおっしゃいましたが、わたくしはその時に実際にこれは大変なことになると思いました。
なぜかというと、現行の放射線の障害防止法というのは、高い線量の放射性物質が少しあるものを処理することを前提にしています。このときは総量はあまり問題ではなくて、個々の濃度が問題になります。
ところが今回の福島原発の事故というのは、100キロ圏で5マイクロシーベルト、200キロメートル圏で0.5マイクロシーベルト、さらにそれを越えて、足柄から静岡のお茶にまで汚染が及んでいることは、今日、すべてのみなさんがご存じの通りであります。
われわれが放射線障害をみるときには、総量を見ます。それでは東京電力と政府はいったい今回の福島原発事故の総量がどれぐらいであるか、はっきりとした報告はまったくされておりません。
そこで私どもはアイソトープセンターの知識をもとに計算してみますと、まず熱量からの計算では広島原爆の29.6個分に相当するものが漏出しております。ウラン換算では20個分のものが漏出していると換算されます。さらにおそるべきことにはこれまでの知見で、原爆による放射能の残存量と、原発から放出されたものの放射線の残存量は1年に至って、原爆が10分の1になるのに対して、あ、すいません、原爆が1000分の1程度に低下するのに対して、原発からの放射線汚染物は10分の1程度にしかならない。
つまり今回の福島原発の問題はチェルノブイリ事故と同様、原爆数十個分に相当する量と、原爆汚染よりもずっと大量の残存物を放出したということが、まず考える前提になります。
そうしますと、われわれはシステム生物学というシステム論的にものをみるやり方でやっているのですが、総量が少ない場合には、ある人にかかる濃度だけを見ればいいです。しかしながら総量が非常に膨大にありますと、これは粒子です。
粒子の拡散というのは、非線形という科学になりまして、われわれの流体力学の計算ではもっとも難しいことになりますが、核燃料というのは、ようするに砂粒のようなものが、合成樹脂のようなものの中に埋め込まれております。
これがメルトダウンして放出されるとなると、細かい粒子がたくさん放出されるようになります。そうしたものが出てまいりますと、どういうことがおこるかというのが、今回の稲藁の問題です。
例えば岩手の藤原町では、稲藁5万7千ベクレルプロキログラム、宮城県の大崎1万7千ベクレルプロキログラム、南相馬市10万6千プロキログラム、白河市9万71千プロキログラム、岩手6万4千プロキログラムということで、この数値はけして同心円上にはいかない。どこでどういうふうに落ちているかは、その時の天候、また例えばその物質が水を吸い上げたかどうか。
それで今回の場合も、私は南相馬へ毎週末700キロメーター行って、東大のアイソトープセンターは現在までに7回の除染をやっておりますが、南相馬に最初にいったときには1台のNaIカウンターしかありません。農林省が通達を出したという3月19日には、食料も水もガソリンもつきようとして、南相馬市長が痛切な訴えをウェブに流したのは広く知られているところであります。
そのような中で通達1枚を出しても誰も見ることができないし、誰も知ることができません。稲藁がそのような危険な状態にあるということは、まったく農家は認識されていない。農家は飼料を外国から買って、何十万という負担を負って、さらに牛にやる水は実際に自分たちが飲む地下水にその日から代えています。
そうするとわれわれが見るのは、何をやらなければいけないのかというと、まず汚染地で徹底的な測量ができるようにすることを保障しなければいけません。われわれが5月下旬に行ったときに先ほど申し上げたように、1台しか南相馬になかったというけれど、実際には米軍から20台の個人線量計が来ていました。しかしその英文の解説書を市役所の教育委員会で分からなくて、われわれが行って、教えてあげて実際に使いだしてはじめて20個での測定というのができるようになった。それが現地の状況です。
それから先程から食品検査と言われていますが、ゲルマニウムカウンターというのでなしに、今日ではもっとイメージングベースの測定器が、はるかにたくさん半導体で開発されています。なぜ政府はそれを全面的に応用してやろうとして、全国に作るためにお金を使わないのか。3カ月経ってそのようなことが全く行われていないことに私は満身の怒りを表明します。
第二番目です。私の専門は、いわゆる小渕総理のときから内閣の抗体医薬品の責任者でして今日では最先端研究支援ということで、30億円をかけて、抗体医薬品にアイソトープをつけて癌の治療にやる、すなわち人間の身体の中にアイソトープを打ち込むのが私の仕事ですから、内部被曝問題に関して、一番必死に研究しております。
そこで内部被曝がどのように起きるかということを説明させていただきます。内部被曝というのの一番大きな問題は癌です。癌がなぜ起こるかというと、DNAの切断を行います。ただしご存知のように、DNAというのは二重らせんですから、二重のときは非常に安定的です。
