2012年5月12日土曜日

クリプトン85は放射性のクリプトンで、自然界には存在しません-再処理工場の被ばくに影響のないものなどない!


クリプトン-85(85Kr)


半減期 10.76年


崩壊方式
ベータ線を放出して、ルビジウム-85(85Rb)となる。小さな比率でガンマ線が放出される。


生成と存在
人工的につくられる放射能。天然では、宇宙線と大気中のクリプトンの反応で生じるが、その量は少ない。存在量の測定を試みた1940年代後半には、アメリカの核兵器製造のための再処理がおこなわれたために、大気が汚染されていた。その時の測定値に基づいて空気1m3あたり0.001ベクレル以下と推定されている。
人工的には、核分裂による生成が重要である。1メガトン(TNT換算)の核兵器の爆発で400兆ベクレル(4.0×1014Bq)が生成する。電気出力100万kWの軽水炉を1年間運転すると、1.5京ベクレル(1.5×1016Bq)が生成する。
図1に、大気中のクリプトン-85濃度の時間変化を示す。


図1  大気中のクリプトン-85濃度の時間変化
「元素の事典」 p.133



現在の大気中濃度は、「核の時代」以前の1,000倍以上の1m3あたり1ベクレル以上になっている。大気圏内核兵器実験と再処理工場からの放出が汚染の原因であるが、最近は発電炉の使用済み燃料の再処理の寄与がほとんどすべてである。


化学的、生物学的性質
クリプトンは希ガスの一つで、他の物質と反応せず、体内に蓄積されることはない。


生体に対する影響
放出されるベータ線は水中で3mmまで届く。被曝は皮膚表面の外部被曝に限られる。吸入による体内の被曝線量は、体外の空気中にあるものによる線量より低い。近年の大気内濃度である1m3あたり1ベクレルの場所に1年間居た時の皮膚に対する線量はほぼ0.0004ミリシーベルトになる。


再処理工場からの放出
使用済核燃料を再処理すると、核燃料中に含まれる全量が大気中に放出される。六ヶ所村では、年間800tの使用済み核燃料を処理し、33京ベクレル(3.3×1017Bq)のクリプトン-85を大気中に放出する予定である。排気は高さ150mの排気塔から放出される。気象条件によっては、施設の近くだけでなく、遠く離れた青森、弘前、八戸のような都市にも多量のクリプトン-85で汚染された空気が到達する恐れがある。


放射能の測定
1m3の空気を採取し、冷却して1ccのクリプトンを回収して、ベータ線を気体計数管で測定すれば、大気中濃度が得られるよい。大気中濃度が高い場合は、ガンマ線の測定も地用できる。




放射線エネルギー(100万電子ボルト)ベータ線, 0.687 ((99.6%); ガンマ線, 0.514 (0.434%)
比放射能(ベクレル/g) 1.45×1013
比放射能(ベクレル/cm3) 5.0×1010
排気中又は空気中濃度限度(ベクレル/cm3) 1×10-1

以上《古川路明》様から

http://www.cnic.jp/themes/plone_taste02/logo.gif
クリプトン85は放射性のクリプトンで、自然界には存在しません-再処理工場の被ばくに影響のないものなどない!

 3月17日、青森県の『東奥日報』、『デーリー東北』紙上に、「青森県商工労働部資源エネルギー課」が『いっしょに考えましょう-原子燃料サイクル』という全面意見広告を掲載しました。その内容について、説明が不十分または誤解を招きやすいと考えられる点について、補足・解説します。
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【「青森県商工労働部資源エネルギー課」の意見広告】
●Q.1 再処理工場からはどんな放射性物質が出るの?
 A.1 再処理工場から出る主な放射性物質はクリプトン85、トリチウム、炭素14です。
  放射線を出す物質を「放射性物質」と言います。原子力発電所で使用した燃料を再処理するとクリプトン85、トリチウム、炭素14などの放射性物質が出ます。これらの放射性物質は、自然界でも絶えずつくられていて、もともと私たちの身の回りにあります。
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◆◆◆【クリプトン85は放射性のクリプトンで、自然界には存在しません】◆◆◆

◆放射線を出す物質を「放射性物質」といいますが、以下の解説では「放射性物質」と同様な意味で「放射能」と表記します。

◆自然界にクリプトンという物質は存在します。しかし自然界に存在するクリプトンは、クリプトン78、クリプトン80、クリプトン82、クリプトン83、クリプトン84、クリプトン86という6種類の、放射能ではないクリプトン(安定同位体)だけです。クリプトン85は放射能のクリプトン(放射性クリプトン)で、自然界に普通では存在しません。したがって、クリプトン85について言えば、【自然界でも絶えずつくられていて、もともと私たちの身の回りにあります。】という表現は明らかに間違いで、誤解を与えるものです。

◆放射能を持ったクリプトン(放射性同位体)はクリプトン85の他、クリプトン79、クリプトン81、クリプトン83m、クリプトン85m、クリプトン87、クリプトン88、クリプトン89などです。クリプトン85や他の放射能を持ったクリプトンは、核実験(核爆発)や原子力発電所の運転によって生み出される放射能(放射性物質)の代表的なものです。現在大気中で測定される放射性クリプトンの多くは、核実験(核爆発)や原発の使用済み燃料の再処理によって大気中に放出され存在するようになったものです。また放射性クリプトン81は、宇宙線によって生成され大気中に存在します。


高木『核燃料サイクル施設批判』p.173


◆放射能でないクリプトンは大気中の体積の0.000114%(1.14ppm)しか存在せず、地球上に存在する気体の中でも最も量の少ないものです。
しかし第2次世界大戦以降、核実験の実施、原子力発電や再処理工場の運転によって放射性クリプトン85の大気中の濃度はどんどん上がっています【図=大気中のクリプトン85の経年変化参照】。1955年から1970年の間に約15倍(北半球)に増加しています。この増加は核実験に起因するものでしたが、核実験が中止された70年代以降はほとんどが核燃料再処理工場を原因として増加しています。今日まで運転された大型の再処理工場は、英(セラフィールド)、仏(ラ・アーグ)など数ヶ所で、これらの工場によってそれ以前の核実験の量を上回るクリプトンが日々大気中に放出されています。六ヶ所再処理工場の運転によって大気中に放出される放射能の中でもクリプトン85は最大の量で、表1(下記参照)にあるように毎年3.3×10の17乗=330,000,000,000,000,000Bq(33京ベクレル)が六ヶ所村の上空に放出されます。放出の方法も、高さ約150メートルの排気塔から排風機を使って時速約70キロメートルの速さで大気中に放出されます。膨大な量の放射性クリプトンを放出するため放出口では許容濃度をはるかに超えているのですが、非常に高い排気塔から加速して排気し大気中に拡散することで薄めてしまうから、地上に降りてくるときに濃度が低くなり問題ないというのが国や日本原燃の説明です。

◆クリプトンは、無色無臭の気体状でしか存在しない放射能です。放射性のクリプトン85は半減期10.76年の放射能で、ベータ線を出して他の放射能(ルビジウム85)に変わります。気体なので閉じこめておくことが難しく大気中に漏れやすく、半減期が長いため大気中に蓄積するので、クリプトン85は大気中に貯蔵されるといっても過言ではありません。クリプトン85は原発の核燃料の中で発生し、再処理工場で最初に使用済み燃料を剪断(切断)する瞬間に開放されます。六ヶ所再処理工場では、開放されるクリプトン85を全量大気中に放出することになっており、毎年大量(330,000,000,000,000,000Bq=33京ベクレル)に放出され、広範囲な汚染を引き起こすと考えられます。またベータ線を出すので、工場周辺の住民の皮膚被ばくの原因となります。さらにチェルノブイリ原発事故の被ばく問題の解明から、血液中で染色体異常を起こす可能性も指摘されています。

◆クリプトン85を捕獲する技術は、東海再処理工場などでも開発され、回収作業が一部行われています。低温で吸着剤(活性炭など)に吸着させる方法です。六ヶ所再処理工場でも当初クリプトン85の回収施設が計画されていました。1988年に青森県議会に提出された資料(当時の北村知事名で出された「再処理施設予定地の地質に係わる『内部資料』」)には、「クリプトン処理建屋」が明記されていました。この資料には「トリチウム処理建屋」も記されていました。しかしこれらの施設は、費用がかさむこと、さらに回収したクリプトン85の貯蔵・処理などの問題が解決できないなどの理由から建設が放棄されてしまったのです。


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【「青森県商工労働部資源エネルギー課」の意見広告】
●Q.3 再処理工場から出る放射性物質の影響はどうなんだろう?
 A.3 再処理工場周辺で受ける放射線の量は、自然放射線よりもかなり小さいものです。
 再処理工場から出る放射性物質は、できるだけ取り除き排気筒(気体)や海洋放出菅(液体)から出されますが、その人体への影響は、最大でも年間約0.022ミリシーベルトと評価されています。
 (中略)
 この年間約0.022ミリシーベルトという値は、法令で定められた基準年間1ミリシーベルトの約50分の1、自然放射線の約100分の1、国内地域差の約10分の1です。再処理工場周辺で受ける放射線量は、私たちの日常生活には影響がないレベルと言えます。
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◆◆◆0.022ミリシーベルトは単なる計算値◆◆◆
 
◆六ヶ所再処理工場から放出される放射能は、気体、液体が下記の表のように放出されます。

表1
気体廃棄物中の放射能量
測定項目事業指定申請書記載の数値(Bq/年)
クリプトン853.3×1017
トリチウム1.9×1015
炭素145.2×1013
ヨウ素1291.1×1010
ヨウ素1311.7×1010
その他核種 
α線を放出する核種3.3×108
α線を放出しない核種(注1)9.4×1010
(注1)クリプトンー85以外の希ガス、ヨウ素-129、131以外のヨウ素は除く


表2
液体廃棄物中の放射能量
測定核種判定基準(Bq/年) (事業指定申請書記載の数値)
トリチウム1.8×1016
ヨウ素1294.3×1010
ヨウ素ー1311.7×1011
その他核種 
α線を放出する核種3.8×108
α線を放出しない核種2.1×1011



