2012年11月23日金曜日

県立医大・医療科学センター


2012/11/20

【福島】県立医大・医療科学センター/建物3.9万㎡、4棟2分割発注

 福島建設工業新聞社

最先端の放射線医学など本県医療の拠点施設として県立医科大学が整備する「ふくしま国際医療科学センター」の基本構想が固まった。施設は新病棟となる先端診療部門など大きく4つの建物で構成。総延べ面積3万9520㎡程度、施設整備費は概算で約300億円を見込んでいる。センターの建設・稼働に伴って既存病棟の再編・改修や、新しく1700台分の駐車場整備も行う。施設は現在、公募型プロポーザルにより基本設計者選定の手続き中。4つの建物の設計を一括して委託することになる。25年度の実施設計を経て26年度に工事着手。27年度中の完成を目指す。建築工事は4つの建物を2つずつに集約して、2分割で発注する方針。
 早期診断・最先端治療、県民健康管理などの機能を持つ、本県医療の中核に位置付ける施設。学内に分散配置する。
 センターの機能は、新病棟となる先端診療部門と①放射線医学県民健康管理センター②先端臨床研究センター③医療―産業トランスレーションリサーチセンター④教育・人材育成部門の計5部門で構成する。
 先端診療部門は疾病の早期治療のための新病院棟を整備。甲状腺センターなども配置する。施設完成後には、既存病棟にあるこども医療センターや総合周産期母子医療センター、被ばく医療部門なども移設する。
 ①は県民の健康管理調査、放射線と健康に関する疫学調査、②は最先端の画像診断システムによる早期疾病発見の機能を担う。③は医療界と産業界の橋渡し役として、がんを中心とした疾患の新規治療・診断薬、検査試薬や医療機器などの開発支援を多面的に行う。
 この5つの機能を、新しく整備する4つの建物に集約・配置する。
 建物の配置計画はA棟が医療―産業トランスレーションリサーチセンターと教育・人材育成部門が入る施設で地上7階地下1階建ての8層構造延べ9304㎡を想定。2、3階に研究棟2、10号館へ連絡する渡り廊下を設ける。
 B棟は先端臨床研究センターのうちの環境動態調査施設が入る。臨床研究センターの他部門と独立させた2階建てで910㎡。放射線医学総合研究所と連携して、大気中の放射性物質の移動調査等を行う。
 C棟には先端臨床研究センターのうちの画像診断部門、サイクロトロン部門等を配し、治験の拠点とする。地上3階地下1階(一部2階)の4層延べ5306㎡。
 附属病院前面の敷地に建設する新病棟のD棟には、先端医療部門のほか放射線医学健康管理部門を配置。地下1階地上7階建て延べ2万4000㎡の規模で、1階が災害医療・救命救急センター、2階が外来部門、5階が新設の病棟になる。現病棟との間に渡り廊下を2カ所設け、屋上階には災害時用のヘリコプター離発着場を置く。
 D棟完成、既存病院の機能移転完了後に既存病棟の改修に着手する。既存棟は築後30年が経過、学生定員増への対応も必要になる。既存エネルギーセンターの改修計画も検討する。
 建築計画として①災害に強い②利用者・患者を尊重③環境とライフサイクルコストに配慮④将来の医療変化への対応が可能⑤既存建築物との調和⑥既存病棟の機能再構築⑦更新を前提としたシステム―の7つのコンセプトを挙げた。
 建物には免震構造(基礎免震)の採用を検討。低層のB・C棟は耐震構造で対応する方向。
 建築工事は「B・C棟」と「A・D棟」の2本に集約して発注する方向だ。実施中の公募型プロポーザルで年末までに委託者を選定。年度内に基本設計を終え、25年度に実施設計を行う。25年度末に入札を行い、26年度に工事着手。27年度末からの実施稼働を目指す。
 4つの建物の配置・運用に伴って、新規所要分も含め約1700台分の駐車場も必要になると見ている。大学敷地内に自走式立体2層3段、大学周辺の敷地外に平面の駐車場確保を検討する。

2012年11月20日火曜日

低線量被ばくのリスク管理に関するワーキンググループ


平成23年11月
1.趣旨
 東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故による放射性物質汚染対策に おいて、低線量被ばくのリスク管理を今後とも適切に行っていくためには、国際機関等により示されている最新の科学的知見やこれまでの対策に係る評価を十分踏まえるとともに、現場で被災者が直面する課題を明確にして、対応することが必要である。
 このため、国内外の科学的知見や評価の整理、現場の課題の抽出を行う検討の場として、放射性物質汚染対策顧問会議(以下「顧問会議」という。)の下で、低線量被ばくのリスク管理に関するワーキンググループ(以下「WG」という。)を開催する。
 
2.構成等
(1)WGの構成員は、顧問会議座長が指名する。
(2)WGに、顧問会議座長の指名により主査を置く。
(3)顧問会議の構成員は、WGに出席することができる。
(4)WGは、必要に応じ、関係者の出席を求め、意見を聴取することができる。
(5)その他、WGの運営に関する事項その他必要な事項は、座長が定める。
(6)WGの庶務は、関係行政機関の協力を得て、内閣官房において処理する。

【「低線量被ばくのリスク管理に関するワーキンググループ」報告書】
● 低線量被ばくのリスク管理に関するワーキンググループ報告書(平成23年12月22日)
● 【別添1】発表概要
● 【別添2】海外の専門家から寄せられたメッセージ
【「低線量被ばくのリスク管理に関するワーキンググループ】報告書 英語仮訳版】
● Report:Working Group on Risk Management of Low-dose Radiation Exposure
【「低線量被ばくのリスク管理に関するワーキンググループ」報告書に基づくパンフレット】
● 「低線量被ばくのリスク管理に関するワーキンググループ」報告書に基づいた健康への影響とこれからの取組み
【過去の会合の模様(政府インターネットテレビ)】
● (11/ 9開催)第1回会合(政府インターネットテレビ)
● (11/15開催)第2回会合(政府インターネットテレビ)
● (11/18開催)第3回会合(政府インターネットテレビ)
● (11/25開催)第4回会合(政府インターネットテレビ)
● (11/28開催)第5回会合(政府インターネットテレビ)
● (12/ 1開催)第6回会合(政府インターネットテレビ)
● (12/12開催)第7回会合(政府インターネットテレビ)
● (12/15開催)第8回会合(政府インターネットテレビ)
*こちらでもご覧いただけます。
● ニコニコ生中継(外部サイト)
● IWJ6ch(外部サイト)
【海外の専門家から寄せられたメッセージ】
【第8回会合:12月15日】
【第7回会合:12月12日】 【第6回会合:12月1日】 【第5回会合:11月28日】
【第4回会合:11月25日】
【第3回会合:11月18日】
【第2回会合:11月15日】
【第1回会合:11月9日】















































2012年11月16日金曜日

名古屋にて名古屋大学名誉教授沢田昭二先生に話を聞く


6月8日におこなわれた名古屋大沢田昭二名誉教授と岩上氏の対談の書き起こし記事です。原発や核兵器の様々な問題について、自らも広島原爆の被爆者である「沢田昭二」さんが、日本の御用学者たちが生まれた背景や、彼らを育てたアメリカの隠された意図などをわかりやすく説明しています。

<「できない理由を探すより、できる方法を探そう」 毎日忙しく仕事に追われている方々のために、今は、今日あった原発関連のニュースや自分の考えをUPしています。少しでもみなさんのお役に立てるよう、がんばります。>というライブドアのブログ「ぼちぼちいこか。。。」より転載。文字起こしをされたBochibochiさん、ありがとう。(読みやすいように、若干原文に手を入れています)

●名古屋にて名古屋大学名誉教授沢田昭二先生に話を聞く。
http://www.ustream.tv/recorded/15241220

●Bochibochiさんのブログの元記事

6月8日名古屋大沢田昭二名誉教授×岩上氏@IWJ【その①】
http://blog.livedoor.jp/tokiko1003/archives/2799584.html

6月8日名古屋大沢田昭二名誉教授×岩上氏@IWJ【その②】
http://blog.livedoor.jp/tokiko1003/archives/2799595.html

6月8日名古屋大沢田昭二名誉教授×岩上氏@IWJ【その③】
http://blog.livedoor.jp/tokiko1003/archives/2799611.html

6月8日名古屋大沢田昭二名誉教授×岩上氏@IWJ【その④】
http://blog.livedoor.jp/tokiko1003/archives/2799636.html



(岩上氏)先生は放射線については日本で第一人者と伺っているが、長い期間の研究と共にご自身も被曝経験があると。放射線の怖さは誰よりもご存知だと思う。広い視野と観点で、放射線の怖さを論じていらっしゃったが、今、福島原発で起こった事故について、事故後の被曝の影響について教えてください。

インタビュー前に先生から、広島で被爆したときの話を伺って、ショッキングなお話をしていただいた。今見ている人のために、原爆体験を話してほしい。

<私の原爆体験>

(沢田氏)当時中学校2年生。当時の中学生は学徒動員。機関銃の弾丸製造工場にいっていた。その日は病気だったので、自宅で休んでいた。その時、原爆が爆発した。ピカドン。爆心地から1400m。気が付いたら、つぶれた家の下敷きだった。もがいてつぶれた家から這い出せたが、周りが暗闇だった。広島全体が破壊されて、埃がすごかった。こげ茶・茶色・黄色・しろと埃の色が変わっていき、周りが見えるようになった。一面広島がつぶれていた。

足元で私の名を呼ぶ母の声。「足が引っかかって動けない」母親が、お説教を始める。「自分はもういいから行きなさい」天皇のために生きる教育を受けてきたので、命を大事にするという感覚がなかった。くすぶっていた火が燃え広がり、火事になった。母親に言ったら「もう逃げなさい」でも逃げられない。何時間頑張っていたかわからないが、とうとう火事嵐になり、母親が「今すぐ逃げろ」彼女からは火が見えない「お母さんごめんなさい」といって逃げた。

(岩上氏)つらい体験ですね。周りに助けてくれる人は居なかったのか?

(沢田氏)ときどき大人を捕まえるが、「もう駄目だ」といって逃げていく。父親は、島根に出張中。山の中にいたので、広島で原爆があったなんて全然知らなかった。二日後になって知って帰ってきたが、結局は三日後になった。山にずっといたが、その山から燃える広島を見ていた。あくる日も近づこうとしたが、熱くて近づけない。三日後に近づけたが、まだ下のほうでは火がくすぶっている。母親の遺体があるだろう場所に行くが、陶器が簡単に壊れるくらい熱いところで母親が死んだのだと…。骨を集めて持って帰った。

(岩上氏)先生自身は、その時被曝しているのですね?今はお元気だが、被曝の影響は身体に出たのか?

(沢田氏)当日病気で寝ていたのに、原爆でそんなことはどこかへいってしまい、爆心地から1400mだったし、あまり遠くに逃げる気になれなかった。 1550mの河原にずっといた。後から調べたら必ず被曝をしている。しかし放射線の影響がほとんど出ていない。健康状態はいい。放射線については個人差がすごく大きい。

(岩上氏)先生はたまたま遺伝的要素も含めて、影響が出なかった。他の人は影響が出るということを踏まえて…。

(沢田氏)弟は学校に行っていて、ほぼ同じ距離で被曝した。体中傷だらけ。自分は運良く布団に包まっていた。ガラスの破片もほとんど怪我をせずに済んだ。弟は 30何箇所傷があった。校舎と一緒につぶれた。でも一人でちゃんと帰ってきた。被曝の影響もあった。65歳になってガンでなくなった。僕は被曝のせいだと思っている。急性症状がなかったことは親に感謝している。

(岩上氏)同じような状況で同じような年齢の方は被曝の症状がもっと厳しかった?

(沢田氏)同じ距離で被曝した人の多くが、髪の毛が抜けたり急性症状を発症していた。個人差が大きいということを踏まえないと。

(岩上氏)生き残って元気な人を判断基準にしたら、大きな間違いということですね。こういう体験があって、研究に入られた?

<研究者への道> 

(沢田氏)いや。子供の頃から理科が好きだった。原爆が落ちる前、「子供の科学」を読んでいた。1943年に「アメリカでは原子力爆弾を作っている」という記事があったが、まさか自分のところに落ちるとは考えていなかった。科学が好きだった。それで大学も物理学を研究。中学から「自然」という雑誌を購読し、意味がわからないなりに読んでいた。生物素粒子物理学に興味があるということで、湯川秀樹さんがノーベル賞をもらったり、そういうことも雑誌から読んでいた。大学でもそういう分野をやろうと繋がっていった。

僕の専門は生物素粒子物理学。すごく民主的。全国の研究者が対等に話せるグループをようにした。湯川先生が受賞したのをきっかけに、基礎物理学研究所ができた。通常、大学で研究したものは、大学のものになるが、その壁をなくして、全国の研究者が共有できるように湯川先生がやった。その運営も選挙で選ぶ。若い大学院生も研究部委員会に参加したりして、湯川先生たちと一緒に研究できた。

<原水爆禁止運動とラッセル・アインシュタイン宣言> 

若い頃から第一人者と一緒に作業できたし、湯川先生は核兵器をなくすというお手伝いもできた。科学者京都会議の運営もしたバートランドラッセルとアインシュタインが一緒に書いた宣言。1954年、アメリカがビキニ島で水爆実験をした。日本でも原爆禁止運動が起こった。広大の学生だったので、自分の体験した原爆よりも1000倍も大きい水爆ができてしまったことに衝撃を受けた。

(岩上氏)広島の1000倍の水爆がビキニ諸島で実験されたのですか・・・。大衆娯楽でいうと、この実験のせいでゴジラが出来たんです。

(沢田氏)広島の原爆の場合は1万5000トンの火薬を一瞬で爆発させるものだった。15キロトン。水爆の場合は15メガトン。広島の1000倍の破壊力。自分の専門にしようとしている物理学でこの水爆を作っている、このままいくと人類が核戦争で絶滅してしまうと考えた。いろいろな場所で議論し、原子爆禁止広島学生協議会を組織した。実行委員長になって署名運動などした。