これが細胞分裂するときは、二重らせんが1本になって2倍になり、4本になります。この過程のところがもの凄く危険です。そのために妊婦の胎児、それから幼い子ども、成長期の増殖の盛んな細胞に対しては、放射線障害は非常な危険性を持ちます。
さらに大人においても、増殖の盛んな細胞、例えば放射性物質を与えると、髪の毛、貧血、それから腸管上皮に影響しますが、これらはいずれも増殖の盛んな細胞でして、そういうところが放射線障害のイロハになります。
それで私どもが内部に与えた場合のことで具体的に起こるので知っている事例を挙げます。これは実際にはですね、一つの遺伝子の変異では癌はおこりません。最初の放射線のヒットが起こったあとにもう一個の別の要因で、癌への変異が起こるということ、これはドライバーミューテーションとか、パッセンジャーミューテーションとか、細かいことになりますが、それは参考の文献をつけてありますので、後で、チェルノブイリの場合や、セシウムの場合を挙げていますので、それを見ていただきますが、まず一番有名なのはα線です。
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α線は最も危険な物質であります。それはトロトラスト肝障害というかっこうで、私ども肝臓医は、すごくよく知っております。
要するに
内部被曝というのは、
さきほどから一般的に何ミリシーベルトという形で言われていますが、
そういうものは全く意味がありません。
I―131は甲状腺に集まります。
トロトラストは肝臓に集まります。
セシウムは尿管上皮、膀胱に集まります。
これらの体内の集積点をみなければ全身をいくらホールボディスキャンやっても、
まったく意味がありません。
トロトラストの場合、このちょっと小さい数字なんで大きい方後で見て欲しいんですが。これは実際にトロトラストというのは造影剤でして、1890年からドイツで用いられ、1930年頃から日本でも用いられましたが、その後、20から30年経つと肝臓がんが25%から30%に起こるということが分かってまいりました。最初のが出て来るまで20年というのが何故かと言うと、最初にトロトラストはα線核種なのですが、α線は近隣の細胞を障害します。そのときに一番やられるのは、P53という遺伝子です。
われわれは今、ゲノム科学ということで人の遺伝子、全部、配列を知っていますが、一人の人間と別の人間はだいたい三百万箇所違います。ですから人間を同じとしてやるような処理は今日ではまったく意味がありません。いわゆるパーソナライズドメディスンと言われるやり方で、放射線の内部障害を見るときにも、どの遺伝子がやられて、どのような変化が起こっているかということをみることが、原則的な考え方として大事です。
トロトラストの場合は、第一の段階でP53遺伝子がやられて、それに続く第二、第三の変異が起こるのが20年から30年かかり、そこで肝臓癌や白血病が起こってくるということが証明されております。
次にヨウ素131。これはヨウ素はご存知のように甲状腺に集まりますが、甲状腺への集積は成長期の甲状腺形成期がもっとも特徴的であり、小児に起こります。しかしながら1991年に最初、ウクライナの学者が甲状腺癌が多発しているというときに、日本やアメリカの研究者は、ネイチャーに、これは因果関係が分からないということを投稿しております。なぜそういったかというと1986年以前のデータがないから統計学的に有意だということが言えないということです。
しかし統計学的に有意だということが分かったのは、さきほども長瀧先生からお話しがありましたが、20年後です。20年後に何が分かったかというと、86年から起こったピークが消えたために、過去のデータがなくても因果関係があるということがエビデンスになった。いわゆるですから疫学的な証明というのは非常に難しくて、全部の事例が終わるまでだいたい証明できないです。
ですから今、われわれに求められている子どもを守るという観点からはまったく違った方法が求められます。そこで今、行われているのは国立のバイオアッセ―研究センターという化学物質の効果を見る、福島昭治先生という方がずうっとチェルノブイリの尿路系に集まるものを検討されていまして、福島先生が、ウクライナの医師と相談…集めて、500例以上の、前立腺肥大のときに手術をしますと膀胱もとれてきます、これを見まして検索したところ、高濃度の汚染地区、尿中に6ベクレルパーリッターと微量ですが、その地域ではP53の変異が非常に増えていて、しかもその、増殖性の前癌状態、われわれからみますと、P38というMAPキナーゼと、それからNFカッパーBというシグナルが活性化されているのですが、それによる増殖性の膀胱炎というのが必発でありまして、かなりの率で上皮内の癌ができているということが、報告されております。
それでこの量に愕然といたしましたのは、福島の母親の母乳から2から13ベクレル、7名で検出されているということがすでに報告されていることであります。次のページお願いします。