◆国や事業者、青森県は【再処理工場から出る放射性物質は、できるだけ取り除き】としていますが、クリプトン85の例にあるように、技術的に除去可能な放射能の除去を日本原燃は怠っています。また国もそれを認めています。気体廃棄物としては表1にあるようにク放射性リプトン85が33京ベクレル、トリチウム(三重水素:放射能の水素)は1900兆ベクレル、放射性炭素14が52兆ベクレル、放射性ヨウ素が280億ベクレルなどです。これらの放射能は、高さ約150メートルの排気塔から排風機を使って時速約70キロメートルの速さで大気中に放出されます。

◆同様に廃液として海に捨てられる放射能は表2にあるように、トリチウムが1.8京ベクレル、ヨウ素2130億ベクレルなどです。六ヶ所村の沖合3キロ、水深44メートルに設置された海洋放水管の放出口からポンプを使って時速約20キロで放出され、十分に希釈されるのでこれも安全性に問題はないというのです。

◆放射能の量というのはほとんど計算です。しかし問題は例えば「計算コード(ORIGEN)」の信頼性や、様々な入力数値の誤差の考え方、仮定の不確実性などさまざまにあります。何重もの仮定と計算コードを使って仮定に仮定を重ねた計算をするという評価の方法は、確実なものではありません。これらの仮定が正しいのか、はっきり実証されているデータはわずかです。さらにこの不確実な放出放射能量から、国や日本原燃はさらに恣意的な仮定を重ねて年間0.022mSv(22マイクロシーベルト)という被曝量を計算し「問題ない」と言っています。放出量さえこの値に収まる保証もなく、被ばく量は事業者の都合のよい条件で計算したものでしかありません。

◆放出放射能量は単なる計算値にすぎず、この値に収まる保証はどこにもありません。国の計算は、例えばヨウ素フィルターは99.9%の効率で放射能を除去する前提で計算されていますが、フィルターがこのとおり機能するかどうかわかりません。さらに排気塔や放水管から放射能が放出されると、それはどこかへ飛ばしたり流してしまうだけで、放射能が無くなるわけではないのです。むしろ放射能を拡散することによって、汚染を青森県以外の広い範囲に拡大することになります。飛ばしてしまう放射能、流してしまう放射能は、どこでどのような汚染や被ばくを引き起こすのか、調査されてもいません。

◆六ヶ所再処理工場から排出される放射能は、すべて原子力発電によって生み出されたものです。ほとんどのものは、自然界には存在しない人工放射能です。なぜ【法令で定められた基準年間1ミリシーベルト】という"被ばくの基準"があるかと言えば、日本で55基もの原子力発電所を運転しているため、自然放射線以外の人工放射能による被ばくを予定しなければならないからです。日本に原子力発電所や再処理工場がなければ、このような放射能からの被ばくを問題にする必要もなく、法律で被ばく量を定める必要もないのです。

◆被ばくに許容量などない!

 さらに一番重要なことは計算の値がどのようなものであっても、「被ばくが認められる量」などというものはない、ということです。【自然放射線の約100分の1】や【法令で定められた基準年間1ミリシーベルトの約50分の1】の比較は、それがどのような数値であっても六ヶ所再処理工場の稼働によって、毎年毎年これだけの被ばくを六ヶ所村の人々に押し付けるものです。さらに国の審査の対象にならなかった、膨大な量の"飛ばしてしまう放射能、流してしまう放射能"については、全く考慮されていません。これらの放射能は必ず自然の中で汚染を引きおこし濃縮され、人間社会に戻ってくるのです。このような汚染や被ばくを強要することなど、誰にも許されないことは自明です。
クリプトン85地表濃度に関する原燃の著しい過少評価
ラ・アーグでの実測値は原燃計算値の600万倍にも
―ラ・アーグでの実測値と気象指針による計算値との比較―


1.クリプトン85地表濃度に関する日本原燃の計算方式
 六ヶ所再処理工場では、クリプトン85は全量が高さ150mの排気筒から放出される。クリプトン85は、99.6%の確率でベータ線だけを放出し、残りの0.4%でベータ線とガンマ線を放出するが、実効線量に対して効くのは基本的にガンマ線である。
 日本原燃による実効線量の計算は、再処理施設安全審査指針の指針2(平常時の線量評価)の指示どおり、気象指針に基づいて行われている。排気は排気筒からさらに高く吹き上がるとされ、大気安定度によって異なるが、原燃の標準では吹き上がり高さは190mである。放射能雲(プルーム)の中心は常にその高さの位置にあるとされ、風に流されつつ上下左右に拡散すると仮定されている(原発施設の場合の下図参照)。風速は一般に高さによって異なり、排気筒高さでは大きく地表面では小さいが、計算ではプルーム全体が排気筒高さでの風速に従って流されると仮定している。排気筒近くでは、プルームが下まであまり拡散してこないので、地表面濃度は小さいという結果になる。
 はたして気象指針による計算は妥当なのだろうか。フランスのラ・アーグでは、実際に地表面でのクリプトン濃度が測定されているので、それと比較することによって妥当性を調べることができる。その結果、日本原燃の計算結果は、特に排気筒近くで著しい過少評価になっていることが明らかになる。
2.日本原燃も取り上げているラ・アーグでの測定結果とCTA
 青森県が2006年2月7日に公表した資料に添付されている日本原燃の2月7日付参考資料1には、ラ・アーグでの測定結果の一部が、下記の参考図1のグラフで紹介されている。


 そこには、1秒間当たりの排気筒からの放出率(Bq/s)と風下地表面でのクリプトン濃度が一つのグラフに書かれている(赤い線が濃度)。このグラフの例は、その右側に書かれているように、排気筒高さ100m、風下距離1000m地点、排気筒高さでの平均風速11.1m/s、大気安定度Dの場合であった。このデータは上記出典※1に書かれているが、それはフランス環境省の原子力安全・保全研究所(Institut de Protection et de Sûretê Nuclêaire)が行った実測のレポートである。
 そのレポートでは、日本原燃が引用しているグラフを含めて34の測定データが報告されている。各データごとに前記のグラフと同じように、風下距離、排気筒高さでの平均風速、大気安定度が報告されている。大気安定度はC型が4例で、残りの30例はすべてD型であった。
 そこで実際に報告されているのは大気流動係数CTA(Coefficient de Transfert Atmosphêrique)と呼ばれる量である。例えば前記のグラフには3つの山が見られるが、その山ごとに、一定時間の平均放出量と対応する平均地表面濃度を読み取ることができる。後者を前者で割れば、1秒間に1Bq放出したときの地表面濃度が得られる。これがCTAである。つまり、
    CTA=1秒間に1Bq放出したときの真風下での地表面濃度
前記グラフの例では、3つの山に対応した3つのCTAが得られている。
3.気象指針を用いたCTAの計算
 そこで今度は、日本原燃が採用した気象指針の計算方式をそのまま用いて、ラ・アーグの各測定例のCTAを計算してみる。ここで計算するのは、六ヶ所の場合ではなく、ラ・アーグの測定条件(排気筒高さ100m)の場合である。
気象指針の計算式は4つのパラメータを含んでいる。排気の吹上げ高さH、平均風速U、風下距離Xでの拡散の水平方向幅及び上下方向幅をそれぞれ決めるσyとσzである。このうちUは排気筒高さでの実測値で決まり、σyとσzは大気安定度A~Fについて各計算方式が気象指針に書かれている。
 問題は吹き上がりの高さHであるが、これは大気安定度に依存して決まるような計算式が日本原燃の申請書に書かれている。また、日本原燃の前記参考資料に、標準の場合として、六ヶ所の排気筒高さ150mの場合には190mを採用すると書かれている。ここでの計算対象はラ・アーグ排気筒高さ100mの場合であるが、日本原燃と同じ吹上げ比率(190/150)を用いて吹上げ高さH=125mの場合を計算する。また、比較のためにH=100mの場合も計算しておく。
 
4.計算結果と結論-日本原燃の計算への大きな疑問
 出典※1のレポートに書かれている34例中の大気安定度D型の30例について、気象指針によりCTAを計算した。H=125と100の場合の計算結果を、測定値とともに、下記の最初のグラフで示している。横軸は排気筒から風下方向への距離である。これを見ると、気象指針による計算値は予想通り排気筒近くで著しく下がっているが、測定値の方は意外と排気筒近くでも下がっていないことが分かる。また、吹き上がりの高さHが大きくなると、地表面濃度が相当に大きく下がることも分かる。
 次に、測定値と計算値の比を考え。比R=CTA(実測)/CTA(気象指針)は、毎秒ある量が放出されたときの地表面濃度に関する実測値と計算値との比を表している。その結果を下記の第2のグラフで示している(線は近似式を表す)。排気筒からの距離が小さいほど、ラ・アーグでの実測値は気象指針による計算値を大きく上回っている。距離が575mでは、600万倍もの値を示している。逆に気象指針は、実際の600万分の1程度の値しか実現していないということである。ということは、排気筒の傍であっても、気象指針に反して、クリプトン85が予想外に早く地表面に到達することを示している。
 さて、地表面におけるクリプトン85濃度が原燃の計算値(その元は再処理施設安全審査指針の方式)と大きく異なり、日本原燃は著しい過少評価をしていることが明らかになった。このことは否定しようのない事実である。そこで日本原燃や原子力安全・保安院は次の点について明確に答えるべきである。
(1)日本原燃(及び安全審査指針)の計算方式による地表面におけるクリプトン85濃度がラ・アーグでの実測値と比べて著しく過少評価になっていることについて、どう考えるのか。
(2)この事実を踏まえると、クリプトン85による実効線量の計算結果も過少評価になっている可能性があるが、それについてどう考えるか。
(3)クリプトン85からのベータ線照射による皮膚の等価線量の過少評価についてどう考えるか。
(4)原燃の評価では、炭素14など他の気体放射能もクリプトンと同じ拡散挙動をすると考えている。大気中放射能からのガンマ線照射以外のすべての被ばく(大気中ベータ線、地表沈着によるガンマ線、呼吸、農産物と畜産物の摂取による被ばく)はすべて放射能の地表面濃度で決まる。その地表面濃度の過少評価によるこれら被ばく線量の過少評価をどう考えるか。