主にしたことは、(今では考えられないが)広島市と広島県から5000円ずつ助成金をもらって、原水爆展、展示を作ることをやった。勉強したこと、原爆・水爆・放射線の恐ろしさを伝える責任があると考えた。5000円は当時の月給くらい(50万円程度)なので、100万円もらって40数枚のパネルを作り、広島の平和公園で展示した。黒山の人だかり。広島の原爆資料館がないとき。ちょっと冷えすぎ…(20:00-)エアコン調整・・・平和公園で展示し、いろんな新聞社や国鉄に協力してもらったりした。

(岩上氏)今とは全然雰囲気が違いますね。

(沢田氏)学生だったから、ちょっと生意気だったんだと思う。

(岩上氏)学生の自主性を行政が認め、労働組合やいろいろな機関が手を携えて、そういう自由な空気だったのですね。1954年頃ですか。

(沢田氏)国民的に行政も学生と一緒にやっていくという雰囲気があった。

(岩上氏)今は行政がそういったことをすることは、考えられない。

(沢田氏)考えにくいでしょうね。学生の意識も(国によって違うだろうが)、学生が一般社会に対してどうしていくかなど、そういう発想はできないんじゃないか。当時の学生はそうだった。僕たちが原爆展が初めてかと思ったら、2,3年前に京都大学生でやっていた。そういう時代。

(岩上氏)世の中が右と左に分かれるとか、内向きになっていくとか、左右も制度化していくとか、そういったことが60年代70年代に起こり、80年代以降はそれが様式化してしまった。それ以前は、風通しのいいものだったのですね?日本中、どの立場にあろうが目を皿のようにして・・・、みんな関心があった。

(沢田氏)日本中関心をもってやり始めた。日本国憲法はあったが、この原水爆禁止運動が起こったことが、こういう問題を自分の頭で考える、民主主義・平和が浸透するきっかけになったと思っている。憲法が出来た時は、大衆運動があったわっけではなかったから。大きな国民的運動が起こったのは、1954年のこの原水爆禁止運動が初めて。日本の国民が民主主義や平和を考えるのに大きな役割を果たした。その後の安保条約反対闘争へ繋がっていく。アメリカはそれを恐れて、CIAなどを使って工作を始めた。



(岩上氏)55年体制ができあがる、前夜ですね。社会党の合同、保守の合同、細かくまた分かれていって、両極になりながらも、補い合っているという政治構造ができあがっていく。

(沢田氏)原発の問題もちょうどその頃からスタートしている。核兵器廃絶の問題と原発問題と日本社会の体制化していく、ちょうどその頃が一番おおきな瀬戸際だった。その頃学生だった自分にとってはすごく大きな影響だったと思う。

その後ずっと継続して、原水爆禁止運動を今日まで続けてきた。日本国民的運動が起こったので、科学者も一緒に運動した。世界の科学者は必ずしも民衆と結びついていないが、日本の科学者は国民と一緒に取り組んできた。これは特徴。

放射線の影響が深刻だとわかったので、日本政府に要求してビキニ周辺の調査をし、日本は特に魚でたんぱく質を取っていたので、持って帰るマグロは全部汚染されていた。政府に要求して科学者を船に乗せて調査した。

それを世界の科学者に伝えた。その科学者がラッセル。ラッセルはイギリスBBC放送でその深刻さを訴えた。世界中の科学者にも共有すべきとアインシュタインを説き伏せた。このまま原水爆を作っていくと、核戦争で人類が滅亡する可能性がでてきた。

そこでラッセル・アインシュタイン宣言を出してくれた。彼らの考えは、当時は米ソの水爆の開発競争をやっていて、どんどん険悪な状態になっていた。政府間で話し合う状況下ではなかった。

しかし、科学者なら国際会議でできる。アメリカの科学者、ソ連の科学者、世界中の科学者が集まって国際会議で核兵器をなくす問題を議論してほしい、という訴えがラッセル・シュタイン宣言です。そのなかにビキニ島で第5福竜丸が被曝したことも入っている。

日本の科学者が調査し報告したものが、ラッセル・シュタイン宣言へ繋がっている。1955年に宣言が出され、アメリカの科学者もソ連の科学者も政府とは違う立場で会議を開こうとするのだから、政府は旅費など出さない。でもお金がない。2年後にやっとカナダの金持ちの別荘をかりて、パゴシ会議が開催され、今日までずっと続いている。

<ICRPについて> 

(岩上氏)ここは非常に重要なところ。今日話を伺いたいところの大きな柱の一つ。今ICRPという団体は、一般国民は知らなかったそういう団体。国際機関の基準が唯一絶対の基準のように言われている。「ICRPの基準によればこうだ」とICRPの言っていることの解釈をめぐって、例えば「1mSV」は許容できる範囲内だが、それを20mSVにしたときには、「これはICRPのどこどこを理由に・・・」などと議論が展開されている。

毎日のように統合会見が行われ、毎日中継しているが、記者と政府、細野さん、東電、保安院などの問答がこのICRPの基準をめぐってどのように解釈するかという点に集中しがち。共有されている前提はICRPが唯一絶対の基準であるということ。でも、そうではないらしいと他の先生から聞いている。マンハッタン計画というものがICRPの始まり・・・

(沢田氏)1940年代の終わり頃に、それまであった委員会をなくして国際放射線防護委員会が作られた。その時アメリカも全米放射線防護委員会を1940年代最後に作った。そして、狙いは放射線防護の問題をアメリカがイニシアチブを取ろうとしたが、全米も国際もそれぞれがパラレルに分科会を作った。内部被曝の分科会、外部被曝の分科会など。アメリカの委員長が、そのまま国際の委員長を兼ねるなどして重なり合っている。

(岩上氏)国際放射線防護委員会=ICRP、全米=NCRP

(沢田氏)外部被曝については、アメリカの研究結果を元にICRPがそのまま見つめるということになったが、内部被曝についてはカールモーガンが委員長で、彼は放射線研究の第一人者だったが、彼のやっていた内部被曝の研究は発表禁止になった。

彼が本で書いている。内部被曝の影響は禁止された。広島・長崎の内部被曝も考えないということ。核兵器を使うということは、ぴかっと光った瞬間の初期放射線というのだが、電気的に1分以内にやってきた放射線を言うが、光った瞬間に人間を貫いているのが、初期放射線。これは距離と共に急速に減少する。広島の原爆の場合は、2.5kmになるとほとんどゼロ。

しかし、トルーマン大統領が1947年に、ソ連に対抗して将来核戦争が起きた時に、自分と相手の軍隊にどれだけ放射線の影響があるかを調べるためというのが基本的な考えだったと思う。広島・長崎の被爆者の初期放射線の影響を調べると。

しかし初期放射線にしぼったというのは、原始帽が出来たて広がっていき、放射性降下物は非常に広範囲に影響がある。(いわゆるきのこ雲)アメリカでもネバダの核実験所で実験した時も、風下100km200kmのところまで流れていくのを彼らは計測している。初期放射線のみに限定すれば、核兵器を使ってもせいぜい2kmくらいで限定できるが、放射性降下物(=内部被曝)を考慮すると、かなり広い範囲に及ぶ。核兵器を使うことが非人道的だと。

これは国際人道法により「広い影響を及ぼすものは使ってはいけない」とあるので、核兵器はモロに該当する。世界中から非難を受ける。なのでこうしたデータは無視するという方策を採った。日本を占領した直後から、マンハッタン計画で人体影響を調べていた責任者、ファーレル准将は「広島・長崎では放射線で苦しんでいる人はいない」とした。後に残ることや広い範囲の影響は無視するという基本方策を採った。

(岩上氏)極めて科学的ではない、非科学的な

(沢田氏)政治的

<放射線影響研究所について>  

(岩上氏)政治的プロパガンダ、かつ軍事戦略的なプロパガンダだったのですね。

(沢田氏)広島・長崎にトルーマンの命令で、原爆障害調査委員会(=ABCC)が被爆者を対象に調べた。1950年に日本は初めて国勢調査をし、被爆者をチェックした。その被爆者のリストをアメリカに全部渡してしまい、日本政府は被爆者に何の対策も採らなかった。

ということは、その調査はアメリカの要請で調査したのではないか。ABCCは広島市に住んでいる被爆者と長崎市に住んでいる被爆者を対象とする寿命調査集団を作った。そして被爆者から初期放射線データをとることをやった。そのために広い範囲で放射性降下物の影響を受けた人たちは、被曝をしていない、近い距離に居た人から初期放射線のデータを取り出すことをやった。

結局「遠距離の被爆者は、被曝をしていない、彼らの影響は無視できる」という方策をとった。1975年に日米共同運営になった。これが今の放射性影響研究所=放影研。共同になったが、初期放射線の影響のみ明らかにならず、放影研の方針は変わらなかった。
(38:20-)

(岩上氏)この75年においても、まだ50年代の占領下における主権の無い状態で米ソ対立や、政治プロパガンダたあったりした中、それでもまだ科学的なことを無視して「初期放射線の影響は無視できる」という立場を取ったのですね。それは今でもですか?

(沢田氏)今でも基本的には続いてる。放影研は放射性降下物の影響は無視できるという基本姿勢は変わっていない。裁判をやるとよくわかる。

(岩上氏)先生は、あちこちで被爆者が原告で国を訴える原爆症裁判の原告側にたつ非常に数少ない学者。法律家からも敬意の念を持たれている。そういった裁判の中で放影研の姿勢が現れてくる?

(沢田氏)実は私自身も、放射性(降下物)の影響が深刻だと気が付いたのは、1990年代の終わり頃。それまでは、放射性降下物の影響が少ないといわれ続けていた。それをある程度信じていた。



<きのこ雲の下から発想する~当事者性の問題~>

(岩上氏)ある意味文学者の方が、直感的に言い当てていたと言うことか?例えば「黒い雨」のような?

(沢田氏)「黒い雨」は有名だが、それほど深刻な影響を与えたとは考えられてない。降った地域は限定されている。黒い雨も、これまでも放影研や日本政府の放射性降下物による影響は、雨が降ったあと、放射性物質が地面に残っている状態で、その放射性物質を取り出して測り、どのくらい影響があるかということを調べている。

しかし、これは被爆者が受けた影響からすると、2桁3桁も少ないもの。被爆者がどういう被曝をしたかというと、放射性の雨よりも、放射性の微粒子、つまり雨粒ではないもので被曝をしていることが判っている。

それに気が付いたのは1990年代の終わりに、被曝手帳をもらった被爆者は検診ができるが、被爆者自身が放射線の影響で自分が病気になったということを、国が認定してくれれば、原爆症認定で特別手当で治療費だけではなく、生活面も含めて支援する。

しかし、厚生労働大臣が認めないと認可されない。その認定がどんどん厳しくなっていった。そこで被爆者が1990年代に裁判を起こしだした。長崎の被爆者、まつやひでひこさん、京都のこにしたておさんが、10年ほど裁判に取り組んでいた。

その最後の段階で、ぴかっと光った瞬間の初期放射線を遠距離では過小評価していることが、裁判で問題になった。私は、広島・長崎でそういうものを測定するグループに入れてもらっているので、彼らの測定結果を分析すると、遠距離で系統的に過小評価になっていることが判った。

それを控訴審の段階で出した。こにしさんの場合は、地裁の段階で初めて裁判所の門をくぐり証人になったのが1990年代の終わり。こにしさんの場合は高裁で勝利して終わり、まつやさんの場合は最高裁までいって勝訴した。しかし厚生労働省は、影響が何だったのかを認めない。その時まつやさんの証人になってくれたわたなべちえこさん、彼女は2800mで被曝している。

しかし、髪の毛が抜けた。まつやさんは2455mで被曝したが、髪の毛が抜けた。多くの被爆者はその距離で脱毛している。初期放射線は2.5kmまでしか届かないが、そこのところを実験にあわせて過小評価を是正したとしても、説明できない。裁判には勝ったが、彼女たちの毛が抜けた原因が放射性降下物しか考えられない。

ところが、長崎では放射線降下物の影響は、東側の3kmほど離れた西山地域しかないというのが国側の基準になっている。しかし、彼女たちが被曝したのは南側。とうことは長崎でも南側でも放射性降下物の影響があった。雨はそんなに降っていない。とすると、放射線微粒子が充満して、それを吸い込んで病気になったとしか考えられない。

(岩上氏)大気中の微粒子ということ?

(沢田氏)そうです。アメリカ・ネバダでの核実験では黒い雨は降っていない。乾燥した砂漠では雨粒が小さいから、十数分ほど上空に上がるが消えてしまう。後は風下に放射性微粒子として、目に見えない微粒子として流れていく。それは実験だから、あらかじめ測定装置を置いていてどれだけやってきたかを測定している。日本で広島・長崎で原爆が投下されても、そういう微粒子が当然できる。

原爆が爆発して、火の玉ができる。すごく小さな太陽。その中央部分に核分裂でできた大量の放射性微粒子がつまっている。それが上空に上がっていき、冷えて水分を周りの大気から付着させて水滴ができる。水滴ができるから原子雲として認識できる。原子雲の元になるのは、原爆でできた放射線微粒子。真ん中の部分はすごい勢いで上空にあがっていき、10分もしない間に1万数千mまであがっていく。

急速にあがっていくので、水滴も急速に上昇し、重くなって落ちてくる。それが黒い雨。ところが、対流圏は大体1万mの高さ。そこから上は成層圏になる。すると今度は温度が上がったりして、上昇する勢いがなくなる。しかし、下からはものすごい勢いで押されるため、横に広がる。長崎の場合はわかりやすい。30分もたたないうちに、20kmくらい水平・円形に広がった。水滴は小さいので落ちてくる途中で蒸発し、またもとの放射性微粒子に戻っている。

(岩上氏)そういうメカニズムなんですか。

(沢田氏)雨雲とはまた違う微粒子があったのではなく、一旦上昇し水滴を帯びて黒い雨の元になったが、落ちてくる途中で蒸発してしまったということ。長崎でも多くの証言があり、「真っ黒い空に真っ赤な太陽が浮いていた。怖いから逃げたが着いてきた。」真っ黒い空は放射性微粒子が大気の中に充満していたから真っ黒く見えた。

被爆者は雨には気づくが、微粒子には気づかない。被爆者は呼吸などで取り込んだことを意識していない。しかし、葉っぱの上に白い粉があったとか、水を飲んだりしているが、気が付かない。ときどき黒い煤のまま落ちてきて、黒い雪が降ったりしていたという証言もある。ということで、放射性微粒子が充満していたということは物理的に考えて当然である。それを被爆者は吸い込んでいるが、風に流されているので後で測りようが無い。雨は雨粒で落ちてきた微粒子が土の中にしみこんだものを測れる。しかし大部分は風で流され見えなくなっている。

(岩上氏)例えば地表に降り落ちた微粒子や放射性物質は、表土に降り積もっているので、測定可能では?