われわれアイソトープ総合センターでは、現在まで毎週700キロメーターだいたい1回4人ずつの所員を派遣しまして、南相馬市の除染に協力しております。
南相馬でも起こっていることはまったくそうでして、20キロ、30キロという分け方がぜんぜん意味が無くて、その幼稚園ごとに細かく測っていかないと全然ダメです。それで現在、20キロから30キロ圏にバスをたてて、1700人の子どもが行っていますが、実際には南相馬で中心地区は海側で、学校の7割は比較的線量は低いです。
それからもう一つは現地でやっていて思いますが、緊急避難的除染と恒久的除染をはっきりわけて考えていただきたい。緊急避難的除染をわれわれもかなりやっております。例えばここの図表にでています滑り台の下、滑り台の下はここは小さい子どもが手をつくところですが、滑り台から雨水が落ちて来ると毎回濃縮します。右側と左側にずれがあって、片側に集まっていますと、平均線量1マイクロのところですと、10マイクロの線量が出てきます。それで、こういうところの除染は緊急にどんどんやらなくてはなりません。
それからこういう様々なコケが生えているような雨どいの下、これも実際に子どもが手をついたりしているところなのですが、そういうところは、例えばですね、高圧洗浄機を持って行ってコケをはらうと2マイクロシーベルトが0.5マイクロシーベルトにまでなります。
だけれども、0.5マイクロシーベルト以下にするのは非常に難しいです。それは建物すべて、樹木すべて、地域すべてが汚染されていますと、一か所だけを洗っても全体をやることは非常に難しいです。
ですから除染を本当にやるというときに、一体どれぐらいの問題がかかり、どれぐらいのコストがかかるかということをイタイイタイ病の一例であげますと、カドミウム汚染地域、だいたい3000ヘクタールなのですが、そのうち1500ヘクタールまで現在、除染の国費が8000億円投入されています。もしこの1000倍ということになれば一体どれだけの国費の投入が必要になるのか。
ですから私は4つのことを緊急に提案したいと思います。
第一番目に国策として、食品、土壌、水を、日本がもっている最新鋭のイメージングなどを用いた機器を使って、もう半導体のイメージング化は簡単です。イメージング化して流れ作業にしてシャットしていって、やるということでの最新鋭の機器を投入して、抜本的に改善してください。これは今の日本の科学技術力でまったく可能です。
二番目。緊急に子どもの被曝を減少させるために、新しい法律を制定してください。私のやっている、現在やっていることはすべて法律違反です。現在の障害防止法では、核施設で扱える放射線量、核種などは決められています。東大の27のそのいろいろなセンターを動員して南相馬の支援を行っていますが、多くの施設はセシウム使用権限など得ておりません。
車で運搬するのも違反です。しかしお母さんや先生に高線量のものを渡してくるわけにはいきませんから、今の東大の除染では、すべてのものをドラム缶に詰めて東京にもって帰ってきています。受け入れも法律違反、すべて法律違反です。このような状態を放置しているのは国会の責任であります。
全国には、例えば国立大学のアイソトープセンターというのは、ゲルマニウムをはじめ最新鋭の機種を持っているところはたくさんあります。そういうところが手足を縛られたままで、どうやって、国民の総力をあげて子どもを守れるでしょうか。これは国会の完全なる怠慢であります。
第三番目、国策として土壌汚染を除染する技術を、民間の力を結集して下さい。これは例えば東レとかクリタだとかさまざまな化学メーカー。千代田テクノルとかアトックスというような放射線除去メーカー、それから竹中工務店などさまざまなところは、放射線の除染に対してさまざまなノウハウを持っています。こういうものを結集して、ただちに現地に除染研究センターを作って、実際に何十兆円という国費をかかるのを、今のままだと利権がらみの公共事業になりかねない危惧を私はすごくもっております。
国の財政事情を考えたら、そんな余裕は一瞬もありません。どうやって本除染を本当にやるか。七万人の人が自宅を離れて彷徨っているときに国会は一体何をやっているのですか。以上です。
議員:
どうもありがとうございます。あのー、そうしますと大概はあのー、放射線によるがいげん(■当て字分からず)のほうはあるだろうというふうに、皆さんの意見をそう思いましたけれども。そうしますとですね、線量の問題が先ほど来出ておりました。あとは内部被曝って話が出ておりましたけれども。まずは線量のところでお聞きしたいのですが。あのー、まあ明石先生、それから唐木先生等は大丈夫だと、安心できますよという話だったんですけど。児玉先生のほうから、まあああいうお話があったんですけども。まあからき先生と明石先生の話はデータに基づいて、あの、出ていまして、まあ……、埋もれてある程度低いところでは埋もれてわからないところが出るんでしょうけれども、まあそれ以降については有意な差があって出ているということがありましたけれども。それに対するなにかご意見みたいの、なにか児玉先生お持ちだったらお聞きしたいんですけど。
