「除染」が如何に”マヤカシ””デタラメ”であり、莫大な費用を投じても決して元の生活には戻れないということについては、本ブログにて何度もコメントしてきたとおりである。
ここ最近、新聞・TV報道をみていると、とにかく「除染」を進めれば原発周辺住民が元の生活に戻れるかのように”大プロパガンダ”が繰り返されているゆえ、警鐘を鳴らすべく、五月蝿いぐらいにコメントさせて頂いている次第である。
今回紹介する記事をご覧いただければわかるように、幾ら徹底的と思える「除染」をおこなったとしても、放射線量は1マイクロシーベルト/h前後以下には下がらないのである。
にも拘らず、政府・大手マスゴミは”グル”になり、とにかく一通り「除染」をおこなって、住民を元の住まいに帰らせることで事態の収束が図られたことにしようとしているのである。
「冷温停止」とは程遠い状況にも拘らず、「冷温停止状態」という”言葉遊び”によって「事故収束」を演出し、あからさまなペテンにより国民を騙さんとする政府は勿論、これに同調する官僚・マスゴミら”原発利権村”の連中は、その”確信犯的”犯行により刑事罰に処するべきであろう。
以下の記事の中で、もう一点、山内教授は「水の流れに沿って時間と共にセシウムが濃縮する」という重要な指摘をしている。
川の上流から下流域に向けて、時間と共に放射性物質が堆積することによって、特に東日本各地域の下流部にあたる東京・埼玉などでは、今後放射能による”新たな脅威”に直面することであろう。
「今生きている人はこの放射性物質と死ぬまで付き合わなければいけません。原発事故とはそういうものなのです。」という言葉が非常に重たく響くと感じる次第である。
(転載開始)
◆除染しても拡散する放射性物質 子どもや妊婦はまず避難してほしい 神戸大学・山内知也教授
11月 22nd, 2011 エコ&ピース月刊誌『Actio』
福島第一原発事故で政府が定めた避難区域外からも高い線量が計測されている。
その一つが福島市の渡利・大波地区だ。除染活動が行われたが、効果はどれほどだったのか。
現地を調査し、欧州放射線リスク委員会(ECRR)の報告書翻訳にも携わった神戸大学の山内知也教授に話を聞いた。
プロフィール▼やまうち・ともや
1962年生まれ。神戸大学大学院海事科学研究科教授。研究分野は、イオントラック、放射線物理、放射線物性、放射線計測。ECCR2003、ECCR2010の翻訳に携わる。文科省が福島県の小学生・中学生の被曝限度を20mSvにした問題に対し、2011年4月21日「児童・生徒の被ばく限度についての申入書」を文部科学省と原子力安全委員会に提出。その後も「子どもには年1ミリシーベルトを適用すべき」と4度にわたって国に申し入れた。
「放射能汚染レベル調査結果報告書―渡利地域における除染の限界」http://www.foejapan.org/energy/news/pdf/110921_2.pdf
<除染をしても事故前には戻らない>
◇現地調査の結果はどうでしたか?
結論的には元に戻っていません。福島市の渡利地区ではモデル事業として、通学路の予備的な除染が7月24日に行われました。私も現地で計測したり、報告書などに目を通しましたが、限界があることがはっきりしました。
福島市の計測結果によると、平均して元の値の7割ぐらいにしか下がっていない。空間線量も1~2マイクロシーベルト/hと高いままです。
家の除染も難しい。大波地区では各家を順番に回る本格除染が始まっています。一番最初に除染したお宅へテレビクルーと一緒に訪問しました。以前はきれいな庭だったと思うのですが、すべて土がはぎとられ、庭木も根こそぎなくなっていました。その土の上の線量が0・5マイクロシーベルト/h、神戸の空間線量の10倍です。
壁は高圧洗浄水で洗ったのか、まだら模様です。よく見るとモルタルの上に塗られた塗料がはげていました。その表面で線量を計ると0・6マイクロシーベルト/h。線量の高いところでは0・9マイクロシーベルト/hとなっていました。
家の中も1マイクロシーベルト/hの場所が随所にあります。恐らく屋根の汚染がとれておらず線量が下がっていないのだと思います。その結果、室内の放射線レベルが高くなっている。しっかり時間をかけて高圧洗浄を丸1日やっているのですが、屋根瓦ににセシウムが付着して取れないのです。
このように本格除染として取り組まれているレベルでも、事故前のレベルには戻りません。原発事故以前の10倍、20倍の空間線量が残ってしまうような除染です。完全に取り除くには屋根瓦を葺き替えるしかありません。
コンクリートにもセシウムが吸着しているので、洗い流すのは困難です。特に古いコンクリートは放射性物質がしみこんでいる。コンクリートや道路のアスファルトをはがして家の外側を全部つくりかえるぐらいまでしなければ事故前の状態に戻すことはできません。
<水の流れにそって濃縮するセシウム>
◇高圧洗浄しても汚水は流れます
その通りです。水で流すのは除染ではありません。側溝は除染の水が流れこまなくとも、雨が降るたびに屋根などからの水が流れてくるので線量が高いところです。首都圏でも同じで、側溝に流れ込んだ水はスラッジプラントに行き、スラッジが非常に高いレベルで汚染される原因になっています。
しかも福島市の渡利地区は背後に山があり、大波地区は山間の町です。住宅が山林に隣接しているので、雨が降れば山林から里にセシウムが流れてきます。そのため時間の経過とともに線量が高くなっている場所があります。
私が6月に調査した時、7・7マイクロシーベルト/hや11・5マイクロシーベルト/hなど高い数値を示していた場所は、3ヶ月経つと20マイクロシーベルト/hを超えていました。水の流れに沿ってセシウムが濃縮しているのです。
今セシウムの汚染マップを作っても1年、2年と時間が経つごとに分布図が変わると思います。たとえば首都圏ではホットスポットが話題になっていますが、これは街の中でのセシウム分布が偏ったからです。
もともと一様に降り積もったものが、雨に流されて雨どいの下にたまる。あるいは排水路に水が集まり、穴が開いていたりすればどんどんセシウムが溜まっていく。つまり除染しても、ある場所からは除去されるかもしれないが、水の流れで別の場所に濃縮します。
今後は水の流れが行き着くところ、河川などにも注意しなければいけません。実際、阿武隈川下流の宮城県の河川敷で放射線量がどんどん上がっています。福島県から流れてきた放射性物質の影響です。東京に近いところでは霞ケ浦の線量がこれから上がると思います。群馬にも放射性物質が降っていますので、これからセシウムが下流の埼玉・東京の河川に堆積していきます。
雪が降れば春に溶けて流れる。梅雨・台風の季節になればどんどん上流から運ばれてくる。今生きている人はこの放射性物質と死ぬまで付き合わなければいけません。原発事故とはそういうものなのです。
(続きは本誌1321号でお読みください)
※本誌1321号 http://actio.gr.jp/2011/11/20223249.html
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