(沢田氏)しばらくはあったと思う。しかし2度の台風や大洪水で流されている。流された後は、放射線による病気は急速に起こらなくなった。ということを医者が証言している。「長崎の鐘」というアニメの話。当初は広島・長崎には人は何十年も住めないと言われていた。幸い流されたものだから、被曝影響が少なかったということ。

(岩上氏)なるほど。台風が来て雨で流されたということは、二つの側面がある。良いほうは、そこに暮らしている人にとっては、表土にあった放射性物質を流すことによって、ずっと放射線の影響を受けるということが少なくなった。被曝の程度が軽くなった。悪いほうは、アメリカの思惑を持った調査によれば、この内部被曝のもとにもなるだろうし、その後の残留放射線の影響も軽く見積もる「科学的根拠」になってしまった。実際には濃厚に残っていたかもしれず、流された後に取った数値でで研究がつまれたために、残留放射線の影響が軽く見積もられてしまった。

(沢田氏)それで私がどういう方法でやったかというと、被曝すると急性症状が起こる。急性症状の調査はたくさんある。日本の放射線研究者たちは、急性症状発生率から逆算し、放射線降下物の影響など調べる必要があったが、不思議なことに誰もそういった研究をしてこなかった。それは、放影研などが「放射性降下物の影響は少ない、無視できる」と言ってきた。そういうところで育った研究者たちが、日本の放射線影響学会の大部分を占める。

(岩上氏)そこ出身の人たちは、いわゆる何学会にいらっしゃる?

(沢田氏)放射線影響学会。僕は素粒子物理学という(湯川先生たちと同じ)研究をやってきたが、定年退職後、裁判に関わるようになり、それを明らかにする責任があると思った。(自身も被爆者であるから)被爆者はきのこ雲の下から考える。科学者たちはきのこ雲の上から考える。パゴシ会議などで核兵器をなくすために議論してきた物理学者たちに、広島で1995年初めてパゴシ会議が開かれ、原爆資料館に連れて行った。

彼らは資料館をみて頭を抱えていた。「自分たちは核兵器廃絶のために議論してきたが、原爆資料館に行って初めてきのこ雲の下でどういうことがおこっているか、リアルに想像できた。自分たちに想像力が欠落していたことを今更のように思い知った。やはり自分たちは原子雲の上からしか見ていなかった」だから、ああいう被曝の実情を見て、原子雲の下から見なければいけないと口々に言っていた。被爆者はもともと下にいたのだから、そういう発想で考える。

(岩上氏)当事者性ということですね。当事者性の欠落と、俯瞰している視点というものも加工した視点で、上からみる視点など本来人間は持っていないはずなのに、頭の中ででっち上げてしまっている。

(沢田氏)被曝の影響の研究者たちは日本にたくさんいて、何十年間もそういう発想で、回り全体がそういう雰囲気だから、それに毒されていった。折角いろいろ調査結果があるのに、そこから引き出そうという努力をしなかった。

<シュミッツ=ホイルへーケ女史の論文>

(岩上氏)今、まさに福島第一原発事故が起こって以降、たくさんの学者がTV・新聞に出てきて、私からするととんでもない発言をする人たちが、いっぱいいた。そういった人たち全員が放影研とは言わないが、放影研の影響は非常に大きく、ICRPのような国際機関と行ったり来たりしてる人がたくさん居る。

そういう人たちが本当のオーソリティ専門家だといわれ、隣接する学問分野の人たちも、放射線の影響に関しては、この専門家に耳を傾けて影響を受ける。そういう中で今回の事故の放射線の影響というものを過小に評価しようと、できるだけ小さく見積もろうとするプロパガンダ、宣伝が延々続けられている。そういう歴史的背景がある。

(沢田氏)初めて放影研が遠距離の被爆者と近距離の被爆者の被爆者どおしを比較したことを論文に書いたのが、ブレーメン大学のインゲ・シュミツ・ホイルへーケさん、女性で専門は物理学だが放射線の影響の研究をしてきた科学者。世界的にも評価されている。今ヨーロッパ放射線リスク委員会の会長をやっている。

彼女が初めて1980年代に、放影研の研究が被爆者同士を比べている、当時は、遠距離被爆者は初期放射線を浴びていない、だから、初期放射線を浴びていない被爆者ともっと初期放射線を受けた被爆者とを比べている。「これでは、駄目だ」と彼女が初めて遠距離被爆者と入市被爆者(=爆心地から概ね2km圏内に入った人と日本人の平均と比較した。

(岩上氏)なぜこの比較の仕方では駄目なのか?

(沢田氏)彼女は、なぜだめであるかを論文に書いた。本当に被曝していないのは日本人の平均だが、それと被曝していない人とを比べないといけないと指摘した。



(岩上氏)それはちゃんとした研究にならないと。

(沢田氏)疫学研究という放射線の影響を調べようという場合は、全く放射線を浴びていない人と、放射線を浴びた人とはどう違うか、ガンが発生する時期がどう違うか、ガンによって死亡率が変わるかなど、そういう研究をしないと、研究にならない。

ところが、遠距離の被爆者は、放射線降下物の影響を受けている可能性がある。本当はそういう人ではなく、全く被曝経験の無い人とくらべなければならないのに、放影研が調べた対象は、遠距離被爆者と日本人だった。そうすると遠距離被爆者は、ちゃんと被曝をしているということを彼女は見つけた。入市被爆者も、早く入市した人は白血病の発症率が高い。日本人の平均に比べて2倍以上高いということも彼女が見つけている。

それを論文に書いて出そうとしたが、そういう論文は科学雑誌に掲載されない。放射線の影響を発表する論文、何度も投稿したが、拒否され、しょうがないのでレターという形で(レターだと審査にかからない)出すことができた。そういうことが世界中で起きている。

(岩上氏)日本でも圧力が、そういうことが起きている。科学はニュートラルで中立的だと思っていたが、実は政治的な影響も受け、その枠組みの中で研究する。ゆがめられている。世界の中でもそれがあった。

(沢田氏)アメリカでもイギリスでも駆け引きを持っている国の政府は、科学者にお金を出すが、そうでない科学者にはお金は出さない。ということで、結局世界的に、主に研究している科学者(駆け引きを持っている)も多いので核兵器を持っている可能性もあるのですから。だから世界中です。日本だけではない。国際防護委員会もそういうう風に、政府にお声がかかるような人がいっぱい集まっている。放射線防護委員からお呼びがかかった。日本も放射線防護委員会に推薦させているが、経産省がまた推薦しているのだと思う。科学者団体が推薦しているものではない。

(岩上氏)制度的にそういう仕組みになってしまっているということですね?

(沢田氏)だから彼女のような研究をやってもなかなか掲載されない。1985、6年のこと。

(岩上氏)これはチェルノブイリの影響を受けてではなく?

(沢田氏)無い。

(岩上氏)時期的な近さもあり、ずっとその前から・・・。
(01:00:00-)

(沢田氏)彼女の動機は、DS86 という1986年に初期放射線をコンピュータで計算したものが初めてできた。そういう広島の初期放射線の研究結果が出せるだろうと予測して、そういうことだけじゃく他の影響も考えなければならないということに気が付いた。

それで初期放射線の影響を受けていない人々の放影研がどうなっているかについて、疑問を感じた。彼女は、そこで放影研の、(被爆者と被爆者で無い人を比べることをコントロールというが)被曝をした人としていない人を比較して、しかしそのコントロール自身が被曝をしていたということに気が付いて、そのコントロールを本当に被曝をしていない日本人と比較することをやった。

そして、「死亡率(ガン)はちょっと高い程度だが、発症率がはるかに高い」ことを見つけた。全体の死亡率は、コントロールの人たちは、日本人は死亡率が平均的に低いことも見つけている。なぜかというと、コントロールの人たちも、原爆手帳をもらっている。毎年検診があるので、ガンも早く見つかる。だから死亡率は低くなっていく。彼女はそういうことを指摘した。

原爆症認定集団訴訟というものが2003年から始まる。その集団訴訟が始まるので、放射線降下物を調べることがより必要になると思った。先ほど言った、たくさんの急性症状の発症率のデータはたくさんあるので、その中でも国が否定できないのは、放影研が持っている1950年頃にABCCが調査した結果がある。その脱毛発症率を元にして、ほぼ同心円状に影響があると仮定して、研究した。調べた結果、すごく深刻だということがわかった。
これをちょっと見てください(資料のアップ 01:01:53-)

<沢田先生の裁判資料> 

(岩上氏)広島急性症状発症率と書いてある。

(沢田氏)こちらのほうが簡単。(資料のアップ 01::3:17-)
これは放影研の前身であるABCCが1950年ごろにABCCがこれから調査しようとする被爆者集団を、どういう被曝をしているかあらかじめ調べておこうということで、脱毛の発症率を調べた。爆心地からの距離ごとに、赤い四角が脱毛の発症率。調べられたとおり、初期放射線量は2km地点でほぼゼロになる。

しかし、それよりも遠いところで脱毛が起こっている。しかし、放影研の人々は、この赤い四角から遠距離のほうは、わけのわからない影響で髪の毛が抜けたと考え、初期放射線のみに注目して研究したので、1990年代にストラームとミズノという研究者が、さざわざこのデータから初期放射線のみを引っ張りだすということもやっている。

(岩上氏)なるほど。

(沢田氏)それが所の方針ですから。で、遠距離の方は(初期)放射線の影響かどうかわからないと言っている。彼らは、遠距離の脱毛は「精神的なショック」が理由なのではないかと説明するが、日本の都市が空襲で焼け野原になっているのに、広島・長崎以外は、このような脱毛の現象は見られない。とすると、これは放射線の影響以外に考えられない。放射線だとすると放射線降下物の影響以外考えられない。逆算して、この発症率から降下物の影響を引っ張り出す必要がある、ということに気が付いた。

実は今はもういないが、放影研にいた人がマウスを使って実験している。(資料アップ01:05:30-)白い小さい丸は、マウスを使って脱毛率の実験を行った。これも放影研の研究所で行った。正規分布(赤いカーブ)という分布になることが常識なのだが、発症率10%だったら、被曝線量が1.○SVかとわかるわけです。こうやって、さっきのデータを逆算して調べられる。

その結果がこれ。(01:06:18-)爆心地に近い1km以内は、たくさんの人が死んでしまっているので、データが良く無いだろうということで、さっきから求めるとこういうカーブ(赤い四角)が出てくる。近いところは初期放射線の影響をモロに受けている。推定被ばく線量はすごく多くなる。4Gyや(ほとんど4SVと考えていい)という、4SV 浴びると半分の方が亡くなる、そういう数値。

(岩上氏)この間、福島第1原発で、4000mSV、だから4SV検出された・・・

(沢田氏)だからこれだけの線量を浴びたら、急性症状を起こすし、すぐに亡くなってしまうとてつもない線量。それを浴びた人は幸い今のところ居ないだろうと思うが、迂闊に知らないで浴びたら、作業員が亡くなることが起こってしまうだろう。大体1km以内の人は、そういった線量を浴びているので、60日で半分が亡くなるという線量。

初期放射線の影響を差っ引いてみると、距離と共に屋内被曝がメインだということで、赤い点線で下がっていき、2kmでほぼゼロ。この影響を全体から差っ引いてやると、降下物の影響が出てくる。降下物の影響はこう。初期放射線の影響と降下物の影響は(爆心地から)1200mで大体同じになる。それよりも遠距離は、降下物の影響のほうが大きくなる。これまで国が黒い雨を測ったもの、広島だと○○地域というが、ほとんどゼロ。それと比べると数十倍違うということが判った。この違いは主に内部被曝の影響が深刻だと示している。
(01:08:20-)

<放射線の影響・外部被曝・内部被曝> 

(岩上氏)なるほど。つまりここで内部被曝の話にふれなければならないわけだが、体外被曝=外部被曝と内部被曝は全く作用の仕方が違う。別に考えなければならない。ところが今も福島第一原発事故をめぐって大量の情報が報道されているが、どうも混乱している。内部被曝というものが、非常に軽く見られている可能性がある。この点について先生の考えを教えてほしい。

(沢田氏)外部被曝というのは、人間に入ってきて被曝をする時に、電離作用というのが根本。身体を作っている生体分子の原子を結び付けているのが電子。その電子に放射線がエネルギーを与えるわけ。エネルギーをもらった電子は、それまで原子を結びつける作用をしていたが、エネルギーをもらうと自分が飛び出してしまう。

すると、今まで結びつける役割をしていた電子が飛び出していってしまうため、分子が千切れてしまう。これが電離作用。放射線の持っているエネルギーはものすごい。単位で言うと何万電子ボルトとか、何百万電子ボルト。電子が電離作用で飛び出すのは、せいぜい10電子ボルトくらい。だから、一発放射線がやってくると、何百万ヶ所も電離作用で一旦電子が飛び出していく。切断もそれだけ起こる。起こるが、その辺に電子がまだいるので、また繋ぎなおす、修復作用がある。

(岩上氏)修復というのはそういう風に行われるのですか。離れてる電子をもう一回呼び戻すような、やってくるというか・・・

(沢田氏)ものすごいエネルギーをもって飛んでいくので、呼び戻せないが、体内には電子がたくさんあるので、それを引き込んで修復する。

(岩上氏)なるほど。修復とはそういうことだったのか。

(沢田氏)切れたのを繋ぎなおすことをやっている。大量に切断されるが、ほとんど元に戻るから。しかし時々間違った修復をしたり、修復できなかったりということが起こる。そういうことが起こる割合は、切れた場所が近いと間違って繋ぎなおすことが起こりやすくなる。ということは、「電離作用が起こる密度が、濃いかばらばらか」ということで影響が違う。

透過力が大きいガンマ線は、ポツンポツンと電離作用をしていく。電離作用をすれば、エネルギーを与えるから、自分のエネルギーが減る。しかし、ポツンポツンだといつまでたってもエネルギーが減らないから、ずっと透過力が強く、投下していく。しかし、ベータ線という電子は、それに比べれば、集中して電離作用をしていくので、エネルギーの減り方が早い。それでエネルギーを失って止まる。

(岩上氏)速度とか飛ぶ距離なども影響するのか?