児玉参考人。
児玉龍彦:
えっと。放射線がですね、人間の遺伝子を障害します。その時に人間には25000の遺伝子がありますが、一定の数のDNA修復に関する遺伝子、DNAの保護に関わる遺伝子ってのがあります。それで普通はこれがやられないとですね、低線量のものは大体問題なく修復されるということがわかってます。
だけれども、さきほど例えばアルファー線でやられているP53だとか、それから我々最近癌ゲノムシークエンスというので肝臓がんや様々なものを遺伝子配列全体を決定していわゆるドライバーミューテーションていう最初に癌を作っていく方向に起こってしまう変異が、なんで起こるかというのを研究しておりますと。例えばP53のような最初のDNAを守ってたり、そういうところに関わる遺伝子を壊すと癌になるということがわかってます。
そうしますと、実際に25000の遺伝子の中でどこがやられるかということは極めて確率論的になってきます。ですから一般にわかるのは統計学的に非常にたくさんの人を集めて、例えば後でチェルノブイリの時の甲状腺のように、最初はですね、多分長瀧先生のほうがご存知だと思いますが、笹川財団で(長瀧氏を伺う)、えっと調べたときに50000人くらいまで(長瀧氏を伺う)調べたときに、有意な差がないと言われたんです。
ところがですね、それが今になってはコンセンサスとして6000人の甲状腺癌の15人の死亡例が生まれているっていうふうに変わってきています。
わたくしもともとこういう問題に興味をもちましたのは自分はコレステロールのほうが専門でして、コレステロールの薬を作るときにも沢山の論争がありました。それでわたくしは医学者として今一番感じておりますのは、このどこの線量が安全かという議論と国の政治的な関わり方を分けていただいて。国はようするにコレステロール論争の時に一番大事だったのは、コレステロールを下げる薬をやって心筋梗塞が減るかどうかという問題でした。
それで、今日の厚生委員会でも考えていただきたいのは、学問論争に対して厚生委員会で結論を出したり考える必要はわたくしはないと思っています。国民の健康を守るためにどういうことができるかというときに、まずセシウム137っていうのは自然界には1945年以前に存在していないものです。原発と原爆で生まれて、それが1960年代のはじめに水爆実験によってピークになったものであります。その時に猿橋勝子さんという女性研究者が、海水のセシウム濃度が100倍になっているということを微量線量計で確認してこれでアメリカへ行って、その公開実験というのをフォルサム博士とやって、これが大気圏内の核実験禁止の大きな学問的根拠になりました。その後セシウムはずっと減ってきていたのがまたそれを遥かに倍する量に今、上がろうとしてる時であります。
そうしますと、線量議論の問題を言うよりも、元来自然界にないセシウム137というのが膨大にまかれてガンマーカウンターで簡単にわかるような量に散らばっている。しかもそれが広島原爆の20倍の量、撒かれている事態に対して国土を守る立場から是非積極的な対応をお願いしたいというのが基本的なお願いです。
議長:
山口君。
山口:
どうもありがとうございました。結論付けるつもりはないですし、まああの県民、国民はどうしてたかというと、一番不安な安全、危険なところを聞いて動いているというのが今の実態じゃないでしょうか。だからえーまあ、安全だと思ってらっしゃる方もいらっしゃいますし中にはまあ線量が少ないところであっても子どもを連れて県外に避難されてる方もたくさんいらっしゃると思います。やはり不安でしょうがないと、ですけれども。まああの、避難区域の住民が戻れる条件、今避難区域になってますけれども、先生方でまあこういう条件にしたら避難区域に戻れるだろう、まあ今でも充分に戻れるっていう場合もあるでしょうし。先生方によって違うでしょうが避難区域に戻れる条件を少し教えていただきたい。ちょっと次官がなくてですね、まあ聞きたいことたくさんあるんで、まあ簡潔にちょっといただければと思いますけれども。えーどなたでも結構です。
議長:
えーそれでは児玉参考人。
児玉:
わたくしが一番申し上げたいのはですね、住民が戻る気になるのは行政なりなんなりが一生懸命測定して、除染している地域です。ですから測定も除染もなければ、安全だと不安だと言われても信頼できるとこがありません。
ですからこの数値が安全この数値がどうということではなしに、行政の仕組みが一生懸命測定をしてその測定に最新鋭の機械を投じて、除染に最新鋭の技術をもってそのために全力でやってる自治体が、一番戻るのに安心だと思います。
吉田:
はい、どうもありがとうございました。もしですね、牛の基準であったり、お米、これから作物作っていかなきゃばいけないし、果物の基準とかもありますけれども。今まあ厚生労働省で、えーっと、あのー、基準を作ってえー、まあこれくらい食べても5ミリシーベルト超えなければ大丈夫ですよという先ほどのおはなしがあったかも知れませんけれども。まあえー、ひとつその、まあ、さく、農家でですね、コメを作るとかですね果物を作るとか、なんかそういったところのつくる段階での基準なんてございますでしょうか。どなたかよろしいでしょうか