(注)地表面濃度に関する事実から直ちにクリプトン85による実効線量が同じ比率で高い値を示すと結論することはできない。なぜなら、前述のように、実効線量をもたらすのは基本的にガンマ線であるため、地表面に居る人から十分離れた上空などのプルーム全体からの照射で実効線量が決まるからである。つまり実効線量は、クリプトン85の地表面濃度だけでなく、広い範囲の濃度分布で決まるのである。その濃度分布をどのようなモデルで捉えるかによって、実効線量は異なってくる。




ペガサス・ブログ版さま、ブログより

再処理で放出されるクリプトン85について [社会]

スパイラルドラゴンさんから,クリプトンガスの性質に付いての記述を付け加えてみてはとの提案をいただきましたので,少し調べてみました.クリプトン85の生体への影響などの詳しいデータは,ふつうの放射線の本などにはほとんど見られません.国際放射線防護委員会(ICRP)の77年と90年の「勧告」にも見つかりませんでした.公的な文書の中でようやく見つけたのが,ヨーロッパ議会が2001年に発行した「セラフィールドおよびラ・アーグの再処理施設からの有毒物による効果の可能性」の第4章です.
http://www.wise-paris.org/english/reports/STOAFinalStudyEN.pdf
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以下が該当部分の翻訳です.末尾に原文を付けます.またその後ろには,核データなどを付記しています.
4章 放射性物質の排出によるリスクの評価
4.2. 集団線量
4.2.4. 再処理プロセスで放出される重要な放射性核種
4.2.4.2. クリプトン85
 クリプトン85は半減期10.7年の,強いベータ線・ガンマ線の放射能である.これは核分裂生成物であり核燃料の内部に留まっているが,再処理プロセスで放出される.大気中に放出されたクリプトン85は,ベータ線により皮膚への外部被爆を,またガンマ線による一様な全身被爆を起こす.クリプトン85の一個の崩壊による線量は小さいが,放出されるクリプトン85の量は非常に大きく,再処理で放出される核種のうちで最大である.したがってクリプトン85からの線量は相当なものになる.クリプトン85は放出から数年で地球大気中に一様に分布してしまうので,クリプトン85による集団線量は重要である.
 クリプトン85は不活性ガスで,現在のところ,ヨウ素129や炭素14とは異なり,生命サイクルに入り込んだり,生物相に取り込まれたりすることはないと考えられている.クリプトン85による線量の評価は,実験データではなく理論モデルに基づいている.一時的,非定常的な被爆に関するデータは極めて少なく,それらから長期間の被爆量を信頼性を持って見積もることは困難である.
以下,文献情報と原文です.
Publisher: European Parliament
Scientific and Technological Options Assessment
Title: POSSIBLE TOXIC EFFECTS FROM THE NUCLEAR REPROCESSING PLANTS AT SELLAFIELD AND CAP DE LA HAGUE
Authors: WISE - Paris,
Date: November 2001

4. RISK ASSESSMENT OF RADIOACTIVE RELEASES
4.2. COLLECTIVE DOSES
4.2.4. Important Radionuclides in Reprocessing Releases
4.2.4.2. Krypton-85 (85Kr)
Krypton-85 is a strong beta-gamma emitter with a half-life of 10.7 years. It is a fission product retained in reactor fuel until released during reprocessing. Krypton-85 released to atmosphere exposes people to external beta irradiation of the skin, and to uniform whole body gamma irradiation. Although the dose from a single decay of krypton-85 is small, the amounts of krypton-85 discharged are very large − the largest of all nuclides emitted by reprocessing. Accordingly doses from krypton-85 are appreciable. Krypton-85 distributes uniformly throughout the earth’s atmosphere within a few years after release, so collective doses from krypton-85 are important.
Krypton-85 is an inert gas and is currently not thought to enter life processes nor be incorporated in biota, unlike iodine-129, carbon-14 and tritium. Krypton-85 dosimetry is based on theoretical models rather than experimental data. The little data which exists refer to acute, non-equilibrium exposures: it is difficult to estimate long-term doses reliably from such information.
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核データ,化学データ
クリプトン85は1崩壊あたり,99.6%の確率で最大エネルギー0.69メガ電子ボルトのベータ線,0.4%の確率で最大エネルギー0.17メガ電子ボルトのベータ線と0.51メガ電子ボルトのガンマ線の組,を放出します.
典拠 http://t2.lanl.gov/cgi-bin/decay?203,3646
   http://t2.lanl.gov/data/decayd.html
化学便覧によると,クリプトンの水に対する溶解度(詳しくはオストワルド溶解度係数)は,20℃で0.067です.(ちなみに炭酸水やサイダーでおなじみの炭酸ガスの溶解度は同じ温度で0.94です.)

2012年5月3日木曜日

核爆発実験に伴う放射性降下物(以下「フォールアウト」という。)に起因する放射線


第1章 環境放射能とその監視対策の現状

第1節 環境放射線(環境放射能)(注)
我々の生活環境には至るところに放射線が存在するが,この環境放射線を放射線の発生源別にみると,(i)自然放射線,(ii)核爆発実験に伴う放射性降下物(以下「フォールアウト」という。)に起因する放射線,(iii)我が国の原子力開発利用に伴う放射線及び(iv)その他の放射線源からの放射線(例えば,原子力軍艦の寄港に起因する放射線)とに分類される。
原子力との安全規制の目的は,これらの環境放射線のうち,我が国の原子力開発利用に伴う放射線から国民の健康と安全を護ることである。
しかしながら,放射線の被ばくを受ける国民の立場にたつと,原子力開発利用に伴う放射線のみが被ばくの要因となっているのではなく,自然放射線やフォールアウトに起因する放射線など他のすべての環境放射線からも同時に被ばくしているので,国民全体の被ばく線量を推定し,評価するという観点からは,まず,環境放射線による被ばくを総合的に把握し,その後,我が国の原子力開発利用に伴う放射線の国民被ばくに与える寄与を明らかにすることが必要である。

ところで,環境放射線のうち,国民全体の被ばくに影響を与える因子は,自然放射線とフォールアウトに起因する放射線である。この二種類の環境放射線は,我が国では原子力開発利用が全く推進されない場合でも存在する放射線であるので,いわば,原子力開発利用推進にあたってのバックグラウンド放射線を構成するというべきものである。
このうち,日本全国を対象とした自然放射線に関する調査は,科学技術庁放射線医学総合研究所において,昭和42年度から52年度にかけて,日本全国にわたる第1次現地測定が行われた。この調査は,現在もさらに継続されており,内容の一層の充実が図られている。

一方,日本全国を対象としたフォールアウト調査は,我が国における環境放射能調査の基盤をなすものとして,昭和36年に内閣に設置された放射能対策本部(本部長 科学技術庁長官)を中心として,本格的調査が開始され,今日に至っている。
フォールアウト調査を主目的とする環境放射能調査は,フォールアウトに起因する放射線から国民の健康と安全を護るために必要不可欠なものであるのはもとより,その調査方法は原子力開発利用に起因する環境放射線による被ばくを把握するための手段と基本的には同じものである。
本章においては,自然放射線に関する調査,フォールアウトに起因する環境放射能の調査等の現状を明らかにすることとしたい。

(注)「放射線」と「放射能」との相違は,付録Iを参照のこと。この年報では、特にことわらない限り、「環境放射線」とは環境中に存在する放射線のことをいい,「環境放射能」とは環境中に存在する放射能又は放射性物質そのものを意味する用語として使用している。ただし,「環境放射能調査」又は「環境放射線モニタリング」という用語は,おのおの環境放射線及び環境放射能の調査,又は監視という広い意味で使用している。



第2節 自然放射線に関する調査
自然界にはあらゆるところに放射線源が存在し,人間はその誕生の時から絶えず自然放射線を受け続けて生活してきている。
すなわち,空からは宇宙線により,また,大地や建築材料の中に含まれる自然放射性物質から放出される放射線により外部被ばくを受けるとともに,飲食物等とともに身体の中に取り込まれる放射性物質からの放射線により内部被ばくを受けている。このほか,海水中にも放射性カリウムなどの放射性物質が存在している。
これらの自然放射線のレベルを把握するための調査研究が,広く内外で進められている。その調査結果によると,自然放射線による被ばく線量は,地域的にかなりの差異があり,また,同じ地点でも時間的に変動していることが判明している。
まず,自然放射線の地域差についてみると,例えば,科学技術庁放射線医学総合研究所において実施された調査の結果によれば,自然放射線による日本国民の平均被ばく線量は全身線量で年間約100ミリレム(0.1レム)〔より正確には年間93ミリレム(0.093レム)〕であるが,県別の地域差は年間で40ミリレム(0.04レム)程度であると報告されている(図1-1参照)。
図1-1 我が国の自然放射線による被ばく線量(ミリレム/年)
図1-1 我が国の自然放射線による被ばく線量(ミリレム/年)

しかし,これまでの調査結果では,自然放射線量の異なる地域に居住する集団を比較した場合,放射線が原因で比較集団の間に人体影響の差が認められるとの知見は得られていない。
一方,同一地点における自然放射線の時間的変動も観測されている。例えば,大地から大気中に放出される放射性物質(ラドン,トロン等)の大気中濃度は,地中の状態や大気中の湿度,降雨などの気象条件によって大きく変動することが知られている。
自然放射線による被ばくは,このように,地域的,時間的な変動はあるものの,他の人工放射線源と比較すると,長時間にわたって比較的一定の割合で全世界の人間集団が受けてきた被ばく形態である。

放射線の発生源が自然放射線源であるか人工放射線源であるかを問わず,それから放出される放射線の種類,そのエネルギー及び人体への吸収線量が同じであれば(すなわち,レム値で表わした放射線量が同じであれば),放射線が人体に及ぼす影響は同じである。
これらの事実を念頭に置きつつ,自然放射線源による被ばく線量は,人工放射線源による被ばく線量と比較するための,一つの基準レベルとして,しばしば使用されることがある。この観点からも,自然放射線のレベルを把握することは,国民線量を推定,評価する上で重要である。