(沢田氏)速度はものすごく速い。どんな放射線でも早い。速度が遅いほど電離作用の密度は高くなる。だから、だんだんエネルギーを失ってゆっくりになったら集中して電離作用を起こす。しかしもともと重いものほどゆっくり走るので、重いものほど集中して電離作用を起こす。アルファ線というのは、ヘリウムの原子核。負電子を二つ持っている分、余計に電離作用が強い。紙一枚も通り抜けられないくらいで止まってしまう。皮膚の表面に来たら、皮膚の表面で止まる。これがアルファ線。

しかし、早く止まるということは、集中して電離作用が起きている。ミクロで見ると、傍でどんどんぶった切られるので、誤って繋ぎなおす可能性が急速に増える。
外部被曝のほうは、透過力の強い放射線が身体の中まで入ってきて、いろんな影響を与えるわけだが、内部被曝の場合は、そういった放射性物質を身体の中に取り込む。
(岩上氏)これは当然、放射性物質はいろんな物質があり、その核種によって出す放射線の種類も違う。そこで今話しにでているガンマ線、アルファ線、ベータ線などの影響の違いも核種の違いによって生じるのか?

(沢田氏)放射性物質の前に、放射線の微粒子が身体の中に入ってくるんだが、水に溶けるか溶けないか、油に溶けるか溶けないか。例えば呼吸をして放射性微粒子が5ミクロンより大きかったら鼻毛に引っかかって体内に入らない。5ミクロンより小さいと体内に入ってくる。

1ミクロンより小さいと肺の中の肺胞という袋の壁から血管の中に入ることが出来る。血管の中に入った時、水に溶けやすいものであれば、微粒子はバラバラに溶けて原子分子のレベルになってしまう。例えばヨウ素だったら、その原子分子が甲状腺に集まりやすいとか、ストロンチウムだったら骨髄に集まりやすいとか、そうやって種類によってどこに集まりやすいか変わる。

それが全身をぐるぐる回っている間に、大量に回っているから、甲状腺に集まりやすいヨウ素は、そこで濃縮されて大きなダメージを与える。水に溶けずに壊れないままだと、微粒子のまま身体を回る。どこかに付着すると1ミクロンの微粒子といえども、その中に何百万個の放射性原子核が入っている。付着したところで放射線を浴び続けるので、局所的に被曝をする。そういう微粒子が大量に身体に入ってくれば、身体のあちこちで被曝をしている。

ということでいろんな病気を引き起こす。微粒子が水に溶けるか溶けないか、油に溶けるか溶けないかということでも違う。微粒子がどういう元素であるかということで影響が違う。そういうことを内部被曝の場合考えなければならない。外部被曝の場合は透過力の強さを考えなければならない。内部被曝の場合は、透過力の弱いものが・・・。

(01:15:55-)
僕がこの研究をやっていて典型的に明らかになったことは、「下痢」。下痢は爆心地に近いところは、脱毛に比べて発症率が低い。それは、透過力の強いもの、ガンマ線などが腸の粘膜まで到達しないと、下痢を発症させない。腸の粘膜は薄い。ガンマ線が透過力が強いということは、まばらな電離作用しかしない。薄い腸の粘膜に、ポツンポツンとちょっと修復できる程度で透過してしまう。ものすごい強い量のガンマ線でないと腸壁に傷は残せないので、すごい放射線量を浴びて初めて下痢が起こる。

国側も放射線影響の研究者たちは、「下痢が起こる線量というのは、人々が死ぬる4SVよりもっと10SVくらい浴びないと下痢は発症しない」と未だに言い続けている。しかし実は、1.5kmとか放射線降下物の影響が大きいところでは、脱毛や紫色の斑点ができるよりもはるかに下痢の発症率が高い。彼らは、放射線の影響ではないというが、下痢は身体の中に入ってきた時、内部被曝だと透過力の弱いものが集中して影響を与える。つまり低い線量でも発症率が高くなる。こういうことが放射線の影響を調べると明白だった。そういうことを研究者が明らかにすべきだった。


(岩上氏)これはネットなどで紹介している論文ですか?これは意見書も付いてkますね。

(沢田氏)裁判で使ったから。裁判のものはあまりネットでは公開されていない。

(岩上氏)これは公開しないようにしているのか?

(沢田氏)いや、大丈夫です。

(岩上氏)これを我々でUPしてもかまわないか?

(沢田氏)OKです。差し上げます。

(岩上氏)ありがとうございます。こうやって見てくれている視聴者の中にもっときちんと読みたいという方もいると思うので、その為にレファレンスをつけたいと思う。

(沢田氏)これは川中優子さんという岡山の裁判所で敗訴し、今控訴しているのだが、27の判決では被爆者の側が勝利しているが、唯一岡山地裁だけが、一人しか原告がいなかったこともあるが、全く放射性降下物の影響を考えないで判決を出しているから、今控訴している。

彼女は4kmで被曝している。4kmだとかなり放射線降下物の影響を受けていることは明白。これは先ほど言ったおくけんさくさん、広島のお医者さんが、特に中心地に出入りしなかった被爆者(中心地に出入りすると、残留放射線の影響受けるが、)、そして屋外で被曝すると火傷などで病気になる可能性があるような屋内被爆者と、分けて調べているのはおくさんしかいない。すごく貴重なデータ。

彼の研究結果によると、四角が脱毛、丸が皮下出血。この二つはほとんど距離と共に共通している。しかし下痢(三角)については、近距離は逆に発症率が低い。(資料アップ 01:20:30-)この違いを説明するためには、近距離は、初期放射線による外部被曝、つまり透過力の強い放射線が腸の粘膜まで傷つける。それは大量に浴びなければならないから、発症率が低くなっている。遠距離は、放射性降下物の影響で内部被曝、つまり透過力の弱い放射線が影響を与えているという説明ができる。これをやったのは僕が初めて。

こうした被曝したデータをちゃんと解析すれば、外部被曝・内部被曝の違いは解る。それを全然今までやってこなかった。僕は素粒子専門だから、それまで放射線の影響など研究していなかったが、こうやって研究すると脱毛・皮下紫斑・下痢の症状を比べると、全部違った急性症状を同じ線量で同時に説明できることを見つけた。論文を書いて投稿するが、雑誌に掲載すると大混乱が起きる。科学的な拒否の理由ではなく、「今までと全然違うから、大混乱が起きる」ということで掲載を拒否される。

(岩上氏)どこの雑誌でしたか?

(沢田氏)オックスフォードの出している国際的な雑誌「Radiation Protection Dogimatory」。先ほどのヨーロッパの放射線リスク委員会も自分たちが出した論文のほとんどが毎回拒否されるから、「あなたも根気強く続行しなさい」と激励してもらった。

<ECRRについて> 

(岩上氏)ヨーロッパ放射線リスク委員会=ECRRですね。ECRRについては、いろいろな形で中傷されている。私がツイッター等で少しECRRに触れると、匿名だが恐らく専門知識をかじっている方がせつせつと中傷してくる。こうしたECRRに対する強い批判・非難は根拠があるのか、ないのか?その前提として、先ほど話しかけたが、ECRRはチェルノブイリ以降、科学者の集団として結成されたそうだが、どういう人たちのどんな集まりなのか?その上でECRRを評価するとどうなるか?

(01:24:23-)
(沢田氏)かなり個性の強い人もいる。個性が強くないとああいうところでは頑張れないとは思うが、インゲ・シュミツホイルへーケが会長をしているが、その前はアリス・スチュアートさん(すでに90代で亡くなったが)、彼女は子供の白血病が起こることを一番最初に研究した方。イギリスにおいて真剣に研究された。ロザリー・パーテルさんはカナダの研究者だが、これに関わっている。彼女はアメリカの核実験に参加した兵士たちの裁判で証人になり支援した。内部被曝に関しても丹念に研究をしている。僕が尊敬するようなすばらしい研究者がたくさん含まれている。

(岩上氏)女性が多いですね。

(沢田氏)女性のほうが自分の思っていることをやれるのかもしれない。

(岩上氏)アメリカ或いはヨーロッパといった地域の区分け、ICRPはアメリカの研究者が多い、ECRRはヨーロッパが多いと。

(沢田氏)2008年にギリシャのレスポス島に招待されてエーゲ大学の環境学部とECRR共催で行った国際会議に行った。今話した内容の報告をした。チェルノブイリを研究しているロシア、ウクライナ、ドイツいろいろなところから集まっていた。それぞれすばらしい研究をしている。だから、ECRRを一概に批判するというのは、全然あたらないと思う。そこに集まった人たちが、共通に考えていることは、「国際放射線防護委員会が、内部被曝についてまともに考えてくれなかった」ということ。

(岩上氏)「反ICRP」という単純なくくりではなく、批判するにしても批判の共通の視座があり、それが「内部被曝についてICRPがまともに考えてこなかった」ということ?先ほどの話にさかのぼると、最初の出発点:広島・長崎の被爆者の研究調査の時もアメリカの思惑があって、「放射線の影響を小さく見積もりたい」そういうことが出発点にある。その影響が今日のICRPにも影響を及ぼしていて、「内部被曝について小さく見積もってしまう」ということなのですね?

<原爆集団訴訟におけるICRP専門委員らの共同意見書> 

(沢田氏)長崎の放射性降下物の影響を受けた人は、被曝をしていないということで原爆手帳がもらえないことで裁判を起こしている。私が意見書を書いた。自分の研究した結果を丹念に書いて出したら、それに対する批判の意見書がある。それを書いた人がすずきはじめさん。それに共著者としてずらりと名を並べているのが、ICRPの専門委員さかいかずおさん、ICRP第4 専門委員会員かいさん、たくさんICRP関係になっている人がいる。

すずきさんが書いた意見書は大きな誤りをしている。先ほど僕が説明した脱毛の発症率のグラフ。(すずきさんの資料アップ 01:28:55-)一番大きな誤りは、距離と共に脱毛が変わるかという線だが、このすずきさんは3km以上が1%のバックグラウンドと書いてある。しかし1%バックグラウンドということは、それを引いたら残りの影響だと言っている。バックグラウンドというのは、それ以外の原因で起こったということで差っ引く。だから、1%差っ引くとこの辺は1%以下だから、マイナスになる。初期放射線は2kmのあたりでほぼ終わりなので、全くバックグラウンドで説明できない。

そういう変なことが起こると言うことを、すずきさんは気づかなければいけないのだが、気づかないまま僕を批判するためにこれを書いている。しかもこうやって間違ったことを書いた意見書に、たくさんの人が共著者として名を連ねている。

(岩上氏)同意するという感じですね。

(沢田氏)だから恐らく僕の知っている人も何人もいるので、そういう人たちの名誉を考えると、彼らはちゃんとこれを読まないで厚生労働省から頼まれて、裁判のために名前を貸してほしいと言われて、名前を貸したのだと、善意で想像している。放影研のレベルがそういうレベルなのかと。自分たちで事実から引っ張り出すという研究の経験がないから、こういうことになるのかなと思う。情けない。

(岩上氏)先生はもしかすると厚労省の影響があってやったということであれば、端的に言って知的怠惰・知的不誠実であって、極めて政治的・行政的な権力に迎合的であると言えるし、或いはホントに純粋に考えてこういうことなんだとしたら、無能と言うか、頭がよろしくないという話になってしまう。

(沢田氏)やはり実践的に事実から引き出すということについて、研究集団全体が・・・。中にはまじめな方もポツポツとはいる。こういうことで放射線の影響と言うものが、世界的にこうなっているということ。内部被曝について、インゲ・シュミツホイルへーケさんが論文に書いているが、「もし放影研が遠距離の被爆者や入市被爆者について(一般的には被ばく線量が少ない人たち)丁寧に研究すれば、もっと内部被曝の影響について、もっと科学的に明らかになっただろうに・・・」と嘆きの文章を論文に入れている。
(岩上氏)日本の研究者たちが怠惰なのか、政治・行政的な権力に迎合的だったためなのか、それと同時に、アメリカが出発点だったが日米共同になり、占領され、アメリカの言いなりになってきた歴史もあるが、アメリカの意向を未だに尊宅し続ける属国根性のようなものが根っこにあるのか、どう思われるか

(沢田氏)日本学術会議という科学者の国会だと言われる会議がある。その影響力をどんどん削いでくるやり方をしたのが日本政府。日本学術会議は、日本自身が被爆者を考え、アメリカが被爆者を調査する機関=ABCCに対抗できる組織を作るべきだと提案したが、結局、広島大学に原爆放射線医科学研究所、長崎大学に研究施設を作るだけにしてしまった。規模も小さい。

そこで研究する人も放影研と共同で研究しないと思ったような研究ができない状況がずっと続いた。批判をすると共同研究ができなくなる。放影研が日米共同になり、厚生労働省がお金を出すことになると、お金をもらわないと研究ができないため、あまり批判できなくなる。

被爆者同士を研究している事に対して、日本の科学者の中でも批判があった。一番その批判があったのが1977年、NGO国際被爆者シンポジウムが東京・広島・長崎で開かれた時。シンポジウムの結論として、放影研が被爆者同士を比べる研究ではない、ちゃんとやりなさいと勧告を作って放影研に出したが、結局やめなかった。

その意見をまとめたのが飯島そういちさんという名古屋大学・広島大学両方の学長をやられ、病理学が専門だった彼が、自分の意見をまとめて書いた論文があるが、専門が病理学だから、直接ではないが、そうやって専門の科学者からも批判があった。しかし、それを改めようとしない状態が続いている。

(岩上氏)これはもう科学の機関というよりプロパガンダの機関なんだろうなという気がますますしてきた。(繰り返しになるが)日本の政府の国会に例えるところの日本学術会議の影響力を削いできた。官僚ですね。官僚が主導して民主的で自由に発想する科学者の集団の力を削いできた。政治の世界で起こっていることと、ものすごく並行的ですね。

(沢田氏)それが、共同で原子力研究のスタートと絡んでいる。

(岩上氏)ははぁ。前の平和的利用の原子力研究と絡んでいる?つまり原発のこと?