児玉龍彦:
えーと入口の方で基準を決めるというのは非常に厳しいと思っています。生物学的濃縮というのは様々な元素が体に入るとトランスファーターとか結合蛋白というので極めて特殊な集積の仕方をしますので。
ですからやっぱり出てきた農産物をきちんと見ると、いう仕組みを徹底的につくっていかなくてはならないと思います。
そうするとですね、やっぱりラインのような格好でどんどんイメージとしてその、農産物が、量がチェックできるような仕組みっていうのは実際にあるんですが、まだほとんどこういうのの測定に使われていませんので、そういうものを全国の産地に緊急に整備していかないと。今回の稲わらのように想定外の場所での濃縮事件ていうのは自然界では山ほど起こります。ですからやっぱり出口の食物の出て行くところでのチェックというのを緊急にものすごく良くするというのが大事になると思います。
議員:
あのー、現地でもですね、各小学校単位毎にそれぞれの専門家の先生方をおまねきして放射線の勉強会、本当に参加の数は何百人、小学校単位ですから何百人というかたがくるんですけども何回やっても同じなんですね。ですからこれは本当にどうすれば不安を取り除くことができるのかな。例えば私はですね科学的ないくら説明してもまあ理解しても、自分の頭で理解しても体がついていかないというこういう状況下に置かれていますので。もうそのかたは避難できる方は非難してください、そしてそれに対して支援していく。避難できないかたはきちんと家庭での防護柵といいますか、それを我々政治の方をやるべきだなって、私自身は思ってるんですけど。そのへんはいかがでしょうか。あの熱い児玉先生。
児玉龍彦:
えーと。要するにあのー、信頼感って言うのは言葉で説明を聞いて生まれるんではないと思います。わたくしも毎週南相馬に行っていますが。南相馬の例えば、かたたちが本当に汚染している学校やなんかを案内してくれるのは1回目じゃ、やっぱりないんですよね。そのだから支援に来てる人がただ1回だけ来て帰っていってしまうみたいなの……かえってすごく問題を、ひどくするだけで。
やっぱり本当に持続的にやっていこうとすると、一緒に計って一緒に考えて除染していく。避難されたい方は避難を応援する。そういうのがすごく大事ではないかと思っています。それで南相馬に行ってわたしどもが最初に言われたのは、やっぱりそのさっき言った線量の低いところから高いところへスクールバスで子どもが1000人この移動させられているということで。
それで実際に地域を見ても1つの学校を見ても、さっきから何ミリシーベルトだったら安全ですかっていう議論は、わたくし現実味がないと思うのは、例えば2マイクロシーベルトの学校を計っていても1箇所にいけば33マイクロシーベルトなんです。ですからその時に何ミリシーベルトをその土地とするかっていう問題が出てきてしまいますから。
やっぱり高いところがあったら必ず刈り取っていきますよと、計って一緒にやっていきますよと、不安があったら相談に乗りますよと、農産物があったら最新鋭の科学機器集めて最高の検査メーカーが来てやりますよと、いうような体制がない限り安心出来ないというのは当たり前、ではないかと。
ですから今求められているのは最高の施策が福島県民に与えられるように国会で是非考えていただきたいということであります。
議員:
ありがとうございました。最後に児玉参考人に伺いたいと思いますけれども、正しく今日内部被曝の問題が随分話題になりました。また遠距離被曝っていうことも、今??先生がだいぶ指摘をされましたので、あの、そういう観点でずっと、除染作業もやってらっしゃる先生から一言伺いたいと思います。
議長:
児玉参考人。
児玉龍彦:
はい。わたくし放射線に取り扱いに、千九…取扱者に1977年になりまして。1995年から放射線取扱主任として除染と規制に関わっております。それで今まで、まあ、あの科学技術庁告示平成12年から、我々がやらされていたことを1つだけご報告しておきます。
それは例えば妊娠可能の女子については第5条4項で、内部被曝を、1ミリシーベルトいかにする。それから、第6条第3項、妊娠中である腹部表面については、前項第4号に規定する期間につき2ミリシーベルトと。これを規制されてそのきせいをまもるべく30年やってまりました。
ところが(語気強く)、福島げんば…原発の事故で、広島原爆の20個分の放射線が撒き散らされた途端に、このような基準が全て反故にされている。
先ほど、福島県の議員から、どのようにしたら安心かというご質問がありました。わたくしは安全に関しては基準を決めたら、危機になったらそれを変えていくかっこうでは駄目だと思います。今、今年できないかも知れないけれども、来年までにその基準に持っていく、再来年までにはこうするということがなければ、住民が安心出来るわけがないではありませんか!