第3節 フォールアウトに起因する環境放射能の調査
我が国において,フォールアウトに起因する全国的な環境放射能調査が本格的に開始されてから,既に,20余年が経過した。
ここでは,これまでに行われてきた環境放射能調査の実績を振り返りつつ,その実施の現状について述べることとする。
1 フォールアウトに起因する被ばくの特徴
放射線源としてのフォールアウトに起因する被ばくは,次の諸点において,他の人工放射線源からの被ばくと異なる。
第一点は,既に述べたように,フォールアウトに起因する被ばくは,日本国民全体ないし世界の大多数の人々が受ける被ばく形態であるということである。
第二点は,フォールアウトに起因する被ばくは,発生源において制御できない被ばく形態であるということである。
第三点は,フォールアウトの中には,半減期の長い放射性核種が比較的多く含まれているので,フォールアウトによる被ばくを評価する場合には,核爆発実験の直後のみでなく,かなり,長期間にわたって考えねばならないということである。
このように考えると,フォールアウトに起因する被ばくは,自然放射線からの被ばくと類似性を有しているともいえよう。
2 調査の目的と体制
フォールアウトによる放射線から国民の健康と安全を護るためには,フォールアウトに起因する国民の被ばくの特徴を踏まえて,全国的に環境放射能を適切に監視することが必要不可欠である。

(1) 調査の目的
フォールアウトに起因する環境放射能の調査は,フォールアウトから国民が受ける放射線量を推定,評価するのに必要な環境放射能データを科学的に把握することにより,フォールアウトによる障害防止対策に資することを目的として,実施されている。

(2) フォールアウト対策の体制整備
フォールアウトに対する我が国の環境放射能調査は,昭和29年のビキニ環礁における米国の核爆発実験を契機として,関係行政機関において開始された。
昭和31年に設立された原子力委員会は,核爆発実験による放射能汚染の調査研究は,原子力の平和利用における放射線障害の防止を図り,かつ,その健全な発展を期するうえに重大な関係があり,自然放射能と人工放射能の分布状況を把握する必要があるとの認識から,昭和32年以降,関係行政機関の協力を得て,放射能調査網の整備を推進した。

その後,昭和36年に再開された米ソの核爆発実験により,我が国にも相当量の放射性物質が降下したことから,これに適切に対処するため,同年10月,閣議決定により,内閣に放射能対策本部(本部長 科学技術庁長官)が設置され,同本部において,フォールアウト対策に関し,関係行政機関が講ずる具体的措置について連絡調整を行うこととなった。更に,昭和37年からは,当時の原子力委員会が,従来から進めてきた放射能水準の調査分析にとどまらず,フォールアウトによる障害の防止対策の基本に関することも併せて所掌することとなった。
こうして,フォールアウト対策を円滑に実施するための体制として,対策の基本に関する事項を企画,審議,決定する原子力委員会と,その基本方針に則り各行政機関が講ずる具体的措置に関し連絡調整を行う放射能対策本部とが緊密に連携をとることとなった。

一方,放射線障害の防止に関する技術的基準や,フォールアウトの中に含まれる放射性物質量及びフォールアウトによる放射線量等の測定方法に関することについては,昭和33年に総理府に設置された放射線審議会において,必要な調査審議が行われてきている。
その後,昭和53年10月に原子力安全委員会(以下「安全委員会」という。)が設置されたことに伴い,フォールアウト対策に関して当時の原子力委員会が所掌してきた事項は,安全委員会が所掌することとなった。
フォールアウトによる障害防止対策の最も重要な手段である環境放射能調査については,逐次,調査体制の着実な強化拡充が図られてきており,科学技術庁を中心とした関係省庁,国立試験研究機関,地方公共団体等により必要な調査が実施されてきている。

(3) 現行の調査体制
放射能対策本部は,これまで,核爆発実験に伴うフォールアウトによる人体に対する影響に関する調査研究及び放射能対策について勧告指導を行うことを目的として,フォールアウトによる環境放射能測定調査の総合推進,この調査結果の評価及び発表,この調査結果に基づいて関係行政機関が講ずべき措置の推進などの諸活動を行ってきている。
現在,放射能対策本部の方針に基づき,科学技術庁を中心とした関係省庁,国立試験研究機関,32都道府県等により,フォールアウトに起因する環境放射能の調査が実施されている。このうち,32都道府県で採取された環境試料については,一部を除き,(財)日本分析センターに送付され,同センターにおいて必要な分析が行われている。
ちなみに,フォールアウト関連の放射能調査研究費として,昭和58年度においては,約4億6千万円の予算が計上されている。
3 調査の概要
大気圏内核爆発実験に伴い放出された放射性物質は,大気中に拡散し,大別して,次の三つのフォールアウトとして,我々の生活環境に降下してくる。
第一は,「局地フォールアウト」と呼ばれているもので,核爆発実験の直後に,その実験地域周辺数百キロメートル以内に降下するものである。
第二は,「対流圏フォールアウト」と呼ばれているもので,対流圏の気流に乗って,核爆発地点と同一半球の地域の周囲に輸送され,核爆発地点から数百キロメートルから数千キロメートルの地点に降下するものである。
第三は,「成層圏フォールアウト」と呼ばれているもので,成層圏に達した放射性物質(その大部分は核爆発地点と同一半球に滞留するものの,広く全世界に分布する。)が,長期にわたって徐々に降下するものである。

これまでに行われた核爆発実験は,全て,我が国から数百キロメートル以上離れた地点で実施されたものであるので,日本国民に影響を与えるフォールアウトは,対流圏フォールアウトと成層圏フォールアウトである。
したがって,我が国において,フォールアウトに起因する環境放射能調査を行うに当たっては,これら二種類のフォールアウトに対応した調査を企画,実施し,評価することが必要である。

(1) 核爆発実験直後の環境放射能調査
核爆発実験に伴って対流圏に放出された放射性物質は,ジェット気流に乗り,我が国上空に早期に輸送され,対流圏フォールアウトとして地表に降下する。

対流圏フォールアウトは,核爆発後,比較的短期間内に地上に降下するものであるため,その中には,半減期の短い放射性核種が含まれている。これらの放射性核種の多くはガンマ線を放出するので,外部被ばくが重要な被ばく形態となる。(このうち,特に重要なものは,ジルコニウム-95とその崩壊生成物であるニオブ-95による被ばくである。)。また,これら短半減期の放射性核種のうち,よう素-131(半減期8日)は,牧草→乳牛→牛乳の経路で体内にとりこまれると,甲状腺に選択的に集まるという性質を有し,このため甲状腺に集中的に内部被ばくを与えるので,特に重要な放射性核種として着目する必要がある。
核爆発実験直後の環境放射能調査は,以上の点を念頭に置きつつ,個々の核爆発実験があるごとに放射能対策本部により決定される綿密な計画の下に慎重に実施されてきているが,現在の主な調査内容は,表1-1に示すとおりである。
表1-1 フォールアウトに関連する環境放射能調査の概要
表1-1 フォールアウトに関連する環境放射能調査の概要

(2) 定常的な環境放射能調査
大型の核爆発実験に伴って放射性物質が成層圏に注入されると,これは,数ヶ月から数年の滞留期間をもって,成層圏フォールアウトとして,地球全体にわたり,徐々に地表に降下する。
このため,成層圏フォールアウトには,核爆発の結果生成される短半減期放射性核種はほとんど含まれず,比較的長い半減期の放射性核種のみが含まれる。これら長半減期の放射性核種は,地表に降下した後も,さまざまな形で生活環境に滞留し,その寿命期間中を通じ,人体や環境に影響を与えうるものである。

これらのうち,人体の外部被ばくに寄与するものとして,セシウム-137(半減期30年)が重要である。セシウム-137を含むフォールアウトは,地表に蓄積し,そこから,放出されるガンマ線により,人体の諸器官に被ばくを与える。一方,成層圏フォールアウトに含まれる放射性核種のうち,人体の内部被ばくに寄与するのは,セシウム-137のほか,ストロンチウム-90,炭素-14などであり,これらの放射性核種の性質,それが人体に与える被ばく経路などは,表1-2に示すとおりである。
表1-2 成層圏フォールアウトに含まれる主要な放射性核種の例とこれによる人体の内部被ばくの形態
表1-2 成層圏フォールアウトに含まれる主要な放射性核種の例とこれによる人体の内部被ばくの形態

なお,ストロンチウム-90や炭素-14は,ガンマ線を放出しない放射性核種であるので,これによる外部被ばくは,身体表面や衣服に付着して長期間汚染除去を行わなかった場合を除き,無視しうるものである。
成層圏フォールアウトに関連する定常的な環境放射能調査は,以上の点を念頭に置きつつ,昭和39年に当時の原子力委員会が定めた基本方針に基づき,放射能対策本部の下で,関係機関により実施されてきているが,現在の主な調査内容は,表1-1に示すとおりである。
なお,表1-1から明らかなように,この定常的な環境放射能調査の調査項目の中には,例えば,空間線量に関する調査のように,核爆発直後のフォールアウトの調査にも資するものが含まれている。
4 フォールアウトによる環境放射能とこれによる国民の被ばく
フォールアウトに関連する環境放射能の調査は,上記3で述べたところにしたがって進められてきているが,ここでは,これまで進められてきた調査の結果と現在の環境放射能の水準を明らかにするとともに,これによる国民の被ばくの実態を評価することとしたい。

(1) 核爆発実験により大気圏内に放出された放射能
核爆発実験は,1945年(昭和20年)以来,いわゆる核兵器保有国において行われてきており,特に1954~1958年と1961~1962年の期間には,米国及びソ連により,大気圏内での大規模な核爆発実験が頻ぱんに行われた。1982年末現在で最も最近の大気圏内核爆発実験は,1980年10月に中国により行われたものである。

これらの核爆発実験は,大別すると,大気圏内核爆発実験と地下核爆発実験とに分かれるが,これらの両者を合わせると,1980年末までに総計1,133回の実験が行われている。
このうち,環境に対する影響評価の観点から重要な大気圏内核爆発実験の回数は合計423回であって,その年次別,国別の内訳は表1-3に示すとおりである。
表1-3 大気圏内核爆発実験の実績とその爆発力の推定値
表1-3 大気圏内核爆発実験の実績とその爆発力の推定値