(沢田氏)そうです。日本が1953年ころからそういう影響をだんだん受けて、1954年3月に中曽根さんと改新党と自由党ともう一つ、3党が議員提案で2億 5300万円、ウラン235とあわせて予算を作ったというのが中曽根さんの説明だ。ということで科学者は、まだ原子力をやるのは時期尚早だと学術会議などで反対した。しかしそういう意見を出す学術会議の影響力を弱める狙いもあり、科学技術庁を作った。科学技術庁は原子力予算をどんどん通した。学者などの意見はそっちのけ。その中心になったのが、正力松太郎さん。彼はCIAの暗証番号をもらっているような人物。

(01:38:00-)
(岩上氏)ポダム。読売の社主。日本テレビの創設者。日本テレビはCIA、アメリカのプロパガンダ、宣伝機関として始まっている。

(沢田氏)彼は54年に富山県から立候補し、当選して56年には発足したばかりの原子力委員会の初代委員長、それから発足したばかりの科学技術庁初代長官を兼ねるということが、そこから始まっている。どんどん日米原子力協定を結んでアメリカの軽水炉を輸入する。学術国会のほうは、原子力を利用した時に、軍事に利用されてはいけない、ということで、平和利用三原則を提唱した。

(岩上氏)『自主・民主・公開』

(沢田氏)そういう要求をしたものだから、一応原子力基本法にはそれが盛り込まれた。それから日本で原水爆禁止運動が起こったので、軍事利用はあきらめたのだと思う。しかし、『自主』というと日本の科学者たちは、「日本は地震国だし、もっと安全性を考えて、十分になったときに始めなさい」と言ったが、アメリカがGEとWestin HouseとGeneral Electricが原子力潜水艦用に作った軽水炉をスケールアップしたものをどんどん日本に輸入した

(岩上氏)原子力潜水艦用に作った軽水炉?

(沢田氏)原子力潜水艦というのは、それまでは時々酸素を供給しなければならないので、浮上しなければならない。おおきな潜水艦を動かすために火力などをつかっていたので、酸素が必要だった。しかし、原子力だと酸素が不要なので、ずっともぐったままいられる。ノーチラス号という原子力潜水艦が作られた。その後もどんどん作られた。小さい規模で運転しようとすると原子炉を小さくしなければならない。すると濃縮ウランをつかわないとできない。濃縮するほど小さい原子力でいい。

そこで一般商業用で濃縮ウランを使う原子炉を作り、日本やさまざまな国へ売りつけ、イギリスやソ連のほうが先に原子力発電を始めていたが、アメリカが市場を独占するために押し付けようとした。もともとはアイゼンハウアー大統領の演説になる。背景はアメリカの濃縮ウラン市場を活性化する、核兵器を持ち続けるという政策によって、CIAや中曽根氏を利用してやったのが、日本の原発。

学者たちは原子力研究所を作った時に、イギリスのほうが先にやっているからと、軽水炉ではないコルダーホール型を輸入し、実験用として運用した。それっきりであとは予算をどんどんつけてアメリカから輸入した。

(岩上氏)結局、アメリカの国益と同時にアメリカの一部企業や資本のもうけのために、日本や日本の官僚や政治家やメディアが抱え込まれて買収され利用され、アメリカの走狗として軽水炉を輸入した。

(沢田氏)福島原発の1号炉2号炉は、地震にすごく弱い沸騰水型で、素人が見ても、圧力容器と下にある圧力抑制室は、見るからに地震が来た時ちがった振動をするだろう、どっちの配管が壊れやすいと・・・。原子力工学専門家も「これはすぐに事故を起こしますよ」と言っていた。にも関わらず、安全だと言って続けてきた。だから福島原発事故でも、1号炉などそれぞれ全部、地震の段階で壊れている。

(岩上氏)そうですね。でも、それをひたすら津波のせいだと言っている。

(沢田氏)電力が喪失したから起こったのだ。NHKでも最近明らかにしてきたように、電源車はちゃんと入ってきたのにつながらない、というのはもともと壊れていたから。浜岡は震源の真上にあるのを安全委員会は認めるなどと信じられないことをやってきた。福島原発の事故が、他の原子力発電所に波及しないように配慮して電源が喪失したからだと言っている。地震をもって駄目になったとしたら、日本の原発はすべて駄目になる。

(岩上氏)なぜこんな無茶苦茶なことをやってきたのか。端的にいって、そこから疑問に入ると、ほとんどの人は混乱する。先生は今まで語られてきたバックグラウンドがあり、原爆の投下から、アメリカの日本占領、占領の影響下で作られてきた放影研という科学の装いをかぶったプロパガンダ機関、日本テレビ、読売新聞などで世論形成をしてきたり、中曽根氏が動いたり、正力松太郎のような人がいたり。こういうものすごいバックグラウンドを理解してもらえると、多くの人がなぜ軽水炉が持ちこまれ、福島第一原発のような形の原子炉が持ち込まれたのか・・・

(沢田氏)ですから、地震国の日本に適合しないものを圧力によって、自分たちのもうけのために輸入してきたというのが日本の電力会社である。

(01:45:20-)
(岩上氏)その背景に、占領国日本がアメリカのいいなりになってきた。アメリカの機嫌を損ねないよう日本の国益を損なってもかまわないから、アメリカの言うとおりにやってきた官僚、財界人、政治家、メディアのトップがこの国で出世をしてきた。その結果として、こういう事故が起こっている。

(沢田氏)戦争犯罪人であったのが釈放されるという条件でアメリカ期待した人たちが1950年代中頃に原発などを含めてやってきた。そして日米安保条約を結ぶなどそういう方向でやってきた。55年体制ができて、それがズーっと最近まで続いてきた。

(岩上氏)今もなお続いていると・・・

(沢田氏)菅おろしの背景に何があるのかは、ちょっとわからないが、日本国民としては大連立・・・

(岩上氏)大連立というのは絵を描いているのは読売だから、読売新聞の社説を読んでいけば、全く持って今の占領政策の継続であるようなこの震災の復興をTPPでやるようなクレイジー極まりないことを平気で12日の時点で書いている。

(沢田氏)国民の立場に立って考えていない。そういうことが未だに続いているし、折角自民党政権がおわり、民主党になっても勉強すればするほど元に帰る。長い間作られた官僚組織に教育されるとそうなってしまう。という構造がずっとある。ほかの被爆者の集団訴訟などをやっていると、厚生労働省とのつながりがあるが、折衝してみると、官僚の考え方は全く変わっていない。裁判で27連敗しても、根本的な理由について理解しようとしていない。未だにこういう反論を出してきて事実を認めようとしない。

(岩上氏)科学的な事実を認めない。それは自分たちにとって(保身も含め)自分たちが、戦後の国体だと思うものを守ろうとしているからでしょうが

<小佐古元内閣官房参与について> 

(沢田氏)だから、今度の福島の原発の事故で、国民のためになる政治をやっていかなければならないと目覚めてくれれば、新しい日本が・・・。東日本を支援しようとする声がある。心のやさしい気持ちが日本人の中にあるのだが、それを具体化するためには、本当に政治をよくしていかなければならない。科学者も事実に基いて考えていく科学者が育っていかなければならない。しかし日本の研究費の出し方が、御用学者を作る仕組みになっている。

(01:49:00-)
先日、内閣官房参与をやめられた方がいますが、僕は集団訴訟で大阪地裁で証言をした。僕の証言と同日、国側の証人が小佐古さんだった。裁判官は、僕と小佐古さんの意見が全くずれているので、裁判官が質問することは普通ないのだが、小佐古さんにもう一回確認のための質問をするといって質問しなおした。その点において、明確に反論はできないから、裁判官は僕が言ったことを信用して判断したのだと思う。

と、同時に弁護団が小佐古さんがどういう研究をやってきたかを調べた。5年前にもまつやさんの時に証言をやっている。その5年間何をやっていたか。毎年何百万円という厚生労働省から科学義援金を代表してもらっている。そのテーマにふさわしい論文を書いているかチェックしたら、一つも書いていない。もらったお金を共同研究所に配分する。配分してる人たちから、どういう研究成果があがったかをもらっているかというと、それももらっていないと答えた。詳しい放射線のデータなども・・・
(01:50:30-)
岩上氏)これは具体的にどなたですか?

(沢田氏)小佐古さん。本人が厚生労働省からお金をもらっているのに、それにふさわしいテーマの論文を書いていない。共同研究者からも研究成果をもらっていない。ということを裁判のなかで答えている。裁判記録に残っていると思う。さらに被ばく線量について質問した。「自分は放射線測定の専門家で、被曝した時にどういう病気になるかというのは大事な問題だが、専門家ではないので答えられない」こういう人が、先日20mSVの問題では「だめだ」といってやめた。彼があそこで涙を流してやめた理由が理解できない。

僕は恐らく、彼は電力会社にお金をもらって、原発は安全だという講演をして回ってきたわけだが、今、東電と政府の間でかなりギクシャクしてきているのだと思う。浜岡原発をストップさせる二日前か三日前に彼はやめている。ということは、内閣官房参与のところで、浜岡を停止させるかどうかの議論があったのだと思う。自分の言ってきたことと違う。彼は電力会社の方に偏っていると思うが、電力会社と政府の関係がギクシャクする、その前にやめたほうがいいと判断したのだと思う。

(岩上氏)かなり政治的な判断ですね。

(沢田氏)その後、僕はいろんなマスコミの人に聞かれたので、「是非彼に20mSVの根拠を科学的に取り直してみたらどうか」と。もともと20mSVに科学的な根拠などない。妥協の産物。答えられるかどうか解らないが、彼がどう答えるか関心があった。しかし彼は記者会見をやらないでやめてしまった。近いうちにやるという話は聞いたが・・・。

(岩上氏)最初の時にやめると言う記者会見があり、民主党の空元議員が同席され、全てその人が代理人になった。私も一回空元さんにこういった形でインタビューをさせてもらった。「私が小佐古さんの考えを代弁します」といって、小佐古氏自身は答えない。空元氏と小佐古氏の考えが必ずしも一致しているとは限らない。我々は確かめられない。とはいえ空元氏が代弁することに対して、小佐古氏は「やめてくれ」などと言わなかったのを見れば、全任しているのだろうと思う。不思議な感じ。

(沢田氏)彼は東京大学の原子核研究所の助手だった。その頃に共同研究で事故を起こして中性子が漏れ出した。中性子はいろいろなところへ広がっていくという論文を書いた。

(岩上氏)え?自分の所の事故を論文に書いたのですか?

(沢田氏)そうです。中性子がどのように広がっていくか。そういう意味では・・・

(岩上氏)何でもネタになりますね・・・。自分のところで起こした事故なのに。それは空元さんが書いたのではなくて?

(沢田氏)小佐古さんがまだ若くて助教だったとき。その後東京大学に移り、どんな研究をやっていたかはその先は知らない。だんだん御用学者的なことになっていったのだと思う。だから研究面では、彼がどういう研究をしていたのかはそんなに有名な研究はないと思う。

(岩上氏)でもICRPの委員になったりしていて・・・

(沢田氏)だからそれは厚生労働省にお金をもらって、電力会社にうまくやってきたことを評価されてなったのだと思う。

(岩上氏)なるほどね。

(沢田氏)60歳で東京大学を定年になった時、まだ彼は助教授のままだった。あまり東京大学では評価されないまま教授になれないでいた。だけど、東京大学でまたなにかの研究所ができたから、そちらに移って教授になれて、活躍できるようになったのだと思う。しかし、彼には特に有名な研究は目に当たらない。

(岩上氏)斑目さんは、今原子力安全委員会の委員長として活躍しているが、ご存知ですか?

(沢田氏)あんまり彼は知らない。小佐古さんは裁判を通じたり、東京大学の原子核研究所に居たりで割合知っているが・・・。
(01:56:30-)

<福島第一原発事故後の政治へのまなざし>

(岩上氏)話を戻すが、福島第一原発事故と、それに対する政府の対応、あるいはメディアの対応を見て、異様な、おかしいとしかいいようがない対応を見ていると根っこは非常に深いものがある。さかのぼると敗戦というところ。その後の占領。占領後に復活してくる新たな支配層の人々とアメリカとの密通関係。これらを見ないと何もわからない。学問もメディアも支配されて

(沢田氏)学問の世界をお金でどんどん・・・。原子力予算は、それまでの研究者がもらっていた研究費とは桁違いの額。日本学術会議との考え方とは違うようなそういう分野の人にどんどんお金を出して原子力村を作った。それと放射線の影響の研究分野においては、厚生労働省からどんどんお金がでるという形で、「行政に従属した科学者のグループを作る。」

(岩上氏)行政はなぜ自国民の国益等を考えないでアメリカの言いなりになっているのか?やはり敗戦か?