そのためには、最初から申し上げているとおり、広島原爆20個分の天然にないセシウム137をまき散らした東電と政府の施策を反省し、これを減らすために全力を上げる以外に安心出来る解決なんてありえないのです! そのことを抜きにしてどこが安全だという議論をいくらやっても国民は絶対に信用しません!
議員:
ありがとうございます。ひき続いて牛のセシウム汚染を始めとして今朝でしたか腐葉土にもかなり高濃度のセシウムがあるということで。単に牛だけでなく及ぼす影響は前食品に関わってきていると思います。また海への汚染がありますので今後魚への汚染ということももう避けて通れないと思います。えーそのなかで、先ほど唐木委員のお示しいただきました文、参考資料の中にですね、例えばまあ牛についてですけど、全量全体、全個体検査や抜き取り検査は、えーかなりこれは困難というか不適切であるというような表現でありましたが。あのー、これはまあ2週間ほど前NHKスペシャルでやっておりましたベラルーシでの取り組みは、チェルノブイリ事故25年以上を経ってもあのー、各学校でですね子供たちのミルクや野菜の放射性レベルを点検するということでございました。やはりわたくしはここまで食品汚染が広がって来た場合には、やはりなるべく口に入る身近なところで検査するという体制。それがどこまで身近にやれるかはあると思いますが、そうした考え方に立つことが重要ではないかと思いますが。この点について唐木参考人とあと児玉参考人は先ほどラインの測定でずっとフォローしていくような技術も我が国の現状においては可能ではないかというふうなお話でしたので、もう少しご披瀝を頂きたいと各々お願いいたします。
児玉龍彦:
あの今、おそらくやられているのはあの、かなり旧式のやり方なんですがゲルマニウム半導体というので周囲を6センチぐらいの鉛で遮蔽した中にものを置いてやるのがやられています。それでこんにちは半導体の検知器というのはかなり多数の種類が改良されておりまして。
わたくしが最先端研究支援でやっておりますのはPETという機械でやるのをやってるんですが。PETで検出するときには内視鏡の先でも検出できるぐらいの感度の高いものを開発しております。それでそういうのを集めていっていまやろうとやられているのは、むしろイメージングに変えている。
ですからゲルマニウムの半導体っていうのはスペクトラムを出して長いスペクトラムを全部見るんですが。例えばセシウムに絞ってこの線量を見るのであれば半導体検知器の検出感度が今ずっと良くなってますから、画像型にすることが簡単に出来ています。
それで例えば画像型の1つのイメージみたいなのは、米軍から供与されているヘリコプターに乗って地上の汚染をやるのに、今いろんなところで今日あたりは茨城県をやってると思いますが、検知器で地上を写すようなものがずっとやられております。
それで農産物を沢山やろうとする場合には、ライン化したところで多数のものを出来る仕組みをやらなくてはなりませんから、イメージングの技術を基礎にして半導体を集めたようなもののセンターを沢山作って、流れ作業的に沢山やれるようにしてその中で、はねるものをどんどんイメージで画像上で、これが高いと出たらはねていくような仕組みを、これはあの既存の技術ですぐできますもんですから、そういものを全力を上げてやっていただきたいと思っております。これを生産地にかなりのところで作る必要があると思っています。
議員:
最後に児玉先生に1つお願いしたいと思いますが、アイソトープセンター、これは全国にございますが今回の除染に活躍させるために何が必要がお願いします。
児玉龍彦:
えっとあのー、5月に全国のアイソトープ総合センター会議というのがありまして。そこで色々議論をしていたときに、文科省の放射線規制室のかたがおっしゃってたのは、福島原発以来のRIはRIではないと。我々はその国民の健康に責任をもつという仕事をやっているんではなくて法律に決められた放射線取扱者を規制することが仕事だというふうにおっしゃっていました。
それである面では私は非常に違和感を感じたんですが、もう一方では例えば文科省の放射線の規制室のかたは、従来の規制に従ってやらざるを得ない。
それで高い線量のものは少量あるということに対応した法律体系はありますが、低い線量のものが膨大にあるという、それをどう除染していくということに関する法律がほとんどなくて。今も汚泥問題その他すべて問題になっているのはここであります。
それでしかしながら今の全国のアイソトープ総合センターやなんかは旧来の法的規制のまんまで、何らあのこれらの組織、例えば先ほどゲルマニウムの機械が足りないというお話がありましたがそんなものは全国で沢山あります。