これらの核爆発実験により大気圏内に放出された放射能の総量は,短半減期の放射性核種の総量が確認できないため,明らかにされていない。
しかしながら,フォールアウトの蓄積の観点から特に重要な長半減期の放射性核種の放射能については,「原子放射線の影響に関する国連科学委員会」(「UNSCEAR」と略称されることがある。以下単に「国連科学委員会」という。)のとりまとめた調査結果により,その一部が明らかにされている。
例えば,1977年の国連科学委員会の報告によると,ストロンチウム-90の成層圏内存在量の変化は図1-2に示すとおりである。
図1-2 1963年から1975年までの期間にわたる90Srの成層圏存在量の変化
図1-2 1963年から1975年までの期間にわたる<sup>90</sup>Srの成層圏存在量の変化

なお,表1-3に示したように1976年以降も核爆発実験は行われており1982年の国連科学委員会の報告によれば,近年のフォールアウトに最も大きく寄与しているのは,1976年11月に行われた4メガトン級の核爆発実験に起因するものである。

(注) 核爆発においては,全放出エネルギーはTNT(トリニトロトルエン)が爆発したときの放出エネルギーと比較される。1メガトンの核爆発とは,TNT火薬1メガトン(100万トン)の爆発,すなわち約1015カロリーに等しいエネルギーを放出するものである。

(備考) この表は,1982年の国連科学委員会報告書「ANNEXE核爆発の結果生ずる被ばく」から引用したものである。ただし脚注は,原文には付されていないが,読者の理解を助けるため,それ以前の国連科学委員会報告書(例えば,1962年版)を参考として,付したものである。

(2) これまでの核爆発実験に伴うフォールアウトとして地表に降下した放射性核種
これまでの核爆発実験に伴うフォールアウトとして地表又は地表付近に降下した放射性物質のうち,環境への蓄積の観点から重要なものは,核爆発実験後からかなり長期にわたり徐々に降下する長半減期の放射性核種である。このうち,特に重要な放射性核種は,ストロンチウム-90とセシウム-137である。

ストロンチウム-90の年間降下量と累積降下量は,表1-4に示すとおりである。また,セシウム-137はその半減期がストロンチウム-90の半減期とほぼ同じ30年であり,多くの場所で長時間にわたり実測した結果では,セシウム-137とストロンチウム-90の降下放射能量の比は約1.6で,かなり一定していることから,セシウム-137の降下量については,ストロンチウム-90の降下量から推定することが可能である。
なお,これまでに明らかにされた調査結果では,表1-5に示すように,フォールアウトに伴う放射性核種の降下量は,各半球の中緯度地域において最大であることが示されている。
表1-4 ストロンチウム-90の年間降下量と累積降下量
表1-4 ストロンチウム-90の年間降下量と累積降下量

表1-5 ストロンチウム-90の降下量の緯度分布(注1)
表1-5 ストロンチウム-90の降下量の緯度分布(注1)

(3) 我が国に降下したフォールアウトの降下傾向と降下量
我が国に降下したフォールアウトの中に含まれる放射性核種については,前述したように,放射能対策本部の方針等に基づき,関係機関により必要な調査が進められてきた。
ここでは,環境への蓄積の観点から問題となる長半減期の放射性核種(ストロンチウム-90及びセシウム-137)に着目して,これまでの環境放射能調査結果に基づき我が国におけるフォールアウトによる放射性核種の降下傾向と降下量を経年的に追ってみることとしたい。

これらを把握するために,雨水,ちりの中に含まれる放射性核種の調査が行われてきている。その調査結果によれば,ストロンチウム-90とセシウム-137の年間降下量の経年変化は,図1-3に示すとおりである。この図から,1964年以降,フォールアウトによる放射性核種の降下量は減少傾向にあることがわかる。これは,1963年8月から,大気圏内の大規模核爆発実験が停止されているためである。
また,科学技術庁の委託により(財)日本分析センターが実施した調査の結果によれば,近年の全国月間降下量の平均値は,図1-4及び図1-5に示すとおりであり,都道府県別降下量と降水量については表1-6に示すとおりである。図1-4と図1-5によれば,いずれの年も降下量のレベルに差はあるものの,全国平均でみれば降下量のピークは,春の季節に出ることがわかる。これを「スプリングピーク」ということがある。

図1-3 降下物(雨水・ちり)中の90Sr及び137Cs年度別月間平均値
図1-3 降下物(雨水・ちり)中の<sup>90</sup>Sr及び<sup>137</sup>Cs年度別月間平均値

図1-4 降下物(雨水・ちり)中の90Sr及び137Csの全国月間平均値
図1-4 降下物(雨水・ちり)中の<sup>90</sup>Sr及び<sup>137</sup>Csの全国月間平均値

図1-5 降下物(雨水・ちり)中の90Sr及び137Csの全国月間平均値
図1-5 降下物(雨水・ちり)中の<sup>90</sup>Sr及び<sup>137</sup>Csの全国月間平均値

表1-6 昭和49年4月より昭和56年12月までの都道府県別降水量及び90Sr,137Csの降下量
表1-6 昭和49年4月より昭和56年12月までの都道府県別降水量及び<sup>90</sup>Sr,<sup>137</sup>Csの降下量

一方,県別の降下量についてみると,表1-6によれば,ストロンチウム-90とセシウム-137の降下量の多いのは,石川,福井の北陸地方,鳥取,島根の山陰地方及び日本海側の秋田と太平洋側の高知の各県である。しかし,同表において降水中のストロンチウム-90とセシウム-137の濃度を比較すると,最大は鳥取,島根で,次に秋田,青森,宮城,福島,山形の東北地方の各県と北海道,更に石川,福井,新潟の北陸地方の各県の順になる。また,逆に濃度の低いのは,鹿児島をはじめ,沖縄,佐賀,長崎,福岡の九州各県である。更に,秋田,石川,福井,島根,高知,鹿児島の各県について,降水中のストロンチウム-90の濃度の3ヶ月平均値をみると,図1-6に示すように,各県とも第4四半期又は第1四半期にピークが見られ,第2四半期に谷が見られる。

これらのことから,降水中のストロンチウム-90及びセシウム-137の濃度は,夏期,秋期の南西風や台風時の降水中には低く,冬季北西風のもたらす降雪雨中に高い傾向があることがわかる。
なお,図1-3から図1-5及び表1-6には,セシウム-137のストロンチウム-90に対する比を示してあるが,その値は前記(2)に示した値の約1.6と近似している。
図1-6 降水中90Sr濃度の都道府県別四半期平均の例
図1-6 降水中<sup>90</sup>Sr濃度の都道府県別四半期平均の例

(4) フォールアウトに起因する被ばく
これらフォールアウトの中に含まれる放射性核種による主要な被ばく経路及び被ばく形態は,図1-7に示すとおりである。

図1-7 フォールアウトに起因する主要な被ばく経路及び被ばく形態
図1-7 フォールアウトに起因する主要な被ばく経路及び被ばく形態

ここでは,フォールアウトに起因する国民の被ばくを,長半減期の放射性核種によるものと,短半減期の放射性核種によるものとに分けて,現状分析を行うこととしたい。

① 長半減期の放射性核種による被ばく
長半減期の放射性核種は,対流圏フォールアウトと成層圏フォールアウトの両方に含まれている。
このうち,国民の年間被ばくの観点から,特に重要なものは,ストロチウム-90とセシウム-137による被ばくである。ストロンチウム-90とセシウム-137の物理的特徴とこれによる主要な被ばく経路及び被ばく形態は,前記表1-2に示したとおりである。
これを踏まえつつ,我が国の環境放射能調査データに基づき,これら二種類の放射性核種による国民の被ばく線量を安全委員会の指針(第2章参照)等を使用して推定すると,年間全身線量で,数ミリレム程度のオーダーと評価される。また,放射線医学総合研究所が昭和55年に行った人骨中のストロンチウム-90の分析測定結果によれば,我が国における成人の人骨中のストロンチウム-90の濃度は,カルシウム1グラムあたり1ピコキュリー程度以下であり,これによる成人の骨髄及び骨内膜細胞に対する年間線量当量は,数ミリレム程度と評価されている。

② 短半減期の放射性核種による被ばく
短半減期の放射性核種は,対流圏フォールアウトには含まれるが,成層圏フォールアウトにはほとんど含まれていない。
このうち,国民の被ばくの観点から特に重要なものは,前述したようにジルコニウム-95とその崩壊生成物であるニオブ-95等の放射性核種から放出されるガンマ線による外部被ばくと,よう素-131による甲状腺の内部被ばくである。

まず,短半減期の放射性核種から放出されるガンマ線による国民の被ばくについては,表1-1に示したとおり,空間線量(率)の調査により,必要な情報の把握が行われている。これまでの調査結果によると,1961~1962年の米ソによる大規模核爆発実験の影響で,1962年(昭和37年)ごろに地上1mの高さの空間線量率の実測値として年間数十ミリレントゲンほどの高いレベルが観測されている。その後は,1963年8月に協定された「大気圏内,宇宙空間及び水中における核兵器実験を禁止する条約」の規定に基づき米ソによる大気圏内での大規模核爆発実験が行われておらず,また,一時的な空間線量率の増大に大きく寄与した短半減期の放射性核種が減衰したため,フォールアウトに起因する外部被ばく線量は,長半減期の放射性核種による被ばくのみを考慮すればよいものと考える。

一方,よう素-131による甲状腺の被ばくについては,表1-1に示したとおり,牛乳の中に含まれるよう素-131の調査により,必要な情報の把握が行われている。
これまでの調査結果によると,上述した外部被ばくの場合と同様に,1961~1962年の米ソによる大規模核爆発実験の影響で牛乳中のよう素-131濃度は高まり,例えば,1962年(昭和37年)の9月における東京市販の牛乳中のよう素-131濃度は,月平均で93pCi/lにも達している。(注1)(この事態に適切に対処するため,放射能対策本部は,同年10月,「食品中に含まれる放射性よう素に関する知識の普及について」を発表し,その中で,よう素-131による牛乳等の汚染の状況,よう素-131の性質,放射能調査の状況と今後の推移等について検討した結果,「現在程度の状態においては,乳幼児,妊産婦が食品,とくに牛乳を常時摂取することは心配ないものといえる。したがってよう素-131を含んでいる食品に対する不安により,発育盛りの乳幼児や妊産婦の牛乳摂取量が減少し,栄養が不充分にならないようにすることが肝要である」旨の見解を示している。)