(沢田氏)アメリカの言いなりと、大企業の言いなり。電力会社の言いなりという構造がどんどん続いてきた。だから、科学者がまじめに言っていることをまじめに聞かない。東京大学やいろんなところに原子核工学研究所を作って、本来ならそこの人たちが、自発的に研究を進めていき、日本でどういった原子力発電を作っていったらいいのかがやれていればいいのだが、そうではない。今一番心配しているのは、ベトナムやいろんな国に東芝やいろんなところが作った原子炉を売りつけようとしている。

しかし、科学者は全然育っていない。そういうところで原発を作ったりしたら、事故がすごく起こるのではないかと心配している。儲けのために原発を使うなんてやってることが、そこに生活している人の安全だけではなく、ベトナムで事故が起こったら、日本も同じなわけですから。そういうことを全然考えていない。儲かればいいという発想が駄目。

(岩上氏)菅政権は新経済成長戦略というのを立てたが、目玉が何も無い。この原発の輸出だけだった。輸出を進めようとしている人たちが、菅政権の中の内閣官房参与の中に入っていたりする。なので、急には原発推進をやめることなどとても言い出せない。菅政権事体が、官と財界と学と報道と一体になった長年の利権構造の上に座り直した政権だから・・・

(01:59:55-)
(沢田氏)政権が今度の事故を教訓にして、国民のためになるような政治をやってくれる、そういう政治を実現する意識を持たないと、原発問題をきっかけにしているが、もっと広い問題意識を持たないといけない。

(岩上氏)本当にそのとおりだと思う。そのためにどうしたらいいのか先生に伺いなおしたい。先生の見識と幅の広さは、非常にスケールが大きくて、是非また話を伺いたい。

(沢田氏)核兵器廃絶の問題もずっと取り組んできていて、実はフランスのオバニューという町に呼ばれていった。現地の小学生に僕の被曝体験を2日間に渡って話して回った。一般の人たちにも。そのときにはオバニュー市の市長も直接市長が子供たちに話したりしている。ちゃんと計画をたてている。そういうことが核兵器を持っているフランスにそういう都市があることに感激した。「世界中でこういう都市が増えると、必ず核兵器のない世界が実現できますね」という話をしたら、新聞もちゃんと僕の言ったことを書いてくれたりしている。

(岩上氏)あの、ちょっとだけ話を戻させてほしい。大きな話、とても関心があるのだが、今、視聴者は喫緊の課題は福島第一原発の事故であり、その影響、とりわけ先生の話にあった内部被曝の重要性。ICRPは間違っている。内部被曝に対して非常に過小評価している。しかもその理由というのは極めて政治的な理由だと。ただの愚かしさではないと。狡猾さゆえ。先生はそういった言葉を使われなかったが、私が代弁するとこういったことなのかなと思うが。

(沢田氏)今一番大事なことは、爆発で放射性物質が風下に流れていっている。同心円ではない。原爆の場合は、すごい勢いで上昇し、広い範囲で同心円状に影響が広がるが、福島の原発の場合は風下。上空まで上がらずにそのままやってきている。それが降ってきて、特に雨が降ったときなどは地面に残る。今は大気中には放射性物質は無いけれど、地面にある放射性物質が、風が吹いたりしてそれが空気中に舞い上がり、それを吸い込むことになる。

<いくつかの半減期> 

(岩上氏)やはり地上にある放射性物質は、普通の風で舞い上がったりするもの?

(沢田氏)運動したり人間の活動でも影響がある。そういうことを考える時に、これから問題になるのは、ヨウ素のほうは多分半減期は8日だから、測定結果を見ると実情は4日間で半分になっている。福島や飯舘村の測定値を見ているが、半減期は実質は8日だが、その半分の4日間で半減している。ということは、気象的に流されていって、無くなっているから、減っている。ということで放射線の影響は、放射性物質が持っている固有の半減期があり、今問題になるのはセシウム。セシウムの半減期は30年。日本の場合は気象的に雨が多いので、30年よりも短くなると思う。

(岩上氏)これはチェルノブイリとも違うそうですね?

(沢田氏)チェルノブイリは未だに、あそこは雨が少ないのでかなりまだ残っている。特に建物の風上が風が当たる斜面での量が多い。風下側は少ない。福島も同様。山の風上は強く、反対側は少ない。というように地形の影響も大きい。

そういうことを考えると、もっときめ細かくあの地域の放射線を測ってほしい。家の向きでも違うし、雨どいから流れてきた近くは多いかもしれない。気をつけてそういうところに近づかないようにする。いろいろやらなければいけない。その時に、環境半減期を考えないといけない。雨が降れば、広島・長崎もそれで助けられたが、環境半減期は短くなる。

(岩上氏)環境半減期をちゃんと定義しなおすと、環境においての半減期、つまり物質そのものの半減期ではなくて、その環境下における半減期を見るということでいいか。

(沢田氏)はい。長崎でセシウム237の環境半減期が幸い測定されていて、大体7年で半分になる。それは解っている。

(岩上氏)全然違うのですね。それはなぜ?

(沢田氏)やはり雨が多いとかそういう・・・・

(岩上氏)日本は多雨多湿であるということが、チェルノブイリのような内陸性のフラットな大陸とは違うということか?

(沢田氏)僕も気象で汚染された地域でどのくらい雨が降っているかを天気図を見ながら雨の量を見るようになる。雨が降れば、川に流れて汚染させ、海に流れて汚染させるが、土地の方は洗われる。海を汚染されるという点では、気にはなるが、しかし広島・長崎を考えると、海は広いから、地域で被曝をするよりもはるかに影響は少ないと思う。
(02:06:40-)

もう一つ大事なことは、生物学的半減期。セシウム137は、大体100日たつと新陳代謝で体外に排出されて半分になる。200日たつと4分の1。300日たつと8分の1。1年たつと大体10分の1になる。2年たつと100分の1になる。3年で1000分の1になる。しかし、環境半減期はもっとゆっくり。とすると、食物でセシウムを取り込んでまた身体の中に持ち込む。折角生物学的半減期でどんどん排出するのに、また摂取すると、環境半減期によってまた取り込むことになる。そういうことに気をつけて、身体の中に取り込まないようにすることがとても大事。



(岩上氏)となると、先ほどおっしゃった微粒子の吸入の問題であって、その次に大事なのは食べ物からの摂取と言うことになる。それが内部被曝になると。

(沢田氏)内部被曝の場合、先ほどいったように、外部被曝と全然違った基準で計算しなければならないので、取った分が少なくても、すごく深刻な影響を受ける危険性がある。だからそういう摂取をなるべく避けるにはどうしたらいいかを、多くに人に知ってもらって。保健所の全国大会があるので、強調しようと思っている。被曝を出来るだけ避ける。僕が研究したのは、急性症状。もうひとつは晩発性の症状。急性症状はかなり被曝をしないと起こらない。個人差は随分あるが・・・。微量でも起こる人もいれば、僕のように大量に浴びても大丈夫な人もいる。

晩発性症状は、非常に低線量の場合は良くわかっていないが、ある線量のところからは、被ばく線量に比例して、いろんな病気が起こることがわかっている。とりわけ「がん」。だから浴びれば浴びるほど影響は大きい。浴びないに越したことはない。ICRPの基準を作ってはいるが、そういう基準があろうとなかろうと、浴びないようにしていくことが一番大事。

20mSV の問題があるが、事故が起こった時に1mSV~20mSVの間で出来るだけ下げていくようにという一つの努力目標。それを子供たちに適用すると言うのはおかしい。これに対する反対運動がおこって文科省が「努力目標です」とか言っているが、年間1mSVというのは天然で浴びる被曝線量だから、浴びないほうがいいということは、それ以下になるようにしたほうがいい。

<昨今の研究事例から バイスタンダー効果・ホットバーティクル理論など>

(岩上氏)もう一つ疑問が。よく御用学者が言う。「自然にある放射線である程度浴びるが、人工的に事故やその他の原因で人工的な放射線を浴びる。これを比べると、もともと天然の自然放射線でこれだけ浴びていて、みんな平気で生きていられるから問題ないんだ」などという言い方をする。ところがそうじゃないという話がある。粒子の大きさが違うとか。これを説明いただけないか?

(沢田氏)内部被曝と外部被曝で、天然のものは外部被曝。だから、外部被曝の線量として、自然に受けるものよりも少なくしたほうがいいというのは当然。生物は外部被曝の影響を受け続ける中で進化してきた。そういう線量の中で生き残って、地上の生命が生き残っている。だから、それまで浴びたことのないような大量の線量を浴びれば、いろんなことが起こってくる。やはり自然の放射能のレベルよりはるかに大きいものをやったらだめだということを、僕は進化の中で培われてきたものを大幅にずれるようなことはやらないほうがいい。それが外部被曝の場合。

しかし、内部被曝の場合は、どういうメカニズムかまだよくわかっていない。セシウムはセシウムで、大量に取り込めばmSVの単位とはまた違った影響を及ぼす。ぼくがこういう計算をしたのは、同じ習性放射線量で発症率を与える被ばく線量という形でしかできない。ECRRマツビー氏が数式などを考案しているが、内部被曝の場合は、先ほど説明したような水に溶けるか溶けないか、どういう元素であるかによって随分違ってくるので、そう簡単に数式で表せない。僕は、いま内部被曝の定義は、外部被曝と同じ急性症状を発症するだけの線量と比較することはできる。そういうレベルでしか分かっていない。

(岩上氏)マツビー氏の出している数式は、さまざまに批判がある。先生もこれに関しては?

(沢田氏)まだ確立する段階には来ていない。これからマイクロビームといって一つの細胞だけに放射線を当てる技術というものができつつある。日本でも何人かがバイスタンダ効果。放射線を一つの細胞に当てた時にでる症状がその周辺の細胞にも共通に起こるということが見つかっている。

(岩上氏)周辺の細胞は放射線にあたっていない。けれども同じような症状がでる。なぜ?

(沢田氏)理由はこれから解明しなければならない。情報が周辺の細胞に伝わる。その伝わり方がどういうメカニズムかは研究されている。前から言われていたが、マイクロビームで実験して確認されている。日本にも何人かが研究している。こういう研究が進めば内部被曝の研究も進んできて、バスビー氏が考えているような数式に乗っけることができるようになる可能性がある。
科学はどんどん進歩するので、そういう状況も生まれると思う。だけど、集団訴訟の中で、国側がICRPが出してきた内部被曝と外部被曝は共通であるという論文を国側が出してきた。ホットパーティクル理論。

(岩上氏)説明してもらいたい

(沢田氏)ホットパーティクル理論は、水に溶けない放射線微粒子が身体に入ってきて沈着したところには、放射線状に大量の放射線が出てくる。すると周辺の細胞が深刻なダメージを受けて細胞が死んでしまうことが周辺で起こる。それがホットパーティクル理論。それを否定するためにICRPが採用した論文を裁判の中で厚生労働省が出してきたわけ。チャールズという科学者の論文。彼のいくつかの実験でまだマイクロビームなどない実験なので、X線を平行に当てて均一性を作るために、ミリ間隔のスリットを作り、それに放射線を当てて、スリットありとスリットなしを比較した。

(岩上氏)スリットのあるなしはどういう意味?

(沢田氏)スリットの無いものは不均一に被曝する。スリットのところでストップさせたものと直接あたったところとでムラが出来る。さっきのホットパーティクルは、ムラがあるからそういう風にICRPが考えるという論文を採用した。そういう論文の結果は、ホットパーティクルのようなムラのある場合と、均一にした場合では違いが無いということで結論づけた。それしか反論のための論文はない。

だから放射線防護委員会も内部被曝と外部被曝は違わないというのは、その程度しかやっていない。ECRRが2008年に会議を開いた際に、デスボス宣言をだした。国際放射線防護委員会が、内部被曝の研究をきちんとしてその結果にもとづいてやりなさいというのが基本的な宣言の内容。そういう状況が未だに続いている。

(岩上氏)つい最近のことですね。今も科学上の論争が行われている。

<内部被曝の測定について> 

(沢田氏)原発事故などで起こった放射性微粒子を身体の中に取り込む時に、内部被曝の場合は、外で測っている何mSVとかそういうものとは違った影響を受ける。外から測っている線量は外部被曝の線量。これは物理的に測定できる。しかし身体に入った放射線がどういう風に影響を与えるかは、線量計では測れない。今度ホールボディーカウンタでやると言っているが、それは外に出てくるガンマ線が測れるだけ。ガンマ線はまばらな電離作用だから、その近くでベータ線がどういう影響を与えているかとは全然違った影響をあたえているはずだから、わからない。

(岩上氏)WBCでは内部被曝を測れると思っていたが、実はそれはガンマ線だけの話。内部被曝で重要な他の放射線、アルファ線やベータ線は測れないと。

(沢田氏)主にベータ線が問題になるが測れない。だからそれだけで測定して影響がどうだといってもわからない。

(岩上氏)これはどういうふうにしていったらいいのか?内部被曝について。

(沢田氏)測れない。物理的には測れない。ベータ線は2cmか3cm飛んだら止まってしまうので、外からは測れない。どういうことが起こったかを丹念に調べようとすると、被爆者の中で起こったことを逆算して説明していくしかない。しかし、そういう研究はまだされていない。さっきも下痢については内部被曝と外部被曝でデータがあるので説明ができるが、今回は、まだ微粒子がどのくらいの大きさかなどは測られていない。

(岩上氏)これは放射線核種でいうとどれにあたるのか?

(沢田氏)今WBCで計るのはセシウムの影響。今一番問題になるのはセシウム。ヨウ素は半減期を考えると、爆発で出てきたものは崩壊してしまっている。

(岩上氏)海洋中に出てくる汚染水はいっぱいですが?

(沢田氏)そちらのほうは大変だと思う。

(岩上氏)海洋を汚染するといって海は広いから大丈夫というわけにはいかない。

(沢田氏)気化しやすいものが外に出てきている。気化しにくいものは近くにどんどん落ちていっている。大部分は汚染水に入っている。それが海に流れていっている。

(岩上氏)そうすると、プルトニウム、ストロンチウムいろんなものがあるが、水の中にはたっぷり入っている。それがあふれる状態で、冷やすためには注水をやめるわけにはいかないから、汚染水は増える一方。これは既に海洋投棄してしまった。

(沢田氏)僕はすごく広い防潮堤でなく、放射性物質が外に流れないようなバリアを作ってその中に閉じ込める方針を採らなければいけないと思う。海に流したら、国際的にも批判が来るから、

(岩上氏)既にその違反をやってしまっている。

(沢田氏)やっちゃったんですが、それを認めるという政府も国際的に非難を受けている。IAEAがいろんな国々と協力して海洋汚染を調査すると言っている。そうなるとますます日本は信用を失い非難を受けることになる。しかし、日本自身が漁業国。漁民が操業できないような状況。それを継続させることになる。汚染は広がってしまい、再び漁業ができるようになるか期待しているかと思うが、そういうことはちゃんと押さえていかないといけない。

(岩上氏)沿岸の海草を調査していない。濃厚な汚染が発見されることがまずいから、問題から逃げるために、その態度を続けていると思う。

(沢田氏)漁港ごとに荷揚げした魚の放射線を測れるような設備をしないといけない。今は特定の港しか測っていない。サンプリングしかしていない。それでは風評被害も避けられない。汚染が見つかれば廃棄すればいいし、漁業が出来るように支援していかなければならない。そういう処置を政府がやっていない。簡易測定装置は品切れでなかなか手に入らないとは思うが、政府や研究所でもっているものを集めて配布したり、そういう措置をとって、漁業を守る。

農業は上の土をとったら農業ができるようになるかという研究はされている。ひまわりを蒔いてひまわりにセシウムなどを吸い取ってもらう。ひまわりの処理問題は出てくるが。そうやって土地はセシウムが無いようにして、農業を復活できるようにする。いかに早くできるか、そういう措置を国が責任をもってやらなければいけない。

(岩上氏)できているとは言いがたい。いかにして原発を継続するかにまだまだ苦心している。

(沢田氏)そっちではなくて、農業や漁業をどう回復させるか、それを最優先して、住民がいかに早く帰れるか。家のどの辺が危ないかを測定しておけば、帰ってもいいということができるかもしれない。きめ細かいことを政府には、自治体任せではなくて、政府がやらなければならない。

(岩上氏)我々が被災地に対して、特に原発被災地に対して支援できることがあるとすれば、まず一番大事なことは測定なんじゃないかと。その測定の機械もいろいろあると思う。どういうものが必要?