ところがそこへの持ち込み、持ち込んだ廃棄物の引き取り、こういうのが法律的に全くない。だから今も東大のアイソトープセンターでやってんのは全部違法行為だと申し上げました。この場合にはセンター長であるわたくしと専任教官と事務主任の上で審査委員会を設けて、内部でチェックして超法規行為を勝手にやってるというのが現状であります。
それでそういう法律を一刻も早く変えて測定と除染というのに(語気荒く)是非立ち上がっていただきたい。それ無くして親の安心もないし、しかも先程から長瀧先生たちが仰っている原爆型の放射能の常識というのは、これは原発型の常識の場合にはまったく違います。
それから先ほどおっしゃいました長瀧先生のおっしゃった一過性に核医学で治療をやるというのもこれも形式が違います。我々例えば抗体にイットリウムをくっつけて打つと(ふりかえって長瀧氏を見て)ゼラリンという医薬がありますが、あれは一過性にもかなりの障害を起こしますが。それでもがん細胞をやっつけるために、(長瀧氏を振り返って)いいからやってるということであって正常者にこれをやることはとても許されない。無理なものであります。
それでですからわたくしが申し上げたいのは、放射線総量の全体量をいかに減らすか。これは要するに数十兆円かかるものであり、世界最新鋭の測定技術と最新鋭の除染技術を直ちに始めないと、国の政策として全くおかしなことになるんです。
今我々がやってる例えば幼稚園で除染します。除染して高圧洗浄機でやりますと、側溝に入ります。側溝をキレイにしています。しかしその側溝の水はどこへ行くかというと、下流の農業用水になっています。それで、イタイイタイ病の時の経験はカドミウムの除染を下手にやりますと2次被害を引き起こす。ですから国の政策として国民の健康を守るためには総量の問題をまず考えてください。緊急避難と1つ、総量の問題2つ。これをぜひ議論をよろしくお願いします。
議員:
最後に1点だけ児玉参考人にお伺いしたいと思います。あの細野原発担当大臣がえーもうすでにですね、えー、避難区域の解除と帰宅ということを就任早々おっしゃられて、こんどまあ無人ヘリを飛ばして現地の調査を行って、場合によっては早期に解除して住人に帰ってもらおうと。こういう話が出てきています。しかしチェルノブイリの強制移住レベルを上回るようなですね、高濃度の汚染地域がまああの東京23区全体を上回る800キロ平方キロに広がっている中で、今の状況で避難区域を解除するということが正当化されうるのかということを児玉参考人にご見解としてお伺いをしたいと思います。
児玉龍彦:
えーとまずですね、あのー、20キロ30キロの地域というのは非常にマダラ状になっています。
それで南相馬、わたくしが一番良く存じています南相場の場合ですと南北ではなくて東西に線量が違います。それで飯舘村に近い方は20ミリシーベルト以上で、現在避難が開始されている地域。それでこちらのほうは海側の方はそれよりもずっと線量が低いところがあります。
それでこうした場合には自治体が、判断したほうが。今は20キロ30キロ圏は病院は休診、学校は休校ということが一応指示となっております。それをやっぱり学校を開いて一番低い線量のところで子どもが授業をできるようにするとかそういう判断は自治体の判断でやっぱり出来るようにしたほうがいいと思います。
ですから今の線引きの問題という話よりも実際にいかに子どもの被曝を減らしたり地域を復興していくかという問題がまず1個あります。
ただそこでもう1つの問題は、地元で聞きますと商工会やなんかから、今は強制避難ですから補償が出ています。だけれども避難区域が解除されたら補償がなくなってしまうということで。実際にわたくしが南相馬へ行っている間も住民の中で非常に大きな意見の違いが生まれていて、見ていてとてもいたたまれない思いがいたしました。
それで是非避難の問題とそれから補償の問題を分けて。
それで先ほどおっしゃった避難の解除というのは要するにどういう問題があるのかというと、高い線量のところはこれ除染しないと非常に危険です。それで今そういう問題になってんのは主に年20ミリシーベルト以上の被曝を受けてしまう地域であると思いますから。そこに関してひきつづき強制的な避難が必要であると思っていますし。
ここの地域をどう、除染していくかということは、東電なり我々科学者なり日本政府がとてつもない十字架を背負っていると思います。
そのことを住民の判断だけに押し付けるのはとても難しい問題があると思っておりまして。20ミリシーベルトの地域に関しては、やはり是非とも国でここの非難している人たちの生活の補償と、せれから除染の努力をやっぱりどのように進めるかという見通しを本当に必死に考えないといけないと思っています。
それで20キロから30キロという現状の同心円がそれを正確に示しているかというと今はそうではなくて。むしろ地域復興の妨げになってる面がありますから、地元自治体との相談の上でそこの地域の様々な行政生活上の問題に関しては、子どものお母さんが一番安心出来るというものにするということを一刻も早くやっていただきたい。