なお,同年10月以降牛乳中のよう素-131濃度は減少の一途をたどったため,特に対策を講ずべき事態に至らなかった。
その後に行われた核爆発実験の直後の調査においては,牛乳中に含まれるよう素-131の濃度で,上記値を上回る値は検出されていない。

(注1) 当時は,牛乳中のよう素-131濃度から甲状腺被ばく線量を算出することはしていないが,現在の知見で,よう素-131濃度93pCi/lの牛乳を仮に毎日600ccずつ摂取した場合の月間甲状腺被ばく線量は,乳児の場合で20ミリレム程度となる。

③ 総合評価と線量預託
以上,フォールアウトに起因する国民の被ばくを,長半減期の放射性核種によるものと短半減期の放射性核種によるものとに分けて,その経緯と現状を,主として年間の被ばく線量という形で述べてきた。
しかしながら,フォールアウトに起因する被ばくのように,時間的,空間的に常に環境中(自然環境のみならず,食品や人体といった生活環境をも含む。)で変化するような放射線源からの被ばくを考える場合には,単にその時点の年間線量だけでは,その影響の全体を捉えることはできない。
このため,過去に行われた全ての核爆発実験からのフォールアウトに起因する過去,現在及び将来にわたって被ばくする線量の総計を推定することが必要とされる。

このように,ある特定の放射線源又は行為に着目して,それから受ける被ばく線量の総計を推定した値は,その放射線源又は行為に対する線量預託と呼ばれている。(注1)
国連科学委員会の1982年報告書によれば,1980年末までに行われた全ての核爆発実験による種々の放射性核種の線量預託は,表1-7のとおりである。
表1-7 1980年末までに行われた大気圏内核爆発実験によって生成された放射性核種からの線量預託
表1-7 1980年末までに行われた大気圏内核爆発実験によって生成された放射性核種からの線量預託

この表1-7に示されている放射性核種のうち,137Cs(セシウム-137),3H(トリチウム),14C(炭素-14),90Sr(ストロンチウム-90),239Pu(プルトニウム-239),241Pu(プルトニウム-241)及び241Am(アメリシウム-241)を除いた全ての放射性核種は,いずれも短半減期のものであり,この線量預託に相当する被ばくは既に過去に受けてしまっており,現在及び将来に受けることはない。
したがって,現在及び将来の人々が既に行われた核爆発実験に起因するフォールアウトから受ける被ばくを考える場合には,残りの7種類の長半減期の放射性核種に着目すればよいことになる。

これら7種類の放射性核種のうち,現在の人々の被ばくに対し,重要な寄与を与えるものは,ストロンチウム-90による内部被ばくと,セシウム-137による外部被ばく及び内部被ばくである。(注2)
ストロンチウム-90とセシウム-137により全世界の人々が現在受けている年間線量の現状を簡単な記述で要約することは困難であるが,1977年国連科学委員会の報告書においては,例示として,1975年におけるセシウム-137による全身被ばく線量は,内部被ばくで0.1~0.5ミリラド/年,外部被ばくで0.2ミリラド/年以下であるとの試算値が示されている。

なお,1982年国連科学委員会報告書においては,フォールアウトからの線量預託については,表1-7に示したような主要の組織・器官ごとの吸収線量による評価に加え,実効線量当量預託により推定,評価した値も示されている。
これによると,1980年までに行われた核爆発実験によるフォールアウトに含まれる放射性物質からの全世界集団の実効線量当量預託は,2.86ミリシーベルト(286ミリレム)と評価されている。

各放射性物質の実効線量当量預託への寄与率をみると,フォールアウトの中に含まれるものは,自然界に存在するものに比べ極めて少ないが,最も大きいのが炭素-14であり,続いてセシウム-137,ジルコニウム-95,ストロンチウム-90の順になっている。しかし,非常に長い年月を経た後は,炭素-14のほかに,プルトニウム-239,プルトニウム-240,アメリシウム-241のみが実効線量当量預託に寄与する。
また,被ばくの経路は,外部被ばくや呼吸による内部被ばくよりも,食物摂取による内部被ばくの寄与が増大していくことが示されている。

(注1) この線量預託が有意な意味を持つのは,線量とその効果とがしきい値のない直線関係にあると仮定された場合である。

(注2) なぜならば,残りの5種類の放射性核種のうち,トリチウム(半減期12年)やプルトニウム-241(半減期14年)による被ばくについては,ストロンチウム-90,セシウム-137による被ばくに比して線量預託の絶対値が十分小さく,また,プルトニウム-239,炭素-14及びアメリシウム-241については,一部の器官の線量預託に有意な寄与を与えるが,これはその半減期(プルトニウム-239:24,000年,炭素-14:5,730年,アメリシウム-241:240年)にわたっての寄与であるため,1年間あたりの平均線量としては,ストロンチウム-90やセシウム-137による被ばくに比して無視しうるほど小さいと考えられるからである。しかし,プルトニウム-239や炭素-14は,非常に長い年月を経た後は,重要な放射性核種となる。

5 まとめ
我が国においては,フォールアウトに起因する環境放射能から,国民の健康と安全を護るため,これまで述べてきた環境放射能の調査を基本として,必要な諸施策が進められてきている。
これらの諸施策を進めるに当たっては,「フォールアウトに起因する環境放射能による被ばくはもともと好ましいものではないが,フォールアウトによって国民が直接的又は間接的に受ける被害はできる限りこれを少なくすべきである」との基本的考え方がとられてきた。

具体的には,現在まで,核爆発実験直後に設置される放射能対策本部を中心とした諸活動と,定常的な環境放射能監視体制とにより所要の措置が講じられてきている。
フォールアウトによる国民の被ばくは,本節で述べたとおり,現状では,自然放射線に比べ,十分小さい寄与しかしておらず,今後,新たに大気圏内での核爆発実験が行われない限り,将来にわたり大きな寄与を与えることはないものと思われるが,フォールアウトに起因する放射線から国民の健康と安全を護るため,今後とも国の責任においてこれを適切に監視していく必要があるものと考える。

なお,核爆発実験によるものではないが,昭和58年1月及び2月のソ連の原子炉衛星の大気圏再突入に伴う放射性降下物から国民の健康と安全を護るため,我が国では,フォールアウトによる環境放射能の監視体制が重要な役割を果たしたことは記憶に新しいところである。すなわち,ソ連の原子炉衛星コスモス1402号の落下に備え,政府においては関係省庁連絡会議の場で,総合的な体制整備を図ることが合意された。この体制の一環として,環境放射能調査については,放射能対策本部における核爆発実験直後の環境放射能調査体制を準用し,落下が予想される日の前日から緊急時放射能調査体制に入り,万全の対策が講じられた。幸いにして,原子炉衛星コスモス1402号は,我が国及びその近傍に落下せず,また,我が国における上記調査においても異常は認められなかった。
































































2012年4月8日日曜日

福島第一原発の2号機の温度計の一つが100度を突破 4月2日に東京電力が発表

4月2日に東京電力が発表された資料によると、

福島第一原発の2号機の温度計の一つが100度を突破している事がわかった。

資料では、その温度計は故障していない事が書いています。








http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu12_j/images/120402j0101.pdf

2012年4月7日土曜日

【 がんへの恐怖、そしてうつ病が蔓延する日本の避難民 】
[福島の原子力大災害]〈第3回〉
「もっと広範な徹底的な調査を行わない限り、今回の日本の大惨事の全貌は明らかにできない」


デア・シュピーゲル・オンライン(ドイツ) 2012年3月9日



▽ チェルノブイリからの教訓

メットラーやヴァイスのような放射線専門家の主張の根拠とするのは、チェルノブイリの大惨事の研究結果です。
2011年4月『原子放射線による影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)』は、チェルノブイリの大惨事に関する最新の研究結果を発表しました。
この報告書は事故当時、工場の敷地内で収束作業を行った50万人以上の作業員の検査に基づくものです。
この結果を約100万の住民の甲状 腺に蓄積された放射線量を比較しました。
チェルノブイリの大惨事が甲状腺ガン発症の直接原因となったとみられる子供と若者の数は、6,000人を超えました。
しかし、チェルノブイリでは他の種類の癌を引き起こしたという、決定的な証拠はありませんでした。

核戦争防止のための国際的な医師団(IPPNW)とグリーンピースは、ともにUNSCEARが発表したデータに疑いを抱き、もっと広範な徹底的な調査を行わない限り、今回の日本の大惨事の全貌は明らかにできないと、真っ向から批判しています。
そしてUNSCEAR内に4つのグループを設立すべきであるとしています。

1番目は福島第一原発でメルトダウンが発生した当時施設内にいた作業員と、一般と比較して明らかに大量被ばくしてしまった人々を調査する部門。
2番目は一般市民の被ばくの実態を調査する部門。
3番目は福島第一原発から放出された放射性物質の総量と、それがどこまで環境を汚染したのか、すべての資料をかき集め、実態を明らかにする部門。
4番目は入手したデータの信頼性について専門に検証する部門。

「データを検証し、評価することは最も重要なことであり、決定的手段を手に入れることにつながります。」とヴァイスも認めています。
今回の大惨事に対する日本政府の初期のあまりにひどい情報提供の在り方を見て、国連は透明性と独立性の確保に力を入れたい、と考えるようになりました。

今年5月にUNSCEARは最初のレポートを公開し、もう一つの大きなサマリーレポートは、2013年5月に予定されています。
UNSCEARは今年5月、この問題に関する最初の報告書を公表し、来年5月にはさらに詳しい報告書の公表を予定しています。

ところで世界の複数の専門家は、一つの重要な点について同じ意見を持っています。
すなわち、原子力大惨事による心理的な打撃は、被災者に放射線そのものよりも大きなリスクをもたらす、という事です。
チェルノブイリ事故の後、避難者の多くがストレスやうつ病、絶望感に苦しみ、同じような状況に追い込まれました。
食生活が粗末になり、喫煙やアルコール依存が高まり、結果的に癌のリスクを高めることになってしまいました。