(沢田氏)一番簡単なので、まず簡易線量計でいい。家の中を測って回れる。今測定しているのは、公園の真ん中などでポツンぽつんとやっている。もっときめ細かく、そこに人が住むと言うことを前提に計測し、ここには近寄らないようにしようとかをすれば、住めるようになっていくと思う。


(岩上氏)故郷を失うと言うことは本当に大変な耐え難い苦痛だと思うし、なるべくなら戻れたらと・・・。

(沢田氏)なるべく早く戻れるように、そういう対策をして、戻ってもいいところはどこかをもっとやらないと。飯舘村は全部一度にやったが、京都大今中さんや、広島大の静間さんたちが飯舘村をかなり丹念に測定した。どこがどのくらいか分かっている。村全体をまとめてやるのが行政のやり方だが、場所によって全然違う。何に気をつけてその場所に住めるかということをやってほしい。東電は最近でもまた浴びた人が居たといっている。あんな危険なことを許してはいけない。

(岩上氏)未だにあの作業員と作業現場の現状を公開しない。作業員の会見など求めているが、全くしない。作業環境がどのようなものであるか、全然明らかにならない。我々は裏から当事者に取材することもできるが、堂々と公開しないといけない。

(沢田氏)原子力基本法というのは平和利用の「自主・民主・公開」の三原則。公開の原則を守ってもらわないと。

(岩上氏)そういう姿勢が全く東電からは感じられない。

(沢田氏)東電に任せている。本当は保安院が独立した機関であれば、権限をもってやらなければならないが、今IAEAに批判がされて、菅内閣もサミットでは独立させると言っているが、

(岩上氏)保安院の独立性を高めるとか。今更ながらという感じがするが。

(沢田氏)アメリカでは安全規制委員会は3000人から4000人のスタッフがいる。独自に原発へ派遣し、独立して監視できる体制がある。本当は日本でも緊急にそういった国民の立場に立って安全性を監視し、作業している人たちの環境を指導することをやらないといけない。それを東電まかせにしている。東電は利益優先。隠蔽する体質が残っている。

(岩上氏)安全監視の前に、原発やめたほうがいいんじゃないかと思う。

(沢田氏)やめないといけないと思う。僕が一番駄目だと思っている理由は、運転すればするほど、放射性廃棄物が出来ていくのに、その処理方法が何も分かっていない。どんどん蓄積する一方。その処理は未来の人たちに責任を負いかぶせる。そして我々は電気をどんどん使っている。すごく不道徳。だから原発は事故があろうとなかろうと放射性廃棄物は出来ていく。これはやるべきではない。

(岩上氏)今回の福島第一原発の事故でも、使用済み燃料、もう廃棄物になったのかと思われるものが実は非常に危険だということが分かり、熱を帯びていて、それが爆発して建屋が吹っ飛んであたり一体を汚染することが明らかになった。

(沢田氏)火力発電はCO2などで問題があるが、運転をとめればそれでおしまい。ところが原子力発電は、運転してエネルギーを出すが、核分裂エネルギーを使うのだが、核分裂によって放射性物質が出来て、放射性物質が放射線を出し続ける。そのお守りを何十万年もやらなければいけない。そういうものがずっと残る。

<マスコミによる原発存続キャンペーンについて> 

(岩上氏)これは核燃サイクルでなんとかなる、六ヶ所村にもっていく、MOX燃料を燃やして夢の永久エネルギーのようなことが可能だと言うプロパガンダがずっとされてきた。

(沢田氏)それは燃料のことであって、核生成物の処理問題はまったくそっちのけ。今の電力コストには、それが全然考慮されていない。原子炉を廃炉するときのコストも考慮していない。結局、電源立地などで税金をそちらへ放り込んで、電力会社もコストが安いといって儲けている。本当のコストはもっと高い。アメリカでも計算され、コストは安くは無いと言われているみたいだ。未来にツケを残すようなものを今やってはいけない。

一方で、国民の中で電力不足で駄目になるのではという不安もあるが、国の責任でちゃんとやれば、再生利用エネルギーの重点化は可能だと思う。少なくとも普通の家庭の電力は、太陽電池をやることによってほとんどがまかなえるようになる。ただし、しばらくはコスト高になるかもしれないが、行政も今補助をしている。そうとこが増えていけば、コストはどんどん下がっていくと思う。

独自の電力の需要は、自分でまかなえるようにしていく。水力発電は、大きなダムではなく、昔の水車小屋のレベルの発電で今すごく効率がよくなっている。だから、農村地帯に送電線を張り巡らせて持ってくることをやらないで、地域で発電していくことをやっていけば、農村地域の発電もまかなえる。これも政府が決意してやれば出来る。ということで、分散型のエネルギー、これが集合すれば、電力会社に電気を売ることができるくらいになる。電力不足は全く問題にならなくなる。日本の場合は、水力は再生利用エネルギーとしては有効。

(岩上氏)こんなに傾斜があって、こんなに雨がふって、

(沢田氏)水がたくさんある。水道水はどこを探しても日本のほど恵まれている国はない。その水道水と同じレベルで水力発電をやっていけば、日本はものすごく恵まれが国になる。ドイツよりもはるかに再生利用エネルギーに転換しやすい。潮流発電や地熱発電なども有力。国がちゃんと政策を決めれば、菅首相も転換すると言っているが、実情は逆戻りの様子が見られる。意識を変えてそっちに向かっていけば、実現できる。その辺を国民全体も納得して、原発がなくなったらどうしようなどとマスコミがやりはじめて少し心配。

(岩上氏)圧倒的なキャンペーンですよ。というか非常に巧妙化していて、朝のテレビで例えば「今日の電力」なんてことをやる。「今日の放射能」やりなさいよと言いたい。

(沢田氏)昨日もクローズアップ現代を見ていたら、電力不足どうするかと。全然おかしい。

(岩上氏)最低だとしかいいようがない。NHKは特に初期ああいう報道がクローズアップ現代も含めて、クローズアップは良心的な番組だと思われていたが、ものすごく信用性を失ったと思う。NHKの重要な財産だったと思う信用を失ったと思う。

(沢田氏)クローズアップは、かなり信頼されていた。

(岩上氏)全く信用できない番組になりました。がっかり。NHKの報道全体が問われていると思う。もちろん読売とは比べようがないが、

(沢田氏)日本テレビのディレクターになった人が名古屋や岐阜に来た時に、「自分はやめる覚悟で報道する」報道規制が行われているのですね?

(岩上氏)もちろん。当然です。

(沢田氏)日本テレビは正力さんが作ったテレビ局だけあって、すごい規制が厳しいらしい。

(岩上氏)私はフジテレビのとくだねという番組にずっと十何年出てきて、今度辞めるのですが、この十何年やってきて、「こういう言い方をしてください」「これをやらないでください」と言われたことはほとんどない。自由に発言してきた。

しかし、この間1,2,3号機のメルトダウンの際、メルトダウンという言葉を使わないで、炉心溶融という言葉を徹底した。全てのメディアと政府が。もうメルトダウンですよ。僕はメルトダウン使いますよと言って番組でも使った。この間菅総理の会見で、メルトダウンという言葉をあえて使って質問したら、総理自身がソレに釣られて何度も「メルトダウン」とお答えになって4,5回使っていたので、この縛りも解けたでしょう。

しかしこんな言葉狩りの一つも含めて、情報の操作を行う。メディアの中にいれば、間違いなく感じること。最近メルトスルーとか言ってますけどね。意味がわからんという気がする。メディアは明らかにコントロールしようと、情報操作しようという姿勢ははっきりある。

(沢田氏)計画停電とかで国民を脅すやり方を東電は取った。露骨。本当は原発を辞めて、再生利用エネルギーのほうへ行くことを国のレベルでやらないとできない。それが実現できれば、原発問題が解決されれば、すばらしい国になる。まだ完全に安全なところまでは来ていない。東電の計画を見ていても、まだわからない。

(岩上氏)全然油断できない。だいぶ時間を過ぎたのだが、先生には長時間お話を伺ってありがとうございました。

(沢田氏)資料を。これは岡山で使っている資料で、僕が考えていることがまとまっている。あとは論文などの資料など・・・・。

以上。








2012年11月10日土曜日

放射線モニタリングデータ 米国エネルギー省DOE

放射線モニタリングデータ 米国エネルギー省DOE (4月7日版)

今まで独、墺、仏、ノルウェーの情報ばかり見ていたのですが、フランスIRSNも解析に米国DOE(エネルギー省)、NNSA(国家核安全保障局)のデータを使って解析を加えていたので、USエネルギー省のウェブサイトを見てみました
日本の状況についてまとめているページがちゃんとありました。
IRSNのように、数日~1週間間隔ぐらいで情報を更新しています。航空機を飛ばして上空から線量を測定、また日本に派遣したチームが設置したモニタリングポスト、日本の測定値も使ってモニタリング結果の公表と、DOEによる評価がプレゼン資料として添付されています。

更新されていくデータはこちらにまとめられています。
3月25日、29日、4月4日、7日に更新データがリリースされています。

いつものように素人訳つけておきます。


2011年3月22日
米国エネルギー省の福島地区放射線モニタリングデータの公開

米国エネルギー省は空中モニタリングシステム及びConsequence Management Response(被害管理対応)チームが設置した地上検出器から得たデータを本日から公開する。復興及び対応に関し米国が日本サポートに努める一貫として、この情報は日本政府にもシェアしている。

3月15日、国家核安全保障庁(NNSA)から33名の専門家は7800kgを超える装置とともに日本に到着した。
日本国内の米国領事館及び米軍基地に初回配備後、チームはそれぞれの専門技術を用い、評価、調査、モニター、放射線エリアのサンプル採取などを手伝っている。33名のチームメンバーは既に日本に入った6名のエネルギー省担当者と合流。
日本に到着後、NNSAチームは40時間を超える国防総省飛行機のフライトと、1000以上の地上モニタリング地点から得られたデータをまとめ、分析している。
集められ解析されたデータは本省のウェブサイトに掲載している。
人々の健康や安全に関係する重要な情報をシェアするという大統領のコミットメント(約束)にのっとり、ウェブサイトに更新データを毎日掲載する努力を本省は行う。
NNSA緊急対応力に関してより情報が必要な場合は、www.nnsa.doe.gov 


4月7日リリース版
オペレーション要旨
・空中測定システムは合計して262時間を超えるフライト時間で、空中モニタリングオペレーションをサポートしている。
・国家核安全保障庁NNASの被害管理対応チームはエネルギー省、国防総省、日本のモニタリング機器で約10万の実測値を集積した。
・米国機関により日本中から採取された大気サンプルは240に及び、現在米国の研究室にて解析中である。

解釈のためのガイド
・米国の放射線評価は空気及び地上での測定からなり、地上に落ちた物質の放射性レベルを示している。
・核測定値は当該場所で1時間あたりにヒト一人が受ける放射線量に相当する。加速器質量分析データは地面から1メートル離れた場所で測定された時刻での照射線量率である。
・福島原発敷地外での測定値はすべて、<0.013 REM/hrであった。低い線量であるが、重大ではない、とは言えない線量である。

地上及び大気中モニタリング結果(3月30日~4月3日)  1 REM = 0.01 Svです。
Sv/h = 100 rem/h

1uSv/h = 0.0001 rem/h = 0.1 mrem/h

10uSv/h =  1 mrem/h
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大気モニタリング結果 (2011年4月6日)

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評価
4月8日までの測定値に基づく評価は以下のとおり:
・落ちた放射性物質の減衰が早いことから、放射線量の中で最も多い成分は放射性ヨウ素であることが示唆される。
・40.2km離れた場所の放射線量は一貫して非難や強制疎開が必要なレベルより低い。放射線量は引き続き減少している。
・3月19日以降、放射性降下物は検出限界以下である
・米軍基地及び米国施設で測定された放射線量率はすべて32 uREM/hr (u マイクロ = 100万分の1)を下回っている、この線量では健康に対するリスクは知られていない。
・原発から数百平方km内では、農作物のモニタリング及び可能な介入が必要となる:
  ・農業対策の決定に唯一確実な方法は、土壌と水サンプルである。
  ・農産物のサンプリングが必要なエリアを同定するのに地面のモニタリングははより良い信頼度が得られる。

曝露率傾向 北西方向
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背景
米国原子力規制委員会(NRC)はアメリカ人平均被爆量は 620mRem/year (0.071 mRem/hr)と概算している*。
飛行機での大西洋横断での平均被爆は2.5 mRem*。
一般的な胸部X線は1画像で、10mRem。
環境保護庁(EPA)のガイドラインでは、4日間に渡って1000 mRemを超える被爆がある場合、国民の健康に対し対応を求めている。
       * 引用元、原子力規制委員会
       1 Rem = 0.01 Svです。

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在日仏人に対するフランス当局福島原発情報/推奨事項① (4月8日版)

フランスIRSN(放射線防護原子力安全研究所)が日本在留仏人に対してリリースした”福島原発情報/対応に関する書面”の英語版がウェブサイトに掲載されたのに昨晩気付きました。
フランス語原本は4月8日にリリースされているようなので、情報としては古いですが分かりやすくまとめてありますし、こういう状況下でどう対応すべきかも、”安全””安全”ばかり繰り返す日本のマスコミ、テレビに出てる専門家、政府と違って、何が危険で避けるべきか、対処法について具体的に2章に記載されており有用なので、素人訳をしてみました。
福島第一原発の状況、居住者への一般的推奨、放射性環境汚染及びその影響に関する一般的情報