それで細野大臣はある面ではそういう意見を反映している面があると思います。
もう一方ではそれを補償問題とどういうふうに結びつけるかという議論がないと、やはりこれもう一方で非常に大変な問題が生まれてしまいますので。やはり今は強制避難でないと補償しないとか、住民が被害を立証できないと補償しないという格好は、もうまずいんではないかとわたくしは思っております。
(書き起こし、ここまで)
福島原発事故は広島原爆20個分の放射性物質を飛散させた。もはや「どこが安全か」という議論をしている時ではない。線量をきめ細かく測り、高い所から表土を取り除くなど効果的に除染することが急務だ。
飛散は一過性で、除染でかなり減らせる。微粒子なので一律には舞い落ちていない。高濃度の場所は、県全体でも自治体の中でも、個々の校内でも存在する。
福島県内での測定の経験では、平均で毎時0・5マイクロシーベルトの幼稚園で、雨どいや滑り台の下などは5~10倍になった。園内にミニホットスポットが存在する。
幼いほど放射線の影響を強く受けるので、除染の優先順位が高いのは保育園と幼稚園だ。続いて小中高。子どもが接触する所の除染を急ぎ、各地域、各施設で安心できる空間をつくる。妊婦や病気の人にも放射線がかからないよう努める。室内を毎時0・1マイクロシーベルト以下にするのが目安だ。
測定は園内をなめるように詳しく見ること。線量計を持って回れば高い場所は簡単にわかる。各地域で園や学校の先生方が担うほかないとすれば、講習などで学んでいく必要がある。お母さん方は、除染で数値が低くならなければ安心できない。3月15日に大量飛散した物質でも土壌の表層2~3センチにあり、5センチ削れば大半が取り除ける。
低い線量による内部被曝(ひ・ばく)の危険性も直視しなければならない。福島で母乳からセシウムが1リットルあたり2~13ベクレル出た。チェルノブイリ原発事故で長期被曝が前がん状態を作り出したという研究報告と同レベルの濃度だ。行政の言う「ただちに健康に危険はない」という次元ではなく、異常な事態だ。食品の放射線量をチェックすることも極めて重要だ。
除染に関する現行の法体系は、少量の高い放射性物質が前提で、今回の実情と合っていない。国の各種指針は専門的な知見を十分に反映しておらず、低い線量の放射性物質の膨大な飛散への対策は、国任せにしてはおけない状況だ。子孫への責務を果たすためにも、関係者が総力をあげる必要がある。
◆こだま・たつひこ 東大先端科学技術研究センター教授(システム生物医学)でアイソトープ総合センター長も務める。福島県南相馬市で学校などの放射線量測定を続け、市に調査や除染を指導している。
飛散は一過性で、除染でかなり減らせる。微粒子なので一律には舞い落ちていない。高濃度の場所は、県全体でも自治体の中でも、個々の校内でも存在する。
福島県内での測定の経験では、平均で毎時0・5マイクロシーベルトの幼稚園で、雨どいや滑り台の下などは5~10倍になった。園内にミニホットスポットが存在する。
幼いほど放射線の影響を強く受けるので、除染の優先順位が高いのは保育園と幼稚園だ。続いて小中高。子どもが接触する所の除染を急ぎ、各地域、各施設で安心できる空間をつくる。妊婦や病気の人にも放射線がかからないよう努める。室内を毎時0・1マイクロシーベルト以下にするのが目安だ。
測定は園内をなめるように詳しく見ること。線量計を持って回れば高い場所は簡単にわかる。各地域で園や学校の先生方が担うほかないとすれば、講習などで学んでいく必要がある。お母さん方は、除染で数値が低くならなければ安心できない。3月15日に大量飛散した物質でも土壌の表層2~3センチにあり、5センチ削れば大半が取り除ける。
低い線量による内部被曝(ひ・ばく)の危険性も直視しなければならない。福島で母乳からセシウムが1リットルあたり2~13ベクレル出た。チェルノブイリ原発事故で長期被曝が前がん状態を作り出したという研究報告と同レベルの濃度だ。行政の言う「ただちに健康に危険はない」という次元ではなく、異常な事態だ。食品の放射線量をチェックすることも極めて重要だ。
除染に関する現行の法体系は、少量の高い放射性物質が前提で、今回の実情と合っていない。国の各種指針は専門的な知見を十分に反映しておらず、低い線量の放射性物質の膨大な飛散への対策は、国任せにしてはおけない状況だ。子孫への責務を果たすためにも、関係者が総力をあげる必要がある。
◆こだま・たつひこ 東大先端科学技術研究センター教授(システム生物医学)でアイソトープ総合センター長も務める。福島県南相馬市で学校などの放射線量測定を続け、市に調査や除染を指導している。
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