看護師の松本さんもこの点には同意しています。
葛尾難民が抱える一番の問題は、今や放射線ではなく、体を動かす機会が極端に減ってしまったことです。

村民のほとんどは、大惨事の前には懸命に働いていた農民たちでした。
今、緊急避難施設にいて食生活をレトルト食品などに頼っている彼らは、かつては自分たちが育てた新鮮な野菜を食べていました。おかげでコレステロールの値や血糖値が上がる傾向にあります。
「すでに何人かの人がうつ病になってしまいました。」
松本さんがこう語り、さらに以下のようにつけ加えました。
ここにいる避難民の人々は、それに加えて職を失い、住んでいた家も失いました。

「いったいどうしたら、事態を改善できるのか、全く見当がつきません。」
〈完〉


http://www.spiegel.de/international/world/0,1518,820314,00.html#ref=rss


「原発マネー」1億2647万円が流れ込んだ9人の学者の回答一覧

2012.04.03 16:00


     







昨年6月、テレビで原発事故についてコメントする大学教授たちに8億円もの「原発マネー」が流れ込んでいることを明らかにしたジャーナリスト・佐々木奎一氏と本誌取材班は、再び情報公開請求と直撃取材によって、「新たな原発マネー」の存在を掴んだ。原発・電力会社、ゼネコン関連などの資金提供元から、1億2647万6693円ものカネが、津波や活断層を研究・評価する学会(社団法人・土木学会の「原子力土木委員会」委員の大学教授たち)に流れていたのだ。
「奨学寄付金」「受託研究」「共同研究」などの名目でカネが流れた研究者たちは、その事実についてどう答えるのか? 以下は、その回答である。
●前川宏一(東京大学大学院工学系研究科教授)=奨学寄附金1519万円
「規則に基づいて適正に受け入れ、会計規定に基づき適正な執行を行なっている」
●堀井秀之(東京大学大学院工学系研究科教授)=受託研究1000万円、共同研究150万円
「規則に基づいて適正に受け入れ、会計規定に基づき適正な執行を行なっている」
●田中和広(山口大学大学院理工学研究科教授)=奨学寄附金200万円
「奨学寄附金は火山の研究のためのもので、(提供元は)九電の子会社だが、原発という意識はなかった。原子力土木委員会には、最初に1回出ただけで具体的には活動していない」
●谷和夫(横浜国立大学理工学部教授)=奨学寄附金530万円、共同研究(不明)
「共同研究は原発に関係あるものとないものと両方ある。津波評価部会は、個別のサイトの評価結果は示していないし、自分は原子力産業から資金提供を受けていない」
●丸山久一(長岡技術科学大学工学部教授)=奨学寄附金100万円
「寄附金は、実験・調査に関わる諸経費(機器の購入、材料の購入、旅費、文献購入費等)、研究補助をしてくれる学生への謝金等に使われる。専門はコンクリート工学なので、その観点から委員会の議論に加わっている。2002年2月の『原子力発電所の津波評価技術』には一切関わっていない。研究者、技術者として、自分で築いてきた内容、感覚に背いてまで発言することは、これまでなかったし、今後もないと思う」
●山崎晴雄(首都大学東京都市環境学部教授)=奨学寄附金330万円、受託研究1297万4843円
「取材はお断わりする」
●大西有三(京都大学副学長、元工学部教授)=共同研究3150万円、受託研究1212万4350円
(締め切りまでに回答なし)
●米山望(京都大学防災研究所准教授)=奨学寄附金540万円、共同研究1225万7500円、受託研究63万円
「原子力土木委員会の委員への就任は2011年6月であり、奨学寄附金等はすべて水力発電に関するもの」
●宮川豊章(京都大学大学院工学研究科教授)=奨学寄附金700万円、共同研究630万円
「奨学寄附金は実験費用等に使った。共同研究、受託研究は全て原発とは関係のない研究。津波が専門ではないし、学会の委員会で発言がお金の出し手に対して甘くなるようなことはない。そちらの定義する原子力産業には、大きな違和感がある。大きな組織の関係ない他部署から、受託研究や奨学寄附金をいただいている。
津波想定を議論したのは私が委員になる前だが、当時の工学の最先端の成果であったと考えている。技術のレベルが未熟だったかもしれないという忸怩たる思いはあるが、責任問題とは違う次元の話だと考える」

福島の36地点でストロンチウム


ストロンチウム、462兆ベクレルが海に流出2011年12月18日



東京電力福島第一原発から事故後、海洋に放出された放射性ストロンチウムの
総量は、少なくとも約462兆ベクレルになることが朝日新聞の試算でわかった。
水産庁は魚介類への蓄積を調べるサンプリング調査の強化を検討している。



試算は東電などが発表した資料をもとに行った。
4月に2号機、5月に3号機から流出した放射能汚染水については、流出源である両号機の建屋内のたまり水に含まれる放射性ストロンチウムの濃度を、流出した水の体積にかけて算出。これらに、今月4日に流出が確認された処理水に含まれていたと見られるストロンチウムの量を足し合わせた。大気から海への降下量は含まれていない。
東電は4~5月に海に流出した汚染水中の放射性ヨウ素とセシウムの総量を推定約4720兆ベクレルと発表した。ストロンチウムの量はその約1割に相当する。
2012年4月5日(木)、小出裕章氏が、毎日放送「たね蒔きジャーナル」に出演。ストロンチウム汚染水が12トン海に漏れたことについて言及しています。


▼20120405 たね蒔きジャーナル 京都大学原子炉実験所助教 小出裕章
=====(文字おこし、続き)
※「藤村官房長官「地元の同意は前提条件にならない」ーー「事故が身を以って教えてくれている。それを学べない政治家たちだとすれば落選させるしかない」小出裕章 4/5(1)」からの続きです。
千葉「はい。…では次の質問、まいります。えーと次はですね。福島第一原発4号機の近くにあるパイプが外れて、高い濃度の放射性ストロンチウムを含む汚染水が漏れて、ほとんどが海に流れ出たと見られる、というニュースが入ってきました」
『東京電力福島第一原子力発電所で、5日朝、配管の接合部分が外れて高い濃度の放射性ストロンチウムを含む汚染水が漏れ出て、一部が海に流出したことを受けて、国の原子力安全・保安院は東京電力を厳重注意するとともに、配管の接合部分を総点検し再発防止策をとるよう指示しました。 ...』
小出「はい」
千葉「漏れた量は12トンということなんですが。ここちょっと、改めてお伺いしますが、このストロンチウムとはどんな物質、なんでしょうか」
小出「え…ウランが核分裂してできる時…の、代表的な核分裂生成物というのがいくつかありまして。」
千葉「はい」
小出「え…1つは、今わたしも含めて1番気にしているセシウム137という放射性物質なのですが。それとほとんど、等しい量ができる、というのが、ストロンチウム90という放射性物質でして」
千葉「はい」
小出「人体に対する危険度で言えば、セシウムの何倍かは高いと考えられている猛毒の放射性物質、です」
千葉「はい」
小出「ただし、揮発性が余り無い、ために、福島第一原子力発電所の事故でも、セシウムは大量に大気中に出てきたのですが、ストロンチウムは大気中には出てこなかった…のです。多分まあ割合で言えば1000分の1ぐらいしか大気中には出てこなかったと、思います。で、ただ、逆に、水には溶けやすい、し、え、なかなか水から捕捉しにくいという性質を持っていますので。え…水、をまあ今、浄化系というのを通して、セシウムを捕まえてはいるのですけれども。ストロンチウムはほとんど浄化もできないまま汚染水の中に、もど、残り続けてきてしまっているのです。え、それがまあ漏れてしまったと、いうことで。これからどんどん深刻な問題になると思います」
千葉「え…あの、今回、その、大部分が海へ流れ出したということなんですけれども」
小出「はい」
千葉「量も12トンということで、まあ、どんな影響が考えられますか」
小出「ええっと。実はこの、今、マスコミというかですね、今日の報道ではその12トンが漏れたから大変だということになってるわけですねえ」
千葉「ええ」
小出「もちろん私はそれは大変だと思いますし、え…循環冷却ということ、をやることの困難さを今、それ、今回のことが示したとも思うのですけれども。」
千葉「はい」
小出「実はもう、毎日、漏れているのです。」
千葉「う…」
小出「はい。福島第一原子力発電所の敷地の中には、かつて12万トンを超える汚染水が存在していると、言われていました」
千葉「ええ」
小出「それは原子炉建屋の地下であるとか、タービン建屋の地下であるとか、トレンチピット、立坑というところに溜まっているのですね」
千葉「はい」
小出「今現在もそうです。」
千葉「はい」
小出「で、ただし、そういう構造物というのは、コンクリートで出来ている、のです。」
千葉「ええ」
小出「え…コンクリートというのは、必ずひび割れています。」
千葉「はい」
小出「漏れが無いコンクリートの構造物ってのはないわけで。もう、毎日毎日漏れている、のです。ですから私は去年の3月、事故が起きた直後から、コンクリートの構造物の中に溜まっている汚染水は、漏れのない安全な場所に移さなければいけないと、発言を続けてきました。」
千葉「はい。おっしゃってましたねえ」
小出「はい。で、それは、私のまあ頭に描いたのは、巨大タンカーを連れてきて、それにとにかく移す、というのがいいということで、発言をして。たね蒔きジャーナルの番組の中でも、何人かの政治家の人たちと話をさせていただきました」
千葉「ええ、ええ」
小出「そしてその政治家の方々は、皆さん、そうだ、って認めてくださって。え…それは政治の力でやる、とおっしゃってくださったのですけども。結局何も出来ないまま、汚染水がコンクリート構造物の中に放置され続けてきて、います。」
千葉「はい」
小出「もちろん、もう、毎日毎日漏れているということなの、です」
千葉「じゃあ、もうやっぱり根本的に、その、漏れないところに水を移さない限り、」
小出「はい」
千葉「ずうーっと水は漏れ続けるということな、わけですねえ」
小出「そうです。そうです。管理ができない状態で、漏れてきたし、これからも、漏れてしまうということです」
千葉「ふーん。じゃあ、こういう所で改めて12トン漏れたからって驚いている場合ではないわけですね」
小出「はい。そういうことです」
千葉「ふあー。わかりました。えー…今日もスタジオにですね、実は、たくさん質問メールも届いてますので、これを順番にお聞きしていきたいと思います。まずですね、大阪府にお住まいのラジオネームオルソンさんという方からのメールの質問です。この、汚染水漏れの問題なんですけども、入れ続けている冷却水に入浴剤のような色をつける染色剤を入れてみたら、漏れている場所がハッキリわかると思うんですが。そんなことをするととてつもなく危険な反応、例えば爆発したり、パイプが詰まったりとかする可能性が、あるのでしょうか、という質問なんですが」
小出「え…爆発はしたりすることはないと思いますけれども」
千葉「はい」
小出「多分漏れというのはそこらじゅうで漏れてますので」
千葉「ええ」
小出「染色したところで、んー、どこまで有効な手立てになるのかなと思いますし。え…まあ、東京電力の方では漏れというのをむしろ見つけたくないと思ってる、わけですね」
千葉「なるほど、はい」
小出「漏れてるなんてことは、ないと、むしろ彼らは言いたいわけですから。彼らとしては、そういう手段は嫌がるだろうと思います」
千葉「あーー…それでまあ、あの、危険というところはあんまり考えられないんだけど。」
小出「はい」
千葉「それが実現する可能性としては結構低そうな感じですね」
小出「でも、良い提案だと思いますので、東京電力にやらせたらいいと思います」
千葉「はい。続いてじゃあ、こちらの質問参ります。こちらは、ラジオネームぽんちさんという方ですね。神奈川県にお住まいの方です。え…食品の放射性物質の検査ですが。セシウムばかりの話が多いんですが。プルトニウム、ウラン、ストロンチウムなどの、その他の検査はなぜ話に持ち上がらないんでしょうか。という質問です」
小出「え…本当はやらなければいけない、のです。え…ただし、ストロンチウム、あるいはプルトニウムというものの分析というのは、セシウムの分析に比べて、はるかに手間がかかります」
千葉「はい」
小出「え…100倍、1000倍というぐらいに、手間暇がかかるという、そういう測定法ですので。え…今やってるセシウムと同じぐらいの、う……ん……厳密さというか」
千葉「はい」
小出「まあ、今でも厳密だと私は思いませんけれども。セシウムに匹敵するような測定をするということはなかなか難しいだろうと、思います。で、その上で、今も少し聞いていただきましたが、ストロンチウムという放射性物質は、セシウムよりも本来は危険ですけれども」
千葉「はい」
小出「でも、放出されてきた量が、圧倒的に少ないですので。私たち、の、被曝という意味で言えば、何よりもやはりセシウムに注意をしておかなければいけないと、私も思い、ます。え…プルトニウムもそうです。え…猛毒な放射性物質ですけれども。放出された量が、セシウムよりもはるかに少ないので。今は、とにかくセシウムに気をつけなければいけないと、いうことだと私は思います。え…でももちろん、測定はやったほうがいい、し、これから海洋が、海が汚れてきますので、その時にはストロンチウムが、むしろセシウムより問題になる可能性があると思います。え…しっかりと分析体制を作るべきだ、と思います」
千葉「うん…本来はもう測ったほうがいいもの」
小出「はい」
千葉「なんだけれども、そこまで手が回ってないってのが」
小出「そうです。はい」
千葉「現状だということですね」
小出「はい。おっしゃるとおりです」
千葉「はい。わかりました。」
小出「はい」
千葉「小出さんどうもありがとうございました」
近藤「ありがとうございました」
小出「ありがとうございました」
=====(文字おこし、ここまで)