福島第一原発事故
第2報 2011年4月8日

この情報は、東京のフランス大使館のチームを含む放射線防護専門家を有するIRSN(フランス放射線防護原子力安全研究所)より作成されたもので、日本在住のフランス国民に対しての情報である。

1. 事故状況とその影響に関する要旨
この章では福島原発で実行業務と、被災した原子炉からの放射性滲出の入手可能データ、この事故の環境への影響についての主な情報をまとめる。

1.1. 福島第一原発の状況

3つの原子炉(第1、2、3)は未だに大きな懸念である。真水が現在原子炉とプールの冷却に使われている。いくつか状況の進展(例:冷却水注入ポンプは可動式バックアップ電源ではなく、現在は通常の外部電源で動いている)が報告されているものの、冷却水注入という自体は不安定なままであることを意味している。4月6日以降、1号機の水素爆発の可能性を最小限にするため、東電は原子炉格納容器に低速で窒素を注入している。2号及び3号機の格納容器でも後ほど同じ作業が実施されるであろう。これらの作業は、各原子炉で数時間続き、その結果新たな大気中への放出が起こることになる。

3つのユニットのタービン建屋内にある汚染水は、冷却を確実にするための持続的な原子炉への放水と、2号機及び3号機の原子炉容器又は格納容器からおそらく漏れてしまった水、であろう。ポンプによる排水を、特に1号機で現在行っている。処理しなければならない水量と高レベルな汚染水であるため、この作業はやや扱いにくいものとなっている。2号機のタービン社屋に隣接するピットの亀裂は、高濃度汚染水を海に直接垂れ流す原因となった。東電はケイ酸ナトリウムを注入し漏れ口を塞ぎ、日本現地時間4月6日午前6時頃にこの放出を止めた。

4月4日以降、東電は「わずかな汚染」と称する意図的な海水への排出を実施している。この排出はタンクに溜まっていた1万トンの廃液が主で、事故前から処理・排出を予定していたものである。東電はこの作業について、被災した3つのユニットの建物内に存在する高濃度汚染水を回収するのにタンクのスペースを空ける必要があるため、としている。この汚染水の排出は今週末までに終了すべきである。加えて、津波による建物の浸水の影響ではないかと思われる第5、第6ユニット建物内の約1,500トンの汚染水の海への廃棄が計画されている。
ここ数日原発周辺で採取された海水の測定値から、損傷したユニット内にある高濃度汚染水の一部が流れ出た結果として海洋環境の高レベルな汚染が明らかとなっている。→別のIRSNレポート参照
大気中への放出(揮発性汚染プルーム)はおそらく継続しているが、初回事故後の最初の1週間に行った格納容器減圧作業での放出量よりは小さいと思われる。これから2、3日後にかけての大気への放出は既に汚染している現在の環境に対して更に顕著な増悪を加えるものではない。
1.2. 3月15日以降の東京における放射能測定値の履歴

東京で測定された放射能(エアロゾル)の結果を、以下の図に示す:
- 福島第一原発事故放出物の大気中への拡散による放射性汚染のピークは3月15日で、風向きが東京へ向いた日である。
- 3月16日も空気の放射性汚染は検出可能であったが、レベルはかなり減少した。
- 3月21日~24日かけて再び東京で大気汚染が確認された。到達したレベルは3月15日よりも低いが、この期間に降った雨により放射性物質が落下し、東京のフランス大使館に設置したIRSN Teleray放射線モニターで測定した周辺線量率は2倍増加した(下図参照)。3月21日に急激な上昇を認めた後、3月21~23日間に幾つかピークが続いており、これらはの測定値は雨による落下物や、この期間に空気中に漂っていた放射性物質による放射線の影響を示している。線量率は130~140nSv/h (nナノはuマイクロの1/1000)に達し、自然放射線により多くの地域で通常測定される値に匹敵する。(といっても日本の平均自然放射線量は世界平均より低く、西日本より東日本は低い。震災前の東京の値は約30nSv/h。1 μSv/h = 1000 nSv/h
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3月23日以降、東京の人工放射性核種は影響をもたらすほどではない。放射性落下物から出る放射線は Teleray放射線モニターが線量率として検出する。線量率は落下物に含まれる放射性物質の短い半減期による減衰に従って、一定の間隔で減少している。例えば、4月8日時点では 84 nSv/hである。

1.3. 2011年4月7日の地震

日本時間4月7日23:23pmに、50kmの深さで地震があった。震源地は本州の東海岸から数km離れたところに位置し、女川原発から約20kmのところであった。津波警報が発令されたが、後に警報は解除された。
福島第一原発への影響は無かった。
しかしながら、他に3つの原子力施設、女川原発の1~3号機、東通原発の1号機、六ヶ所の燃料貯蔵プールがこの地震の影響を受けた。外部供給電源の一時的な停止が報告されたが、バックアップディーゼル発電により施設への電力供給が維持された。この電力停止により冷却が止まったことで核燃料貯蔵プールの温度が一時的に上昇した。更に、女川原発1~3号機建物内の燃料貯蔵プールの僅かに汚染した水が少し溢れ出た。最終的に、女川原発の運営者(東北電力)は建物内で他の漏れは無く、装置の損傷も無かったと報告した。(←ここ英語版そのまま訳すと、漏れもあって損傷あり、になってしまう・・・要フランス語原本確認
現在までにこの地震に関連する放射性物質放出のデータは無い。


2. 日本在住のフランス国民への推奨事項
損傷した原発からの放射性物質の放出は日本のいつくかのエリア、特に原発に隣接する4つの県に放射性汚染をもたらしている。以下に記す推奨事項の目的は、放出物による放射線曝露をできるだけ小さくすることである。空気中に拡散する放射性物質による直接的被爆(放射性プルームから放出される放射線の外部被爆及び放射性粒子の吸入)は、現時点での放出がそれほど重大でないため、基本的にもうリスクではない。今日現在における主な被爆のリスクは、大気からの落下物による汚染した食品の摂取に関連することである。放射性汚染に最も影響される食品は、葉物の野菜、牧草や飼料を摂取する動物の牛乳である。福島県の特定地域及び原発周辺30km区域では、重大な落下堆積物が同定されており、また長期間の曝露状態にあっては重大な放射線量になると思われる。
必然的に以下の推奨事項は、日本当局が定めた測定値を適応させる手法を阻むものではない。

2.1. 日本在住の全てのフランス国民への飲食に関する推奨

IRSNは以下を推奨する:
- 2011年3月11日以降の福島県、栃木県、茨城県、宮城県、群馬県産の野菜(ホウレンソウ、鼻ワサビ、カキナ、小松菜、レタス、食用菊、キャベツ、セロリ、ブロッコリー、青梗菜、パセリ)及び生鮮牛乳の摂取を避ける。
- 上記の県から出荷された生鮮食品は規制基準値よりも高い放射線量が確認されており、埼玉、東京、神奈川、千葉での消費は施行されている日本の規制に準じている。
- 生鮮食品の放射性核種及び線量に関しての情報が無い場合は、できる限り、食事を変更し、葉物野菜(ホウレンソウ、花ワサビ、カキナ、小松菜、レタス、食用菊、キャベツ、セロリ、ブロッコリー、青梗菜、パセリ)の長期間にわたる摂取を控える。
食事の準備、調理での水道水の使用には制限はない。密閉パッキングに保存された食品(缶詰、乾物、長期保存可能な牛乳、ボトル入りミネラルウォーター)はリスク無く摂取できる。
規制基準より若干超えた汚染食品を時々摂取したとしても、健康には重大なリスクを及ぼさないことを注記しておく。

2.2. 放射性落下物の影響を最も受ける地域に住むフランス国民への推奨事項
一般的に言えば、やむを得ない場合を除き、宮城県、福島県、茨城県へ行かないことを推奨する。放射性落下物から出る外部放射線量によって、不必要な被爆を避けるためである。放射性落下物は特定地域、特に福島県の北西において考慮すべき量になっている。これらの県に在住するフランス国民は日本当局から発令されている以下の指示に従うことを勧める。いかなる場合においても、IRSNは以下を推奨する:
 - ボトル入りミネラルウォーターで赤ちゃん幼い子供たちの食事を準備する。
 - 家庭菜園で収穫した食品の消費を可能な限り抑える。
 - フルーツや野菜はしっかり洗う。
IRSNは建物内へ汚染物質が入ることを抑えるために家庭での基本的な衛生管理を推奨する。
 - 靴は屋外に置く。特に雨天時。
 - 濡れた布で床を定期的に拭く。
 - 換気口・換気装置を掃除する。
 - 家具、カーペット、敷物の表面を定期的に掃除機をかける(掃除機の紙パックは定期的に交換する)。
手が口に接触するような無意識な汚染リスクを最小限にするため、手を定期的に液体石鹸で洗うことも推奨する。


在日仏人に対するフランス当局福島原発情報/推奨事項② (4月8日版)

IRSNが日本在住のフランス国民に対してリリースした情報①の続きです。1~2章の情報は前の記事をご参照ください。 (素人訳です)

3. 放射性環境汚染の情報とその影響
事故後環境(空気、土壌、水)に放出された放射性核種は複雑な物理的法則に従う運命にある。IRSN(フランス放射線防護原子力安全研究所)はチェルノブイリ事故後数年間に渡ってこの研究を行ってきた。この章の目的は、その研究の結果のシェアであり、環境の放射性汚染による生態系及びヒトへのリスクのより良い理解とリスク予測を可能にする。

空気中への放出が続き、事故で生じた放射性プルームが完全に消失するまで放射性核種、(エアロゾル状又は水に可溶な気体)の一部は2つの相補的プロセスに従って地上に落ちる (下図参照)。

- 乾燥落下物:空気中の放射性物質が土と接触し、地表面に形成される。空気中の放射性物質がより高濃度になればなるほど、また空気汚染が長引けば長引くほど、乾いた落下物の量は増える。
- 濡れた落下物:雨や雪が降った時のみ形成される。このタイプの落下物は、雨滴や雪片は空気中の放射性粒子を濃縮して地上に運ぶためこのタイプの落下物は同一地点において乾燥落下物よりもかなり大量になる。
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福島第一原発周辺での放射性落下物の地理的拡散は不均一かつ複雑になる。地理的拡散は、数日間に渡った原発からの放出により形成された放射性プルームの継続的な流れに加え、原発からの放出されていた期間の降雨場所及び降雨範囲の両方に依存する。その結果として、落下した放射性物質の量も、原発からの距離だけでなく、放出期間にあった降雨領域及び実際のスポット(地点)に依存する。「放射性落下物のスポット(地点)」は原発からある程度離れたところにも出来る。
米国航空機(DOE米国エネルギー省/NNSA国家核安全保障局)を使って数日前実施された放射線量の測定結果に基づき、既に地上に落ちた放射性核種の曝露により外部被爆を受けている地域住民が1年間に渡って被爆する線量をIRSNは算出した。推定値を以下の地図に示す。この推定値は、以前の放射線量を超えるような地元の食品を摂取することで生じる内部被爆を考慮していない。ここに示した、放射線量の初回推定値は新たな測定値が利用可能になった際に再検証する必要がある。
2011年3月30日~4月3日に実施された米国航空機DOE/NNSE(米国エネルギー省/国家核安全保障局) の空中測定値に基づく、外部放射線による一年間の被爆線量の推定
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この地図は、疑いなく降雨や降雪によって放射性汚染物質が拡散するエリアで、落下物の影響が他のエリアよりも非常に重要であると思われる数10 kmに渡る国土の北東~南西の一部を示したものである。

比較として、フランス在住のヒトが年間被爆する全身線量は、主に自然放射能及び医療による被爆で、平均3.7 mSvである。(日本の平均自然放射線量は世界平均より低いけれど、日本の医療ではCTやX線撮影による被爆量が海外に比べると日本では多いことが指摘されてるので・・・。グーグってみると日本人の平均被爆[自然+医療]もだいたい3mSv/yearぐらいのようです。)
4. 結論
東京や東京周辺での生活は健康に現実的なリスクを引き起こさないが、今後2、3週間は生鮮食品の産地に特に注意し、損傷した原子炉が完全に安定化していない状況である限りは警戒態勢を採用すべきである。

- * - * - * - * - * - * - * - * - * - * -

一度だけリリースされた日本のSPEEDIデータを見ると、上図よりもかなりシビア。一日中外にいるという厳しい条件下で計算すると、3月12日から13日間の累積で100mSvいってしまった地域が原発周辺地区に広がっている。
IRSNの上図は外部被爆だけしか考慮していないし、『>●mSv』の記載だと、最大値がどこまで達しているのかについては隠されているけれど、原発の北西部は特に・・・というのは両解析とも同じ。
原爆、核実験、チェルノブイリにしろ一回にぐわっと放射線放出されてしまった場合のヒトへの影響データはあるけれど、今回のようににぐわっときてから1か月にも渡ってちょろちょろ垂れ流し状態の場合、10年後などどうなるかなんてヒトのデータは皆無なはず。妊婦、赤ちゃん、子供の安全を考慮すると保守的にならざるをえないと思う。
震災から東日本にいるヒトは低レベル放射線量を長期間受けた場合どうなるか、の疫学研究での対象者になっちゃいますね・・・。

首相が原発周辺は当面住めないと言った、言わない、とうだうだ報道されているけれど、チェルノブイリ事故後、その近距離に住めた人はいたのだろうか?
過去の経験を思い出せば、チェルノブイリ事故の約1割の放出量と保安院安全委員会が12日に発表したとはいえまだ落ち着いていない状態・・・、こうなってしまった時の現実のシビアさは素人でも容易に想像できるのだけれど、それって悪いことなのだろうか?
むしろ、非難だけしてる場合ではなく、現実を直視し、いかに最小限に食い止めるか(世界からすでにブーイング状態。日本自身がこの非常事態をマネージできないのなら、迷惑こうむっている外国が宣戦布告し、介入する理由にもなると言ってる人(アタリ氏)もいるぐらいで・・・)、福島県知事などはフィルムバッジを配布し、RI従事者が毎年受けるように住民の血液検査、被爆への対応をもっと現実的に実行すべきなんじゃないか、って思っちゃう。やっぱり子供達の将来を優先してほしい気持ちです。










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