福島の36地点でストロンチウム

 福島県は6日、東京電力福島第1原発事故を受けて、県内55地点の土壌を調査したところ、県沿岸部、県中部の36地点で事故以前の濃度の平均値を上回る放射性ストロンチウムを検出したと発表した。原発事故の影響が考えられるが、県は人体に影響のないレベルとしている。
 放射性ストロンチウムは骨にたまりやすく、体内に大量に取り込むとがんの原因となる恐れがある。米ソなどが大気圏内核実験を行っていた1970年代には国内でより
高濃度のストロンチウムが検出されたこともある。
 県によると、第1原発が立地する大熊町の1地点でストロンチウム90を1キログラムあたり80・8ベクレル、双葉町の1地点で同14・9ベクレルを検出した。34地点では濃度の平均値が2005年の測定値を上回った。
 調査は昨年7~10月に実施。文部科学省も昨年、同様の調査結果を発表している。






横浜のストロンチウムと子供の守り方(緊急の2)






横浜でストロンチウムが検出され、多くの人が心配しています。

原子炉の中ではセシウムとストロンチウムが同じく6%程度できます。そして半減期もほぼ同じで30年。ベータ線をだし、おそらくは原子炉から吹き出すときには酸化物で、やがて水酸化物になり水に溶解していくというところまで似ています。さらには比重は3.5から4ぐらいですから何から何まで双子の兄弟と言ってよいでしょう。

ところがこれまではセシウムが何十万ベクレルという高濃度で発見されているのに、ストロンチウムはその100分の1にもなりませんでした。原子炉の中では同じようにでき、性質も似ているのになぜストロンチウムが観測されないのか? チェルノブイリの時にも10分の1はあったのになぜ無いのか? 本来ならあるべきストロンチウムが極微量しか検出されなかったことが問題だったのです。

すでに国民の多くは政府やマスコミが積極的に国民を守ろうと思っていないことを知っているので、政府が「なぜ、ストロンチウムは無いのか?」の説明をすることを期待していません。それより「おそらくは隠しているのだろう」と思っています。

10月初旬に横浜でストロンチウムが1キログラムあたり200ベクレル程度、測定されるようになりました。データの真偽はこれから少しずつはっきりしてくるでしょうが、「えっ!ストロンチウムが!」と驚かれていますが、普通なら「えっ!ストロンチウムが今頃、観測されたの?」という方が常識的でしょう。

・・・・・・・・・

まず、防御法ですが、セシウム137は青酸カリより桁違いに猛毒ですが、ストロンチウムも猛毒で骨に蓄積し白血病の原因となります。ただセシウムより蓄積するところが限定されているので、さっそく防御をしましょう。

人間の骨は主としてカルシウムでできていますが、毎日、少しずつ溶けて少しずつ食品からのカルシウムで骨を作り直しています。普通の生活をしている人は1日200ミリグラム、寝ている人は1日400ミリグラムのカルシウムが尿中にでます。そこで、カルシウムを少し余分にとっておけば、ストロンチウムは骨に入りにくくなります。

骨は本当はカルシウムを必要としているのですが、カルシウムがなければ仕方なくストロンチウムをカルシウムの代わりに使うので、まだ学問的にははっきりしていませんが、自衛策がなかなかない中、カルシウムを一緒にとっておくのが良いと考えられます。

でも、困ったことがあります。太平洋の静岡から北の小魚は汚染されていますし、牛乳は危険で飲むことができません。従って、カルシウムをとるのは、日本海側の小魚、四国、九州、沖縄、海外の小魚、そして海外からの乳製品ということになります。でも、カルシウムが多い豆類などがありますので、情報をよく交換してお子さんがカルシウム不足にならないようにしてください。

・・・・・・・・・(検出されない理由)・・・・・・・・・

おそらくは横浜ばかりではなく、神奈川、東京から岩手までかなりの濃度でストロンチウムがあると考えた方が良いでしょう。チェルノブイリでもそうでしたし、もともとの性質を考えても「セシウムあるところにストロンチウムあり」と考えるべきだからです。

では、なぜ今まで検出されなかったのでしょうか? 私はやや犯罪の臭いを感じます。というのは、セシウムは「機器」を使って「人間が操作しなくても」測定できるのですが、ストロンチウムは混合物からストロンチウムだけを取り出してから測定します。だから、その操作の時に「ストロンチウムを故意に捨てる」ということは容易なのです。

かつての日本人はこんな誠意のないことはしなかったのですが、最近の大人の男は平気でします。なにしろ福島や関東の野菜を売るために汚染されていない南の野菜を捨てさせているぐらいですから、何をやるか判りません。

ある時に専門家が「ストロンチウムは重たいので東京まで来ない」などと言っていましたが、科学的な間違いです。おそらくは「そう言えばテレビに出してあげる」と言われて、他人や子供の健康より自分のことを考えたと思います。

日本はダメになってしまったのですから、外国で生活するように自衛することです。それには、1)ストロンチウムはセシウムがあるところはある、2)カルシウムをとっておけばかなり防ぐことができる、と覚えて自衛してください。国、自治体、専門家、NHKは信用できません。

(平成231013日)


武田邦彦


【放射能漏れ】汚染水、海に流出 福島第1、配管抜け ストロンチウムも
sam

http://sankei.jp.msn.com/life/news/120405/trd12040514060014-n1.htm

汚染水、海に流出 福島第1、配管抜け ストロンチウムも

東京電力は5日、福島第1原発にたまった汚染水を淡水化する装置と仮設タンクを結ぶ配管が抜け、高濃度の放射性ストロンチウムを含む汚染水約12トンが漏れたと発表した。
東電は、大部分が排水路を通じて海に流出したとみており、「海に流出させる事態となり、あらためておわびする」と謝罪した。

東電によると、漏れた汚染水には放射性セシウムも1立方センチ当たり16.7ベクレル含まれ、海につながる排水路の下流でもセシウムが検出された。東電はストロンチウムの濃度を調べている。


東電によると、5日午前1時5分ごろ、配管を流れる水の量が急上昇したため、装置を停止。
弁を閉めたところ漏れも止まった。配管が継ぎ目から抜けたことが原因という。

白菜 おばあちゃん と・・・・・

Nagi Wind 2012年12月22日 わたしは、放射線の食品測定所の臨時職員です。 今日も、ある、ばあちゃんが来た。 ひと伝えに・・・ とても、丁寧な、昔の方だよ 白菜を大きく切って持ってきたんだ。 本当だったら、小さく切らなければいけ...